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子どもを守るための家庭の地震対策を知ろう

小さな子どものいるご家庭では、大きな地震がきたときに備えて、子どもと一緒に避難する方法や地震から子どもを守る方法を考えておく必要があります。幼い子どもは、緊急時に正しい判断ができないかもしれませんし、大人ほど力が強いわけではありません。有事の際にどのようにして子どもを守るのか、日頃から防災意識を持っておくことが大切です。この記事では、地震から子どもを守るための知識をご紹介します。

大地震はいつ起きてもおかしくない

2011年の東日本大震災では、各地に多くの被害が及びました。これから起きるといわれる直下型地震や南海トラフ地震についても、不安に感じている方が多いのではないでしょうか。これら災害の特徴は、突発的で予測が難しいところです。たとえば深夜や早朝など、人が油断しているタイミングで突然起こるケースも少なくありません。大地震が起こった際にスムーズに対応するためには、普段の心がけが非常に大切なのです。子どもや家族の命を守るために、家庭でできる地震対策を知っておきましょう。

子どもがいる家庭ですべき地震対策

地震対策では、主に「被害を抑えるための工夫」と「緊急時の備え」が重要です。以下で、具体的な対策を詳しくご説明します。

家具の転倒を防ごう

子どものいる家庭であれば、部屋にはさまざまな家具や生活用品が置いてあるのではないでしょうか。こうした家具に対しては地震が起きた際に転倒・散乱しないよう、あらかじめ工夫を施すことが大切です。まずは転倒防止用の地震対策グッズをご紹介します。

突っ張り棒

突っ張り棒は、たんすや棚といった、背の高い家具を固定するために使うアイテムです。家具と天井、壁の隙間に突っ張り棒を挟むことで、家具を安定させるグッズです。家具を固定しておかないと、大地震発生時に巨大な家具が転倒してくる可能性が大いにあります。もし寝ている間に大型のタンスなどが倒れてきたら、生命に関わる大事故に繋がるかもしれません。そういったリスクを避けるためにも、倒れてきたら危ない大型家具には突っ張り棒を設置しましょう。

固定ベルト

固定ベルトは突っ張り棒と同じく、家具の転倒防止のために使うベルトです。使い方はベルトの種類によってさまざまですが、一般的にはベルトの金具を家具にとりつけ、反対側の金具を壁に固定します。これによって、大きな地震が来ても家具は転倒せず、被害を抑えることができます。

耐震ジェルマット

家具や家電の足元を工夫することでも地震対策が可能です。耐震ジェルマットは、床の上に敷いて使う防災グッズです。マットの表面が粘着質になっていて、その上に乗せた家具を固定できるというものです。大きな震動がきても、簡単には家具が転倒しにくくなります。
注意点としては、「震度7にも対応」「絶対に転倒防止」などのキャッチフレーズを過信しないことです。耐震グッズはあくまで防災の補助として考え、乗せる家具の種類や配置なども工夫しましょう。

滑り止めシート

滑り止めシートも、耐震ジェルマットと同じように生活用品の下に敷いて使う防災グッズで、耐震ジェルマットよりややコンパクトなサイズです。本棚や食器棚に用いられ、本や食器が落ちてこないようにするために使用します。収納物が多くて、地震が起きたときが不安という場合に使うとよいでしょう。食器類が落下すると、ガラスの破片などが飛び散り避難難易度も上がります。怪我につながる可能性もありますので、食器類の下には滑り止めシートを敷いておくことをおすすめします。

耐震ラッチ

ラッチとは、ドアや戸が勝手に開閉することを防ぐための器具です。地震が起きたら本棚や食器棚の戸が開いて、中のものが落下してくるかもしれません。ドアや窓が強い揺れで外れてしまうのも危険です。こうした事態を防ぐために、耐震ラッチをドアや戸に取り付けておきましょう。

耐震グッズは簡単に手に入る

粘着性の強いタイルや固定用の金具など、耐震グッズはさまざまな種類が販売されています。これらのアイテムはホームセンターや100円ショップのほか、ネットショップでも探せます。自分の家の家具を見渡し、サイズや用途に適した耐震グッズを選びましょう。

子ども用の防災グッズ(非常持ち出し袋)を準備しよう

大地震が起きた際には、近くの避難所まで避難しなくてはならないケースも発生します。いざというときにすぐに避難できるように、自分の防災グッズだけではなく子ども用の防災グッズも用意しておきましょう。多くの家庭では「非常持ち出し袋」と呼ばれるカバンに、防災グッズを詰め込んで備えています。いざというときにすぐに持ち出せるよう、子ども用の非常持ち出し袋の中身について解説します。

リュック

持ち出し袋に選ぶのはリュックが得策でしょう。リュックは背負ってしまえば両手が空くからです。地震発生時には、どのような場面に遭遇するかわかりません。何かが倒壊してきたり、自分が転んでしまったとき、両手の自由が利かないのは危険です。リュックなら急いで逃げるときも、邪魔になりにくいでしょう。

ネックライト

暗闇の中で避難するときの光源は「ネックライト」がおすすめです。懐中電灯は手がふさがってしまいますし、ヘッドライトは装着するのにコツがいるので小さい子どもには難しいかもしれません。ネックライトは首から下げるだけなので、両手も開けられますしライトのオンオフも簡単におこなえます。

子どもが飽きないおもちゃ

まだ幼い子どもは、災害時に避難しなければならない意味を理解できず、避難生活に飽き不機嫌になったり、悲しい気持ちになったりすることがあるかもしれません。そのようなときに慣れ親しんでいるおもちゃがあれば、不安な気持ちやストレスを緩和させることができます。食料や水分など、命にかかわる必需品ではないため忘れがちではありますが、できる限り防災グッズに加えておきたいアイテムです。

おやつ

子どもの好きなおやつも防災グッズに入れておきましょう。おもちゃと同じく、おやつは子どものストレスを緩和させることができます。また、非常食が子どもの口に合うかどうかわかりません。できるだけ食べ慣れている、子どもが好きなおやつを選んであげましょう。家に帰れるまでのカロリー補給としても役立つでしょう。

飲料水

震災時には水道が壊れ、飲料水を確保できなくなるおそれがあります。水不足は生死にかかわるので、多めに備蓄しておきましょう。避難先で飲料水を配ってもらえる可能性もありますが、水の配給には限度があり、子どもが喉の渇きを我慢しなければならないような事態になりかねません。飲料水は重いので大人が多めに持ち、子どもには小さいサイズの飲料水を持たせてあげるといいでしょう。

ウェットティッシュ

ウェットティッシュは応用の効くアイテムです。水の代用品として汚れた手を拭いたり、食器を洗ったり、アルコール濃度の高いものであれば除菌するときに使えます。赤ちゃんのおしりふきがない場合、ウェットティッシュで代用することも可能です。

連絡先がわかるメモなど

子どもがはぐれてしまったときのために、住所や連絡先がわかるようなものを持たせておきましょう。特に幼少期の子どもは、知らない大人相手に基本的な情報を上手く伝えられないかもしれません。一目で子どもの情報が分かるようなメモや名札があると安心です。

そのほか、災害時に役立つグッズは以下の記事でもご紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

飲料や食品を備蓄しておこう

いざというとき、自分たちの食料はもちろん、子どもが好んで食べるものがなければ困ります。自分たちの食料以外にも、子どもが好きなお菓子やジュースなどを多めにストックしておきましょう。

ローリングストック法とは

備えて、消費し、買い足す 「ローリングストック法」

飲料や食品を備蓄する際のテクニックとして活用したいのがローリングストック法です。ローリングストック法では、生活必需品を多めに買い込みます。そして、余った分を緊急時のための備蓄とします。新たに同じものを買ったときは、消費期限や賞味期限の迫っている備蓄分から使っていきます。こうやって、家の中に飲料や食品の備えが一定量保たれているようにする方法です。実践しやすい防災の備えになりますので、ぜひ試してみてくださいね。

地震発生に備えて子どもと確認したいこと

大きな地震があったとき、子どもがとるべき行動は大人からしっかり伝えてあげましょう。以下に確認点をまとめました。

緊急連絡先を共有する

大きな揺れがあったときのために、緊急連絡先リストを作っておきましょう。父親や母親、祖父母、叔父や叔母など、近しい家族や親戚を中心にしておきます。もしも災害時に家族と離れてしまったとしても、自分自身や周囲にいる人の手でリストをもとに連絡できるようにしておけば安心です。

身の安全の守り方を教える

幼い子どもには身の守り方を丁寧に教えてあげましょう。たとえば揺れを感じたら、机の下に潜って頭を守るのが基本です。また、落ちているガラスは危ないから触らないと伝えましょう。大地震のときは、立つことも動くこともできないかもしれません。大きな揺れが収まるまで、じっと安全な場所で耐えることが肝心です。そのほか、「エレベーターではなく階段を使う」「暗くても火を使わない」「電気をつけない」「はだしでは外に出ない」など日常的に伝えておきましょう。

防災グッズの場所を教える

懐中電灯や自分用の持ち出し袋の場所など、いざというときに必要になるものがどこにあるのかを一緒に確認しましょう。一緒に非常用持ち出し袋をつくり、場所を確認しながら収納までできることが理想です。

避難経路と避難場所を一緒に確認する

実際に、子どもと避難所までの経路を歩いてみましょう。「ここの塀は崩れそうだから近づかない方が良さそうだ」「川の近くは危ないからこっちのルートで行こう」など、考えながら歩くことが重要です。そうすれば、近くても危険なルートや、遠回りでも安全なルートなどが見えてくるでしょう。

地域住民向けの避難訓練に参加する

多くの自治会では避難訓練を実施しています。親子で参加することで近隣住民とのコミュニケーションにもなり、緊急時に頼れる相手を増やせます。

キッズ向け携帯を持たせる

最近のキッズ向け携帯は機能が充実しています。主に親と子どもが連絡することに特化した携帯で、子どもがどこにいるかが分かるGPS機能、災害ダイヤルへすぐに繋がる機能など、緊急時に役に立つ機能が多く搭載されています。「うちの子にはまだ早いかも」と躊躇している方には、子どものいる位置を確認できる見守り用GPSもおすすめです。お子さんのライフスタイルに合ったものをぜひ検討してみてください。

もしも子どもが留守番時(or学校にいるとき)に災害が起きたら? 

子どもが留守番をしている際、あるいは学校に行っている間に災害が起きたとき、やるべきこととやってはいけないことをまとめました。以下、あらかじめ子どもと一緒に確認しておきましょう。

<留守時の場合>

【やるべきこと】

  • 揺れが収まってから連絡を入れる
    すぐに連絡をするのではなく、最優先すべきは揺れが収まるまで自分の身の安全を守ることです。
  • 避難場所を確認する
    日頃より、大きな地震があったら避難する場所を家族間で共有しておきましょう。
  • 近くの大人に助けを求めさせる
    親が仕事や買い物で出かけており子どもだけ家にいる場合、近所の人や親戚に助けを求められるよう関係構築をしておきましょう。
  • すぐに自宅まで帰る
    時と場合にもよりますが、子どもが出かけ先で地震に遭遇してしまった場合、速やかに親または頼れる大人と合流できるよう帰宅を命じておきましょう。

【やってはいけないこと】

  • 一人で行動させる
    子どもだけでいることは非常に危険です。速やかに親、または信頼のおける大人と行動できるよう日頃からコミュニケーションをとりましょう。
  • 目的地を告げずにとりあえず家から避難させてしまう
    合流できなくなるリスクがあるので絶対にやめましょう。できることなら避難は一緒にするか、一緒に避難ができない場合は、学校や近所の公園など行き慣れた避難所を指定して避難させましょう。

<学校にいる場合>

【やるべきこと】

  • 先生や近くの大人に助けてもらう
    学校にいる際に地震が起きた場合は、学校にいる先生の指示に従わせましょう。
  • 避難所や公園など、二次被害の起こりにくい場所に移動させる
    学校が必ずしも安全な場所とは限りません。自治体が定めている避難所に、周囲の先生や友だちと一緒に避難しましょう。

【やってはいけないこと】

  • 子どもを学校に待機させる
    子どもを単独で学校に待機させることは、心に大きな負担がかかります。二次災害のリスクも考えて、速やかに子どもと合流しましょう。
  • 単独行動を煽る
    自分の身を自分で守れるようにすることは大事ですが、一人で何でもできるようにとプレッシャーをかけることはやめましょう。まずは周囲の大人に助けを求めることを覚えさせましょう。

まとめ

子どもと日ごろから地震について話しておくだけでも防災につながります。いざという事態をシミュレーションしながら、子どもの目線に立って備えておくことが大切です。防災備蓄設備ありのマンションを選ぶとより安心感が増すので、防災設備つきの物件特集も参考にしてみてください。

執筆者

小倉 ひろ

京都府在住。フリーライター、イベンター。地元で文化事業の運営をしてきた経験から、地方行政に興味を持つ。まちおこし、一次産業についての記事を数多く執筆。近年では愛猫との生活を経て、ペット関係の文章も手掛けている。

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