ペアローンの「連生団信」とは?普通のペアローンの団信との違いとデメリットを解説

本記事では、ペアローンの連生団信の特徴とメリット・デメリットを解説します。ペアローンを検討している方は参考にしてください。
記事の目次
ペアローンの連生団信とは?

ペアローンの「連生団信」とは、夫婦それぞれが住宅ローンを契約する際、ペアローンに利用できる「団体信用生命保険(以降、団信)」の一種です。どちらか一方が亡くなった場合、残りのローンが全額免除されるため、残された配偶者の負担を大幅に軽減できる点が特徴です。ただし、通常の団信よりも保険料が高くなることや、健康状態によっては加入が制限される可能性があるため、注意しましょう。
連生団信と普通のペアローンの団信との違い
連生団信と普通のペアローンの団信との違いは、夫婦どちらかが亡くなった場合の保障です。通常の団信では各契約者に個別の団信が適用され、片方が亡くなった場合でも、もう一方のローンは残ります。ペアローン連生団信では、夫婦のどちらかが亡くなると住宅ローン残債すべてが免除されるため、残された配偶者は返済する必要がありません。よって、連生団信は万が一があった場合のリスクを軽減できる点が魅力です。
ペアローン連生団信のメリット

ペアローンでしか付けることのできない連生団信には、どのようなメリットがあるのでしょうか。本章では2つのメリットを解説します。
万が一の場合に住宅ローンが全額免除される
ペアローンに連生団信を付けるメリットは、どちらかが亡くなった場合に残りの住宅ローンが全額免除される点です。通常の団信では契約者本人のみが保障の対象となるため、もう一方のローンは残ります。引き続き返済を続けなくてはなりません。連生団信を付けることで、万が一の事態が発生しても、遺された家族が住宅ローンを支払い続ける必要がなく今の家に住み続けられるため、精神的な負担も軽減できるでしょう。
遺された家族の経済的リスクが低い
遺された家族の経済的リスクが低い点も連生団信のメリットです。ペアローンを契約する際には連生団信を利用することで、夫婦どちらかが亡くなっても、住宅ローンの残債が全額免除されるため、遺された配偶者の生活費や将来の資金計画に余裕が生まれます。例えば、教育費のピークである大学時代に住宅ローンの返済がなければ、大きな出費が限られるため、精神的にも負担が軽くなるでしょう。
ペアローン連生団信のデメリット

ペアローン連生団信を付けることで、万が一の不安が軽減される一方、デメリットもあります。では、どのようなデメリットがあるのかを詳しく見ていきましょう。
通常の団信より金利が高い
連生団信は、夫婦どちらが亡くなっても残りの住宅ローンが全額免除されるため、金融機関にとって保障リスクが大きくなります。よって、保険料が高く設定されており、金利に上乗せされる形で負担するケースが多いです。
通常の団信では金利の上乗せがない場合でも、ペアローン連生団信を選ぶと金利が加算され、長期の住宅ローンは総返済額が大きくなります。月々の返済額が増えるだけではなく、総返済額も膨らむため、家計への影響を考慮したうえで慎重に判断しましょう。
取り扱っている金融機関が少ない
通常のペアローンの団信は、多くの金融機関でサービスが提供されています。しかし、連生団信はまだ普及率が低く、対応している金融機関は多くありません。不動産会社によっては、指定の金融機関で住宅ローンを組むことを推奨しているケースが多く、契約する金融機関ではペアローン連生団信を利用できない可能性があります。取り扱いのある金融機関でも、適用条件が厳しいケースが多いため、他社と念入りに比較しましょう。
夫婦どちらかが住宅ローンを完済したらペアローン連生団信はどうなる?

夫婦のどちらかが住宅ローンを完済すると、残るローンの契約者だけが単独で返済を続ける形になります。返済が一人になっても、通常の団信には切り替わらず、引き続きペアローン連生団信の金利が適用されるため、注意しましょう。ただし、金融機関によってはペアローン連生団信の保障範囲が変更される可能性があります。一方が早期完済する可能性がある場合は、事前に金融機関へ確認し、連生団信の継続条件や変更点を把握しておきましょう。
ペアローン連生団信に申し込む際の注意点

ペアローンに連生団信を付ける際は、夫婦の健康面と経済面の二つに注意しましょう。また、通常の団信よりも保障範囲が広いことから、審査が厳しい傾向にあります。夫婦で収入状況が変化した際のリスクも考慮しながら、念入りに返済計画を立てましょう。では、ペアローン連生団信に申し込む際の注意点を詳しく解説します。
夫婦どちらも健康状態をクリアしなければならない
先述したように、ペアローン連生団信は夫婦のどちらかが亡くなった場合に、残りの住宅ローンが全額免除される仕組みです。夫婦どちらも健康状態を重視するため、金融機関や保険会社の審査基準が厳しくなります。
通常の団信では、健康状態に関する告知書の提出だけで問題ない場合もありますが、ペアローン連生団信は夫婦両方が保障対象となるため、より詳細な健康診断結果を求められる可能性があります。病歴や投薬歴などを告知する必要があり、持病がある場合や過去に大きな病気を患ったことがあると、審査に通らない可能性があるため注意しましょう。
また、対象年齢を設定している金融機関も多く、健康であっても加入できないケースがあります。よって、ペアローン連生団信を検討している場合は、早めに申し込むことをおすすめします。
プランによって金利が変動する可能性がある
ペアローン連生団信は、通常の団信と比べて保障範囲が広いため、金融機関によっては金利に上乗せされるケースが多いです。例えば、連生団信の種類や契約内容によっては、通常の団信よりも年0.2%~0.45%程度金利が高く設定されることがあり、長期間のローンでは総返済額が大きく増えてしまいます。
ただし、安いプランを選んでしまうと、がんや急性心筋梗塞など重篤な病気が発覚した際でも、100%免除にならない可能性があるため注意しましょう。選択するプランによって金利の上乗せ幅が異なるため、申し込み前に細かい条件を確認し、どれくらい負担が増えるかを計算しておきましょう。
夫婦どちらも一定の収入が必要になる
ペアローンは、夫婦それぞれの収入を合算して借入額を増やせるメリットがありますが、その分、金融機関は両者の返済能力を重視します。片方の収入が極端に低かったり、安定していなかったりすると審査に通らない可能性があります。産休・育休中の収入減もリスクと判断されるため、申し込み時期にも注意が必要です。
また、ペアローンは共働きを前提としたローンのため、どちらかが失業すると返済負担が一気に重くなるリスクも忘れてはなりません。現在の収入だけではなく、将来のキャリアプランや家計の安定性を考慮したうえで検討しましょう。
まとめ
ペアローンに連生団信を付けることで、万が一の際に残りのローンが全額免除されるメリットがあります。ただし、保険料の負担や健康状態による加入制限などデメリットもあるため、慎重な判断が必要です。
本記事の内容を参考に、夫婦のライフプランや家計状況を踏まえ、通常の団信との違いを理解したうえで最適な選択をしましょう。
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執筆者
民辻 伸也
宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ