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一戸建ての台風対策!災害から家を守るための準備や、被害を受けた時の対処法

一戸建ての台風対策!災害から家を守るための準備や、被害を受けた時の対処法
近年は、特に台風が日本に上陸する頻度が多く、全国各地で大きな被害に遭うことも増えてきています。2023年初夏に発生した台風では、茨城県や埼玉県の一部にて床上浸水に見舞われました。 また台風以外においても、九州北部や秋田県でも記録的大雨により、広範囲で水害が起こっています。こうした自然災害が増加している昨今、大切なマイホームをしっかりと維持するには、やはり事前の対策が欠かせません。
そこで今回は、洪水などの被害に遭いやすい一戸建てにおいて、家を守るための方法を解説していきます。

台風でよくある家の被害は?

ではまず、台風によってどのような危険をともなうことが想定されるのか、以下から詳しく見ていきましょう。

飛来物による破損

台風では非常に強い風が何時間も続くことが多く、風力によって屋外のさまざまなものが飛来します。場合によっては、車やプレハブ倉庫などが横転するほどの力があり、重量物が吹き飛ぶことも。また比較的軽めの物品でも、風速の影響から、窓ガラスを割る勢いで飛来するケースがあります。さらに暴風になると、木や電柱が家に倒れてくることもあり、家の一部が破損する危険性も考えられます。

雨漏り被害

特に問題がないように見えていたとしても、台風によって、表面化していなかった劣化部分が浮き彫りになることも。特に屋根は、普段から雨風にさらされている部分でありながら、様子を確認するのが難しい一面もあります。そしてメンテナンスがうまくできていないと、元から傷んでいた場所が台風でさらに強いダメージを受けて壊れてしまい、雨漏り被害につながってしまいます。また強風で屋根材が吹き飛ぶことも、よくある被害例です。

浸水被害

台風による豪雨から、家が浸水してしまうケースが最近増えています。集中的な雨量で川が氾濫してしまい、道路などが冠水して地面が沈んでしまうためです。さらに下水道が逆流してしまい、家のなかの排水口から水があふれてくることも。床上浸水になると、家財など住戸内の大きな損害を受けてしまいますし、床下浸水でも基礎部分の腐食といったリスクが生じます。また洪水では車の水没といった、さまざまな被害が想定されるため、水害に向けた対策はしっかりと考えておく必要があるでしょう。

台風から家を守るための事前準備

もしもの時に備えて、非常食は最低3日分、できれば一週間分ストックしておくようにしましょう
もしもの時に備えて、非常食は最低3日分、できれば一週間分ストックしておくようにしましょう

ここまでに見てきたような被害を最小限にとどめるために、もし台風予報が出た場合に、あらかじめチェックしておきたいポイントをご紹介していきます。

室内窓のシャッターや雨戸を閉める

窓ガラスが割れるのを防ぐためにも、台風が来る際には必ずシャッターや雨戸を閉めるようにしておきましょう。先ほども出てきたように、軽くても強風にあおられたものが飛んできてガラスに当たると、風の力で破損するケースがあります。窓ガラスを突き破って飛来物が入ってくること自体が非常に危険ですし、部屋のなかに散らばったガラスの破片でけがをする可能性も。台風の時には、窓の保護を忘れずにしておく必要があります。

窓に窓ガラス強化フィルムや飛散防止フィルムを貼る

もしシャッターや雨戸がないのであれば、窓ガラス強化用のフィルムを取り付けておく方法もあります。もしくは窓ガラス飛散防止フィルムを貼っておくと、破片の散らばりを防ぐ対策も可能。また緊急の場合には、段ボールなど自宅にあるもので保護するのも1つの手です。その他にも、養生テープを窓の室内側に隙間なく、ガラス全体を覆うように貼っておくと、窓ガラスの散らばりを防止できます。

植木や自転車等を屋内に入れる

屋外に置いてあるものは、基本的に玄関などの屋内に片付けるようにしましょう。自宅に向かって飛んでくる可能性もありますが、周りの住宅に飛来して破損させてしまうケースも考えられます。植木鉢といった園芸用品をはじめ、自転車・テラステーブルや椅子・物干し竿・サンダル・DIYグッズなど、すべて屋外から撤去しておきましょう。
室外機においても転倒防止金具なども市販されているので、もし移動が難しいものでも、吹き飛ばないように固定しておくのがベストです。

屋根を点検する

前述にもあるように、屋根は登って点検するのが難しく、知らないあいだに劣化が進んでいるケースも少なくありません。雨漏りや屋根材の飛来を防ぐためにも、定期的に外装の専門会社に依頼して、きちんとメンテナンスしておくことも大切。一気に破損して修繕するよりは、屋根に亀裂やほころびがないか確認してこまめに補修したほうが、最終的なコストも抑えやすいでしょう。もうすでに何年もメンテナンスしていないのであれば、台風が来る前に必ず一度チェックしておくのが無難です。

屋上やベランダの排水口を掃除する

屋上やベランダにある排水口に汚れが溜まっていると、水がうまく流れずに詰まってしまい、その周辺で劣化や腐食が進んでいるケースもあります。そうすると小さなすき間から水が侵入して、雨漏りの原因になることも。また排水口が詰まっていると、単純に水はけが悪くなってしまうので、豪雨による被害を受けやすくなります。もし庭などの屋外にも排水口がある場合には、こまめに掃除してキレイにしておき、水はけをよくしておきましょう。

玄関やガレージの前に土嚢を設置する

土嚢(どのう)は雨水の侵入を防ぐ土木資材で、台風予報が入ると、各市町村の役所や消防署などで無料配布している場合があります。もしくは土嚢ステーションといって、自由に持ち帰りができる場を設置していることも。またホームセンターでは、土を準備しなくても使える、吸水タイプの便利な土嚢袋も市販されています。あらかじめ用意しておくと、いざという時にも安心。ちなみに防災対策として、土嚢袋の使い方も、以下で簡単にご紹介します。

【土嚢の並べ方】

  • STEP 1土嚢を置く場所にブルーシートを敷く
  • STEP 2土嚢の縛り口を家側に向け、水の流れに沿って上流側から下流側へ向かって並べる
  • STEP 3並べた土嚢は足で軽く踏み固め隙間がなくなるように密着させる
  • STEP 41段目を並べたら互い違いになるように2段目を重ねていく
  • STEP 5さらにブルーシートで土嚢全体をくるむ

家電のコンセントは抜いておく

飛来物や浸水・雨漏りといった被害の他、もし台風や豪雨で付近に雷が落ちた場合には、コンセントを通じて高電圧が流れて家電が壊れてしまうことも。特にパソコンなどの精密機器は故障しやすいので、雷が鳴っている時には、家電類のコンセントは抜いておくようにしましょう。ちなみに床上浸水時には漏電ブレーカーが作動するので、感電の危険性は基本的にありませんが、電気が使えなくなる点には要注意。懐中電灯やモバイルバッテリーなども用意しておくと、より安全です。

防災グッズを用意する

台風予報が入った場合には、身動きが取れるうちに防災グッズを準備して、いざという時にはすぐにでも避難できる用意をしておきましょう。まず防災グッズは、両手が空くリュックサックにまとめておくのが基本。飲料・食料・貴重品・簡易的な日用品など、その他季節に合わせて、避難所で生活するためのアイテムを持ち出せるようにします。なお詳しい防災グッズについては、以下の記事でご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

キキクルやハザードマップで避難場所までの経路を確認

なるべく速やかに避難できるように、自宅の最寄りの避難場所は必ず確認しておくようにしましょう。各自治体から配布される防災マップや、もしくは市町村ごとの防災ポータルサイトでも、避難場所は確認できます。特に川が氾濫している際には、近付くと流されたり溺れたりする危険もあるので、避難経路に置いても注意が必要。どのルートで避難するのが安全なのか、あらかじめ把握しておくのがベストです。また家族との連絡方法や集合場所なども、事前に相談して決めておくと、お互いの安否もわかりやすくなります。

火災保険に水災補償を追加する

マイホーム購入時に住宅ローンを組む際、火災保険の加入が必須条件となります。ただし火災保険には入っていても、支払う保険料を考慮して、水災補償を外している場合も少なくありません。もし水害の危険性が想定されるようであれば、万が一の備えとして、水災補償の特約を追加しておくと無難。災害時の負担を少しでも抑えるためにも、より万全の補償があったほうが安心です。

万が一、台風の被害に遭ったらどうする?

自然災害は突然やってきます。万が一、被害に遭った際にはどうしたらいいのか、事前に知っておきましょう
自然災害は突然やってきます。万が一、被害に遭った際にはどうしたらいいのか、事前に知っておきましょう

しっかりと防災対策はしていても、勢力の強い台風などの場合、被害を完全に防ぐのは難しい面もあります。そこで台風で被災した場合の応急処置として、覚えておきたい対処法についてもご紹介します。

被害状況の写真を撮る

台風をはじめとした自然災害による損害も、火災保険の対象になります。なお火災保険の補償を受ける際には、さまざまな手続きが発生するなかで、保険会社に向けて被害状況を報告する必要があります。虚偽の申請を防ぐためにも、現場の写真の提出が求められるので、片付ける前に必ず撮影して証拠を残すようにしましょう。特に浸水だと、すぐにでも汚水や泥を撤去したいかもしれませんが、忘れず写真を撮るようにします。

保険会社に連絡をする

台風の場合、火災保険のなかで専用の補償があるわけではありませんが、損害の内容が風災・水災・落雷のどれかに当てはまれば保険が下ります。ちなみに家財も補償対象になっていれば、家具家電が水没した際の保険金も受給することが可能。建物と家財のどちらに保険がかかっているか、あらかじめ確認しておきましょう。

公的支援制度を受ける

台風などで甚大な被害を受けた場合に、各市町村に申請して許可を得ることで、国からの助成が受けられる公的支援制度がいくつかあります。もちろん損害状況によって異なりますが、生活を立て直すための補助金が出る制度もあるので、各市区町村のホームページなどで確認してみましょう。

台風に強い家の特徴は?

台風や豪雨の被害に遭わないために、家の屋根や外壁なども定期的にメンテナンスをおこないましょう
台風や豪雨の被害に遭わないために、家の屋根や外壁なども定期的にメンテナンスをおこないましょう

せっかく手に入れたマイホーム、なるべく長く住み続けたいですよね。では、台風などの天災に強い家とはどのような特徴があるのでしょうか。台風に強い家の特徴を知るとともに、今の家の弱点を知り、正しい備え方を学んでおきましょう。現在お住まいの家を強化したい方、今後住み替えや建て替えを検討している方はぜひ参考にしてください。

山の斜面や河川から遠く、標高が高い土地に建っている

当然ではありますが、水は物理的に高い位置から低い方向に向かって流れます。特に水害や土砂崩れなどの被害を防ぐためには、標高の高い立地であることも重要。少し場所が変わるだけでも高低差が大きくなっているケースもあるため、あらかじめハザードマップなどで、どのような土地なのか確認して備えておきましょう。

かさ上げ(盛り土)をしている

既存の建物であっても、1階部分の位置を高くするかさ上げ工事をすることで、水害に向けた補強も可能です。河川が近い立地にある場合には、建物を持ち上げて地面からの距離をなるべく遠ざけることで浸水が防げるため、こうしたリフォームによって耐久性を高める方法もあります。

鉄筋コンクリート(RC)造

鉄筋コンクリート(RC)造の家は、重量もあって強度が非常に高い住宅として知られています。外壁も強く倒壊しにくいため、暴風による被害も受けにくいのが特徴。土石流や洪水でも流されにくい耐久性があり、大きな自然災害でも建物自体が残りやすいメリットがあります。

耐風・防水性能が高い屋根材

屋根の形状や素材によっては、台風でも吹き飛びにくく、防災効果の高いものもあります。特に以下3種類の屋根材は、台風にも強いのが特徴です。

  • 防災瓦
  • 金属板
  • スレート屋根

防災瓦は釘などで固定した、瓦のなかでも特に風に飛ばされにくいタイプです。また金属板やスレート屋根は、防水効果の高い素材や強風に耐えやすい構造から、比較的台風に強いといわれています。いずれも耐久性が高いとはいえ、メンテナンスをしないと劣化が進んでしまうので、こまめな点検も重要です。

防水性の高い外壁

外装の耐久性を維持するためにも、10年に1回を目安として、防水に向けた外壁塗装工事をするのがベストです。特に以下のような劣化が見られる場合には、防水性が低下している可能性が高いので、一度専門会社にメンテナンスを依頼することをおすすめします。

  • 色あせや変色
  • ひび割れ
  • カビやコケなどが生えている
  • チョーキング現象(※)がみられる
    ※…壁を触ると粉が付着する現象
  • サイディングが浮いている等

平屋または三階建て

平屋は背の低い構造から、風圧の影響を受けにくく、建物が倒壊しにくい特徴があります。高さのないシンプルな構造のため揺れにも強く、台風に限らず地震にも耐えやすいとされています。もしくは水害が想定される土地であれば、三階建てにして生活スペースを二階以上にすれば、浸水の損害を受けにくくなります。三階建てなら、広い土地がなくても床面積が増やせるので、敷地が狭い場合の水害対策にもおすすめです。

この記事のまとめ

ではここからは、本記事の簡単な総括として、よくある疑問や不安についてまとめてみました。

台風でよくある家の被害は?

台風でよく起きる被害が、強風や飛来物による建物の破損・雨漏り・浸水の大きく分けて3つです。また住宅の場所や台風のレベル次第では、土砂崩れによる倒壊の被害も想定されます。

台風から家を守るための事前準備は?

台風が来ることが予想される場合には、緊急の対策として、窓の保護・屋外の荷物の片付け・土嚢や防災グッズの準備・避難場所と経路の確認などをする必要があります。また台風が増えそうな季節に向けては、屋根などの点検や火災保険の内容のチェックをしておくと、より被害を抑えやすくなります。さらに台風に強い家に向けて、耐久性向上の改修工事をするのもひとつの方法です。

家が台風の被害に遭ったらどうする?

台風による損害にも火災保険が適用されるので、まず申請に向けた準備からはじめるのが無難です。被災現場の証拠写真が求められるので、片付ける前に撮影しておきます。また国による公的支援制度が受けられることもあるので、こうした手続きに必要なことを確認していきましょう。

台風では、強風や豪雨によるさまざまな被害が考えられ、普段から災害に強い家づくりや対策をしておくことが不可欠。もちろん建物の耐久性を維持するのも大切ですが、台風に対する心がまえも大切です。例えば防災グッズや水・保存食のストックの用意など、いざという時の備えも、焦らず対処するためには欠かせません。ぜひ本記事を参考に、できることから少しずつ、台風に向けた準備をしていきましょう。

執筆者

たけなつ

2019年よりフリーで活動しているWebライター。
広告会社でのコピーライターを経て、現在は幅広いジャンルのコラム記事などを執筆。
愛知・東京・北海道と各地を渡り歩き、19歳からの10年で7回引越しを繰り返す好奇心旺盛人。

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