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4,000万円の住宅ローンは返済が地獄?後悔しないための組み方を解説!

マイホームを購入する際には、住宅ローンを利用することが一般的です。借入額は対象となる物件や自己資金などで異なりますが、郊外であれば4,000万円程度で購入できる物件も多く見つかります。しかし実際に住宅ローンを利用してマイホームを購入した人の中には、いざ返済となって苦労している人も少なくありません。それは、いったいなぜなのでしょうか。
この記事では、後悔しないために覚えておきたい知識とともに、詳しくご説明します。これからマイホームをお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

4,000万円の住宅ローンが組める年収とは?

住宅ローンを組む際は住宅の購入費用のみでなく、ローンの契約時の費用も掛かります。それら費用を考えずに住宅の価格のみで考えてしまうと、無理せずに返済できる予算をオーバーしてしまうかもしれません。
例えば4,000万円の住宅ローンを組むには、どれくらいの年収が必要なのか。まずは、ローン契約時や購入後にかかる費用から確認していきましょう。

住宅ローン契約時にかかるお金

住宅ローンを契約する際には、融資実行時に融資手数料や保証料が必要になります。さらに注文住宅なら、住宅ローンが実行される前に土地や着工金など必要な資金を一時的に融資するつなぎ融資が求められることもあるでしょう。また、ローンの融資に関連する費用以外にも、物件の引き渡し前には火災保険料を契約することも必要ですし、建物や土地の登記の際には登録免許税や司法書士等への手数料等も掛かります。住宅購入価格のみでなく、これらの諸費用についてもあらかじめ覚えておきましょう。

住宅購入後にかかるお金

住宅購入後には、翌年に不動産取得税が掛かります。また、固定資産税は毎年支払わなければいけませんし、火災保険の更新料等も必要です。マイホーム購入時は住宅ローンの返済額のみでなく、これらの費用も上乗せになることを覚えておきましょう。

また、団体信用生命保険料は原則として住宅ローンの金利に含まれていますが、保障の範囲を広げる場合等に返済額が高くなることもあります。詳しくは下記のリンクをご参照ください。

4,000万円の住宅ローンが組める年収のボーダーラインは429万円

では、4,000万円の住宅ローンを組める年収のボーダーラインはいくらになるでしょうか?融資手数料や保証料等、4,000万円の住宅ローンの融資に掛かるコストを大体10%の400万円と考えた場合、合計で4,400万円が必要となります。これらの費用は融資額に含めることもできるため、全額で融資を受けるとしたら4,400万円のローンということになります。

住宅ローンの融資の基準は「他の借り入れと合わせた年間の返済額が年収の35%以内」など、主に年収と年間の返済額によって基準が設けられていますので、これらを基準に計算してみましょう。4,400万円を年利1%、35年返済で計算した場合、年収の35%以内で計算すると年間の返済額は約149万円となります。他に借り入れが無い場合、149万円の返済額が年収の35%以内に収まるようにするには、429万円の年収が必要です。ただし、これは35年返済の場合ですので、返済年数が短くなると年間の返済額が増えるため、もっと高い年収が必要になるかもしれません。

また、変動金利を選ぶなら、審査は適用される金利とは異なる高い金利で返済額が計算・審査されているため、実際にはもっと高い年収が求められます。そして「借りられる」と「返済できる」はイコールではありませんので、融資を受けられるかどうかではなく、ご自身が無理せずに返済できる返済額で考えることが大切です。

年収が429万円以下の場合はどうする?

必要な年収を満たしていない場合にどうすればよいか、その方法をお伝えします。

年収額を増やす(ペアローンを組む)

夫婦二人で、それぞれローンを組む方法があります。夫婦の片方だけで収入が足りない場合、配偶者もローンを組むことで必要とする金額を満たすことが可能です。これをペアローンといいます。例えば、夫一人の収入では借入額の上限が3,000万円だとしても、妻が1,400万円借りることができれば4,400万円になります。

収入合算を増やす

夫婦で別々のローンを組むペアローンに対し、連帯債務者となって夫婦の年収を合算し、融資を受けることも可能です。例えば年収300万円でも、同じく年収300万円の配偶者がいれば合わせて600万円となります。そのため、年間で約171万円の返済額までの融資を受けることができます。

頭金をより多く用意する

頭金をより多く用意することで必要なローンの融資額を減らし、審査の基準を満たすこともできます。

両親や祖父母から資金援助を受ける

自分達で頭金を用意することが難しい場合、ご両親や祖父母からの資金援助を受けることも検討するとよいでしょう。ご両親や祖父母(直系尊属)から住宅取得資金の援助を受けた場合、本来は贈与税が必要になります。しかし、特例を使うことで、最大1,000万円まで(※)非課税で援助を受けることも可能です。
※省エネ等住宅の場合。それ以外の住宅は500万円まで

購入する物件を見直す

これらの手段を使っても難しい場合には、購入する物件自体を見直すことも必要でしょう。返済額が年収の35%を超えてしまうような場合、そもそも4,400万円のローンを組むことが危険かもしれません。

4,000万円(諸費用400万円込み)の住宅ローンの組み方

4,000万円(諸費用400万円込み)の住宅ローンを組む際、どのようなことに注意して組めばよいか解説します。

金利タイプを見極める

住宅ローンは大きな金額を、35年などの長期に渡り返済していくことになるもの。今後の金利の変化も想定しながら、どのタイプの金利が自分に合っているのかを判断することも重要です。

繰り上げ返済の活用をする

4,000万円ものローンとなれば、金利も大きな金額になります。支払う金利を上手に減らすためには、繰り上げ返済をおこなうことが有効です。
繰り上げ返済とは、ローンの返済期間の途中である程度まとまった金額を返済に充て、ローンの残高を減らすこと。繰り上げ返済でローンの残高が減ることにより、支払う金利を節約することができます。

定年までに完済できる額を知る

住宅ローンを組む際には、定年退職の年齢も考慮することも重要です。35年ローンの場合、30歳の方が組んでも、ちょうど定年退職が完済の年齢となります。もし定年退職までに完済したいなら、定年退職までに完済できる返済期間で融資を受けることや、途中で繰り上げ返済して定年退職で完済できるように考えておきましょう。

ライフプランから無理せずに返済できる金額を考える

先ほどもお伝えしましたが、住宅ローンを「借りられること」と「無理せず返済できること」は違います。住宅ローンの審査に通って希望額を借りることができても、その後、返済に追われてしまうかもしれません。家族で旅行に行けない、お子さんの教育資金を貯められない、老後資金を貯められないなどというケースはよくあります。
ライフプランは十人十色であり、家計の事情も人それぞれ異なるものです。いくらまでならライフプランを実現しながら無理せず返済できるのか、よく考えた上で予算を決めましょう。

支出の見直し

住宅ローンを組む前に、毎月何にいくら使っているかを把握し、支出を見直すことも重要です。どれだけ余裕を持ってローンを返済できるか明確にしておくことは大切ですし、もし支出を削減できる項目があれば返済に余裕を持つことができます。

4,000万円の住宅ローンを組んだ後によくある失敗

住宅ローンを組んだ後に失敗してしまうこともあります。ここで、よくある失敗例についてご紹介しましょう。

失業や病気をしてしまった

返済中に失業してしまったり、病気になったりして収入が減少することもあります。ローンを組む際の年収を基準に審査を受け、無理せずに返済できる金額でローンを組んでも、収入が減れば返済が生活を圧迫しかねません。

収入が減ってしまった

収入が減る原因は、失業や病気だけに限りません。例えば、働き方改革の影響で残業時間が大幅に減ったりした人もいます。残業代を含めた収入でローンを組んでいた場合、それが減ってしまえば返済が苦しくなってしまう可能性があるでしょう。

ペアローンを組んだ相手が仕事を辞めてしまった

ペアローンを組んだ後に相手が仕事を辞めて、一人で返済していかなければならないこともあります。子どもが産まれる前に夫婦でローンを組む場合などには、注意しておきましょう。

子どもが生まれて必要以上に出費が増えてしまった

子どもが増えることは、家計に大きな影響を与えます。保育料や教育費など、ローンを組むときには掛からなかった費用が後に掛かってくることがあるでしょう。そうしたことも予測・把握した上で、無理のない金額でローンを組むことが必要です。

離婚してしまった

ローンを組んだ後に、残念ながら離婚してしまうということもあります。片方が住み続けて一人で負担していったり、自分はその家に住まずにアパートに住み、ローンを払いながら家賃を払ったりすることもあるでしょう。

住宅の修繕費を準備できない

マイホームを買うと定期的に修繕費が必要です。特に外壁の塗り替えや張替、屋根の塗装は100~200万円以上もの費用が必要になることも少なくありません。あらかじめ、修繕費が掛かることを想定しておいてください。準備しておかないと外壁がボロボロになり、屋根も塗装が薄くなったりサビたりしているのに、修繕できないということもあります。また、マンションの場合には管理費も必要ですので、その分を見込んでおく必要があります。

リフォーム費用を準備できない

マイホームを買った後にはキッチンやトイレ、浴室のリフォームが必要になることもあります。これらのコストも事前に見込んで準備しておかないと、いざというとき新たにリフォームローンを組まなければならず、二重ローンになることもあります。

光熱費の増大

一戸建てを購入した場合は、光熱費が増えることも多いものです。冬場に暖房費が増えることも多く、特に寒冷地では暖房に掛かるコスト等も多めに見込んでおく必要があります。

両親との別居

両親と同居する予定で二世帯住宅を建てたものの、生活スタイルや価値観の違いから別居するケースもあります。その場合、ローンを負担しながら新たに家賃を支払ったり、再度マイホームを買ってローンを組んだりすることになるかもしれません。二世帯住宅を考えているなら、本当に両親と同居できるかどうか事前によく考えておきましょう。

住宅ローン返済地獄になってしまった場合の対処法

人生設計から無理のない金額でローンを組むことが大切ですが、それでも、すべての要因に対策することは難しいものです。もしも返済地獄になってしまったら、どのようにしたらよいか考えておきましょう。

支出の見直し

まずは支出を見直しましょう。毎月、何にいくらくらい使っているかを把握し、その内訳を確認してみます。通信費や保険料等の固定費、金額が大きな項目を見直し、支出削減を検討してみてください。

お金を借りた銀行などに相談

支出を削減しても難しい場合、お金を借りた金融機関に相談してみましょう。一時的に返済を猶予してもらったり、毎月の返済を減らしたりできるかもしれません。

両親や祖父母から支援をしてもらう

両親や祖父母から支援してもらうことも検討しましょう。なかなか頼みにくいということもあるかもしれませんが、もっと状況が悪くなる前に改善できる可能性があります。

個人再生も視野に入れる

あらゆる手段を尽くしても返済が難しい場合、個人再生も視野に検討しましょう。個人再生とは、裁判所の認可を得て、住宅を手離さなくても借り入れを減額することができる手続きのことです。ただし、信用情報にその履歴が残る等のデメリットもありますので、可能な限り使わないことが大前提となります。

まとめ

住宅ローンは、長い期間を掛けて返済していくことになる借金です。将来設計と収入、支出の見込みから無理せず返済できる範囲で組まないと、「ローン地獄」に陥ってしまう可能性もあります。また、今後車や教育資金のローンを組むなど、二重三重のローンとなって返済に追われてしまうこともあるでしょう。

そのような状態にならないためには、計画的に将来必要になる資金を貯め、ローンを組まずに準備する計画が大切です。大きな借金をするのだということをよく理解し、無理のない返済計画と家計管理をしっかりとおこなっていきましょう。

小川洋平

執筆者

小川洋平

合同会社clientsbenefit代表、CFP1級ファイナンシャル・プランニング技能士

25歳でお金の知識・営業経験ゼロから保険営業の世界に飛び込み、6年半従事。2年目に将来の資産形成のため金融知識が必要なことに気が付き、FPの勉強を始めて金融・経済の知識を学ぶ。その後、保険に限らずあらゆるお金の面でクライアントにとってベストな提案をしたいという想いで、商品販売ではなく相談業務を開始。住宅ローン相談も得意とし、自身が自宅の新築時に学んだ知識や、工務店のネットワークを活かし住宅購入のアドバイス等もおこなっている。

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