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住宅ローンにおける費用やお金の流れとは?お金が振り込まれるタイミングも解説

物件タイプ別にお金の流れを解説していきます
住宅を購入する際には、さまざまなお金がかかります。また、注文住宅や建売住宅など、購入する物件のタイプによっても、必要な費用や支払うタイミング、回数が変わります。
今回は、気になる住宅ローンのお金の流れについて解説します。

住宅ローンに含まれるもの

住宅ローンには大きく5つの費用を含めることができます
住宅ローンには大きく5つの費用を含めることができます

そもそも、住宅ローンにはどういった費用を組み込めるのでしょうか。分譲マンションや建売住宅であれば、販売価格とその他の費用が詳細にわかります。なかでも注文住宅の場合は複雑です。本章では、注文住宅を建てる場合を例に、住宅ローンに含まれる費用について解説します。

住宅ローンに含まれる費用は次の5つです。

  • 土地取得費
  • 本体工事費
  • 別途工事費
  • 設計管理費
  • オプション費用

住宅ローンに含まれる費用を理解することで、予算を立てる際に役立てることができます。それぞれどのような費用なのか詳しく見ていきましょう。

土地取得費

土地取得費は、住宅を建てるために必要な土地を購入する際にかかる費用です。国土交通省「令和4年度住宅調査」によると、全国平均で1,819万円、東京、大阪、名古屋の三大都市圏平均で2,626万円となっており、地域によって差があることがわかります。

本体工事費

本体工事費は、建物本体をつくる工事の費用のことです。基礎や屋根、外壁、建具、内装などが含まれます。この本体工事費用は、土地取得費を抜いた全体の約70%〜80%が相場となります。チラシに「住宅価格2,500万円」と書かれていることがありますが、この値段は、本体工事費用だけを指していることが多いです。実際には他にもお金がかかることを理解しておきましょう。

別途工事費

別途工事費は、建物以外の部分にかかる工事費用のことです。例えば、外構や給排水・電気の引き込み、地盤の改良などがあたります。一般的には、全体費用の15〜20%程度が相場です。土地によっては、地盤が弱かったり、インフラが整っていなかったりと、予想より多くの費用がかかる可能性があります。どのくらい費用がかかるのか、見積もりの時点でしっかり見極めておくことが大切。また、ハウスメーカーによって、本体工事費用と別途工事費用の内訳は異なりますので、見積書の明細をよく確認しましょう。

設計監理費

設計監理費は、住宅を建てる際に行われる設計や施工の監理に関する費用のことです。大きく、設計料と監理料の2つに分けられます。
設計料は、工事を始める前におこなう業務に対する費用のことで、市役所との協議や申請業務などがあります。監理料は、工事が滞りなく進むための監理業務に対する費用のことです。例えば、見積もりを精査したり、設計書通りに工事がおこなわれているかを確認したりといった業務があります。設計会社によって内訳が異なることがあるため、詳細は設計会社に確認しましょう。

オプション費用

オプション費用は、基本的な仕様や設備に加えて、機能やデザインを自分好みにカスタマイズするための費用のことです。例えば、キッチンの設備をグレードアップしたり、床の素材を変更したりなどがこれにあたります。ただし、ハウスメーカーによって基本とする仕様が異なりますので、どのような設備を基本仕様にしているのかを調べるようにしましょう。

注文住宅は、間取りやデザインなどを自由に決められる点が魅力ですが、こだわりすぎると高額になる可能性があります。予算と照らし合わせながら、何を優先するのかを見極めることが大切です。

住宅ローンに含まれないもの

住宅を購入する際にはローンに含むことのできない費用がいろいろあります
住宅を購入する際にはローンに含むことのできない費用がいろいろあります

前章では、住宅ローンに含むことができる費用を見てきました。反対に、含めることができない費用は何があるのかを見ていきましょう。

具体的には次のとおりです。

  • 登記費用
  • 印紙税
  • 仲介手数料
  • 火災保険料
  • つなぎ融資費用
  • 保証料
  • 融資事務手数料

諸費用と一括りにされてしまうことが多いですが、こう見ると多いことがわかります。これらの費用は住宅ローンに含めることができないため、資金を用意する必要があります。事前にどれくらいかかるか見積もっておきましょう。

登記費用

登記費用は、不動産の所有権を法的に証明するための費用です。登記費用は、登録免許税、専門家への報酬と大きく2つに分けられます。どの物件タイプでも、抵当権を設定するための「抵当権設定登記」が必要となります。また、新築の場合には、「所有権保存登記」と「建物表題登記」を、中古の場合には「所有権移転表記」をおこないます。

登録免許税は、不動産の固定資産税評価額×登録免許税率で求められます。固定資産税評価額は、土地の場合は地価公示価格の約70%、建物の場合は約60%です。
例えば、3,000万円の土地に2,000万円の建物を新築し、4,000万円を住宅ローンで借り入れた場合、登録免許税は下記のとおりです。

不動産登記の種類 計算式
  土地の所有権移転登記額 (3,000万円×0.7)×1.5%
=31万円5,000円
  建物の所有権移転登記額 (2,000万円×0.6)×0.4%
=4万8,000円
  抵当権抵当権設定登記
(住宅ローン)
   4,000万円×0.1%=4万円

合計すると、40万3,000円となります。登記費用だけでかなり費用がかかることがわかります。計算式で求められるため、あらかじめどれくらい必要か計算しておきましょう。
また、これに加え、司法書士へ依頼する場合は報酬を支払います。購入した不動産の価格や登記の種類、地域によっても異なりますが、報酬の費用相場としては約5〜10万円です。

なお、所有権の移転登記は令和8年3月31日まで、抵当権の設定登記においては令和6年3月31日まで軽減措置が取られています。

印紙税

印紙税は、契約書や証書に印紙を貼付する際にかかる税金です。住宅を購入する際や住宅ローンを組む際には、次に挙げる3つの書類でそれぞれ支払う必要があります。

  • 金銭消費貸借契約書
  • 売買契約書
  • 抵当権設定契約書

具体的な金額は下記のとおりです。

契約金額 印紙税額
10万円〜50万円以下 400円
50万円〜100万円以下 1,000円
100万円〜500万円以下 2,000円
500万円〜1,000万円以下 1万円
1,000万円〜5,000万円以下 2万円
5,000万円〜1億円以下 6万円

参考:国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで

契約金額が大きくなるほど、印紙税額も多くなります。一度だけでなく、何回か支払うことになるため、事前に用意しておきましょう。

仲介手数料

仲介手数料は、物件を売買する際に、売主と買主の仲介をする不動産会社に支払う費用です。
仲介手数料の上限額は宅地建物取引業法により定められており、物件価格によって異なります。

不動産の売買額が400万円超の場合 物件価格(税抜)×3%
+6万円+消費税
不動産の売買額が200万円超~
400万円以下の場合
物件価格(税抜)×4%
+2万円+消費税
売買代金が200万円以下の場合 物件価格(税抜)×5%
+消費税

仲介手数料を支払うタイミングは一般的に、不動産売買契約を結んだ時と物件を引き渡す時の2回に分けて支払います。しかし、不動産会社によって異なりますので、いつ支払うのか、事前に不動産会社に確認しておきましょう。

火災保険料

火災保険料は、住宅が火災や自然災害によって損害を受けた場合に、損害を補償する保険です。住宅ローンを契約する際には、金融機関から加入を求められることがほとんどです。

一般的に、火災保険の補償開始日は住宅の引き渡し日と同じ日にします。そのため、引き渡し日に間に合うよう、火災保険の申し込みをしなければなりません。保険会社によっても異なりますが、書類の確認で数日かかることがあるため、2週間前には申し込むようにしましょう。

つなぎ融資にかかる費用

つなぎ融資とは、住宅ローンの融資金が振り込まれるまでに発生する支払いをまかなうためのローンです。
注文住宅を購入する場合には、住宅ローンがおりるまでに、土地の売主や建設会社など、何回かに分けて費用を支払うタイミングがあります。手持ち資金がない時には、つなぎ融資でこれらの支払いをまかなうことも可能です。
しかし、つなぎ融資は、手続き上は住宅ローンを組むことと同じなので、印紙税(収入印紙代)や融資手数料など、融資契約に必要な諸費用がかかります。つなぎ融資の利用を考えている場合は、手続きにかかる費用は準備しておく必要があります。

なお、金融機関によっては、つなぎ融資の取り扱いがないことがありますので、事前に金融機関に確認しましょう。

保証料

保証料は、住宅ローンを借り入れる時に、金融機関が指定する保証会社に支払う費用です。
保証会社による保証とは、住宅ローンの契約者が返済を滞納した場合、保証会社が代わりに金融機関に返済する仕組みです。
保証料の相場は借り入れ金額の0%~2%程度。金融機関によっては保証料が不要な場合もあります。しかしその場合には、事務手数料や金利が上乗せされるなど、他の条件が厳しくなる可能性があることを念頭に置いておきましょう。

融資事務手数料

融資事務手数料は、融資の手続きに対する費用で、金融機関に支払います。金融機関によっては、事務取扱手数料や融資手数料など呼び方が異なります。

融資額に対して一定の割合を手数料とする定率型が一般的です。融資額の2.2%を手数料としている金融機関が多く、融資事務手数料を払った場合、保証料を払う必要がありません。

【物件タイプ別】お金の流れ

購入する物件タイプによって費用を支払う回数やタイミングが異なります
購入する物件タイプによって費用を支払う回数やタイミングが異なります

住宅ローンに含まれるもの、含まれないものを見てきました。ここからは、何の費用をいつ払うのか、物件タイプ別に見ていきましょう。

注文住宅におけるお金の流れ

注文住宅は、「工事請負契約」で決めた回数分、支払いが発生します。着工時に「着工金」、工事途中に「中間金」、引き渡し時に「残金」を支払うのが一般的です。もし、土地を購入する場合には、土地の売主に対しても支払いが発生します。手持ち資金がない場合には、つなぎ融資を利用することになるため、あらかじめ準備しておきましょう。

費用の支払いをおこなう、おおまかな流れは次のとおりです。

【土地の購入時】
売買契約:土地の手付金
引き渡し:土地の残金、仲介報酬、土地の登記費用

【住宅の建築時】
見積もり作成時:地盤調査費用
工事請負契約時:工事契約金
着工時:着工金
上棟時:中間金(通常1〜2回)

【住宅の引き渡し時】
住宅ローンの融資実行:建築費の残金、建物の登記費用

ここからは詳しくみていきましょう。

土地の購入時

土地を購入する際には、まず売買契約時に土地の売主に手付金を支払います。手付金は購入代金の約10%が一般的です。
手付金とは、買い手の買う意思を示すための証拠金です。買主の都合で売買契約を解除した場合、手付金は戻ってこないため、気をつけましょう。

次に、土地の引き渡し時には、売主に残金、不動産会社に仲介手数料を払います。また、土地の所有権移転登記のため、司法書士に依頼する場合は、登記費用を払います。

住宅の建築時

土地を購入したら、まず土地の地盤調査をおこないます。この際、地盤調査費用を地盤調査会社に支払うことになります。調査の結果、地盤が弱いとわかった場合には、改良工事や補強工事で数十〜数百万円かかることを、念頭に置いておきましょう。

工事が終わったら、施工会社と打ち合わせをおこない、見積書を作成します。その後、施工会社と工事請負契約を結ぶ際に、工事費用の支払い時期を決めます。一般的に、着工時、中間金、残金の3回に分けるのが一般的です。支払いの内訳は、契約時に工事費用の約10%、着工金・中間金・残金がそれぞれ工事費用の約30%となっています。

住宅の引き渡し時

住宅の引き渡し時に、住宅ローンの融資が実行されます。なぜ住宅が完成してからでないとローンがおりないのでしょうか。施工会社からすると、工事費用が支払われていない状態で、住宅を買主に渡すのは不安です。また金融機関も、抵当権を設定してから、融資を実行したいのが本音。そこで、住宅の引き渡し時に住宅ローンの融資を実行する仕組みになっています。
融資が実行されると、借入金が契約者の口座に振り込まれ、指定された方法で施工会社に工事費用の残金を支払います。また、建物の登記費用を司法書士に支払います。

建売住宅・分譲マンションにおけるお金の流れ

次に、建売住宅や分譲マンションを購入する場合のお金の流れをみていきましょう。
注文住宅とは違い、あらかじめ住宅の設計ができている、もしくは完成しているため、支払い回数は少なくなります。一般的に、売買契約時に支払う手付金と、住宅の引き渡し時に残りの価格を支払う時の2回ですが、申し込み時に申込証拠金を支払う場合もあります。

具体的な流れは次のとおりです。

【物件が決まった時】
申し込み:申込証拠金
売買契約:手付金

【住宅の引き渡し時】
住宅ローンの融資実行:購入費の残金、建物の登記費用

物件が決まった時

建売住宅や分譲住宅を購入する際、まずは販売会社に申込証拠金を払います。相場としては2〜10万円程度で、不要な物件もあります。そして売買契約の際、販売会社に手付金を払います。相場は購入費用の約5〜10%が一般的。現金で支払うこともありますが、銀行振込みを指定される場合もありますので、事前に確認し、準備しておきましょう。

住宅の引き渡し時

住宅の引き渡し時に、住宅ローンの融資が実行されます。契約者の口座に借入金が振り込まれたあと、販売会社に購入価格の残金を払います。
また、住宅の所有権を登記するため、司法書士に登記費用を支払います。

中古物件をリフォームする時のお金の流れ

最後に、中古物件をリフォームする時のお金の流れを見ていきましょう。なお、ここでは中古物件を購入したあと、リフォームする場合の流れとなります。

簡単な流れは次のとおりです。

【物件の購入時】
売買契約:手付金
引き渡し:残金、仲介報酬、建物の登記費用

【住宅の引き渡し時】
住宅ローンの融資実行:建築費の残金、建物の登記費用

それでは詳しくみていきましょう。

物件の購入時

中古物件を購入する際、まずは不動産会社に手付金を支払います。手付金の相場は、物件価格の約10%。リフォームの工事が入る前に、いったん物件の引き渡しがおこなわれるので、その際に、残金と不動産会社に仲介報酬を払います。
また、この時点で所有権が移転するため、司法書士に登記費用を支払います。もし建物を取り壊してフルリフォームをおこなう場合は、「建物の滅失登記」という手続きが必要です。

中古物件を購入してリフォームする場合、一般的に、引き渡し後にリフォーム会社と契約を結び、工事をおこないます。リフォーム費用を現金で支払うのか、ローンを組むのか予算を組む時点で考えておきましょう。

リフォーム後の住宅の引き渡し時

リフォーム工事が終わったあとに、再度住宅の引き渡しがおこなわれ、この時に住宅ローンの融資が実行されます。住宅ローンの融資が実行されると、抵当権設定のための登記が必要となりますので、司法書士に依頼する場合には、登記費用を支払います。
そのほかにも、増築や減築などで建物の面積が変わった場合や、居宅から店舗に用途を変えたなど、登記事項の表題部に変更があった場合にも、登記の変更手続きが必要になりますので、注意してください。

また、このタイミングでリフォーム工事費用も支払います。
なお、リフォーム費用は住宅ローンに組み込み一本化することも可能です。ただしその場合、住宅ローンを申し込むタイミングでリフォーム費用を明らかにする必要があります。また、物件の購入、住宅ローンの借り入れ、リフォームの見積もりと同時並行で手続きを進めなければなりません。不動産会社や金融機関に相談し、スケジュールをしっかり立てておきましょう。

住宅ローンのお金に関するトラブルを防ぐためのポイント

住宅を購入する際には見積もりの中身を確認することが大切です
住宅を購入する際には見積もりの中身を確認することが大切です

住宅を購入する際には、大きなお金が動くだけでなく、支払う回数や支払い先も多くなります。「こんなはずではなかったのに……」とならないよう、お金に関するトラブルを防ぐためのポイントを確認していきましょう。

見積もりの中身を確認する

注文住宅を購入する場合は、見積もりの中身をしっかり確認しましょう。見積もりの時には予算内に収まっていても、工事が始まると想定外の費用がかかった、というトラブルを防ぐためです。細かい諸費用は特に見落としがちです。また、会社によっても見積書に含まれる費用、含まれない費用は異なります。見積書に含まれない費用についても、しっかり確認するとよいでしょう。

諸費用は物件タイプによって変わる

購入する物件のタイプによって、諸費用が異なることを理解しておきましょう。ここでいう諸費用とは、住宅ローンに含まれない登記費用や保証料、火災保険料、引越し費用などです。目安はマンションの場合、物件価格の約5%、戸建住宅なら約6%、注文住宅は10%程度と考えておきましょう。

まとめ

今回は住宅ローンにおけるお金の流れを見てきました。
まず、住宅ローンに含まれる費用、含まれない費用は何かを確認することが大切。住宅ローンの商品によって、含まれるものが違います。事前によく確認し、手持ちで支払うものは何かを把握しておきましょう。
また、購入する物件のタイプによって費用を支払う回数は異なり、特に注文住宅の場合は回数が多くなります。しかし、住宅ローンの融資が実行されるのは、住宅が完成してから。それまでは、手持ち資金かつなぎ融資でまかなう必要があるため、住宅を購入する際には、資金計画をよく考えておきましょう。

民辻伸也

執筆者

民辻伸也

宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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