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住宅ローンに不安を感じたらどうすればいい?8つの克服方法を紹介

住宅ローンにほとんどの方が不安を感じているため克服の方法を紹介します
住宅ローンは多くの方が利用する前に漠然とした不安を抱えやすいものです。実際に住宅ローンを組んだ人の「眠れない」、「後悔した」などのネガティブな意見を見ると、不安が大きくなるかもしれません。結論からいうと、事前の準備が十分にできていれば、必要以上に不安にならなくても大丈夫です。
無理のない返済計画を立てれば滞りなく返済できますが、不安は気持ちの問題であるため、大丈夫といわれても割り切れないところがあるかもしれません。
本記事では、住宅ローンに不安を感じている方に向けて、不安を克服するための方法と、住宅ローンの不安を解消するポイントを紹介します。

住宅ローンで抱えやすい不安

住宅ローンで抱えやすい不安を複数紹介します
住宅ローンで抱えやすい不安を複数紹介します

多くの方が住宅ローンで抱えやすい不安をできる限り挙げました。以下でそれぞれ詳しく見ていきましょう。

審査に通過できるか

住宅ローンを組む前の段階である審査に通過できるかどうかを不安に思っている方が多くいます。住宅ローンの審査では、主に以下のポイントが重視されます。

審査項目 内容
年収と勤続年数 契約者が継続して安定した返済ができるかを判断する。
返済負担率 年収に占める年間の返済額の割合。20%~35%が適切といわれる。
信用情報 過去の借入の履歴、延滞があると審査に影響を与える。

上記のポイントのうち一つでも適切でないと金融機関に判断されれば、審査に落ちる可能性があります。審査に通過できなければ、住宅ローンを組めません。年収に不安がある場合や、転職直後で収入が安定していない方、過去に延滞履歴がある方は特に不安に感じることでしょう。

よって、現状では審査をまだ受けていない、または一度落ちてしまったことを理由に、落ちるかもしれないという不安を抱える可能性があります。

滞りなく返済できるか

住宅ローンは長期間に渡って返済するローンです。一般的には最長35年となっていますが、金融機関によっては50年に渡って返済するローンが提供されていることも。住宅ローンの節税制度である住宅ローン控除は、返済期間が10年以上でなければ適用できないこともあり、多くの場合は10年以上に渡って返済期間を設定します。

長期に渡って滞りなく返済できるかどうか、先の見えない情勢のなかでは不安に感じる方も多いです。継続的な物価の上昇、予想もしない大きな出費の発生などを考えると、継続して滞りなく返済することに不安を感じやすいといえるでしょう。

金利で返済額が増加しないか

住宅ローンの金利タイプには固定金利と変動金利の2種類があり、借り入れ時点の金利は変動金利のほうが低く設定されています。しかし、変動金利を選択すると、将来的に金利が上昇した場合に返済額が増加するリスクも。長期的な返済のなかで経済状況の変化・政策金利の動向で利息が増加する危険性があります。

近年では日本銀行が利上げをしていることから、変動金利を選択するリスクが高まっているといえるでしょう。金利が安いことを理由に、多くの方が変動金利を選んでいます。今後の経済情勢によっては金利の引き上げにより、返済額が長期的に増加する可能性もあるため、変動金利を不安に思う方もいるかもしれません。

家計の負担が大きくならないか

住宅ローンの返済は、家計の出費で大きな割合を占めます。医療費、教育費、他のローンなどの支出と合わせると家計を大きく圧迫する恐れがあります。現在の時点では発生していない支出であっても、今後発生する支出がある場合は、住宅ローンの返済と両立できるかが心配になるかもしれません。住宅ローンの返済は、長期的なライフプランを含めて検討する必要があります。

災害による心配がないか

日本では地震や火災などの災害によって、住宅が損壊するリスクがあります。災害で居住が難しくなった場合でも、ローンの返済義務が残ったうえで、修繕費と仮住まいの費用の負担が追加されます。特に自然災害のリスクが高い地域に居住を構える場合は、不安を感じやすいといえるでしょう。

自分の貯蓄だけで問題を解決できるか

住宅ローンを組むなら、万が一に備えて手元に貯蓄を残しておくことが求められます。長期間に渡ってローンを返済するなら、返済中のトラブルで急な出費の発生が予測されるためです。住宅ローンの返済と並行して対応すると、返済中に貯蓄が底をついてしまうのではないかと不安に思うかもしれません。

貯蓄がない状態でトラブルが発生すれば、住宅ローンの返済に支障をきたす可能性があります。資産に余裕がない方は、不安を持ちやすい問題といえるでしょう。

健康状態による影響がないか

ローンの返済中に、契約者とその家族の健康状態が悪化する可能性があります。特に契約者が病気やケガによって働けなくなった場合は、収入が途絶えて住宅ローンの返済が困難な状況になるかもしれません。家族の健康状態が悪化した場合も、医療費の増加により、家計が圧迫される可能性があります。

また、住宅ローンでは団体信用生命保険の加入が一般的であり、被保険者が死亡・高度障害になった場合は残債が保険金で完済されます。しかし、住宅ローンの加入時点で健康状態に問題がある場合は、団体信用生命保険の加入が難しく、ローンの審査でも悪影響をおよぼすことも。

団体信用生命保険の加入を必要としない住宅ローンを探すことになりますが、加入しない場合は遺族がローンを返済できずに住宅を手放さなければならない不安もあります。

定年後もローンを返済できるか

返済計画によっては、定年後も住宅ローンの返済を続ける必要があるかもしれません。定年後は現役時代と比較して、収入が大幅に減少します。年金で生活を維持することが精一杯の場合は、住宅ローンの返済が難しいかもしれません。そのため、住宅ローンの不安を解消するには定年前に完済することですが、定年後も返済する場合は、現役世代と比較した収入の減少も考慮する必要があります。

住宅ローンの不安を克服する方法

住宅ローンの不安を克服する方法を複数紹介します
住宅ローンの不安を克服する方法を複数紹介します

住宅ローンに関する不安を解消し、安心してマイホームを手に入れるためには、以下の8つの方法を具体的に検討することが重要です。以下でそれぞれ詳しく解説します。

複数の金融機関で審査を受ける

審査の通過に不安を抱えている方は、できる限り多くの金融機関で審査を受けましょう。住宅ローンでは、複数の金融機関で事前審査を受けることが認められています。審査に通過しても売買契約の前であれば、キャンセルが可能です。

金融機関によって審査基準が異なるため、特定の金融機関では審査に落ちても、他の金融機関では通過できる場合もあります。複数の金融機関で審査を受ければ、通過する可能性が高まるしょう。

また、複数の金融機関で審査に通過した場合は、そのなかでもいい条件の住宅ローンを契約できます。複数の金融機関で審査を受けることは、審査に関する不安を抱える方にとって大きなメリットがあります。

無理のない返済計画を立てる

住宅ローンの返済を開始したあとの不安を解消するには、契約する前に無理のない返済計画を立ててから、返済を開始することが重要です。金融機関で借り入れできる額と返済に適した額は異なる場合もあります。限度額まで借り入れをおこなうと、実際には無理がある返済計画になりやすいため、気をつけましょう。

住宅ローンの返済計画は、収入や将来のライフイベントを考慮して、適切な返済額と返済期間の設定が重要です。余裕のある返済計画を立てると、先の見えない住宅ローンの不安を克服しやすくなります。

適した金利タイプを選択する

住宅ローンの金利上昇に不安がある場合は、将来的に金利が変動しない固定金利を選択すれば長期的に安心して返済しやすくなります。固定金利は変動金利よりも金利が高く設定されますが、経済情勢の変化・政策金利の変動で完済時まで金利が変化しません。

よって、数十年以上の長期に渡って住宅ローンを返済する場合も、返済額が増加するリスクがなく、安心して返済を続けられるでしょう。最終的に変動金利のほうが返済額を抑えられる可能性もありますが、毎月の返済額が変動することなく返済を続けられる点は安心です。

頭金と貯蓄のバランスを考える

住宅ローンで頭金を多くするメリットは以下のとおりです。

  • 借入金額の減少による総返済額の削減
  • 審査の通過率の向上
  • 金利優遇

頭金を多くするほど借入金額が減少し、返済期間が短縮されることから、総返済額は削減されます。また、頭金を多くすることで審査の通過率が向上する傾向にあり、金利優遇を受けられることも。頭金を多くするほうがメリットは大きいように見えますが、無理に多くすると貯蓄が少なくなるリスクがあります。

貯蓄が少なくなると、住宅ローンの返済中に発生したトラブルへの対応が難しくなります。そのため、頭金と貯蓄はバランスが重要といえるでしょう。住宅ローンの頭金の目安は、一般的には物件価格の10%~20%程度といわれています。4,000万円の住宅であれば、400万円~800万円の頭金を用意する計算です。

手元に資金を残しつつ、頭金を適切な範囲で用意して、不安なく住宅ローンの返済を続けましょう。

家計を見直す

住宅ローンの契約は、家計を見直す絶好のタイミングです。実際に返済を開始する前に、現在の収入と支出を把握するところから始めましょう。見直すと、毎月住宅ローンの返済に充てられる予算がわかるだけでなく、無駄な出費を整理して支出を減らしやすくなります。

毎月の収入と支出を把握していない状態で、住宅ローンを返済できるか不安を抱えている場合は、具体的な数字とともに現状を確認すれば、解消できる可能性があります。

保険を活用する

住宅ローンの契約後は、さまざまなトラブルに見舞われる可能性があります。想定されるトラブルに対して備えるなら保険を活用しましょう。住宅ローンの契約で加入を検討する保険は、以下のとおりです。

  • 団体信用生命保険
  • 火災保険
  • 地震保険
  • 就業不能保障保険
  • 個人年金保険

団体信用生命保険は、特約をつけることで三大疾病(がん、心筋梗塞、脳卒中)を中心に複数の病気にかかった場合にも、住宅ローンの返済が保障されます。

火災保険では、火災や自然災害などによる住宅の損壊を補償します。ただし、地震による損壊は火災保険の補償対象ではないため、必要に応じて地震保険にも加入するといいでしょう。

団体信用生命保険・災害時の保険は、一般的に住宅ローンの契約時に加入する保険です。上記の保険に加えて、住宅ローンの返済中の病気やケガによって就業不能に陥った場合に備える就業不能保障保険があります。定年後も返済を続ける場合は、必要な老後の資金を補完できる個人年金保険にも必要に応じて加入するといいでしょう。

住宅ローンの返済中に考えられるさまざまなトラブルに備えるには、保険が有効です。しかし、保険に加入するほど保険料の支出が増えるため、適切な範囲で加入することが重要です。

繰り上げ返済で完済を早める

順調に返済が進み、資金に余裕ができた場合は、繰り上げ返済をおこなうことで、返済期間を短縮して完済を早められます。住宅ローンは基本的には早く完済するほど総返済額も減少します。

住宅ローンの返済は長期であるほど、トラブルに見舞われる可能性があるため、余裕のある時期に繰り上げ返済で負担を減らすと、将来の返済が楽になります。適切な範囲での繰り上げ返済は、不安を軽減しやすくなるでしょう。

専門家に相談する

住宅ローンに不安や疑問がある場合、ファイナンシャルプランナー(FP)をはじめとする専門家に相談すれば、適切なアドバイスを受けられるため、不安を解消できます。どうしても克服できない不安があるなら、ファイナンシャルプランナーなどの専門家への相談を検討してください。

住宅ローンの不安をシミュレーションで解消する

住宅ローンの具体的な返済をシミュレーションすることで不安を解消します
住宅ローンの具体的な返済をシミュレーションすることで不安を解消します

住宅ローンに限らず、初めて実践することに対して不安がともなうのは当然のことです。しかし、不安は多くの場合、具体的なビジョンが見えないことから発生しやすいといえます。そこで、今回は住宅ローンの不安を解決するために、具体的なシミュレーションをしてみましょう。

想定される年収別に、具体的な住宅ローンの毎月の返済額を確認することで、負担の程度が明確になり、実際の返済の見通しも立てやすくなります。

年収400万円の場合

年収が400万円であっても、住宅ローンの返済は可能です。ただし、不安を抱えながら返済をしないためには、適切な負担の範囲内で返済計画を立てる必要があるでしょう。

住宅ローンの返済負担率は20%~35%が適切といわれていますが、安心して返済をするために、20%以内になるように返済したいところです。

以下に、年収400万円を想定して適切な返済負担率(20%以内)で返済する住宅ローンのシミュレーションをまとめました。

  • 借入金額:2,000万円
  • 金利:2.0%(固定)
  • 返済期間:35年
  • 返済方法:元利均等返済
項目 金額
毎月の返済額 6万6,252円
毎年の返済額 79万5,024円
総返済額 2,782万5,861円
利息負担 782万5,861円
返済負担率 約19%

現在の時点で賃貸を借りて家賃を支払っているなら、家賃の出費と住宅ローンの返済額を比較すると、負担を意識しやすいでしょう。

年収700万円の場合

年収700万円を想定して適切な返済負担率(20%以下)で返済する住宅ローンのシミュレーションをまとめました。

  • 借入金額:3,500万円
  • 金利:2.0%(固定)
  • 返済期間:35年
  • 返済方法:元利均等返済
項目 金額
毎月の返済額 11万5,941円
毎年の返済額 139万1,292円
総返済額 4,869万5,500円
利息負担 1,369万5,500円
返済負担率 約19%

年収700万円であれ4,000万円の借入金額であっても、35年間の長期に渡って返済すれば余裕をもって返済できることでしょう。もし、資金が余った場合は、繰り上げ返済をして返済期間を短縮しても問題ありません。

年収1,000万円の場合

年収1,000万円である場合は、年収700万円の条件の返済負担率であれば、より高額なローンを組むことも可能です。しかし、契約者の年齢が40代~50代であることから、現在の収入がピークである場合は、返済期間を短縮する方向で住宅ローンを組んだほうがいいかもしれません。

以下に年収1,000万円を想定して適切な返済負担率(20%以内)で返済する住宅ローンのシミュレーションをまとめました。

  • 借入金額:3,000万円
  • 金利:2.0%(固定)
  • 返済期間:20年
  • 返済方法:元利均等返済
項目 金額
毎月の返済額 15万1,765円
毎年の返済額 182万1,180円
総返済額 3,642万3,456円
利息負担 642万3,456円
返済負担率 約18%

年収700万円の場合と同様に余裕があれば、繰り上げ返済で返済期間を短縮しても問題ありません。しかし、10年~13年未満になるまで返済期間を短縮すると、住宅ローン控除の期間を下回ってしまうため、節税制度の恩恵を最大限に受けられなくなる可能性があります。

繰り上げ返済には、返済期間を短縮せずに毎月の返済額を軽減する返済額軽減型もあるため、控除を含めて総合的に判断して繰り上げ返済をおこないましょう。

まとめ

住宅ローンに対する不安はさまざまな要因から生じますが、具体策を講じることで将来への不安は大幅に軽減されます。今回紹介した対策を総合的に実践することが、安心して住宅ローンと向き合うための鍵です。

また、住宅ローンの不安は必ずしも一人で向き合う必要はありません。ファイナンシャルプランナー(FP)などの専門家に相談すれば、個別に抱える住宅ローンの不安を解消できます。個別具体的に住宅ローンの不安を克服したい場合は、専門家への相談を検討しましょう。

民辻 伸也

執筆者

民辻 伸也

宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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