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住宅ローンを一括返済する手数料はいくら?見落としがちなポイントも徹底解説!

住宅ローンを一括返済する時の手数料はいくらかかるのでしょうか
長く支払う住宅ローン。できれば早めに完済させたいと願う人は多いはずです。ただし、住宅ローンを完済するために、とにかく一括返済をすればよい、そう思っているなら要注意です。一括返済には手数料が必要なのをご存知でしょうか?
この記事では、住宅ローンを一括返済する時の手数料はいくらになるのか、一括返済をする利点や注意点をわかりやすく解説しています。住宅ローンの一括返済を検討している人は必見です。

住宅ローンの一括返済とは?

住宅ローンの一括返済とは
住宅ローンの一括返済とは

通常、住宅ローンは毎月返済され、基本的には毎月同じ額が支払われます。住宅ローンの一括返済とは、毎月の定額返済ではなく住宅ローンの残債を一度にまとめて返済することです。住宅ローンの残債を一気に返済するので、一部を上乗せして返済する一部繰り上げ返済とは異なります。

一括返済をするタイミング

  • 余裕資金がある時
  • 退職金を受け取った時

一括返済をするにはタイミングが重要。例えば、一括返済を実行するなら収入が増加し、返済に余裕ができた場合が適切です。あるいは、定年退職を迎え退職金を受け取った時も、一括返済するのによいタイミングです。
適切なタイミングで一括返済を実行すれば、日常生活に負荷をかけることなく、支払う利息の総額を減らすことができます。また一括返済を実行すると、返済期間を大幅に短縮し、住宅ローンを完済できます。

一括返済をする前に

  • 今の経済状況と将来の目標を考慮する
  • 返済金額をシミュレーションしておく
  • 住宅ローンの契約書を再確認する

まずは、現在の経済状況と将来の予定や目標を明確にし、計画立てておくことが重要です。もし、直近で子どもの進学や車の買い替えなどのライフイベントがある場合、無理をしないことが大切です。

次に、返済金額を計算し、資金繰りや支払い後の生活もシミュレーションしておくことが大切です。住宅ローン返済では、一括返済が必ずしも最適な方法ではないこともあります。さまざまなケースを想定し、十分にシミュレーションをおこなっておきましょう。

さらに、住宅ローンの契約書を再度確認しておきましょう。なぜなら、契約書には一括返済の方法や手数料に関する規定が明記されている場合があります。もし契約に定められた方法や手数料にしたがっていなければ、さらに費用が発生する可能性も。一括返済をして住宅ローンの利息を減らすのが目的なのに、余分な費用を払うことになってしまってはもったいないので、丁寧に確認しておきましょう。

住宅ローンを一括返済すると手数料はいくらになるのか?

住宅ローンを一括返済する手数料は何円かかるのでしょうか
住宅ローンを一括返済する手数料は何円かかるのでしょうか

住宅ローンを一括返済するには、そのための手続きと手数料が必要になります。手続きをせず、銀行の口座にお金を用意しておくだけでは実行できないので注意しましょう。手数料は、3万3,000円(税込)と設定している金融機関が多いですが、0円から5万5,000円と金融機関によって異なります。利用している金融機関の手数料を一度確認してみましょう。

では、主な金融機関の手数料はいくらでしょうか?以下は、主な金融機関で住宅ローンを一括返済する手数料です。

金融機関名 インターネット 窓口 電話→
書類郵送
みずほ銀行 3万3,000円
三井住友銀行 5,500円 2万2,000円
(専用パソコン手続きは1万1,000円)
三菱UFJ銀行 1万6,500円 3万3,000円
(テレビ窓口は2万2,000円)
りそな銀行 変動金利型
全期間固定金利型
1万1,000円
固定金利選択型
3万3,000円
auじぶん銀行 固定金利特約期間中
3万3,000円
SBI新生銀行 0円 ※1
住信SBIネット銀行 変動金利適用
0円
固定金利適用期間中
3万3,000円
変動金利適用
0円
固定金利適用期間中
3万3,000円
ソニー銀行 0円
イオン銀行 5万5,000円 5万5,000円 5万5,000円
ARUHI
※ARUHIフラット35(買取型)の場合
0円

※1:安心パックW(ダブル)を契約している場合で、借入日から5年以内に完済する場合、繰上返済手数料として完済時に16万5,000円(税込)が必要。ただし、団体信用生命保険もしくは団体信用介護保障保険の保険事故にともなう完済、または担保物件の売却にともなう完済の場合はこの限りではありません。

上記をみてもわかるように、手数料の設定は金融機関によって異なります。インターネットで手続きができる場合は、手数料は安めになっているようです。しかし、金融機関によってはインターネット手続きに対応していなかったり、窓口の手続きのみしか受け付けていない金融機関もあったりするので注意しましょう。

一括返済には手数料がかかると同時に、未払利息が生じている場合にはその支払いもおこないます。返済分を含め前述のような費用がかかることも想定し、資金に余裕を持って実行するようにしましょう。

住宅ローンの一括返済をする利点

住宅ローンを一括返済する利点とは何でしょうか
住宅ローンを一括返済する利点とは何でしょうか

支払う利息が大きく軽減される

住宅ローンは、長く支払いが続くほど利息を多く支払うことになります。そのため、住宅ローン完済が早いほど利息の支払いも減ります。

では、具体的にいくらくらい利息の支払いが軽減されるのでしょうか。以下の条件でシミュレーションしてみます。

借入金額 3,000万円
返済方式 元利均等方式
固定金利 1%
返済期間 35年

繰り上げ返済期日 15年1カ月目
上記時点のローン残債 1,841万4,206円

  返済総額 利息分 差額
繰り上げ返済なし 3,556万7,804円 556万7,804円
繰り上げ返済あり 3,365万7,506円 365万7,506円 191万298円

繰り上げ返済をした時の利息軽減額は、約191万円でした。一括返済は早いタイミングでおこなうほど利息軽減額が大きくなります。このように、支払う予定の利息が大きく軽減できることが一括返済の大きな利点です。

保証料が戻る場合がある

住宅ローンを一括返済すると、保証料が返金される場合があります。保証料とは、支払いが滞った時にカバーする保証会社をたてるための費用です。住宅ローンを借りる際に、銀行や金融機関に支払います。しかし、一括返済によってローンを完済すると、保証料の一部または全額を戻してもらえる場合があります。

具体的な例を挙げてみましょう。仮に、1,000万円の住宅ローンを35年ローンで借り入れ、1%の保証料を支払ったとします。この場合、保証料は35年で100万円ですが、10年後に一括返済してローンを完済したら、25年分の保証料が不要に。すると、銀行や金融機関は一部または全額の保証料を返金してくれるケースがあります。

ただし、返金額は単純に案分されるわけでなく、具体的な返金額は契約内容や金融機関のポリシーによって異なります。一部の金融機関では、ローンの返済期間や返済実績に応じて保証料の一部を返還してくれる場合もあります。しかし、一定期間が経過すると返金ができないと規定されている場合には、返金できません。また、返金があっても手数料を差し引くと受け取れる分はないこともあります。保証料が戻るかは、金融機関に直接問い合わせましょう。

住宅ローンを一括返済する時の注意点

住宅ローンを一括返済する時の注意点は何でしょうか
住宅ローンを一括返済する時の注意点は何でしょうか

住宅ローンの一括返済をおこなうと、総支払額が抑えられて得をするように思います。しかし時には、一括返済を選択しないほうがよい場合もあります。この章では、住宅ローンを一括返済する時に注意すべき点を解説します。

住宅ローン控除がなくなる

住宅ローン控除は、毎年の所得税申告時に利用できる税制上の優遇措置であり、ローン残債の0.7%を所得から控除できます。

一括返済をする場合、ローン残債が一度に完済されるため、住宅ローン控除の利用が終了します。結果、住宅ローン控除の利用対象がなくなり、今後の所得税申告時には住宅ローン控除を受けることができなくなります。つまり、返済額からの控除がなくなり、税金負担が増える可能性があるのです。

さらに、住宅ローンを金利0.7%以下で借入している場合、一括返済するよりも支払いを続けて住宅ローン控除を受けたほうが得をするケースもあります。

返済をする際には、これらの点に留意する必要があります。ローン控除によって節税していた場合、一括返済後は控除の恩恵が受けられなくなることを把握しておくべきです。そのため、一括返済をおこなうか否かの判断には、税金負担の変化を考慮に入れることが重要です。

手元から大きな資金がなくなる

一括返済をすると、手元から大きな資金がなくなり、普段使用する現金資産が不足する可能性があります。例えば、車の修理費などが発生した場合に、思ったように対応できなくなるなど。生活費や予期せぬ出費に対応するための現金が不足します。

次に、運用の機会損失が考えられます。住宅ローンの一括返済によって手元から大きな資金がなくなると、別の投資や資産運用に回すことができません。このため、将来的な運用益や利息収入などを得るチャンスを逃してしまう可能性があります。資金を適切に運用すると、財産形成や資産の増加を図ることができるため、一括返済による運用の機会損失は注意が必要です。

さらに、緊急時のリスク対策が手薄になる可能性も。例えば、仕事の失業や災害などで収入が減ったり、急な医療費が必要になったりする場合。住宅ローンの一括返済によって手元の資金がなくなると、緊急時のリスクに対応する余力が減少します。

もちろん、予備資金を一括返済にあてることができ、予期せぬ事態に対する資金は別に用意できている場合は問題ありません。一括返済の資金はあくまでも予備資金でおこなうことが鉄則です。

団体信用生命保険の保障がなくなる

団体信用生命保険(団信)は、住宅ローンの借り入れで、借り主が死亡や高度障害によって返済不能になった場合に、保険会社が残債を補填する制度です。住宅ローンを一括返済すると、住宅ローンがなくなるとともに団信も終了します。

もし、ローン返済中の保険が団信のみだった場合には、ローン完済後の保障がなくなってしまいます。万が一のことや障害状態になった場合に支払われる保険金がなくなるため、家族や遺族は経済的なリスクにさらされる可能性があります。

家族や家計の状況を考え、保険の見直しや加入を検討する必要があります。保障を保険で備えるのか、新たな契約を持つのであればどのように準備するかなど、生命保険を検討する必要があることを留意しておきましょう。

抵当権の抹消登記を忘れずおこなう

抵当権とは、住宅ローンを受ける際に不動産に設定される担保のことです。住宅ローンを完済すると、借り主はローンを返済し、その結果抵当権が消滅します。金融機関は抵当権の解除手続きをおこない、登録抹消をおこなうことで不動産の所有権が完全に借り主に戻ります。

しかし、登録抹消手続きを怠ると、抵当権は名義人に登録されたままとなります。もし登録抹消を怠ったまま売却を進めてしまうと、買い手は抵当権が残っている不動産を取得するため、売買契約が成立しません。一括返済が完了したら、住宅ローンを提供していた金融機関に連絡しましょう。ローンの完済を伝え、抵当権の登録抹消手続きを確認します。

一括返済をする際は、抵当権の登録抹消手続きを忘れずにおこなうことが重要です。抵当権の抹消によって不動産の所有権がクリアになり、将来の取引やローン再契約がスムーズに対応できます。注意深く手続きをおこない、抵当権の登録抹消を確実に完了させましょう。

記事のおさらい

Q:住宅ローンの一括返済とは何ですか?

A:住宅ローンの一括返済とは、毎月の定額返済ではなく住宅ローンの残債を一度にまとめて返済することです。通常、住宅ローンは毎月返済され、基本的には毎月同じ額が支払われていきます。

Q:住宅ローンを一括返済する時の手数料はいくらですか?

A:手数料は、3万3,000円(税込)と設定している金融機関が多いですが、0円から5万5,000円と金融機関によって異なります。利用している金融機関の手数料がいくらかは、実際に問い合わせて確認してみましょう。

Q:住宅ローンを一括返済するとどのような利点がありますか?

A:支払う利息が大きく軽減されるのが利点です。また、保証料が戻ってくることもあります。

Q:住宅ローンを一括返済する時の注意点は何ですか?

A:住宅ローン控除がなくなること、手元から大きな資金がなくなること、団信がなくなることです。一括返済した時に起こりうることをシミュレーションし、最適な方法を選択するのが重要です。

まとめ

この記事では、住宅ローンを一括返済する時の手数料はいくらになるのか、一括返済をする利点や注意点をわかりやすく解説しました。住宅ローンの一括返済を検討している人は、一括返済を実行するとどのようになるのか、事前にシミュレーションをして確認するのが重要です。住宅ローンは、できれば早めに完済させたいと願うのは自然なことですが、追加でかかる手数料や注意点をふまえ、冷静に判断しましょう。

長谷川賢努

執筆者

長谷川賢努

AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士

大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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