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ミックスローンのデメリットは?メリットや組み合わせ方も徹底解説

ミックスローンのデメリットやメリットを解説します
固定金利と変動金利のどちらがよいのかは、多くの人が悩むところでしょう。どちらにもメリットとデメリットがあり、何を基準に決めればよいのか、迷ってしまう方も多いでしょう。そこで、本記事ではそういった悩みを抱える方々に向けて、ミックスローンをご紹介します。

ミックスローンとはどのような住宅ローンで、どのようなメリット・デメリットがあるかを解説します。また、ミックスするローンの組み合わせ事例を紹介するため、ぜひご参考ください。

ミックスローンとは?

ミックスローンとはどのようなローンでしょうか
ミックスローンとはどのようなローンでしょうか

ミックスローンとは、一人の契約者が異なる金利タイプを組み合わせて借り入れる住宅ローンのことです。例えば、3,000万円の住宅ローンを借り入れる時に、2,000万円分は変動金利を使用し、1,000万円分は固定金利で借り入れるといったイメージです。

住宅ローンを借り入れる方の悩みのひとつは金利でしょう。変動金利を選択すると、借り入れ当初は金利が比較的低くても、将来は金利が上がって返済に困る可能性があるかもしれません。一方、固定金利を選択すると、変動金利と比べて金利が高いことから、結果的に、総返済額が多くなってしまう可能性があります。

そこでミックスローンを利用すると、住宅ローンのすべてを変動金利で借りるよりも、金利変動リスクを低くおさえられます。ミックスすると、固定金利で借りるよりも低い金利設定で借り入れができます。

ミックスローンの組み合わせ

ミックスローンの組み合わせは大きく4つあります。具体的には下図のとおりです。

図1
図1
図2
図2
図3
図3
図4
図4

図1のように変動金利と長期固定金利で組む方法、図2のように長期固定金利と10年固定金利で組む方法、図3のように変動金利と長期固定金利と10年固定金利を組み合わせる方法があります。

なお、図に挙げている金額はあくまで一例です。例えば、図2で10年固定の借入金額を低くする方法もあるでしょう。

また、図4のように、金利および返済期間も異なる組み合わせにする方法もあります。ただし、返済期間のミックスはできない可能性があります。利用できる条件は金融機関によって異なるので、詳細については金融機関に問い合わせてみましょう。

ミックスローンのメリットは?

ミックスローンのメリットはどのようなところでしょうか
ミックスローンのメリットはどのようなところでしょうか

前章でミックスローンがどのような住宅ローンなのかを説明しましたが、利用するとどのようなメリットがあるのでしょうか。

返済負担が少なく済む可能性がある

変動金利と固定金利を組み合わせると、固定金利だけにするよりも、返済負担を軽減できる可能性があります。例えば、住宅ローンを借りる際に、2,000万円を変動金利、1,000万円を固定金利で借りたとしましょう。

【シミュレーション事例】

  • 借入総額 3,000万円
  • 固定金利 1.4%(35年固定)
  • 変動金利 0.4%
  • 支払方式 元利均等方式
種類 借入金額 金利 毎月支払額 返済総額
固定金利 3,000万円 1.4% 9万392円 3,796万4,849円
ミックス 変動 
2,000万円
固定 
1,000万円
0.4%
1.4%
5万1,038円
3万130円
合計
8万1,168円
2,143万5,766円
1,265万4,834円
合計
3,409万600円

通常、変動金利は固定金利よりも低く設定されています。将来的にも、変動金利が固定金利よりも低い状態なら、ミックスローンの返済負担は少なくなります。シミュレーションのように、固定金利のみで借り入れをするよりも、変動金利をミックスした方が、毎月の返済額では9,224円、返済総額では387万4,249円安くなります。

ただし、金利が上昇して、変動金利が固定金利を上回り、その状態が継続した場合、ミックスローンのほうがかえって返済負担を増加させる可能性があります。それでも、その時の金利に応じて適切な組み合わせをし、金利の変動によってメンテナンスをすれば、ミックスローンは借り手にとって有益な選択肢になるでしょう。

金利上昇リスクが抑えられる

ミックスローンにすると、借り入れのすべてを変動金利で利用するよりも、金利上昇リスクをおさえられます。通常、変動金利は固定金利よりも低い傾向がありますが、その一方で金利が市場の状況によって変動するため、将来的な金利上昇のリスクがあります。将来金利が上がってしまうのは不安だけど、比較的低い変動金利を利用したい方にとってミックスローンが有効に機能します。例えば、3,000万円の住宅ローンを借り入れる時、すべてを変動金利にするのでなく、固定金利とともに1,500万円ずつに分散させて借り入れをします。そうすると、将来の金利上昇に対するリスクを一部分散できます。

特定の時期の返済負担を減らせる

異なる返済期間をミックスできるローンなら、さらにメリットがあります。返済期間を変えると、子どもの大学進学など、家庭で大きな出費が予想される時期に返済負担を軽減できます。例えば、ローンの一部は長期の固定金利で借りて、一部は返済期間を短くして変動金利で借りるとします。この場合、変動金利で借りたほうは、大学進学の前に返済が終わる設定にしておきます。すると、教育費にお金がかかる時期には一方の返済が終わっているので、住宅ローンの返済負担を軽減できます。このようにして、ミックスローンを活用して特定の期間の返済負担を減らせると、家計の負担も軽くなるでしょう。

ミックスローンのデメリットは?

ミックスローンのデメリットはどのようなところでしょうか
ミックスローンのデメリットはどのようなところでしょうか

ミックスローンにメリットがあるのはわかりましたが、もちろんよい点ばかりではありません。本章では、ミックスローンのデメリットを紹介します。

各金利を単独で利用するメリットが少なくなる

ミックスローンにすると、各金利を利用するデメリットを軽減できる効果があるのは確かですが、代わりに単独で利用する際のメリットは少なくなってしまいます。例えば、金利が下がっている時なら、借り入れのすべてを変動金利にしておけばよかったと後悔するでしょう。反対に、金利が上がっている時なら、借り入れのすべてを固定金利にしておけばよかったと後悔する可能性もあります。ミックスローンを選択したために、金利が上昇しても下降しても後悔するかもしれません。リスクをとったために、各金利単独で利用するメリットが少なくなってしまう点はデメリットといえるでしょう。

契約時の手間や費用が余分にかかる

ミックスローンのデメリットは、契約時の手間や費用が余分にかかる点です。通常の住宅ローンで契約が1つなら、一度の手続きで済みますが、ミックスローンでは2つの契約を結ぶことになります。このため、書類の量も2倍になり、手続きに要する時間や労力も増えるでしょう。さらに、印紙代や手数料などの諸費用も2つ分必要です。ミックスローンを選択する際には、手続きにかかる手間や費用が増える点を考慮しておきましょう。

なお、諸費用を抑えたい場合は、契約が1本で済む金融機関を選んだり、借入額を少なくしたり、返済期間を短くするなどの方法があります。

繰り上げ返済のタイミングが難しくなる

ミックスローンは通常の住宅ローンと異なり、複数の金利タイプを組み合わせるため、返済計画や繰り上げ返済の判断が複雑化するのもデメリットです。通常なら、金利上昇に備える場合は変動金利の住宅ローンから完済を目指すほうがよいと判断できます。また、利息を軽減したい場合は固定金利のほうから返済するのがよいとわかりやすいです。このように、状況によって最適な返済方法を選んで実行するのがセオリーです。

しかし、ミックスローンの場合は、単純に判断できません。金利の動向を理解して、双方のローンどちらに資金を投下するか判断するのに複雑な計算をする必要があります。そのため繰り上げ返済のタイミングを選ぶのが難しくなります。

複数の金融機関で契約できない

ミックスローンは、複数の金融機関で契約ができないのもデメリットです。一つの住宅に対して複数の金融機関でそれぞれ抵当権を設定できないためです。そのため、各金融機関で得意な金利タイプを組み合わせて、最適な組み合わせを選びたいといったことはできません。そのため、金利負担を抑えたいなら、変動金利が低い金融機関であれば、変動金利の割合を高めに設定すると、金利負担を抑えられるでしょう。

なお、ミックスローンの条件は、各金融機関で異なります。異なる金利タイプのミックスはできても、その組み合わせ方や、返済期間も事由に変更可能かは金融機関ごとに独自で決められています。契約を2つに分けて手数料も2つの契約分支払えば、ミックスローンを利用できるけど、1本にする場合は利用不可などさまざまです。利用したい場合は、借り入れを検討している金融機関に問い合わせて確認しておきましょう。

ミックスローンの組み合わせの決め方は?

ミックスローンの組み合わせはどのように決めるのでしょうか
ミックスローンの組み合わせはどのように決めるのでしょうか

ミックスローンの概要やメリットデメリットはわかりましたが、ミックスローンを選ぶ時の組み合わせや割合はどのように決めればよいのでしょうか。ミックスローンの組み合わせを選ぶ時に大切なのは、目的を明確にすることです。主な目的としては下記のようなものがあります。

  • 金銭的余裕がないため、金利上昇のリスクヘッジをしたい
  • 金利上昇のリスクヘッジは必要だが、金銭的余裕がある
  • 特定の期間の返済負担を抑えたい

では、それぞれの目的に対する、ローンの組み合わせ方を説明します。

金銭的な余裕はないが金利上昇のリスクヘッジをしたい時

金銭的余裕がないことから、「変動金利だけを利用するのは不安」「金利上昇のリスクヘッジをしたい」という方は、変動金利よりも固定金利の比率を多めに設定しましょう。固定金利のみだけでなく、少しでも変動金利を利用すると、固定金利のみのリスクヘッジになります。 

金銭的余裕があるが金利上昇のリスクヘッジをしたい時

このような目的を持つ方は、変動金利の比率を多めに設定しましょう。すべてを変動金利にするのではなく、一部を固定金利にしておけば、変動金利の金利上昇リスクを軽減できます。また、変動金利の場合は125%ルールがあるので、短期間でそれ以上の返済負担上昇はありません。125%ルールとは、金利が上昇しても、返済額が元の125%以上にならないルールのことです。月々の返済額に対して1.25倍の上昇は耐えられるように、一定額を貯蓄しておく金銭的余裕があるなら、それに応じて変動金利の割合を多くしてみましょう。

特定の期間の返済負担を抑えたい

例えば「子どもの大学進学がある15年目に負担が少なくなるようにしたい」など、明確に期間を決めて返済を調整したい方は、返済期間をミックスできるローンがおすすめです。例えば、変動金利は15年返済にしておき、他のローンは35年返済などを選択しておきます。住宅ローンの返済と同時に教育費に備えて積立を開始し、資産運用も進めておけるとよいでしょう。

ミックスローンのデメリットに関するQ&A

ミックスローンのデメリットに関するよくある質問をまとめました。

ミックスローンとはどのようなローン?

ミックスローンとは、一人の契約者が異なる金利タイプを組み合わせて借り入れる住宅ローンです。ミックスローンの組み合わせは、変動金利と長期固定金利や、10年固定金利でなどがあります。返済期間はミックスできる金融機関とできない金融機関があるため、利用の際は金融機関に問い合わせましょう。

ミックスローンにはどのようなメリットがある?

ミックスローンは、異なる金利の組み合わせができるので、固定金利だけを利用する場合と比べると、返済負担が少なく済む可能性があります。また、変動金利だけを利用する場合と比べると、金利上昇リスクが抑えられる可能性があります。さらに、返済期間もミックスできるタイプなら、特定の時期の返済負担を減らせるなど、ライフプランに合わせた返済ができるでしょう。

ミックスローンにはどのようなデメリットがある?

ミックスローンは、ミドルリスクになる代わりに、リターンも減ってしまうのがデメリットです。そのため、金利の状況によっては、単一の金利を選択したほうがよかったと後悔するかもしれません。また、ローンの種類をミックスするために、契約時の手間や費用が余分にかってしまうのもデメリットでしょう。さらにミックスローンは、通常の住宅ローンと異なり、複数の金利タイプを組み合わせるため、返済計画や繰り上げ返済の判断が複雑化する点もデメリットになります。複数の金融機関で契約ができない面もあります。ミックスローンの利用を検討しているなら、メリット・デメリットの双方をよく確認して、慎重に選択してください。

ミックスローンの組み合わせはどのように決める?

ミックスローンの組み合わせを選ぶ時に大切なことは、目的を明確にすることです。例えば、金銭的余裕がないが金利上昇のリスクヘッジをしたい場合は、変動金利よりも固定金利の比率を多くしましょう。反対に、ある程度金銭的余裕があり、金利上昇のリスクを抑えたい場合は、変動金利の比率を多めに設定します。大学進学がある15年目に負担が少なくなるようにしたいなど、明確に期間を決めて返済を調整したい方は、返済期間のミックスがおすすめです。目的に応じて適切な設定を選択しましょう。

まとめ

本記事では、ミックスローンの概要、メリットとデメリットの解説をしました。また、ミックスローンの組み合わせも事例を交えてご紹介しました。ミックスローンは変動金利と固定金利のデメリットを補完できる方法ですが、それぞれを単独で利用するメリットも減ってしまう側面を持ちます。メリット・デメリットをよく理解して、適切に活用しましょう。

長谷川賢努

執筆者

長谷川賢努

AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士

大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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