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火災保険が住宅ローンの契約や引き渡しまでに間に合わない!対処法や加入時の注意点を解説

住宅ローンの契約や引き渡しまでに火災保険が間に合わない時の対処法や注意点を解説します
マイホーム購入までにはさまざまな工程があり、仕事の合間をぬって、購入に関する手続きに追われる日々が続きます。忙しさに追われ、引き渡しの日が来てしまったのに火災保険の契約ができていない時、どうすればよいのでしょうか。

そこで本記事では、住宅ローンの契約やマイホームの引き渡しまでに火災保険の契約が済んでいない場合、どのようになってしまうのか、無保険のまま災害にあったらどのようになるのかを解説。また、火災保険をスムーズに契約する流れと注意点も紹介します。

火災保険の手続きが間に合わない場合はどうなる?

住宅ローン契約や物件の引き渡しまでに火災保険が間に合わない場合はどうなるのでしょうか
住宅ローン契約や物件の引き渡しまでに火災保険が間に合わない場合はどうなるのでしょうか

火災保険の契約が住宅ローンの契約や物件の引き渡し日に間に合わない場合は、どのようになってしまうのでしょうか。結論からいうと、火災保険の手続きが間に合わなくても、入居ができないわけではありません。例えば、住宅ローンを利用しないで住宅を購入する場合、保険の加入は任意になるため、火災保険に未加入のまま入居するケースもあるでしょう。

ただし、火災保険がない状態で住宅に住む場合、細心の注意を払って生活しなければなりません。注意が必要なのは、火災保険があってもなくても同じですが、補償がない状態で生活を送るのはストレスになるでしょう。

また、自分たちが起こす火事に気をつけるだけでは被害は防げません。近隣からのもらい火や、自然災害が起きた場合、損害を受ける可能性も。
特に、近隣からのもらい火では、法律の「失火責任法」が適用され、重大な過失による火事でない場合には、火元の住人は損害の責任を負う必要がありません。自分がどれだけ注意しても、もらい火や自然災害を防ぐことは困難です。もし、火災保険がない状態で引き渡しになれば、万一の場合、自分で損害を負担する必要があります。火災保険の契約は、優先順位を高くして計画的に進めましょう。

ただし、基本的には住宅ローンを組む場合には、融資の条件に火災保険の加入が含まれていることが多いため、火災保険に加入していない状態では、実質入居はできないでしょう。

住宅ローン契約や引き渡しまでに火災保険が間に合っていない場合のデメリットは?

火災保険が引き渡し時に間に合わないとどのようなデメリットがあるでしょうか
火災保険が引き渡し時に間に合わないとどのようなデメリットがあるでしょうか

本章では、住宅ローンの契約や引き渡しまでに火災保険が間に合っていない時のデメリットをまとめます。

住宅ローンの融資が実行されない

先述したように、火災保険の加入が住宅ローンの融資条件に含まれることがほとんどです。火災保険が契約できていなければ融資が実行されないため入居できません。

なぜ融資条件に火災保険の加入が含まれているのでしょうか。それは、火事などで住宅を失っても、住宅ローンの返済が滞らないようにするためです。もし火災で住宅が全焼したり、自然災害で住宅を失ったりしても、ローンの返済がなくなるわけではありません。しかし、住宅を失った人は住宅を再建したり、賃貸物件を借りたりして新たに住む場所を確保する必要があり、二重で費用を負担することになります。
火災保険に加入しておくことで、万一の場合に保険金の支払いを受けられるようにし、住宅を失ったり大きな損害を受けたりした場合でもローンの返済を続けることが可能です。

金融機関によっては、融資の実行前に火災保険の加入を証明するため証明書の提出を求められる場合があります。この場合、火災保険の契約が確認できるまで融資が実行されず、入居もできません。予定していた引き渡し日に融資が実行されないとなると、引越しなどのスケジュールの見直しが必要になるでしょう。そうならないために住宅を購入したら保険に加入し、引き渡し後から補償開始になるよう手続きを忘れずおこないましょう。

住宅が被害にあったらすべてが実費になってしまう

住宅ローンの融資条件として火災保険の加入が求められますが、必須ではありません。内閣府の「保険・共済による災害への備えの促進に関する検討会 報告」によると、持ち家の火災保険・共済の加入率は82%と多くの方が加入している一方で、加入していない方も一定数いる状況です。もし住宅ローンの火災保険の補償開始日が引き渡し日に間に合わなかった場合は、無保険状態で入居になります。当然ですが、無保険の間に住宅に損害が発生した場合は、実費で補修費用を支払わなければなりません。

先述したように、住居が損害を受けるのは自分で起こした火災だけではなく、もらい火や自然災害も要因になります。重大な過失がなければ、火元の住人は火災を起こした責任を負わなくてよい(失火責任法)とされているため、損害は補償されません。自分たちで細心の注意を払っていても、もらい火や自然災害は避けられないとなれば、無保険状態は作らないのが鉄則です。

入居日が延期になる

保険に未加入の状態で新生活をスタートしないよう、入居日を先延ばしにするケースも。その場合、入学式などライフイベントに合わせた引越しができなかったり、家具や家電の搬入に影響が出る可能性もあります。

火災保険が間に合っていない状態で災害に遭ったらどうなる?

火災保険が間に合わない状態で災害に遭ったらどうなるのでしょうか
火災保険が間に合わない状態で災害に遭ったらどうなるのでしょうか

無保険の状態で災害に遭った場合、基本的には自腹で費用をまかなわなければなりません。ただ、自然災害にあった場合は、「災害救助法」に則った国からの支援を受けられる制度があります。支給の条件が満たされると、上限で54万7,000円が支給される応急修理制度です。(※自治体ごとに決められるため、金額には若干の差があります)

ただし、自然災害でも適用できないケースや、もらい火などで起きた火災はこの制度の対象外なので注意が必要です。詳しくは、お住まいの自治体の制度をご確認ください。

災害救助法とは?

災害救助法とは、非常災害の際に、応急的に必要な救助をおこない、被災者を保護する法律です。応急的な救助とは、災害で住宅が半壊や半焼の被害を受け居住できなくなった時に、応急的な修理をすれば居住可能であり、かつ当事者の資金力が乏しい場合に、必要最小限の修理を自治体がおこなう制度をいいます。

対象になるのは、住宅が半壊以上の被害を受けているが、修理すれば居住できる住宅です。支援を受けられるのは原則、半壊の場合は所得が500万円以下の方(※年齢などで金額が異なる)です。全壊の場合は、所得制限はありません。

参考:住宅の応急修理制度 内閣府防災情報より(PDF)

住宅ローン契約や引き渡しまでに火災保険が間に合わない時の対処法

住宅ローンの契約や引き渡しまでに間に合わない時の対処法を解説します
住宅ローンの契約や引き渡しまでに間に合わない時の対処法を解説します

住宅の購入時にはさまざまな手続きも多く、火災保険の加入を後回しにしてしまって、必要な時に間に合わなくなってしまうことも。特に完成しているマンションや建売住宅など、すでに建物ができている場合は短い期間に手続きが集中します。本章では、火災保険の加入が間に合わない時の対処法を解説します。

保険会社に連絡をする

まずは加入を考えている保険会社に連絡をしましょう。理由を説明し、スケジュールの調整が可能か問い合わせましょう。

住宅の引き渡しを延期する

火災保険加入のスケジュール調整が難しい場合は、住宅の引き渡しを延期しましょう。しかし、金融機関や不動産会社などに対して、きちんと理由を説明することが大切です。特に金融機関とは長い付き合いになるため、誠意を示しましょう。

火災保険に加入する流れと注意点

住宅ローン契約や引き渡しに間に合うよう、火災保険に加入する流れと注意点を解説します
住宅ローン契約や引き渡しに間に合うよう、火災保険に加入する流れと注意点を解説します

火災保険に加入するまでの流れ

火災保険に加入するまでの流れは、以下のとおりです。

  • STEP 1火災保険の補償内容を決める
  • STEP 2決めた内容を数社で比較検討する
  • STEP 3引き渡し日を補償の開始日にして加入する

金融機関から勧められた保険会社で加入を決めており、比較検討しない場合は、1日ですべての工程が済みます。しかし、多くの方は保険料が安かったり、補償がいい会社を比較して決めたいと思うのではないでしょうか。比較検討したい場合は、補償開始までの期間に余裕をもって手続きを進めなければなりません。

注意点1.保険検討にかかる日数をおさえておく

火災保険の加入は、入居日に間に合うように、計画的に進めましょう。もし、補償の開始日を間違えたり、手続きに不備があったりすると、補償開始が遅れてしまうことも。申し込みから補償開始までに時間がどのくらいかかるかは、保険会社によって異なります。短期間で完了する会社もあれば、書類提出などで数日かかってしまう会社もあるので、注意しましょう。
できるだけ早めに、1週間以上の猶予をもって手続きするとよいです。また、複数社の相見積もりをとって比較したいなら、さらに1~2週間は日数がかかると想定しましょう。十分に比較したいなら、1カ月程度を想定して行動するのがおすすめです。

注意点2.火災保険の見積もりに必要な情報は事前に集めておく

  • 構造
    木造(H構造)、鉄骨(T構造)、鉄筋コンクリート(M構造)など
  • 述べ床面積
    何平方メートルか
  • 建築年月
    建物が建てられたのはいつか
  • 建物金額
    いくらで上物(うわもの)を建てたか、あるいは購入したか
  • 補償範囲
    火災・風災のみの補償か水災も含むか、盗難・破汚損にも備えるか

上記の情報があれば、おおまかな試算は可能です。建物の金額がわからなくても、面積から試算するのも可能になります。地震保険も付帯したい場合は、耐震構造の階級の把握が必要です。

注意点3.補償の開始日は引き渡し日にする

引き渡し前の補償は、建築会社が主体で保険をかけます。住宅購入に住宅ローンを利用する場合、なかには申請時に火災保険の加入を追及しない金融機関もあるので、保険の加入をうっかり忘れてしまう方もいらっしゃるかもしれません。もし、火災保険と気付いたら、できるだけ早く加入しましょう。

もし、引き渡し後に火災や自然災害に遭い、住宅が全壊・全焼などの被害を受けても、基本的に住宅ローンは免除されません。(※ただし、自然災害などで諸条件を満たす場合は補償を受けられる場合もあります)全壊あるいは全焼してしまった場合には住宅ローンが残ったまま再建になります。そうなると、住宅ローンの返済、住宅の再建費用、心理的負担を同時に負わなければならないので、事前に保険に加入しリスクヘッジしましょう。

※参考:自然災害による被災者の債務整理に関するガイドラインについて

注意点4.火災保険加入は建物の完成後にする

火災保険加入は、建物が完成したあとでなければならないため注意が必要です。余裕を持って建設中に加入しておけばよい、と考える方もいるかもしれませんがそれはできません。
火災保険の保険料は、建物の構造や築年数と、専有面積によって決められています。そのため加入時には、補償の内容にもよりますが、建築確認証や耐震等級が証明できるもの、施工の内容がわかる書類などを提出しなければなりません。そのような書類は、建物完成後に発行されるので、建物が完成していない状態では必要な書類が揃わず、契約ができないでしょう。

注意点5.補償開始前に被害を受けても補償されない

建物完成後は、なるべく早く火災保険に加入しましょう。なぜなら、保険契約前の火災や災害は補償がされないためです。火災保険はあくまで、補償開始後の住宅事や災害を補償するので、そういった意味でも火災保険は建物の引き渡し後のタイミングで、早めに加入するのをおすすめします。

住宅ローン契約時の火災保険に関するよくある質問

住宅ローン契約時の火災保険に関するよくある質問をまとめました。

住宅ローン契約や引き渡しまでに火災保険が間に合わない場合は?

住宅ローンの契約が間に合わなくても、入居自体ができなくなるわけではありません。しかし、住宅ローンの融資条件に火災保険の加入が含まれていることが一般的であるため、実際には入居できないでしょう。火災保険の契約は、優先順位を高く置いて計画的に進めましょう。

火災保険の加入が間に合わないとどのようなデメリットがある?

まず、無保険で入居した場合、その間に住宅に損害が発生した際は、実費で補修費用を支払わなければなりません。住居が損害を受けるのは自分で起こした火災だけではなく、もらい火や自然災害も要因になります。自助努力しても避けられない被害に備えるには、無保険状態は作らないのが鉄則です。

基本的には住宅ローンを契約する段階で火災保険の加入が融資条件に含まれます。そのため、住宅ローンを利用する場合は、融資が実行されないため、火災保険が契約できていなければ実質入居できないでしょう。

火災保険が間に合っていない状態で災害に遭ったらどうなる?

無保険の状態で災害にみまわれたら、基本的に修理費はすべて自費です。ただし、自然災害の場合は、災害救助法で国から支援を受けられる可能性があります。支給には条件があり、条件に合致して支給される金額の上限は54万7,000円です。なお金額は、自治体によって差があります。

住宅ローン契約や引き渡しまでに火災保険に加入する流れと注意点は?

火災保険に加入する流れは、火災保険の補償内容を決めておき、決めた内容を数社で比較検討します。そして、引き渡し日を補償の開始日にして加入となります。

注意点は、検討の期間に余裕を持つことや、事前に見積もり情報を調べておくこと、補償の開始日を引き渡し日にすることなどです。引き渡し日の1カ月前には始めておくといいでしょう。金融機関から特定の保険会社を勧められる場合もありますが、自分で保険を用意したい場合は、日取りを決めて、期限までに準備しましょう。保険会社によって手続きにかかる期間は異なるので、事前の確認が重要です。

火災保険の見積もりに必要な情報は、物件の面積や構造、建築年です。そして、基本補償に加えて水災は必要か、盗難などへの補償も必要かなど、補償範囲を決めておきましょう。なお、火災保険加入は、建物が完成したあとでなければなりません。建物が完成して、引き渡される日に補償が開始されるよう契約しましょう。引き渡しと補償開始がずれてしまうと無保険の期間が発生して危険です。

まとめ

本記事では、住宅ローン契約や引き渡しまでに火災保険の契約が済んでいなかったらどのようになってしまうのか、無保険のまま災害に遭ってしまったらどのようになるのかを解説しました。また、火災保険をスムーズに契約する流れと、注意点も紹介しました。火災保険が間に合っていない場合、いくつかのデメリットが生じます。安心して生活をスタートするためにも、計画的にもれなく準備しましょう。

長谷川賢努

執筆者

長谷川賢努

AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士

大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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