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5000万円で注文住宅は建てられる?購入できる家のイメージやローンを組める年収を解説

5,000万円で注文住宅は建てられるのでしょうか
円安の影響で建築資材が高騰していることから、住宅の建築費用も上昇しています。注文住宅を考えている方は、予算がどれくらい必要なのか、5,000万円でどのような家を建てられるのかなど、気になることも多いでしょう。

そこで本記事では、注文住宅や土地の平均費用をはじめ、5,000万円で建てられる家のイメージや後悔しないための注意点を解説します。また、住宅ローンの返済シミュレーションもおこなうため、購入後の返済計画を立てたい方は、参考にしてください。

5000万円で注文住宅は建てられる?

注文住宅や土地の平均費用を解説します
注文住宅や土地の平均費用を解説します

そもそも5,000万円で注文住宅を建てることは可能なのでしょうか。まずは注文住宅や土地の購入にかかった費用の平均を見てみましょう。

注文住宅の平均費用

国土交通省の「令和5年度住宅市場動向調査」によると、注文住宅の建築資金は以下のとおりです。

  全国 三大都市圏
借入金 3,058万円 3,311万円
自己資金 1,261万円 1,632万円
合計 4,319万円 4,943万円

これを見ると、建築資金は5,000万円以内に収まっていることがわかります。また、人口が多い都市部は高くなる傾向にあることもわかるでしょう。ただし、このデータは土地の購入資金を除いたものです。地域や土地の条件にもよりますが、注文住宅を建築する際にあわせて土地を購入する場合は、5,000万円以上必要と考えられるでしょう。

土地の平均費用

次に、土地の購入費用はどれくらいかかっているのかを見てみましょう。国土交通省の「令和5年度住宅市場動向調査」によると、土地の購入資金は下表のとおりです。

  全国 三大都市圏
借入金 1,209万円 1,750万円
自己資金 720万円 1,063万円
合計 1,929万円 2,813万円

この結果より、土地購入費用に関しては、全国平均で2,000万円程度かかっていることがわかります。また、三大都市圏では3,000万円近くと、かなり高額です。地域によって購入費用の差は大きいことがわかるでしょう。

5000万円で建てられる注文住宅のイメージ

5,000万円で建てられる家はどのような家でしょうか
5,000万円で建てられる家はどのような家でしょうか

注文住宅の購入は何回も経験するものではありません。できる限り理想を叶えたいと考える方も多いでしょう。それでは予算が5,000万円の場合、どのような注文住宅を建てられるのでしょうか。
本章では土地をすでに所有しており、建築費の予算が5,000万円の場合と、土地を含めて予算が5,000万円の場合の2パターンで、それぞれどのような家を建てられるのかを解説します。

建築費5000万円の場合(土地あり)

建築事例「タイムレスな暮らしのアイデア、ふたつのプライベートガーデンがある家」 栃木ハウス(株)
建築事例「タイムレスな暮らしのアイデア、ふたつのプライベートガーデンがある家」 栃木ハウス(株)

建築費が5,000万円の場合、比較的グレードの高い住宅を建てられるでしょう。例えば、地下室を作ったり、木造ではなく、耐久性や耐震性に優れた鉄骨を採用できたりします。また、中庭や屋上など、注文住宅だからこそできる自由な設計も可能となります。3LDKや4LDKなど、広い間取りで開放感も感じられるでしょう。
設備や外装なども標準仕様のものでなく、オプション仕様のものを取り入れることができます。ただし、あれこれ希望を詰め込むと予算を超えてしまう可能性もあるので、反映させたいことに優先順位をつけておきましょう。

建築事例「五感に響く、未来性能サステナブルデザインのお住い」(株)リビングディー第一建設
建築事例「五感に響く、未来性能サステナブルデザインのお住い」(株)リビングディー第一建設

さらに、ZEH住宅や省エネ住宅にし、一年中快適に過ごすこともできます。なお、ZEH住宅とは、断熱性能を高め、太陽光発電などの省エネ設備の導入によって消費エネルギーを少なくする住宅のことです。このように建築費が5,000万円あれば、おおよその希望を叶えた住宅を建てられる可能性が高いでしょう。

土地代込みで5000万円の場合

建築事例「スキップガーデンはうす」PLEO 山庄建設(株)
建築事例「スキップガーデンはうす」PLEO 山庄建設(株)

土地代は都市部ほど高くなる傾向があるため、場所によって住宅にかけられる予算は異なります。そこで、土地が2,000万円、注文住宅が3,000万円とした場合の家のイメージを見てみましょう。
予算が3,000万円の場合、木造が採用されることが多くなります。木造のメリットは調湿効果。室内の湿度を適切に保ってくれるため、快適に過ごせるでしょう。また、30〜35坪程度なら、4LDKも可能です。他にも、お風呂やキッチン、トイレなどの設備は、ハイグレードのものを選択できます。住宅にかけられる予算が3,000万円あれば、平均的な注文住宅が建てられるでしょう。

建築事例「ブラック外観の“好き”をちりばめたインダストリアルMIXテイスト」(株)オレンジハウス
建築事例「ブラック外観の“好き”をちりばめたインダストリアルMIXテイスト」(株)オレンジハウス

5000万円の注文住宅を建てられる年収はどれくらい?

5,000万円の注文住宅を建てるには年収がどれくらい必要なのでしょうか
5,000万円の注文住宅を建てるには年収がどれくらい必要なのでしょうか

予算が5,000万円あれば、土地代を含めても標準仕様以上の住宅が建てられます。それでは、年収はどれくらいあれば問題ないのでしょうか。まずは返済シミュレーションから見てみましょう。

住宅ローン5000万円の返済シミュレーション

住宅ローンを5,000万円で組んだ場合のシミュレーションをおこないます。条件は次のとおりです。

<条件>
借入金額:5,000万円
借入金利:1.86%(全期間固定)
返済期間:35年
返済方式:元利均等方式

月々の返済額 16万2,062円
総利息額 1,806万5,891円
返済総額 6,806万5,891円

月々の返済額は16万2,062円となりました。例えば月収が40万円の場合、返済比率は40%となります。返済比率とは、収入に対する住宅ローン返済額の割合のこと。なお、一般的に無理のない返済比率は20%とされています。この場合、月収が約81万円の時、住宅ローン5,000万円でも無理のない金額ということになります。

注文住宅を購入した人の平均年収

前項のシミュレーション結果では月収が約81万円、年収にすると約972万円の時、住宅ローンが5,000万円でも無理のない金額となりました。それでは、実際に注文住宅を購入した方の世帯年収のデータを見てみましょう。

注文住宅購入者の世帯年収別に見た割合です
注文住宅購入者の世帯年収別に見た割合です

参考:国土交通省「令和5年度住宅市場動向調査

これを見ると、全国では年収が「600万円以上800万円未満」、三大都市圏では「800万円以上1,000万円未満」がもっとも多いことがわかります。平均世帯年収は全国で915万円、三大都市圏で989万円となっており、三大都市圏のほうが比較的、高所得の世帯が多いことが読み取れるでしょう。

5000万円の住宅ローンを組む際の必要年収

住宅ローンをどれくらい借りられるのか知りたい場合、「年収倍率」という考えがあります。年収倍率とは、住宅を購入する際にかかる費用を世帯年収で割って算出するもの。つまり、年収の何倍まで住宅ローンを借りられるのかを計算するものです。目安としては5〜7倍とされています。

例えば、住宅ローンが5,000万円の場合、年収は約700万円〜1,000万円。しかし、年収約700万円(月収にすると約58万円)だと、月々約16万円の返済をする場合の返済比率は約27%となります。月収に対して住宅ローンの返済額が約3分の1を占める計算となり、収入が減ったり、子どもの教育費などで支出が増えた場合などは、返済が厳しくなる可能性もあるでしょう。そのため、住宅ローンは無理のない返済ができる金額を借り入れることが大切です。

5000万円の注文住宅で後悔しないための注意点

注文住宅で後悔しないためのポイントを解説します
注文住宅で後悔しないためのポイントを解説します

住宅ローンは、借入期間や金利タイプなど変更できるものもありますが、借入金額は変更できません。一度契約すると、完済するまではその金額を返済し続けることになります。「借りすぎた……」と後悔しないためにも、注意点を押さえておきましょう。

住宅ローンを無理なく返済できる金額で組む

住宅ローンは、無理なく返済できる金額を借り入れましょう。身の丈に合わない金額を借りてしまうと、家計を圧迫し、場合によっては破産してしまうおそれもあります。また、毎月の返済額が大きな負担となり、精神的に追い詰められてしまうかもしれません。さらに、住宅ローンの返済額が多いと、子どもの教育費や老後資金など、将来的に必要な資金の貯蓄が難しくなる可能性もあります。例えば、子どもが小学校から私立の学校へ進学するのであれば、住宅にかけられる予算は少なくなるでしょう。
現在の収入や借り入れ状況だけでなく、今後のライフプランも踏まえ、無理なく返済できる金額を借りることが重要です。

維持費も考慮する

住宅ローンを組む際には、維持費も考慮しましょう。住宅を購入したあと、必要になる費用は住宅ローンだけではありません。維持費として、次のような費用がかかります。

  • 固定資産税・都市計画税
  • 修繕費
  • 損害保険料

固定資産税や都市計画税は、土地や建物などの固定資産を所有している方に課せられる税金です。毎年、固定資産が所在する地方自治体に納めます。修繕費は、建物や設備が故障した際に必要。また、住宅の劣化を防ぐためにも、定期的なメンテナンスは欠かせません。損害保険料とは、火災保険料や地震保険料のことです。1年ごとに契約を更新したり、5年分など数年分をまとめて加入することもできます。住宅ローンの返済額だけでなく、これらの費用も考慮し、住宅にかけられる金額はいくらなのかを計算してみましょう。

希望条件に優先順位を付ける

注文住宅で後悔しないために、希望条件に優先順位を付けましょう。注文住宅は人生に一度の大きな買い物です。施工実例を見ていると、さまざまな希望が出てくるでしょう。「せっかく購入するのだから」と希望をすべて叶えようとすると、予算を大幅に超えてしまい、住宅ローンの返済が厳しくなるかもしれません。反対に条件がなかなか決まらず、設計が進まないことも。家族全員で話し合い、譲れない条件と妥協できる条件を明確にしましょう。優先順位を付けることで、予算内で満足のいく住宅を建てられるでしょう。

実績が豊富な工務店・ハウスメーカーに依頼する

工務店やハウスメーカーを選ぶ際は、複数社を検討し、実績が豊富なメーカーに依頼しましょう。ハウスメーカーによって、得意とする構造や実現できるデザイン、アフターサービスは異なります。実績が豊富であれば、設計や施工のノウハウが蓄積されているため、自分の要望に合った住宅を建てられるでしょう。複数のハウスメーカーに見積もりを依頼し、自分に合った会社を選びましょう。

まとめ

本記事では、5,000万円で注文住宅を建てられるのかを解説しました。土地代を含めても、標準仕様以上の住宅を建てられるでしょう。ただし、希望を詰め込みすぎてしまうと、予算オーバーになってしまう可能性もあります。予算内で収めるためにも、確実に叶えたい条件と妥協できる条件を明確にしましょう。また、住宅ローンの返済額だけでなく、購入後にかかる費用やライフプランで必要となる資金も考慮したうえで、返済計画を立てることが大切です。
ファイナンシャルプランナーなどのプロに相談し、納得できる注文住宅を建てましょう。

民辻 伸也

執筆者

民辻 伸也

宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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