地盤改良が必要ない土地の見分け方は?注意点を含めて徹底解説
本記事では、地盤改良が必要ない可能性が高い土地の特徴と見分け方を紹介します。記事を読むことで、土地探しが初めての人でも地盤改良に関する知識を、幅広く理解できるようになるでしょう。
記事の目次
地盤改良が必要ない可能性が高い土地の特徴

地盤改良が必要ない土地には、共通する特徴があります。特徴を理解して土地選びの参考にすることで、あとから地盤改良工事が発生するリスクを避けやすくなります。地盤改良が不要になる可能性が高い土地の特徴をそれぞれ見ていきましょう。
高い標高にある土地
標高の高い土地は、地形的に水が溜まりにくく水はけがよいため、地盤が強固な傾向にあります。雨水が地面に留まりにくいと、土がやわらかくなる時間が短く、長い年月をかけて強い地盤が形成されているケースが多いです。また、高台にある土地は、洪水などの災害リスクが比較的低いため、総合的に安全性が高いと判断できるでしょう。
古くから地層が形成された土地
古くから形成された地層は、長期間の圧力や自然の働きにより、強固な地盤になっていることが特徴です。建物の荷重に対して地盤がしっかり耐えられるため、沈下が起きにくいでしょう。台地や丘陵地などに見られる古い地層は、地下深くまで固い層が続いていることが多く、建物を支える力が十分に期待できます。
自然地盤の土地
自然地盤の土地とは、人工的に土を盛ったり、削ったりしていない、元々の地形がそのまま残っている土地のことです。盛り土をおこなった造成地と比べると、土が沈みにくいため、地盤が安定しており地盤改良が必要ない可能性が高いでしょう。
地盤改良が必要ない土地の見分け方

地盤改良が必要ない可能性が高い土地の特徴を踏まえたうえで、参考になる見分け方を以下にまとめました。それぞれ詳しく解説します。
地名の漢字に着目する
地名は、昔の地形や土地の性質を知るための大切な情報源です。地盤改良が必要ない土地を探す時には、地名に使われている漢字に注目すると、過去の土地の状態を推測しやすくなります。
例えば、「高」「台」など、高台や硬い地盤を連想させる漢字が使用されている地域は、高い場所にあるため、地盤がしっかりしている可能性が高いです。一方、「川」「池」など水を連想させる漢字、「田」「畑」など農耕地を連想させる漢字、「下」「低」など低地を連想させる漢字が使用されている地域は、地盤改良が必要になりやすいでしょう。特定の地域の地盤状況を推測できる漢字を、以下にまとめました。
| 地域の特徴 | 主な漢字 |
|---|---|
| 高い場所や固い地盤 | 台・丘・高・上・岡 |
| 水のある場所 | 川・池・沼・泉・浜・袋・江 |
| 農耕地 | 田・畑・原・野・稲 |
| 低地 | 下・低・窪・堀・谷・沢 |
| 埋立地 | 梅・緑・馬 |
ただし、地名の漢字はあくまで傾向であり、必ずしもすべての地域にあてはまるとは限りません。家を建てる場所が決まっていない場合は、土地探しの参考にしましょう。
地盤の弱い地形を避ける
地盤改良が必要ない土地を選ぶ際には、地盤が弱くなりやすい地形を避けることが重要です。避けたほうがいい具体的な地形を以下にまとめました。
| 地形 | 特徴 |
|---|---|
| 三角州 | 河口付近に細かい土砂が堆積した地形 |
| 谷底平野 | 山間部の谷に沿って広がる細長い平地 |
| 沖積平野 | 河川の堆積物でできた平野 |
| 海岸平野 | 海岸付近に砂・泥・細かい土砂が堆積して できた地形 |
| 旧河道 | かつて川が流れていた部分が埋まった地形 |
| 埋立地 | 海や湖を埋め立てて造成した土地 |
これらの地形は、表面が固く見えても深い部分が弱いことがあるため、注意が必要です。地盤が弱い土地であるほど、地盤の改善に時間がかかり、大きな工事が必要になる可能性があります。
神社・仏閣が周辺にある土地を調べる
神社や仏閣の位置は、地盤改良の不要な土地を探す際の判断材料になります。神社・仏閣などの重要な建物は、地盤が弱い土地に建てることを避けており、洪水や土砂災害の影響を受けにくい高台や自然地盤が選ばれてきました。周辺に神社や仏閣がある土地は強い地盤である可能性が高くなります。
また、神社・仏閣など昔から続く建物は、地盤がしっかりした場所でなければ長く残りにくいです。古くからの建物が現在も残っていることが、地盤が強い証拠であると考えることもできます。そのため、強い地盤の土地を探すには、神社・仏閣を中心に古い建物が残っている土地を探すといいでしょう。
ハザードマップを見る
地盤の強さを判断するためには、「ハザードマップ」の確認が欠かせません。ハザードマップでは、浸水・土砂災害・液状化など、自然災害が起こりやすい区域が一目でわかるようになっています。リスクが高い地域は多くの場合、水に弱い地層が残っており、地盤が緩くなりやすい傾向にあります。
特に液状化の危険度が高い場所は、地盤が緩いことが多いです。家を建てる際には地盤改良が必要になることも。ハザードマップを確認して災害リスクが低い地域を選ぶことで、地盤の弱い土地を避けられるでしょう。
土地の歴史をさかのぼる
土地の安全性を見極めるには、現在の状態だけでなく、土地の歴史をたどることが重要です。以前は田んぼ・湿地だった土地が、現在は住宅地として整備されているケースは珍しくありません。造成によって見た目が整っていても、地中の地層が不安定なまま残っていることがあります。
古い地図や昔の航空写真を見れば、土地の歴史を知ることができます。図書館や国土交通省の「国土地理院」から過去の土地の情報を調べられるため、土地を購入する前に確認しましょう。
専門家による調査を受ける
地盤改良が必要ない土地を見分けるための最終的な確認として、専門家による調査を受けることが重要です。地盤は過去の地形や周辺の状況だけでは、判断が難しい場合もあります。専門家が実施する地盤調査では、地中の固さや強度、地下水位の高さなどを測定します。これにより、地盤が建物を支えられるかを正確に判断できるでしょう。
調査の結果、地盤が十分に強いことがわかれば、地盤改良は必要ありません。しかし、地盤改良が必要であっても、適切に工事をおこなわないと将来の大きなリスクになります。
地盤改良が必要になりやすい土地の特徴

地盤改良が必要ない土地を選ぶためには、強い地盤だけでなく、弱い地盤の特徴を知っておくことで正確な判断ができるようになります。地盤の状態が不安定で改良が必要になりやすい土地の特徴を見ていきましょう。
盛り土や造成によってつくられた土地
盛り土や造成によってつくられた土地は、表面が整備されていても、地中に不安定な部分が残っていることが多く、地盤改良が必要になるケースが多いです。人工的に積み上げられた土は、自然に固まるまで時間がかかり、短期間では十分な強度を得られません。
造成地は地形が大きく変えられているため、土の層に不均一な部分ができやすく、地盤の強さにムラが生じやすい場合もあります。
田んぼ・沼地・湿地だった場所
かつて田んぼや沼地、湿地であった土地は、地盤改良が必要になりやすいです。長期間にわたり水が溜まっていた場所は、地層の中に水分を多く含むやわらかい土が厚く残っています。表面がきれいに造成されていても地中に弱い層が残っているため、沈下の原因になります。
川沿い・海沿いなどの低地
川沿いや海に近い低地は、沖積層と呼ばれる新しい地盤で形成された土地であることが多く、地盤が弱くなりやすい傾向にあります。また、低地は地下水位が高いことが多く、雨が降り続くと土のゆるみが進むことも。液状化リスクが高く、洪水や高潮が発生した際に被害を受ける可能性があります。
地盤改良をしないとどうなる?

地盤改良には工事費用がかかるため、できる限り地盤改良が必要ない土地を選びたいところです。しかし、地盤改良が必要であるかは、目に見えるものではありません。地盤改良が必要ない可能性の高い土地であっても、実際は、地層内部に問題が生じていることも。
地盤改良が必要な土地で工事をしなかった場合は、以下のようなリスクが考えられます。
家が沈み込みやすくなる
地盤が弱い土地に地盤改良をせず家を建てると、建物の重みで地面が耐えきれず、沈み込みが起きやすくなります。地盤が弱い土地では、建物が建った部分に重さが集中し、バランスを崩して沈下が進むケースが多いです。
沈み込みはすぐに目に見えるわけではなく、数年かけて少しずつ進むことが多く、ドアが閉まりにくいなどのトラブルから発覚する場合があります。
建物が傾いて生活に不便が生じる
地盤が建物の重さを支えきれなくなり、沈み込み(沈下)が起きると、建物全体が傾く危険性も。水平でなくなるため、置いたボールが勝手に転がるようになります。床に立つと違和感を覚える場合や、椅子に座ると体が片方にずれる感覚が発生するかもしれません。ドアや窓の開閉にも支障をきたすため、生活の快適性が損なわれることにつながります。
外壁や基礎にひびが入る
建物が沈み込む状態が続くと、外壁や基礎にひび割れが生じることがあります。外壁に入ったひびは雨水の侵入を招くことがあり、内部の木材が腐り、カビの発生の原因にもなります。地盤の弱い土地に家を建てた結果、建物の寿命を大きく縮めることになるかもしれません。
耐震性が大きく下がる
建物は平らで強固な地盤の上でバランスよく支えられることで、強度を発揮します。しかし、建物を支える地盤が弱ければ、地震が起きた時に揺れが大きくなり、耐震性が大きく下がるでしょう。
最新の耐震等級を満たした建物であっても、地盤に問題があれば、優れた耐震性能を発揮できません。また、基礎部分のひび割れにより、建物そのものの強度が低下して、耐震性に影響する場合があります。
補修に高額な費用がかかる
地盤改良をせずに家を建てると、沈下や傾きが発生したあとに補修が必要となり、その費用が高額になることも。沈下や傾きが起きた住宅を元の状態に戻すには、建物を持ち上げて水平を調整する工事や、地中に追加の杭を打ち込むなどの高度で大規模な作業が必要です。
ひび割れた外壁や基礎の修繕も含めると、費用はさらに増加します。地盤改良をおこなわないリスクを考えると、必要性を正確に判断して地盤改良の実施を検討したほうがいいでしょう。
地盤改良工事の種類と相場

地盤改良工事は主に3種類あり、軟弱な地盤の深さや建物の重さに応じて適切な工法が異なります。地盤改良工事の種類と相場を、以下の表にまとめました。
| 工法 | 内容 | 相場 |
|---|---|---|
| 表層改良工法 | 地盤の表層を掘り起こし、固化材で地盤を固くする | 30万円~50万円 |
| 柱状改良工法 | 地中に円柱状の改良杭をつくって家を支える | 40万円~80万円 |
| 鋼管杭工法 | 鋼製の杭を硬い地層まで打ち込んで家を杭で支える | 90万円~200万円 |
表層改良工法は表層だけがやわらかい土地に適用されるため、他の工事と比較して安価な相場になっています。一方で、鋼管杭工法は地盤の軟弱層が深い土地に対応する工事であるため、場合によっては工事費用が100万円を超えることも。地盤改良が必要な場合は、専門家の調査によって適切な工法がわかります。
地盤改良に関する注意点

地盤改良に関する注意点は3つあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
地盤改良工事をおこなうと地価が下がる可能性がある
地盤改良工事をおこなった土地は、将来的に地価が下がる可能性があります。地盤改良に使った柱状改良や杭などの構造物は、将来の建て替え時に撤去が必要です。撤去費用がかかるため、その分の費用が土地の売却価格から差し引かれることも。
また、地盤改良工事の工法によっては土壌汚染のリスクがあり、浄化費用がかかるケースもあります。将来的に土地を売却する際に、売却価格が下落する原因になるため、最初から地盤改良工事が必要になる可能性が低い土地を選ぶことが重要になるでしょう。
地盤改良の必要性を自己判断しない
地盤改良が必要かは、見た目や周辺環境だけでは判断できません。地盤の強さは地中深くの層によって変わるため、表面に問題がなくても内部に軟弱な層が残っている可能性があります。周辺の建物で地盤改良工事が不要であっても、わずかな場所の違いで地下の層が変わるケースも考えられます。
見分けるポイントを理解していても、必要性を自己判断せず、専門家による地盤調査を実施するようにしましょう。地盤調査には費用がかかりますが、安心して暮らせる家を建てるためには必要なコストです。
複数のハウスメーカーの意見を比較する
地盤改良が必要かは、ハウスメーカー・工務店によっても判断が分かれることがあります。同じ土地でも、採用する工法や基礎の設計が異なれば、実施すべき改良内容が変わるためです。そのため、同じ専門家による調査結果でも、工事の規模や費用に大きな差が生まれることも。
したがって、複数のハウスメーカーの説明を聞いたうえで、納得できる説明をする信頼できる会社に住宅の建設を依頼しましょう。ただし、一方のハウスメーカーが地盤改良工事を必要と判断しており、もう一方のハウスメーカーは不要と判断する場合、不要である理由の詳細を聞かず費用のかからないほうの意見を選ばないようにしましょう。
上記のケースではハウスメーカーが必要と答えた理由を説明したうえで、なぜ不要であるのか納得のいく説明を求めるようにします。複数の専門家の意見を比較すれば、地盤改良工事の必要性を正確に判断できるでしょう。必要のない工事を実施するリスクを防ぎやすくなるため、地盤改良に対して過剰に費用をかけることを防げるようになります。
まとめ
地盤改良が必要ない土地を選ぶことは、家づくりの費用を抑えるだけでなく、暮らしの安心にも直結します。それは、工事費用がかからないだけでなく、洪水などの水害のリスクが低い土地であることも多いからです。
地盤の強さは見ただけでは判断できないため、最終的な判断は専門家に委ねることになります。しかし、自身で見分け方を理解して土地を選べば、地盤改良が必要のない土地を選べる可能性が高まるでしょう。
注文住宅を建てる

執筆者
長谷川 賢努
AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士
大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

