【実例】猫と暮らす家づくりのアイデアまとめ!猫の習性や適した間取りを徹底解説

記事の目次
猫のための家をつくる前に、猫の習性を理解しよう
猫のために家をつくるなら、まず猫の習性を理解してあげることが大切です。猫がどのような場所を好んで何を嫌がるのか知っておくことでトラブルを未然に防ぎ、より快適な空間を提供してあげることができるでしょう。
高いところがお気に入り

猫は外敵から身を守る習性が残っていることが多いため、周囲を見渡すことができる高いところが大好きです。これには猫の本能的な背景もあり、カーテンレールの上や冷蔵庫の上など、高さのある場所に登ることは自然なことといえます。また、猫にとっては上下運動が非常に重要になるため、猫と暮らす家にはキャットタワーを準備してあげましょう。
ただし、下りるのは苦手なことから、高いところに登ったのはいいものの、下りられなくて助けを求めるということもあります。そのため、猫が安全に高い場所に登ったり降ったりできるものを選ぶことが大切です。
狭いところが好き
猫は、狭く囲まれた場所に安心感を覚えることが多く、狭いところが大好きです。段ボールや押し入れの布団の中など、薄暗くて囲まれた場所に潜り込む姿をよく目にすることがあるのではないでしょうか。これは、猫が野生の頃、外敵から身を隠すため木に形成される穴など、狭い場所を寝床にしていた野生の名残。狭い場所を安全地帯だと認識しているためです。そのため、猫と暮らす家には、猫用の狭い場所を確保してあげるとよいでしょう。
爪とぎをする

猫は縄張りを主張したり、爪の健康維持、ストレス解消したりといった目的で爪とぎをおこないます。壁などに爪とぎして傷つける行為も縄張りの主張なので、壁や家具などは爪とぎの対策が必要です。
最近は貼って剥がせる、壁用の猫の爪研ぎ対策用フィルムが販売されています。必要に応じて、そうしたアイテムを活用してみると良いでしょう。なお、その際には爪研ぎ用グッズを代わりに設置してあげることが必須です。
家の中のパトロールが日課
猫は縄張り意識が高く、家の中のパトロールが日課です。パトロールは縄張り内に異変がないか、侵入者がいないかを確認するためのもの。猫がスムーズに移動できる動線の確保が求められるでしょう。
外の景色を見たり、日向ぼっこするのが大好き

猫は窓辺で外の様子を眺めたり、日差しのあたる場所で寝転んだりすることが大好きです。猫が外の景色を見たりするのは、縄張りの監視や好奇心、リラックス、日光浴などの理由から。そのため、日当たりのよいスペースを確保してあげましょう。
暑い・寒いは苦手
猫は暑い・寒いが苦手なため、室温管理がとても重要です。猫はあまり水を飲まない傾向にあり、特に夏場の熱中症対策は十分におこなう必要があります。猫は犬に比べて暑さに強いといわれていますが、子猫やシニア猫、鼻ぺちゃの猫種は体温調整がうまくできないため、特に注意してあげてください。
うるさい場所は嫌
猫は聴覚が優れており、大きな音や騒がしい環境は大きなストレスになります。静かなスペースを用意してあげることで、安心して過ごせる環境になるでしょう。
不潔なのは大嫌い
猫はとてもきれい好きで、不潔な場所は嫌いです。これは、獲物や外敵に自分の存在を気づかれないようにするためと考えられています。特に、トイレ周りの衛生管理が重要です。汚れていると排泄を我慢してしまうこともあり、我慢することで泌尿器系の病気や腎臓の病気を引き起こすこともあります。
猫のための家づくり9つのポイント
猫に快適に暮らしてもらうための家づくりには、いくつかの工夫が必要です。ここでは、猫の習性に合わせた家づくりのポイントをご紹介します。
キャットウォークやキャットステップを造作する

猫の運動欲求や高いところに登りたいという欲求を満たしてあげるためにも、キャットウォークやキャットステップを造作してあげましょう。キャットタワーだけでは下りられなくなってしまうこともあるので、キャットウォークやキャットステップは転落事故を防ぐことにも役立ちます。デザイン性の高いものを作ることもでき、インテリアとしてもおすすめです。
傷つきづらい材質の床・壁にする
猫と暮らす家は爪で傷つきやすいため、床材や壁紙は傷つきづらい材質のものを選ぶとよいでしょう。さらに、床材は滑りにくい素材を選んであげることで、猫のケガ防止にもつながります。
爪とぎ場所を設置する
猫の爪とぎは本能からの行動で、止めることはきません。無理にやめさせようとすればストレスとなり、体調不良の原因にもなります。そのため、猫が爪をとぎたくなるリビングや廊下、部屋の境目、コーナーなどに爪とぎ場所を設置してあげることが大切です。猫によって爪とぎの好みもあるので、愛猫がお気に入りの爪とぎを見つけてあげるとよいでしょう。
猫トイレの置き場所を工夫する

猫トイレの置き場所も工夫してみましょう。猫が利用しやすく、かつ掃除しやすい場所に猫トイレを設置するのがベストです。換気のしやすさや消臭対策も考慮に入れましょう。注文住宅では実際に、洗面所や人間用のトイレに専用スペースを作る方もいます。
ペットドアを活用する
ペットドアは、室内でも活用できておすすめです。入ってほしくない部屋には取りつけず、例えばトイレを置く予定の部屋など、猫が入れるようにしたい部屋に設置するとストレスなく移動できるでしょう。ペットドアを室内に設置することで、猫のパトロール行動にも配慮してあげられます。
キッチンなど危険な場所に立ち入れないよう工夫する
口にしてはいけない食材や、火や刃物など、キッチンには猫にとって危険なものがたくさんあります。また、水を貯めた浴槽なども危ないため、こうした場所に立ち入れないように工夫することも大切です。猫用の高さのあるフェンスやドアで対策をおこないましょう。
外の様子を見やすいようにする
猫は外の様子を見ることが好きなので、窓辺に猫がくつろげるスペースを作ってあげましょう。窓の近くにキャットタワーを置いてあげると、日向ぼっこや外の監視がしやすくなっておすすめです。
隠す収納を充実させる
猫は好奇心が旺盛で、ものを出しておくと誤って口にしたりイタズラしたりするリスクがあります。そのため、「見せる収納」ではなく「隠す収納」を徹底しましょう。
猫グッズは種類も量も多くなりがちで、生活感も溢れて見えるもの。隠す収納を充実させることで猫グッズをスッキリと隠せるだけでなく、猫の安全を保つことにも繋がります。
猫にとって危険なもの

家の中には、以下のように猫にとって危険なものがたくさんあります。口にすると中毒を起こしたり、命にかかわったりすることもあるため、十分に注意してあげましょう。
- 観葉植物
- アロマ
- 人間の食べ物
- 洗剤
- 薬
- 誤飲の危険性があるもの(ヘアゴム・輪ゴム・ボタン・ビニール・クリップなど)
観葉植物やアロマは、最初から置かない・使用しないという方法が取れます。しかし、人間の食べ物や洗剤、薬など猫が誤飲・誤食してしまう恐れがあるものは、しっかり収納する習慣をつけることが大切です。

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脱走対策をする
猫は外への関心や興味から脱走してしまうリスクがあるため、脱走対策をおこなうことは必要不可欠です。玄関やベランダなど、外に出やすい場所には脱走防止柵を設置したり、網戸を破られないようペット用網戸に貼り替えたり、網戸にフェンスを設置するなどの対策をおこないましょう。
【実例6選】猫と暮らす注文住宅をご紹介
ここで、猫と暮らす注文住宅の実例をご紹介します。さまざまな工夫がありますので、ぜひ家づくりの参考にしてください。
壁にキャットウォークを設置した家

木の温もりを感じることができるリビングには、壁にステップやキャットウォークを設置して安全に登れるようになっています。
猫が外を眺められるよう工夫された窓

老後の暮らしを見据えた動線が考えられている平屋です。キャットウォークの設置や窓の外を見られるような工夫があり、猫の快適さにも配慮がされています。
筋かいや梁を猫の遊び場に活用した平屋

リノベーションによって天井を取り払い、キャットステップを設置して、筋かいや梁を猫の遊び場に活用しています。壁と扉はできる限りなくし、猫も過ごしやすいすっきりとした空間になっています。
猫も人もくつろげる住まい

経年の格好よさにこだわったリノベーションで、愛猫2匹を主役に考えられています。垂木や梁を、猫たちのキャットウォークにしています。
パトロールしやすい回遊動線のある快適空間

猫好きの建築家が、猫のために考えて設計したリノベーション物件です。キャットステップの役割を兼ねた可動棚や、棚の上に出られる開口を設けるなど、随所に工夫が施されています。
扉が閉まっていても出入りは自由自在

間仕切りや建具を減らしたリノベーションの事例です。猫の爪で傷ついても気にならない足場板や、猫が喜ぶ土間を採用しています。猫トイレを設置した洗面所には猫用出入り口を設置して、扉が閉まっていても猫の出入りが自由自在です。
まとめ
猫と暮らす家づくりは、猫の習性を理解し、それに合わせた工夫を取り入れることが重要です。キャットウォークやペットドアといった設備面から、素材選び、収納、脱走対策まで、あらゆる角度から住まいを見直してみましょう。ここでご紹介した内容を参考に、猫と暮らす快適な家を実現させましょう。
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