独身で住宅ローンを組みたい方必見!審査でみられるポイントと独身ならではの注意点は?

そこで本記事では、独身の方が住宅ローンを組むのは難しいのか、住宅ローン審査ではどのような点が審査されるのかをご紹介。さらに、住宅ローンを検討する際に気を付ける点を解説します。
記事の目次
独身で住宅ローンを組む時にはどのような点が審査される?

独身だと、住宅ローンの審査に通りにくいというイメージをお持ちの方もいらっしゃいます。しかし、男性でも女性でも、独身を理由に住宅ローンの審査に落ちることはありません。
国土交通省の「令和4年民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」によると、融資をおこなう時に重視する点で、「家族構成」は29.8%、「性別」は21.2%といずれも低い割合になっています。結果、住宅ローン融資に対して、独身であることはマイナスポイントになりにくいとわかります。
では、住宅ローンを組む審査で重要なのは、どのような点でしょうか。以下、金融機関が融資をおこなう際に考慮する項目の上位5位をまとめました。
順位 | 考慮する項目 | 考慮すると答えた割合 |
---|---|---|
第1位 | 完済時年齢 | 98.7% |
第2位 | 健康状態 | 97.9% |
第3位 | 借入時年齢 | 97.2% |
第4位 | 担保評価 | 96.1% |
第5位 | 勤続年数 | 93.2% |
5位以降は、連帯保証、返済負担率、年収と続きます。住宅ローン審査ではあくまで、住宅ローンの返済能力があるかをチェックされます。そのため重要視されるのは年齢や健康状態。若くて健康で、返済能力があり、安定した収入がある時に住宅ローンを借り入れるのが、審査でよい評価を受けるポイントの一つです。
独身で住宅ローンを組むメリットは?

独身のうちに住宅を購入しておくとどのようなメリットがあるのでしょうか。本章では、独身の方が住宅ローンを組むメリットを3つ紹介します。
資産形成ができる
独身の方が住宅ローンを組んで不動産を所有すると、資産形成の一環として将来につながる投資ができるのがメリットです。住宅ローンを組んで不動産を所有していれば、将来的に不動産の価値があがる可能性があります。将来的に住宅を売却すれば、市場価値の上昇による差益を得られるかもしれません。
あるいは、賃貸として貸し出せば、賃貸物件から家賃収入が得られます。家賃収入は、安定的なキャッシュフローを生み出す要素になり、経済的な安定感を作ります。得た収入は、ローン返済や維持費用の一部にも使えるでしょう。
資産形成の方法は、預貯金や株・投資信託など他にもあります。加えて、将来の経済的な安定を築ける不動産所有も、資産形成の選択肢になります。
家賃を支払う要領で家が自分のものになる
家賃を支払う要領で自分の家が購入できるため、独身のうちに住宅ローンを組むべきとも考えられます。
家賃はいわば掛け捨てのようなものです。家賃をいくら支払っても、賃貸は自分の所有物にはなりません。
もちろん、住宅を購入するよりも、賃貸に住むメリットのほうが大きい場合もあります。ただ、毎月支払う金額が同じ場合、将来への投資と資産形成の観点から、独身のうちに住宅ローンを組む選択がメリットになる方もいます。
審査で有利になる
若いうちに住宅ローンを組むメリットは、住宅ローン審査で重視される要素と関係があります。前章で紹介したとおり、住宅ローン審査では年齢や返済能力が重視されます。若いうちなら、借入年齢も完済年齢も低い設定になり、返済期間も長くなるため、毎月の負担も抑えられます。健康で若く収入が安定していると、住宅ローン審査でよい評価を受けられます。
また、他の負債がなく、信用スコアが高いうちにローンを組める点もメリットでしょう。さらに、現在は比較的住宅ローン金利が低めなので、狙いどきともいえます。早い段階で住宅ローンを組むと、審査で優位になるだけでなく、負担も抑えられる可能性が高まります。
独身で住宅ローンを組むデメリットは?

独身の方が住宅ローンを組むと有利なことがたくさんありますが、よいことばかりではありません。独身で住宅ローンを組む時のデメリットは以下のとおりです。
将来のライフプランの変化に柔軟に対応し辛くなる
独身のうちから住宅を購入するのはメリットですが、将来結婚してライフプランが変化した時に、自分の家をどのようにするかで対応が複雑になる可能性があります。
結婚したらどこに住むかは、パートナーと決める必要があるでしょう。もしかすると、あらためて新居を購入したくなるかもしれません。また、パートナーの仕事の都合で転勤が多くなり、賃貸に住むようになることも考えられます。そうなると結婚後、せっかく購入した自宅には住まない可能性もあります。その場合、自宅を購入したことがマイナスに働く可能性があります。
現代は、結婚・夫婦のあり方も、結婚後のライフスタイルも多様です。一生独身かもしれませんし、いつか結婚するかもしれません。そのため、将来のライフプランがまだ定まっていない、あるいは変化に柔軟に対応できるようにしたい、と思うなら住宅購入はデメリットになるでしょう。
売却時に手間がかかる可能性がある
住宅を購入する際、将来使わなくなったら売却できることを前提に考える方もいるでしょう。独身のうちに住宅ローンを組むのは魅力がありますが、売却できると思って購入すると手間がかかる可能性があります。なぜなら、売却は可能ですが、自分の好きなタイミングで都合よく売れるかはわからないからです。
不動産市場は変動が激しく、需要と供給のバランスが売買に大きく影響します。将来、売却したいと思っても、そのタイミングで市場状況が不利な場合には、売却に時間がかかったり、買い手がつかない可能性があります。
また、売却時に物件の状態がよくなければ、査定額が低くなり、売却までの時間が長引く可能性があります。もし、売却が難しい場合は住宅ローンの返済が続き、仮に結婚後に住む新居を検討しているなら、ローンを二重に支払う状況になるかもしれません。
不動産は流動性が低く、不動産市場の状況次第では売却が難しい傾向があります。独身の方が住宅ローンを組む際には、将来的な売却の手間や不確実性も考慮して選択しましょう。
独身で住宅ローンを組む際の注意点は?

独身の方が実際に住宅を購入するなら、どのような点に気を付けなければならないのでしょうか。本章では、注意すべき点をまとめます。
ライフスタイルの変化を予測する
将来どのような暮らしをする可能性があるのか、ライフスタイルの変化を予測しておくのが大切です。今は独身でも、結婚する可能性もあります。また、転職や親の介護なども考慮すべきポイントとなるでしょう。さらに、ライフスタイルの変化にともない、収入が増減する可能性もあります。結婚や子育てによって家計が変わるかもしれません。
そのため、「今のままを継続する」と考えるのではなく、最初からライフスタイルは変化する可能性があると考えておくほうが賢明です。
例えば、子どもが生まれた時のために大きめの家を検討する、家が必要なくなった時に売却したり、賃貸にできる物件を検討するなどがあります。また、返済計画や生活費の見直しを柔軟に対応できるように心がけるのも重要です。ライフスタイルの変化を予測し、住宅ローンの返済がスムーズにおこなえるような計画を立てましょう。
住宅ローン返済以外の費用もよく確認しておく
独身の方が住宅ローンを組む際には、住宅ローン返済以外の費用も確認しておきましょう。まずは、購入予定の住宅にかかる諸費用を把握すること。具体的には、不動産取得税や登記費用、仲介手数料などがあります。これらの費用は一時金で支払われるため、手元にまとまった費用が必要です。
また、住宅購入後には維持費や修繕費もかかります。居住する地域や住宅の状態によって異なりますが、固定資産税や火災保険、メンテナンス費用なども計画に含めておきましょう。
無理のない返済負担率を守る
一般的に、無理のない返済負担率は年収の20%程度といわれています。ただ、金融機関の貸し出し規定では、返済負担率が35%でも融資ができる場合があります。多く借り入れができるなら、住宅にかける予算も多くできるので、たくさん借りられるのは良いことのように思うかもしれません。しかし、返済が本当にできるのかをよく考える必要があります。融資が可能な額と、現実的な返済可能額とは同じではないからです。
住宅ローンは長い期間に渡り支払いが続きます。毎月苦しい思いをして返済する状況では、途中で払い切れなくなってしまう可能性があります。そうなると、せっかくのマイホームを諦める事態になるかもしれません。独身の方に限りませんが、住宅ローンを利用する際の注意点は、無理なく返済できる金額にすることです。返済負担率は借りられる上限ではなく、無理なく返済できる水準になるよう、くれぐれも注意しましょう。
住宅ローンの契約後に独身でなくなったら?

今は生涯独身と思っていても、いずれは結婚するかもしれません。結婚すると、独身の頃と比べて、経済状況が大きく変わるでしょう。その際、独身のうちに組んだ住宅ローンはどうしたらいいのでしょうか。
住宅ローンの契約者を変えたい時
結婚後も自分の収入で住宅ローンの支払いを継続する場合、名義変更は必要ありません。しかし、パートナーが住宅ローンを支払う場合には、名義変更が必要になります。
配偶者に名義変更する
結婚後、パートナーが住宅ローンを支払う場合は、ローンの名義変更が必要になります。ただし、原則として住宅ローンの名義変更はできません。金融機関によって、名義変更をするための条件が異なるため、希望する場合は相談しましょう。なお、夫婦間での住宅ローンの名義変更については、以下記事でも解説しています。あわせてご覧ください。
ちなみに名義変更をしていないと、パートナーが支払った住宅ローンは、自分への贈与とみなされてしまいます。その際には、年間で110万円を超えた金額に対して、贈与税が課せられます。余分な税負担を避けるためにも、パートナーが住宅ローンを支払う予定なら名義変更をしましょう。
名義変更ができない時は借り換える
先述したように、金融機関によって名義変更の条件が異なります。そのため、現行の住宅ローンでは、名義変更が認められない可能性があります。その場合には、パートナーの名義で借り換えローンを組むことを検討しましょう。
「借り換えローン」とは、既存の住宅ローンを新たな条件や名義に変更し、新しい契約を結ぶことです。借り換えローンでは、パートナーのみが支払いをするのか、自分も加わって共同で返済するのか、金利の見直しや返済条件の変更も可能です。ただし、借り換えといっても新たに住宅ローンの契約をするので、審査があります。また、住宅ローン契約関連の諸費用も必要です。
住み替えたい時
結婚して新しい家に住み替えたい時は、住み替えローンやダブルローンを利用するなどの方法があります。
住み替えローンを利用する
住み替えローンとは、新居に住むのを目的に、現在の住宅ローンの残債と、新居を購入するための資金をまとめて借り入れるものです。現在の住宅ローンが残っていても、好きなタイミングで住み替えられる点はメリットでしょう。
しかし、現在の住宅ローンも含めて借り入れるため、月々の返済額が増える可能性があります。また、借入額が高額になることから、住宅ローンの審査も厳しくなります。年収や信用情報など融資条件が満たせているか、事前に確認しておきましょう。
ダブルローンにする
ダブルローンとは、現在の住宅ローンを返済しながら、新たに住宅ローンを組んで新居を購入する方法です。今の住宅ローンを完済する必要はありませんが、ダブルローンにすると返済額が高額になるので注意が必要です。
現在の家を賃貸に出す
賃貸にする場合でも、原則として現在の家のローンは完済しなければなりません。住宅ローンが残ったままでは、他人に貸し出しできない決まりとなっているからです。金融機関が承認すれば賃貸にできる可能性はありますが、よほどの理由でなければ難しいでしょう。
結婚すると独身時代と同じように自分だけでお金の采配はできなくなります。まずは、家族と相談し、家計の状況にあった返済や所有のあり方を検討しましょう。
この記事のQ&A
独身で住宅ローンを組む時にはどのような点が審査される?
独身だと住宅ローン審査に通りにくいイメージをお持ちの方もいらっしゃいますが、男性でも女性でも、独身であることを理由に住宅ローンの審査に落ちることはありません。住宅ローンの審査で重視されるのは、年齢や健康状態、物件の担保評価、勤続年数など。住宅ローンの返済は長期に渡るもののため、返済能力が重視されます。
独身で住宅ローンを組むメリットは?
住宅ローンで重視されるのは年齢や健康状態で、若いうちに住宅ローンを組めば有利な条件で審査をすすめられることもあります。また、家賃を支払う要領で持ち家が購入できたり、資産形成ができるのもメリットです。購入した自宅は自分の資産になり、将来住み続けられ、売却すれば現金化できます。自分の資産を持ちたい方は、住宅ローンを組んでの購入を検討するとよいでしょう。
独身で住宅ローンを組むデメリットは?
独身のうちに住宅ローンを組むとどうしても、将来のライフプランの変化に柔軟に対応しづらくなってしまいます。将来のライフプランがまだ定まらない、あるいは変化に柔軟に対応できるようにしたい場合は、デメリットになってしまうでしょう。また、自分の好きなタイミングで売却できない可能性もあります。
独身で住宅ローンを組む時の注意点は?
ライフスタイルの変化を予測して組むようにしましょう。住宅を購入すると、住宅ローン返済以外の費用も必要です。無理のない返済負担率を意識して、余裕を持った計画をしておくのが肝心です。
住宅ローン契約後、独身でなくなった時はどうしたらいい?
もし、結婚後も自分で住宅ローンを支払うのであれば変更はありませんが、パートナーがローンを払う場合は、名義変更が必要です。ただし、住宅ローンの名義変更が認められない場合もあるので、まずは金融機関に申し出て相談しましょう。名義変更ができなければ、借り換えが必要になります。しかし、新たに住宅ローンの契約をするので審査があり、住宅ローン契約関連の諸費用も必要になる点に気をつけましょう。新しい住宅を検討するなら住み替えローンも利用できます。ただし、返済負担を考慮しましょう。
まとめ
本記事では、独身の方が住宅ローンを組むのは難しいのか、住宅ローン審査ではどのような点が審査されるのかをご紹介しました。さらに、住宅ローンを検討する時に気を付ける点も解説。結果として、独身だからといって住宅ローン審査で不利になる可能性は低いです。結婚など、将来のことは予測しきれない部分もありますが、購入したことを後悔しないよう、できる限り深く検討してベターな選択ができるようにしましょう。
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執筆者
長谷川賢努
AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士
大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
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