住宅ローンの保証料や手数料とは?安く抑える方法もチェックしておこう

そこで本記事では、住宅ローンの保証料や手数料について詳しく解説します。安く抑えるポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
記事の目次
住宅ローンの保証料とは

住宅ローンを契約する際には、金融機関によっては保証会社に支払う「保証料」が必要なケースがあります。
保証会社とは、金融機関の貸し倒れリスクを保証する会社です。住宅ローン申込者の返済能力や物件の価値を評価する「保証審査」と、契約者が返済できなくなった場合に債務を代位弁済する「保証履行」の役割を担っています。契約者が保証会社に「保証料」を支払うことで、保証会社は保証人としての役割を果たします。金融機関のリスクが軽減されるため、審査に通りやすくなるなどのメリットがあります。
保証料の支払い方法は大きく分けて2つの方法があります。
- 保証料一括前払い型
- 保証料金利上乗せ型
それぞれのタイプの特徴や注意点を詳しく解説するので、自分に合ったものを選んでください。
保証料一括前払い型
「保証料一括前払い型」は、借り入れ時に保証料を一括で支払う方法です。
借り入れ時に支払う保証料は、借り入れ金額や期間に応じて決まります。金融機関への融資手数料は必要ありませんが、保証会社には別途事務手数料が設定されている場合が多く、借り入れ金額に関わらず一律3万3,000円が相場となっています。
保証料一括前払い型では、借り入れ時の初期費用が大きくなる傾向があります。保証料の相場は借入金額の2%前後であるため、資金を準備しておかなければなりません。例えば、3,000万円を借り入れる場合には60万円程度と考えておくとよいでしょう。なお、繰り上げ返済をおこなうと、支払った保証料の一部が返還される場合があるので、収入が増えたり、早期完済が見込めたりした場合には、繰り上げ返済の検討もおすすめです。
保証料金利上乗せ型
「保証料金利上乗せ型」は、保証料を金利に上乗せして返済する方法です。
保証料金利上乗せ型では、借り入れ時の融資手数料や保証料の支払いは不要である代わりに、一般的に「適用金利に0.2%上乗せ」などの方式を採用しています。保証料金利上乗せ型の利点は、初期費用を抑えられることです。
ただし、保証料金利上乗せ型は初期費用を最小限に抑えたい方には適していますが、毎月の返済額は増える傾向にあります。借入期間や金額が大きい場合には返済額が大きくなる可能性があるので、注意が必要。家計に返済負担をかけないようにするために、あらかじめシミュレーションを行い、プランを検討することが重要です。初期費用と返済額のバランスを考慮して選択しましょう。
住宅ローンの手数料には大きく分けて2つのプランがある

住宅ローンの手数料とは、住宅ローンを契約する際に必要な諸費用のことです。金融機関によって手数料の設定は異なり、金額も異なります。呼び方も「事務取扱手数料」や「融資手数料」などさまざまありますが、徴収する目的は変わりません。
住宅ローンの手数料には、大きく分けて以下の2つのプランがあります。
- 定額型
- 定率型
それぞれの手数料の種類や特徴を、以下で詳しく解説します。
定額型
「定額型」とは、手数料が一律で定められているタイプの金融取引方法です。定額型では、借り入れる金額に関わらず、固定された金額の手数料が設定されており、毎月の返済額に変動はありません。例えば、借り入れる金額が2,000万円でも4,000万円でも、支払う手数料の金額は同じです。このため、借り入れ金額が多い場合にはお得ですが、少額の借り入れでは不利に感じることもあります。
定率型
「定率型」とは、借り入れ金額に応じて手数料の金額が変動する取引方法です。基本的には「借り入れ金額× (金融機関ごとに設定されている率) %」という計算式で手数料が算出されます。借り入れ金額が増えると手数料の金額も上がるため、注意が必要。定率型は定額型に比べ、少額の借り入れに向いているタイプといえます。
保証料型と融資手数料型の違い
住宅ローンを契約する際にかかる手数料には「保証料型」と「融資手数料型」の2種類があります。
「保証料型」は、保証会社に保証料を支払います。一方、住宅ローンの契約者が金融機関に「融資手数料」のみを支払い、金融機関が保証料を負担するのが「融資手数料型」です。保証料型と融資手数料型の違いを表にまとめてみました。
保証料型 | 融資手数料型 | |||
---|---|---|---|---|
保証料一括 前払い型 |
保証料金利 上乗せ型 |
定額型 | 定率型 | |
保証料 | 借り入れ時に所定の 保証料を一括で支払い |
不要 ※金利に上乗せされる |
不要 ※金利に含まれている場合もある |
|
保証会社への 事務手数料 |
必要 (目安:33,000円) |
必要 (目安:33,000円) |
金融機関によって異なる | |
保証会社への 保証料の支払方法 |
住宅ローンの契約者が保証料と 取り扱い手数料を支払う 金融機関への連帯保証を委託する |
住宅ローンの契約者が融資手数料を支払う 保証会社に支払う保証料と取り扱い手数料を金融機関が負担する |
||
借入利率 | 適用金利 | 適用金利に 上乗せされる |
適用金利 | |
金融機関への 融資手数料 |
不要 | 不要 | 必要 (目安:30,000~ 50,000円) |
必要 (目安:借入金額× 2.2%) |
なお、保証会社を利用しない場合は、保証料や保証会社への事務手数料の支払いは必要ありません。
融資手数料型が向いている人
返済期間を長く設定することで、できるだけ月々の返済額を抑えたい方は、融資手数料型が向いています。
融資手数料型は、保証料型と比較すると適用される金利が低い場合が多いため、毎月の返済額や、総返済額を抑えられます。できるだけ返済金額を少なくしたい方におすすめです。
保証料型が向いている人
保証料型は、一括前払い型もしくは金利上乗せ型のどちらかを選ぶかによって、向いている人の特徴が異なります。
繰り上げ返済を検討している方は、一括前払い型を選ぶとよいでしょう。一括払いで保証料を支払った場合は、繰り上げ返済をすると保証料の一部が返還されるケースがあります。
一方で、契約時の諸費用を抑えたい方は、金利上乗せ型を選ぶとよいでしょう。毎月の返済額に保証料を上乗せでき、契約時の融資手数料・保証料の支払いは不要であるため、初期費用を抑えられます。
住宅ローンの返済時にかかる主な手数料

住宅ローンの返済時には、状況に応じてさまざまな手数料がかかる場合があります。
- 繰り上げ返済手数料
- 条件変更手数料
- その他手数料
それぞれの手数料の特徴を、以下で詳しく解説します。
繰り上げ返済手数料
「繰り上げ返済手数料」とは、月々の返済額とは別に、まとまった金額を前倒しで返済する「繰り上げ返済」をおこなう際に必要となる手数料です。
繰り上げ返済には「一部繰り上げ返済」と「全部繰り上げ返済」の大きく分けて2種類があり、一般的には「一部繰り上げ返済」より「全部繰り上げ返済」の方が手数料は高い傾向にありますが、金融機関によって金額はさまざまで、無料の場合もあります。
また、住宅ローン契約時に、上記でご紹介した「保証料一括前払い型」を選んだ場合は、繰り上げ返済をすると保証料が一部返還されます。しかし、金融機関によって保証料を返還する手続きにも手数料がかかる場合もあるため、事前の確認が重要です。一部保証料が戻ってきても、手続きにかかる手数料の方が高く、逆に損をしてしまう可能性も。繰り上げ返済で保証料の返戻を期待したい方は、手続きの際の手数料の有無も合わせて確認しておきましょう。
条件変更手数料
「条件変更手数料」とは、金利タイプや返済期間など、住宅ローンの契約内容を変更する際にかかる手数料のことです。例えば三菱UFJ銀行では、返済期間を短縮する場合、5,500円(税込)が必要です。また、保証会社にも手数料を支払わなければなりません。しかし、この手数料は返済期間が短くなった場合、その分、不必要になった保証料から差し引かれます。なお、「保証料金利上乗せ型」を選択した場合は、保証会社への手数料は不要です。
条件変更手数料は金融機関や保証会社によって異なるため、契約する際に確認しておきましょう。
その他手数料
住宅ローンの返済には、上記の他にもさまざまな手数料がかかる場合があります。
例えば、毎月の返済でかかる振り込み手数料や、返済資金を移動させた際の手数料など。また、住宅ローン控除を受ける際に必要な残高証明書を発行する際にも、手数料がかかる場合があるため、事前に確認しておきましょう。
住宅ローンでかかる手数料は、それぞれが少額でも、積み重なることで大きな金額になる可能性があります。金融機関ごとに設定している手数料は異なるため、できるだけ手数料の支払いが少ない金融機関を選ぶとよいでしょう。
住宅ローンの保証料や手数料を抑える3つのポイント

住宅ローンを契約する際は、何とか諸費用を抑えたいものです。保証料や手数料が増えると総合的な支出金額も増えるため、経済的な負担が大きくなってしまいます。
住宅ローンの保証料や手数料を抑えるポイントは、以下の3つがあります。
- 複数の金融機関を比較する
- 借り入れ金額に合わせて有利な手数料タイプを選ぶ
- プロに相談する
それぞれのポイントを、以下で詳しく解説します。
複数の金融機関を比較する
金融機関によって、保証料や手数料の金額は大きく異なるため、1つの金融機関に絞って契約するのではなく、複数の金融機関を比較しながら選ぶのがポイント。最低3社を比較してみましょう。保証料や手数料の詳細は金融機関の公式サイトで掲載されています。複数の金融機関で比較することで、おおまかな手数料の相場もわかります。住宅ローンの手数料や保証料のタイプなどが詳しく説明されているので、それぞれの金融機関ごとに比較しながら検討するとよいでしょう。
また、相場より割安だからといって、必ずしもお得とは限らないことにも注意が必要。1つの項目が割安でも、その他の費用が追加でかかるなど、最終的には割高になるケースもあります。住宅ローンを契約する際にかかるすべての費用を考慮したうえで、比較検討しましょう。
借り入れ金額に合わせて有利な手数料タイプを選ぶ
手数料を抑えるためにも、借り入れ金額に応じて有利な手数料のタイプを選ぶことが重要です。
上記でもお伝えしましたが、定額型の場合は借り入れ金額が1,000万円でも1億円でも、手数料の金額は変わりません。
例えば、定率型の場合、「借り入れ金額× 2.2% (税込)」で計算すると、借り入れ金額が1,000万円時の手数料は22万円、1億円時の手数料は220万円となります。定額型で手数料が33万円と決まっている場合は、借り入れ金額が1億円の場合は187万円得ですが、借り入れ金額が1,000万円の場合は11万円も損をすることになります。定額型と定率型の仕組みを理解したうえで、有利になる手数料タイプを選びましょう。
ただし、金融機関によっては自分で定額型もしくは定率型を選べないケースもあるため、上記でも説明したように金融機関選びはとても重要です。また、手数料に加え保証料の支払いが必要になるケースも見られるため、手数料の金額だけではなく、追加の支払いなども合わせて確認しておきましょう。
プロに相談する
初めて住宅ローンを契約する方は、わからないことだらけで不安になることもあるでしょう。融資手数料型か保証料型、定率型か定額型など、自分にとってどの選択がよいか迷った場合は、ファイナンシャルプランナーなどのプロに相談するのもひとつの手です。ファイナンシャルプランナーはお金や財務に関する専門家なので、住宅ローンの手数料に関しても、保険の選択や負債の管理など、さまざまな側面を考慮しながら、個々の状況に合わせたプランを提案してくれます。
また、ファイナンシャルプランナーは、クライアントの利益を最優先に考えて提案してくれるのも特徴です。わからないことや不安に思うことがあれば、遠慮せずに相談することをおすすめします。近年では、ファイナンシャルプランナーの無料講演なども多く開催されているため、気軽に足を運んでみるとよいでしょう。
いきなり住宅ローンの契約をおこなうのではなく、住宅ローンに関する知識を学んでから契約に入ることで自分にとって有利な手数料タイプを選びやすくなります。お金に関する契約は、事前知識の有無で自分にとって有利になるかが影響します。相談に行くついでに、プロの話を聞いてみるのもおすすめです。
まとめ
多くの方にとって、住宅の購入は人生の大一番の買いものだといえます。人によって金額は異なるものの、何千万円もの金額を借り入れる方が多いでしょう。多額の金額を借り入れるからこそ、諸費用をなるべく抑えたいと思うのは当たり前のこと。住宅ローンの手数料や保証料の負担を抑えるためにも、まずは手数料や保証料のタイプを理解する必要があります。そのうえで自分に合うプランを選ぶことで、手数料や保証料をしっかり抑えられるでしょう。何よりも、信頼できる金融機関を選ぶのが重要なポイント。
金融機関選びにはじっくり時間をかけて、複数の金融機関を比較しながら、自分に合ったところを選びましょう。
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執筆者
民辻伸也
宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
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