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無担保住宅ローンとは?通常の住宅ローンとの違いやメリット・デメリットをわかりやすく解説

無担保住宅ローンとはどのようなローンでしょうか
住宅ローンには、「無担保住宅ローン」と呼ばれるものがあります。名前のとおり、担保を設定しない住宅ローンです。一般的な住宅ローンとは何が違うのでしょうか。また、どういう場合に利用するものなのでしょうか。そこで本記事では、無担保住宅ローンの概要やメリット・デメリット、活用方法を解説します。メリット・デメリットを理解したうえで、利用を検討しましょう。

無担保住宅ローンとは

無担保住宅ローンとは担保の設定をせずに借りられる住宅ローンのことです
無担保住宅ローンとは担保の設定をせずに借りられる住宅ローンのことです

まず、無担保住宅ローンとは何なのか、通常の住宅ローンと何が違うのかを押さえておきましょう。

無担保住宅ローンとは

無担保住宅ローンとは、住宅を購入する際にその住宅を担保として設定せずに借りられるローンのこと。担保とは、もし、住宅ローンの返済が滞った場合、金融機関に対して、「ローンの返済の代わりに保証となる財産」のことです。無担保住宅ローンは、住宅を担保に設定しないため、万が一のことがあっても住宅を差し押さえられることがありません。

通常の住宅ローンとの違い

無担保住宅ローンと通常の住宅ローンの違いは、担保の設定の有無です。通常の住宅ローンでは、購入する住宅を担保として設定します。担保に設定することで、金融機関は万が一、債務者のローン返済が滞った場合でも、住宅を売却して債権の回収が可能。貸し倒れのリスクが低減するため、低金利での融資が可能です。一方、無担保住宅ローンの場合、返済が滞ると、金融機関は債権を回収できないおそれがあります。金融機関にとってリスクが高いことから、金利が高かったり、融資の上限額が低く設定されています。

無担保住宅ローンのメリット

無担保住宅ローンの4つのメリットを解説します
無担保住宅ローンの4つのメリットを解説します

住宅を担保として設定しない無担保住宅ローンには、どのようなメリットがあるのでしょうか。本章では、4つのメリットについて解説します。

住宅を差し押さえられるリスクがない

無担保住宅ローンのメリットは、住宅を差し押さえられるリスクがないことです。万が一、住宅ローンの返済が滞った場合でも住宅を担保にしていないため、差し押さえられません。通常の住宅ローンでは、住宅に抵当権を設定します。抵当権とは、住宅ローンの返済が滞った場合、金融機関が担保に設定されている住宅から優先的に債権を回収する権利のこと。抵当権は、住宅ローンを完済すると外すことができます。ただし、無担保住宅ローンで返済が滞ったとしても、ローンは返済しなければなりません。無担保住宅ローンを返済するための手段として、売却によって住宅を手放さなければならない可能性はあります。

初期費用が安く抑えられる

無担保住宅ローンは、初期費用が安く抑えられる点もメリットです。住宅ローンで抵当権を設定する場合、法務局で権利関係を証明するための手続きをおこないます。この手続きを登記といい、下記のような費用がかかります。

  • 登録免許税
  • 司法書士などへの報酬料

登録免許税は、購入する土地や住宅の評価額によって異なります。また、司法書士への報酬料は2万円〜15万円ほどと、内容によって幅があります。無担保住宅ローンの場合、これらの費用をカットできるため、通常の住宅ローンと比較して初期費用を抑えられます。

また、通常の住宅ローンでは、保証会社に支払う保証料や融資手数料が必要ですが、無担保住宅ローンはそれらの費用が不要なケースもあり、さらに初期費用を抑えられる可能性があります。

審査期間が短い

審査期間が短いことも、無担保住宅ローンのメリット。通常の住宅ローンの審査では、担保となる住宅にどれくらいの価値があるのか、担保評価もおこなわれます。しかし、無担保住宅ローンでは担保が不要なため、その分審査項目が少なくなります。例えば、長野ろうきん(長野労働金庫)の場合だと、融資実行日は、申込情報の入力日を除いた次の7営業日以降とされています。通常の住宅ローンの審査では1カ月〜1カ月半程度かかることを考えると、かなり短いことがわかるでしょう。

資金使途が幅広い

無担保住宅ローンのメリットとして、資金使途が幅広いことも挙げられます。通常の住宅ローンの場合、自身が住む住宅の購入に限定されていることが一般的。しかし、無担保住宅ローンの場合、住宅の購入以外でも利用が可能です。例えば、北海道ろうきん(北海道労働金庫)の場合、次に挙げるものに利用できます。

  • 申込者や親族が居住する住宅、土地の購入
  • 申込者や親族が居住する住宅の増改築、修繕・模様替え
  • 購入する住宅に関連する物品(家具・家電・照明器具など)の購入費用
  • 申込者や親族が所有する空き家の解体費用

ただし、金融機関によって資金の使い道の範囲は異なります。事前に確認しておきましょう。

無担保住宅ローンのデメリット

無担保住宅ローンは金利が高く設定されている傾向にあります
無担保住宅ローンは金利が高く設定されている傾向にあります

無担保住宅ローンは、万が一の場合でも住宅を差し押さえられる心配がありません。資金使途も幅広く、初期費用が抑えられるといったメリットもあります。一方で、デメリットはあるのでしょうか。本章では、無担保住宅ローンのデメリットを解説します。

金利が高くなる可能性がある

無担保住宅ローンのデメリットは、金利が高くなる可能性があることです。先述したように、住宅を担保として設定しないため、金融機関からすると貸し倒れのリスクが増大。金利を高く設定することで、貸し倒れのリスクを反映させているのです。無担保住宅ローンの具体的な金利相場は、次の章で解説します。

借入金額の上限額が低い

借入金額の上限額が低いことも、無担保住宅ローンのデメリットです。繰り返しになりますが、無担保住宅ローンは金融機関にとってリスクの高い商品です。確実に債権を回収できるよう、通常の住宅ローンと比較して、借入金額の上限額が低く設定されています。

例えば、群馬銀行の場合を見てみましょう。通常の住宅ローン「金利選択プラン」では、借入金額は50万円以上8,000万円以内に設定されています。一方、「無担保住宅ローン」では、50万円以上1,000万円以内に設定されており、上限額の差は7,000万円。このように、無担保住宅ローンは、借入金額の上限額が低く設定されている点を理解しておきましょう。

返済期間が短い

返済期間が短い点も、無担保住宅ローンのデメリットでしょう。通常の住宅ローンでは、住宅を担保に設定することから、申込者が確実に返済する確率も上がります。金融機関は長期的な回収が見込めるため、35年や40年などの長期間での設定が可能です。しかし、無担保住宅ローンの場合、金融機関にとってリスクが高いため短期での回収を重視。したがって、返済期間も短く設定されています。

例えば、千葉銀行の場合を見てみましょう。ちばぎん“選べる住宅ローンベストチョイス21”「新築・新規購入コース」では、返済期間を1年以上40年以内で設定できます。一方、ちばぎん無担保住宅ローンでは、6カ月以上 20年以内で設定しなければなりません。返済期間が短くなると、毎月の返済額も多くなるため、余裕を持った返済計画を立てましょう。

審査が厳しくなる

無担保住宅ローンは審査が厳しくなる点が、デメリットとして挙げられます。メリットでは、担保評価をおこなわない分、審査期間が短くなることを解説しました。しかし、審査項目が少なくなるからといって、審査が優しくなるわけではありません。むしろ、無担保住宅ローンは金融機関にとってリスクの高い商品であるため、短期間で確実に債権を回収できるか、返済能力の有無の判断を慎重におこないます。

具体的には、年収や勤続年数、信用情報などが重視されるでしょう。信用情報とは、クレジットカードの契約や返済状況、他の借入状況などをまとめたものです。年収が安定しており、勤続年数も長く、着実に返済している方であれば、審査に通る可能性は高くなるでしょう。

無担保住宅ローンの金利比較

無担保住宅ローンの金利を比較してみましょう
無担保住宅ローンの金利を比較してみましょう

無担保住宅ローンはリスクの高い商品であり、金利が比較的高く設定されています。それでは実際にどれくらいなのでしょうか。本章では、金融機関の種類ごとに見ていきましょう。

都市銀行

都市銀行には、無担保住宅ローンと呼ばれる商品がありません。そこで今回は、担保不要で借りられるリフォームローンの金利をご紹介します。

金融機関名 商品名 金利
三菱UFJ銀行 ネットDE
リフォームローン
変動金利:2.875%
みずほ銀行 みずほ銀行
リフォームローン
変動金利:3.975%
三井住友銀行 フリーローン
[リフォーム]
変動金利:6.125%

同じ都市銀行でも、2%〜6%台と金利の幅が広いことがわかります。金利が高ければ、その分利息負担も増え、返済額も多くなります。申し込む前には、金利を事前によく確認しましょう。

地方銀行

次に、地方銀行における無担保住宅ローンの金利相場を見ていきましょう。

金融機関名 商品名 金利
岩手銀行 いわぎん無担保住宅ローン
〈トリプルスター〉
変動金利:2.875%
京都銀行 京銀 無担保住宅ローン 変動金利:2.825%
十六銀行 無担保住宅ローン
サポートプラン
変動金利:3.875%

今回取り上げた地方銀行は、2%〜3%台に収まっていました。地方銀行は、営業エリアが限られていることが多いため、事前に確認しましょう。

信用金庫

信用金庫は、地域経済や中小企業への融資に重点を置いている金融機関で、地域密着型のきめ細いサービスが特徴です。信用金庫における無担保住宅ローンの金利を見ていきましょう。

金融機関名 商品名 金利
東京東信用金庫 無担保住宅ローン 変動金利:2.305%
(保証料を含む)
大阪信用金庫 無担保住宅ローン 変動金利:1.80%
城南信用金庫 無担保住宅ローン 変動金利:2.95%

なかには1%台と、通常の住宅ローンと同等程度の設定している金融機関もあります。信用金庫の場合、営業エリアに居住していたり、勤めていなければ利用できない場合もあるため、注意しましょう。

ろうきん(労働金庫)

ろうきん(労働金庫)とは、営利を目的としない福祉金融機関です。労働組合や消費生活協同組合などの労働者団体を会員としており、現在全国に13組織あります。ろうきんの無担保住宅ローンの金利相場は次のとおり。

金融機関名 商品名 金利
中央ろうきん 無担保住宅借換ローン
(無担保型)
変動金利:3.200%
近畿ろうきん 無担保住宅ローン 変動金利:4.450%
九州ろうきん リフォームローン
(無担保住宅ローン)
変動金利:2.95%

ろうきんには3つの会員区分があり、その会員区分によって適用される金利も異なります。なお、今回取り上げたのは、一般勤労者の場合の金利です。同じろうきんでも、金利設定が異なることがよくわかります。複数の金融機関を比較検討し、ご自身に合ったプランを選びましょう。

ネット銀行

ネット銀行は、オンラインで完結するサービスを提供している金融機関です。店舗を持たない分、コストがかからないため、金利が低く設定されている傾向にあります。無担保住宅ローンの金利はどうなのかを見ていきましょう。

金融機関名 商品名 金利
イオン銀行 無担保住宅借換ローン 変動金利:3.12%

無担保住宅ローンを提供しているネット銀行は、イオン銀行のみでした。また、商品名に「借換ローン」とあるように、資金使途は住宅ローンの借り換えに限定されています。

これまで見てきたように、金融機関によって無担保住宅ローンの金利は異なります。また、金利だけでなく借入金額の上限額や返済期間、資金使途なども異なるため、事前によく確認することが大切です。無担保住宅ローンを利用する際は、複数の金融機関を比較検討しましょう。

無担保住宅ローンの活用方法

無担保住宅ローンはリフォームやリノベーションの資金の借り入れなどに利用できます
無担保住宅ローンはリフォームやリノベーションの資金の借り入れなどに利用できます

金融機関によって、無担保住宅ローンの資金使途の範囲は異なります。しかし、幅広く設定されているものであれば、さまざまな使い方が可能です。そこで本章では、無担保住宅ローンの活用方法を4つ解説します。

セカンドハウスや別荘を購入する

セカンドハウスや別荘を購入する場合、無担保住宅ローンを利用できます。通常の住宅ローンの場合、自身が住む住宅の購入であることが前提となります。そのため、セカンドハウスや別荘の購入には利用できません。しかし、無担保住宅ローンであれば利用が可能です。ただし、繰り返しになりますが、金融機関によって資金使途の範囲が異なります。セカンドハウスや別荘の購入に利用可能か、事前に確認しておきましょう。

リフォームやリノベーションをおこなう

自宅のリフォームやリノベーションをおこなう場合も、無担保住宅ローンは選択肢の一つとなるでしょう。リフォームやリノベーションで利用する場合、条件が緩和されたり、金利が低くなる場合もあります。例えば、先ほどご紹介した三井住友銀行の「フリーローン[リフォーム]」では、資金使途がリフォームと認められた場合、金利は1.875%まで引き下げられます。

住宅ローンを借り換える

金融機関によっては、無担保住宅ローンを住宅ローンの借り換えに利用できます。無担保住宅ローンを借り入れ、その借入金で現在の住宅ローンを完済。その後、無担保住宅ローンを返済していきます。ただし、現在の住宅ローンの金利が低い場合には、メリットがない可能性もあります。また、借り換え時には手数料もかかるため、事前にシミュレーションをおこないましょう。

空き家を解体する

空き家を解体する際にも、無担保住宅ローンを利用できる場合があります。例えば、遠方にいる親族が亡くなり、誰も相続しない住宅があるケースなどが考えられるでしょう。空き家は放置していると、周りの景観を損なったり、劣化が進み倒壊するおそれがあることから、迅速な対処が求められます。解体費用はまとまった金額が必要となるため、無担保住宅ローンを利用することで、早急に対処できるでしょう。

まとめ

今回は、無担保住宅ローンについて解説しました。通常の住宅ローンとは違い、担保を設定しないため、万が一でも住宅を差し押さえられる心配がありません。また、セカンドハウスの購入やリフォーム、リノベーション資金に活用できます。一方、担保がないことから、金融機関にとってはリスクの高い商品です。そのため、通常の住宅ローンと比べて金利が高く、返済期間が短く設定されています。また、金融機関によって金利や資金使途、借入金額などの設定は異なります。利用する前には、事前に内容をよく確認しましょう。

民辻 伸也

執筆者

民辻 伸也

宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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