自治会は入らないとダメ?加入するメリット・デメリットをわかりやすく解説

本記事では、自治会の基礎知識について、みなさんからのアンケート結果も交えながら解説していきます。
記事の目次
そもそも自治会(町内会)とは?

自治会(町内会)とは、特定の区域に住む住民で構成される地域活動団体で、特に法的な義務はない組織です。あくまで任意団体なので、加入しなければならないルールもなく、基本的には個人の自由で参加するか否かを決められます。
ちなみに地域活動とは、お祭りのようなイベントや災害・防犯対策など、その内容はさまざま。地域で一丸となって協力し合い、よりよい街づくりをする取り組みに向けて、住民を統括する団体ともいえます。なお名称も地域ごとに異なり、なかには「町内会」などと呼ぶケースもありますが、組織の概要としてはいずれも同じです。
自治会と管理組合の違いは?
管理組合とは、区分所有建物内における統括団体で、分譲マンションなどの各集合住宅の入居者で構成される組織です。建物の管理方法や使用ルールなどの議会を定期的に開催し、運用の方向性を共有する目的で組織されます。自治会とは異なり、管理組合の場合は各建物の居住者には加入義務があり、入居した時点で必ず参加することになっています。
自治会との大きな差として、管理組合は建物単位かつ加入を義務付けられた団体である点に違いがあります。
自治会は入らないとダメ?

先ほども出てきたように、自治会への加入は強制されるものではありません。特にライフスタイルが多様化しやすい都市部では、ご近所付き合いの意識が薄れている傾向もあり、加入しない人も増えてきています。地域によっては、自治会自体が存在しないケースも。
ただしエリアによっては、自治会への加入を推奨しており、参加するのが暗黙のルールになっている場合もあります。またマンションなどの集合住宅では、建物ごとに自治会に参加しており、入居条件として加入が必須になっている物件も見られます。
自治会に加入している?【アンケート調査】
では実際に、一般的な自治会の加入状況はどうなのか、みなさんにアンケートを取って調査してみました。自治会に対するリアルな声もピックアップしてご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
自治会(町内会)に加入していますか?

アンケートの結果、7割近くの人が「自治会に加入している」と回答しました。決して強制参加ではないものの、例えば地域活動が盛んにおこなわれているなど、さまざまな背景から加入している人も多いようです。それでは、加入している人としていない人のそれぞれの理由について、以下から詳しく見ていきましょう。
自治会に加入している人の声
住んでいるエリアによる違いはありますが、自治会に加入する背景として、次のような事例があるようです。
- 半強制的に加入している(させられている)。しないとゴミ出しができないため。(20代/女性)
- 自治会長さんから声をかけられたため。加入しない理由は特に思い浮かばないですし、加入しないことで家や子どもたちに万が一なにか不利なことがあったらイヤなので。地域の活動やゴミ捨てに関することなども含まれているので、参加していたほうがよいと思いました。(30代/女性)
- 加入している。災害時などの配給は市から自治会、町内会を経て配られるなど、非常時の連携助け合いを考えたら入った方がいいと思ったので。(30代/男性)
- 加入しています。近隣の清掃活動や地域のお祭りへの参加、パトロールなど、できる人ができることをしている。活動について疑問に思ったことや改善案は、年齢や居住年数関係なく対等に話させてもらっているし、年に一度の総会も議論が活発なので時代に合わせた活動方法が反映されやすい。(40代/女性)
- 加入自体は強制だったが、冬の除排雪でお世話になってるから文句はない。(50代/男性)

なかには勧誘を受けたり、そもそも加入を求められたりもあるようですが、今後の暮らしを考えて自ら参加している例も多く見られました。例えばゴミ捨てだったり、コメントにもあるような除雪だったり、日常生活に欠かせない活動を自治体で管理している場合もあります。それだけでなく、自然災害などの緊急時における協力体制ができているケースも。
特に地域の連携意識が強いエリアでは、加入しておいたほうが何かと恩恵を受けやすい一面もあるようです。
自治会に加入していない人の声
次に自治会に加入していない背景として、以下のようなコメントが挙がりました。
- 近所の人との付き合いが面倒なので加入していないです。(20代/女性)
- 会費をとられたくないのと、夏祭りなど行事の参加でプライベートの時間を奪われるのが嫌だから加入してません。(30代/男性)
- 加入していない 都心で単身者が多い地域だから、そもそも町内会や自治会の案内がない。(30代/女性)
- この3月いっぱいで脱会しました。伝統ばかりで、このご時世に合った活動をしていない。話し合いをしても、長老たちに力があり過ぎて若い人のことを聞いてくれない。(40代/女性)
- 数年前に退会しました、入っていてもあまり意味がないと感じたから。(50代/男性)

比較的個人を尊重する意識の強い若手世代だけでなく、40代~50代の中高年層でも、自治会に加入していないケースは見られました。コメントにもあるように、エリアによっては「そもそも自治会に入るタイミングがなかった」などの場合もあります。特に活動内容にメリットを感じないのであれば、加入しないのもひとつの方法かもしれません。
自治会はどのような活動をしているの?

自治会の活動内容は、地域ごとの違いもあるので一概にはいえませんが、代表的な取り組み例としては次のようなものがあります。
情報共有のための活動
自治会の古くからのイメージで強いのは、やはり「回覧板」ではないでしょうか。自治会からのお知らせはもちろん、地域によっては行政機関と連携して、役所などからの情報を広く共有する役割もあります。例えば予防接種といった衛生面、子育てや介護などの福祉関係をはじめ、地方自治体からの重要情報を発信する取り組みは、自治会の活動内容の代表的な例です。
防犯・防災のための活動

例えば、通学時や暗い夜道のパトロールなど、自治会で独自に安全活動をしているケースも多々見られます。その他にも自然災害に向けた情報共有をはじめ、防災訓練を定期的に実施し、救命活動や避難生活に役立つセミナーなどを開いている場合も。
また「普段から使用する道路に危険な部分がある」など、公安委員会といった行政機関に対する意見がある際に、自治会が代表して声明文を提出するなどの例もあります。
環境美化のための活動
段ボールやペットボトルなどの資源回収や、河川敷や公園の清掃といった美化活動は、自治体が主体となっておこなわれているケースも多くあります。自治体のボランティアや当番制など、形態はさまざまですが、治安を守る一環として取り組まれている例は少なくありません。また道路沿いや公園に花を植えたり花壇を整えたりなど、地域の緑化を積極的に進めていることもあります。
親睦・交流のための活動
地域住民同士で顔見知りになって、普段から助け合いやすい環境をつくるために、自治会が主動となり交流できる機会を設けていることもあります。例えば家族で参加できるイベントをはじめ、会員の親睦を深める食事会や旅行など。近隣の住民同士が仲良くなることで、より地域活動を活性化する意味も込めて、定期的に行事をおこなっている自治会もあります。
自治会に加入するメリットは?

自治会に加入して、地域の方々との連携が強くなることで、次のようなメリットにつながります。
地域の情報が得られる
前述にもあるように、自治会からの情報共有によって、地域での動きや市政に関して把握しやすくなるのはメリットです。例えば、各地方自治体の支援制度などの情報をこまめにチェックできれば、家庭の状況に合った補助や助成金が活用しやすくなる効果も見込めます。
自分たちの生活に役立つ身近な情報を日常的に得られるのは、より快適な暮らしをしていくための重要なポイントでしょう。
地域住民とコミュニケーションが取れる
自治会に参加して、ご近所の方々と顔なじみになっておくことは、何かあった時にお互い頼りやすい関係性にもつながります。何か困ったことやトラブルに遭った際に、すぐ近くに住む知り合いに相談できるのは、かなり心強いでしょう。また、同年代のお子さんがいるご家庭同士なら、学校行事で協力したり、子育ての悩みを共有したりなど。自治会を通じたご近所付き合いにより、日々の安心・安全を得やすいのもメリットです。
地域のイベントに参加できる
地域住民で交流する目的で開催される、さまざまなイベントに参加できるのも利点です。防災訓練などの安全確保に向けた行事をはじめ、夏祭り・クリスマス・餅つきといった、季節の楽しいレクリエーションを実施するケースも。こうしたイベントに参加すれば、地域のさまざまな年代の方と触れ合える機会もでき、幅広い交友関係を築いていくことも可能です。また親子で参加するイベントなら、家族の時間も取りやすくなるメリットもあります。
被災時にも助け合える
地域の自治体による防災活動もありますが、実際に災害が起きた場合に、近隣の方々との関係性があることで連携しやすいのもメリットです。大きな自然災害が発生し、避難しなければならない時には、混乱することも数多く出てくるでしょう。そうしたなかでも、地域住民同士で顔見知りなら、例えば子どもが家族とはぐれた際にも周りの人が探してくれることも。
お互いに協力して災害時の緊急対応がしやすいのは大きな利点です。救援物資や災害支援などの情報も円滑に回りやすく、自治会に加入しておくことは、いざという時の備えにもなります。
自治会に加入するデメリットは?

ここまでに見てきたように、自治会に加入するメリットはいくつもありますが、注意しておきたい部分もあります。次のような点もふまえながら、加入すべきか検討してみましょう。
会費がかかる
当然ながら、レクリエーションを開催したり広報誌を制作したりするのには、ある程度のコストがかかります。そこで自治会の活動費として、加入者から会費を徴収するのが一般的です。なお費用は自治会ごとに異なりますが、毎月200円~500円程度が大体の相場で、高額になると数千円ほどかかるケースも。もし大規模なイベントがおこなわれる場合には、協賛として別途寄付を集めることもあります。会費と見合った活動内容なのか、しっかりと見極めることも大切です。
活動に参加する必要がある
場合によっては、自治会の加入者全員参加となる活動をおこなっている自治会もあります。例えばお祭りはあまり好きじゃないとしても、全員に何かしらの役割が割り振られるケースもあります。もちろん任意や有志で活動を進めている自治体もありますが、なかには全員参加型の行事などが開催される可能性もある点には、注意が必要です。
当番が回ってくる可能性がある
防犯パトロール・清掃・草刈りなど、地域のさまざまな活動を当番制にしている自治会もあります。場合によっては自治会の会長など、役員の業務を当番で回しているケースも見られます。会員内で平等に当番が回るようになっていることもあり、忙しいなかで地域活動に時間を割く必要が出てくるのは、デメリットに感じるかもしれません。
上記のとおり自治会にはメリットもデメリットもあり、家庭の状況によっても加入すべきかどうかは変わってくるでしょう。もし活動内容や会費に不安がある場合には、引越しの際に不動産会社に相談したり質問したりしてみるのもいいかもしれません。
自治会に入らないとどうなる?

もちろん加入は任意ではありますが、地域によっては、自治会に入らないことで以下のような影響が出てくる可能性もあります。とはいえ必ずというわけではないので、簡単に頭に入れておくとよいでしょう。
ゴミ集積所の利用を制限される可能性がある
地域によっては、自治会で運営するゴミ集積所を設けていることもあります。例えば家から少し離れた場所までゴミ出しに行く必要がある、自宅付近のゴミ集積所では古紙の回収をしてもらえないなど。もちろん地域で異なりますが、自治会を優先しているエリアでは、こうした公共物が使いづらくなる可能性もあるようです。
地域の人との交流が少なくなる
自治会に加入していないと、近隣の方々と顔を合わせる機会がほとんどないケースも多々見られます。集合住宅でも、「同じ階や隣に住んでいる人と会ったことがない」などの話もよく聞きます。自治会のように自主的に地域交流をしないと、近所で顔見知りをつくるのは難しい面もあります。
地域の行事に参加できない
ここまでに出てきたようなイベントにも、自治会に入っていないことで参加できないケースがあります。例えばお祭りの運営に携わったり、地域活動に対して何か意見を出したりするのは、自治会に加入していないと難しいでしょう。自治会に入らないと、地域の街づくりに関わりづらいのは難点かもしれません。
いざという時に地域の人に頼りづらい
先ほども出てきたように、自治会にいないことで地域交流がしづらくなり、ご近所の方々との関係性もうまくつくれない可能性があります。すぐ近くに気軽に声をかけられる知り合いがいないと、何か万が一のことが起きても頼りづらい一面があり、有事の際に困ってしまうリスクも少なくありません。
地域によっては「浮く」可能性がある
都市部で単身者が多いエリアであれば、自治会に入らない人も多く、加入しなくてもさほど問題はないケースもよくあります。ただし自治会に参加する人が多数派になっているようなエリアでは、会員にならないと孤立してしまう可能性も。実際に、前述のアンケートでも「地域で浮いてしまうから加入した」という声も挙がっていました。
自治会の活動を重視する地域では、加入したほうが無難な場合もあります。
自治会に加入するべき人はどのような人?

では、自治会への加入が向いている人の特徴について、以下から簡単にまとめていきます。
地域イベントに参加したい人
積極的に地域イベントに参加して、近隣の方々との触れ合いを楽しみたいのであれば、自治会に加入することをおすすめします。場合によっては、レクリエーションの企画などができるチャンスもあり、前向きに街づくりに携わりたい人には向いているでしょう。
小さな子どもがいる人
自治会の活動やイベントでは、子どもも一緒に参加できるものも多く、保護者やお子さん同士で仲よくなれる機会も多数あります。自治会に入っていることで、お子さんの小さなうちからお友達ができる可能性も高く、親子ともども交友関係を広げたい人におすすめです。
近所の方と交流しておきたい人
大人も子どもも同様に、近所にしっかりと交流のある知り合いがいたほうが、何かと安心です。
例えば、「公園で不審者を見かけた」、「先日、怪しい訪問販売の人が来た」などといった情報を得ることもできます。
その他、地域でお店を開業するような場合にも、近隣の方々と親睦を深めることで集客につながる可能性も高く、こうした周囲との関係性を築きたい人にもおすすめできます。
しばらく定住する予定の人
長く住むことを考えるなら、防災や安全面の意味でもメリットの大きい自治会に入ったほうがよいでしょう。この先何があるかわからないため、地域の人々とのつながりにより、非常事態でも対応しやすい環境を作ると安心です。より定住しやすい環境にする意味でも、自治会への加入をおすすめします。
特に地域の人々とのコミュニケーションを大切にしたい人や子育て世帯は、自治会に入るのがおすすめ。マイホームを買った場合も、今後のことを考慮するなら、加入しておいたほうが無難です。逆に、転勤などで一時的に移住している場合や単身者なら、無理に自治会に加入しなくてもさほど問題はないでしょう。
ライフプランや生活スタイルも考えながら、自治会に入るか否かを考えてみましょう。
自治会に関するおさらい
ではここまでの自治会に関する内容について、ここから整理してまとめていきます。
自治会は入らないとダメ?
自治会に加入義務はなく、原則入る否かは自分で自由に決められます。ただし地域によっては、自治会に入るのが古くからの慣習になっていたり、集合住宅では入居時点で自動的に加入されていたりする場合もあります。
マンションの管理組合とはどう違うの?
自治会は地域単位かつ加入は任意で、街全体に関わる活動に取り組む団体です。一方で管理組合は、区分所有建物(マンションなど)単位かつ加入義務があり、建物の管理に関わる取り決めなどをします。地域での活動を管理するのが自治体の役割で、管理組合とは組織の目的が大きく異なります。
自治会に入るメリットとデメリットは?
自治会に加入することで、地域の人々との連携が強くなるのが最大のメリットで、イベントへの参加や防犯・防災などの安全確保がしやすいのが利点です。一方で、会費がかかったり地域活動に時間を取られやすくなったりするデメリットもあります。
いかがでしたか?自治会は決して加入義務のあるものではありませんが、地域の人々と助け合いしやすくするためには、入っておいたほうが何かと便利で安心です。ただし、長く住む予定ではなかったり、特に自治体などの案内がなかったりするエリアや単身世帯なら、無理に加入する必要はないでしょう。自治会は地域によって運営方針に大きな差があるので、自分の住む場所や生活状況に応じて、本記事を参考にしながら検討してみてください。
物件を探す