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新築マンションでも値引きできる?交渉のタイミングやコツ、値引き相場を解説

2020年頃から食品や日用品の値上げラッシュが続き、家計を圧迫しています。その影響で、日々のやりくりに悩まされているご家庭も少なくありません。マンションも建築資材の価格高騰や労務費の上昇などで、東京23区をはじめ全国の新築マンションの平均価格が上昇しています。「新築マンションは購入したいが、少しでも安く購入できる方法があれば試してみたい」と思う人も多いでしょう。この記事ではマンションの値引き交渉のやり方、タイミングなどを解説していきます。

新築マンションって値引きできるの?

新築マンションは、売り手が承諾すれば、定価以外の値段(値引き価格)で購入することは可能です。新築マンションは定価でしか購入できないと思っている人は多くいるかもしれません。しかし、マンションも普通の商品のように売り手と買い手の合意で価格が形成されるものです。合意があれば値引きができ、定価よりも安く購入することも可能です。

新築マンションで値引きしやすい物件の特徴

すべての新築マンションが値引き対象となるわけではありません。マンションの売れ行きや、購入時期によって、値引きが可能になるケースもあります。では、具体的にどのような物件であれば、値引き交渉がしやすいのでしょうか。詳しく説明していきます。

竣工直後や完成済みの物件

1つ目は、竣工直後や完成済みの物件です。マンションが完成して契約者に引き渡されると、管理費や修繕積立金などコストの支払いが発生します。しかし売れ残った場合は、販売会社がそのコストを負担しなければなりません。すでに完成した物件で、販売会社は自分たちでコストを負担するのであれば、その期間が長引く前に、多少値引きをしても売ってしまおうと考えます。したがって竣工直後や完成済み物件の場合、値引きが可能になる場合があります。

モデルルームとして使われていた物件

次にモデルルームとして使われていた物件です。マンションの完成前は外部にモデルルームを用意しますが、完成後は実際の部屋を棟内モデルルームとして使用することがあります。棟内モデルルームとして使用される物件には多くの人が訪れるため、まだ人が足を踏み入れていない完全な新築と比べると、多少の使用感が出ます。その点を踏まえて、モデルルームで使用した部屋は、新築販売時より安く販売されるのが一般的です。

完成してから1年ほど経過した物件

マンションが新築で完成してから1年ほど経った物件も値引きをしやすい物件です。住宅の品質確保の促進等に関する法律によれば、新築とは「新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもの(建設工事の完了の日から起算して一年を経過したものを除く)」と定められています。つまり完成後誰も住んだことのない未入居の物件でも1年を経過すると新築ではなくなります。完成後1年経つ前の「新築」の文言が使えるうちに販売したいと考える販売会社は少なくありません。そのため、完成して1年ほど経過した物件は値引き販売される可能性が高くなります。

残戸数わずかの物件

残戸数の少なくなった物件を売り切って、完売の実績を作るために、販売会社が値引きをするケースがあります。通常、マンションは全戸を一度に販売するのではなく、第1期、第2期などのように期間を少しずつわけて販売していきます。この目的は、購入需要や価格設定を探るためです。この例を挙げると、第1期で申し込みが多い場合、第2期では少し値上げして販売します。一方申し込みが少なければ、第2期は値下げして販売します。すべての販売期でつねに完売の状態が続くように調整しながら販売するのが定石です。したがって販売会社は完売した実績を残すために、残戸数の少なくなった物件では、値引きする可能性があります。

値引き交渉しやすいタイミングはある?

販売会社と値引き交渉しやすいタイミングは以下の通りです。

  • 売れ残りにならないような販売終了前
  • 棟内モデルルームで使用された物件が販売される時
  • 新築と宣伝できなくなる完成後1年経過する前

また一般的に多くの事業会社では3月を決算月としていますが、決算月も一つのタイミングです。販売会社がその期の営業実績とするには決算月までにマンションを販売しなければなりません。したがって3月期末実績にこだわっている販売会社なら2月末頃が値引き交渉のよいタイミングだと考えられます。

新築マンションの値引き相場

新築マンションは完成直後、そして1年経過前で値引きの状況も変わってきます。完成直後は、大幅な値引きをすると他の購入者からのクレームを受ける可能性があります。したがって、おおよそ5%~10%が値引きの目安となります。また完成後1年を経過する前になると、新築時の購入者からの反発も弱くなると考えられるため、20%~30%の大幅な値引きができる可能性がでてきます。

新築マンションの値引き交渉を成功させるコツ

竣工済みのモデルルームは、日当たりや窓からの眺望も実際に見学できるため購入後の生活をイメージすることができます

人気のある新築マンションであれば購入希望者が多く、基本的には値引き交渉に応じてもらえる可能性は低いでしょう。一方で、値引き交渉しやすいタイミングで挙げたように一定の条件を満たせば値引きを交渉できる場もあります。ではどのように値引き交渉をおこなえば成功しやすいか説明していきます。

購入意思を伝える

まずは「自分が絶対にこの物件を購入したい」意思を営業担当者に伝えてください。営業担当者は本社に対して値引き交渉をおこなうキーパーソンです。営業担当者も、買うか買わないかわからない人よりも、どうしても購入したい人に販売したいと思うでしょう。販売会社は誰にでも値引きを認めるわけではありません。営業担当者を味方に付ければ、有利に交渉を進められます。

周辺エリアの相場をチェックしておく

購入を検討している物件がある場合は、周辺のエリアの物件も併せてチェックしておきましょう。同時期に分譲している物件があれば、駅までの距離、マンション設備、1平方メートルあたりの単価などを自分が購入したい物件と比較してみてください。割高と感じたり、比較した物件で値下げがされていたりすれば、その旨を伝えて値引き交渉の材料としてみましょう。

資金を準備していることを伝える

マンションを購入したいことを伝えても、気持ちだけではその意思は届きません。購入するための資金を準備している旨もあわせて伝えてください。では、どうやって資金を準備する意思がある証明になるでしょうか。それは事前審査を済ませておくことです。

マンションを購入する際には、銀行から住宅ローンを借りるのが一般的です。ところが購入申し込みをしても銀行の審査で落ちる人が少なからずいます。銀行ではマンション購入者向けに仮審査をおこなっているため、仮審査を受けて、どの程度の金額であれば借りることができるのかを把握しておきましょう。事前の仮審査を受けておけば、無理のない資金計画を立てられます。また融資がおりやすい人であれば営業担当者の印象もよいものになります。その結果、資金が準備できることを明確に伝えられ、値引き交渉をしやすくなるでしょう。

値引き交渉する理由を伝える

値引きを依頼する理由を提示できると、価格相談がしやすくなります。値引きを持ち出すには、それ相応の理由が必要です。具体的な理由は、自身のライフイベントと結び付けて考えてみましょう。住宅を購入する人の多くは、結婚(二人で住む)や子どもの誕生(家族の人数が増える)・小学校入学(学区が決まる)が住宅購入の動機になっています。このようなライフイベントには、まとまったお金が必要です。持っているお金をすべて住宅の購入に使ってしまうと、ライフイベントに使える資金が足りません。「今結婚資金を貯めている」「出産を控えている」など、営業担当者が納得できるような、値引きしてもらってでもお金を残したい理由を提示できれば、交渉もしやすくなります。

購入できる金額を明確に伝える

最終的にどの程度の値引きをしてほしいのかをはっきりと営業担当者に伝えます。あまりに現実的でない金額を提示すると、購入する気がないのかと疑われるため注意してください。よくあるのは、マンションの価格が4,950万円であれば、端数の50万円を値引きしてもらう方法です。それ以外でも、「月の生活費の6カ月分は非常用資金として残したい」と具体的な数字を伝えられると、営業担当者も会社に説明しやすいでしょう。ただし、こちらの主張がそのまま通るかは販売会社の考え方次第です。値引き金額を伝えても、希望どおりにならないこともあるのは理解しておきましょう。

新築マンションの値引き交渉に失敗したら?

新築マンションでは他の購入者に値引きしたことがわかるとクレームになる恐れもあるため、簡単に値引きに応じてくれないかもしれません。その場合でも、他の方法でトータルのコストを抑えられます。具体的な方法を紹介するので試してみてください。

オプションを付けてもらう

新築マンションを購入する時、設備や内装を標準の仕様から変更・追加できるサービスがあります。これは「オプション」と呼ばれています。床や扉の色などは専門用語で「建築オプション」といいこれらは完成前でなければ付けられません。一方、家具や照明などの家電などの「インテリアオプション」は完成後でもつけることが可能です。完成物件では建築オプションは付けられませんが、代わりにインテリアや家電などのオプションを無料で付ける、もしくは割引をしてもらう交渉をしてみるのもひとつの方法です。またモデルルームで使用された物件を購入する際は、展示用の家具やインテリアなどを譲渡してもらえないか交渉してもよいでしょう。

初期費用を抑える

新築住宅を購入する場合には、物件の購入価格以外にも3%~7%の初期費用がかかってきます。物件の値引き交渉だけでなく、初期費用を削減することでトータルのコストを抑えられます。初期費用のなかで削減しやすいのは、住宅ローンに関する費用です。銀行によってローン手数料やローン保証料、金利などが異なります。インターネットで複数の銀行を比較して、初期費用や金利の安い銀行を選ぶようにしましょう。また火災保険も複数の保険会社から見積もりを求めたり、不要な補償を外したりすることで、保険料を抑えられます。販売会社に勧められるまま火災保険に加入せず、自分で契約内容を調べるようにしましょう。

新築マンションの値引きにおいての注意点

新築マンションの値引きでの注意点は、値引きになったことを理由に、安さだけで購入をしないことです。
新築マンションの値引きは一般的には応じてもらえません。しかし、残戸数が少ない物件や完成後1年近く経つ物件に限って、値引き交渉ができるケースもあります。これは、値引きされる何かしらの理由が必ず存在することを意味します。そのため、まずはなぜ値引きをしてくれるのか理由を考えましょう。使いにくい間取りや周りの環境の影響で値引きをしてもらう場合、住みはじめると部屋の動線の悪さや住環境の悪さなどでストレスを感じるかもしれません。賃貸物件とは違い、すぐに引越しできないのが分譲マンションです。物件選びは価格だけでなく、その他の条件も慎重に検討するようにしましょう。

また、値引きをしてもらえたと思っていても、そもそもの値段の付け方が高すぎる場合もあります。周辺の物件情報を不動産情報サイトや折り込みチラシでチェックして、妥当な価格かを調べておくことをおすすめします。特に値引きをすぐに受け入れてもらえる場合は、その理由をよく確認するようにしましょう。

まとめ

一般的に、新築マンションを値引きしてもらうことは簡単なことではありません。しかしタイミング次第では、値下げしてもらえる可能性は高くなります。また直接の値下げが無理でも、オプションでおまけをしてもらったり、初期費用を低く抑えたりすることで、値下げと同様の効果をえることも可能です。
マンションの値引きに挑戦するのであれば、まずは仮審査をして、すぐに申し込みができる状態で臨むことが大切です。
また、物件を購入する際には、なるべく資産価値が下がらない物件を選ぶことが肝心です。人気の物件は値下げされることもなく、すぐに買い手が付きます。自分の欲しいと思った物件は、物件の価格にこだわりすぎず、すぐに購入意思を固めることが大切です。

青野 泰弘

執筆者

青野 泰弘

ファイナンシャルプランナー・行政書士

1964年静岡県生まれ。同志社大学法学部卒業後、国際証券に入社。その後トヨタファイナンシャルサービス証券、コスモ証券などで債券の引き受けやデリバティブ商品の組成などに従事した。2012年にFPおよび行政書士として独立。相続、遺言や海外投資などの分野に強みを持つ。

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