このページの一番上へ

固定資産税は何坪から高くなる?税金を安く抑える土地・建物の選び方

固定資産税は何坪から高くなるでしょうか
不動産を所有している限り、毎年避けて通れないのが固定資産税の支払いです。注文住宅や建売住宅を検討する際、「何坪を超えると税金が高くなるのか?」と気になる方も多いことでしょう。固定資産税には土地と建物のそれぞれに、減税が受けられる上限面積が設定されています。上限を知らずに設計すると、入居後のランニングコストで大きな損をしてしまうかもしれません。

本記事では、固定資産税が高くなる具体的な面積や、税額を抑えるための対処方法まで解説します。

記事の目次

固定資産税が高くなる面積の境界線と仕組み

固定資産税が高くなるのは何平方メートルからでしょうか
固定資産税が高くなるのは何平方メートルからでしょうか

家を建てる際、多くの人が広い土地に大きな家を建てたいと考えることでしょう。しかし、土地が広くなるほど毎年の固定資産税は高くなりやすいです。固定資産税には、一定の面積を超えると減税率が下がったり、優遇措置が消滅したりする数字の壁が存在します。上限を正確に把握しなければ、入居後に想像以上の税負担が発生することも。土地と建物それぞれに設定された、固定資産税が高くなる面積に関する内容を解説します。

土地は200平方メートル(60.5坪)が税率の分岐点

土地の固定資産税で意識すべき数字が200平方メートル(約60.5坪)です。日本の税制には、住宅が建っている土地に対して課税標準額を大幅に下げる住宅用地の特例があります。特例は面積によって2段階に分かれています。

200平方メートルまでの部分は小規模住宅用地とされ、固定資産税が本来の評価額の6分の1、都市計画税が3分の1にまで圧縮されます。しかし、上限を1平方メートルでも超えると、超えた部分は一般住宅用地扱いになり、固定資産税は3分の1、都市計画税は3分の2になります。
例えば、250平方メートルの土地を購入した場合、200平方メートルまでは固定資産税が6分の1になります。しかし、残りの50平方メートルは固定資産税の軽減率を3分の1として計算するため、固定資産税が高くなるでしょう。住宅用地の特例の上限を超えた部分の面積に関しては税負担が急増します。将来のランニングコストを考えると、土地探しの段階から意識が欠かせません。

建物は120平方メートル(36.3坪)を超えると減税効果が薄れる

建物部分にも、固定資産税が高くなる境界線が存在します。それは120平方メートル(約36.3坪)です。新築住宅を建てた場合、一般住宅特例であれば3年間、長期優良住宅であれば5年間、建物の固定資産税を半分にする特例があります。しかし、2分の1減税は床面積120平方メートルまでしか適用されません。もし延床面積が150平方メートルの家を建てた場合、120平方メートル分までは税金が半分になりますが、残りの30平方メートルには減税されず、通常どおりの税金がかかります。

一般的な一戸建ての平均的な広さに近いため、意識して設計しなければオーバーしてしまうことも。無条件で建物の税金が一定期間半分になると思い込んでいると、想定よりも高い納税通知書が届く原因になります。

新築住宅の固定資産税軽減措置が受けられる基準

土地や建物の減税額が段階的に変わる壁とは別に、減税そのものが受けられるか、受けられないかどうかを決める上限があります。新築住宅の固定資産税軽減措置を受けるためには、床面積が50平方メートル以上280平方メートル以下であることが条件です。

万が一、二世帯住宅や豪華な大型住宅を計画し、延床面積が280平方メートル(約84.7坪)を超えた場合、前述した新築住宅の固定資産税軽減措置が一切受けられなくなります。

280平方メートルは、ビルトインガレージや大きな吹き抜け、共用スペースの多い二世帯住宅などでは、意図せず到達する可能性があるでしょう。設計の段階では、延床面積の条件の確認は欠かせません。

中古住宅は住宅用地の特例措置が対象になる

中古住宅は、新築住宅の固定資産税軽減措置の対象外になります。中古住宅の固定資産税は、建物の構造、築年数、建物を現時点で再建した場合にいくらかかるかどうかを基準とする再建築価格をベースに算出されます。面積が広いほど評価額は高くなる傾向にあるでしょう。
ただし、中古住宅でも、住宅用地の特例措置は存在します。家が建っている限り、土地の住宅用地の特例は継続されるため、中古一戸建てを購入する際も、土地面積が200平方メートルを超えている場合は、固定資産税額が高くなるでしょう。中古住宅の固定資産税を考える場合は、土地面積を意識した方が、維持費を節約しやすくなります。

軽減措置の有無で違う固定資産税の税額シミュレーション

固定資産税の納税額をシミュレーションしてみましょう
固定資産税の納税額をシミュレーションしてみましょう

固定資産税の仕組みで、面積による上限が重要である理由は、税額に直結するためです。しかし、具体的にいくら税金が変わるのかをイメージできている人は少ないかもしれません。軽減措置が適用されるかどうかで、年間の維持費には数万円、数十万円以上の差が生じる場合も。具体的な数字を用いて固定資産税の納税額のシミュレーションをおこないます。

固定資産税の基本的な計算式

固定資産税の基本的な計算式は以下のとおりです。
固定資産税額 = 課税標準額 × 1.4%(標準税率)

課税標準額とは、自治体が決定する固定資産税評価額をもとに算出される金額です。ただし、必ずしも評価額が課税標準額にはなりません。前述した住宅用地の特例や新築住宅の減額措置が適用される場合、課税標準額が圧縮されます。

標準税率は1.4%とする自治体がほとんどですが、稀に異なる税率を設定している地域もあります。また、市街化区域内の場合、都市計画税が加算されるため、自身のエリアの税率設定を事前に確認しましょう。

更地と住宅用地の固定資産税額の比較

土地に家が建っているかどうかで、固定資産税は大きく変わります。評価額3,000万円、面積250平方メートルの土地を例に比較しましょう。

まず、家が建っていない更地の場合、軽減措置は一切ありません。
3,000万円 × 1.4% = 42万円が毎年の税額です。

一方、ここに家を建てて住宅用地になる場合、200平方メートルまでの部分は6分の1に、超えた50平方メートル分は3分の1に軽減されます。
①200平方メートル分:(3,000万円 × 200/250) × 1/6 × 1.4% = 5.6万円
②50平方メートル分:(3,000万円 × 50/250) × 1/3 × 1.4% = 2.8万円
合計税額は8.4万円となります。

上記の計算からわかるように、家が建っていれば税金は年間33.6万円も安くなります。広い土地を更地で持ち続けている状態は、維持費が高くなる原因になるでしょう。

建物の広さによる減税額の差

建物の固定資産税も、120平方メートルのラインでどのように変化するかシミュレーションしましょう。

延床面積が120平方メートル以下の住宅であれば、建物全体の税額は2分の1です。
1,000万円 × 1.4% × 1/2 = 7万円が年間の税額になります。

一方で、200平方メートルの住宅を建てた場合はどのようになるでしょうか。120平方メートル相当分までは減税されますが、残りの80平方メートルに相当する部分は減税されません。
①120平方メートル分:(1,000万円 × 120/200) × 1/2 × 1.4% = 4.2万円
②80平方メートル分:(1,000万円 × 80/200) × 1.4% = 5.6万円
合計税額は9.8万円となります。

同じ評価額1,000万円の建物でも、減税期間中の税額には年間2.8万円の差が出ます。3年~5年で考えれば、約8.4万〜14万円のコスト増です。土地や建物の面積を検討する際には、実際にシミュレーションして判断しましょう。

維持費を抑える固定資産税の節約方法

固定資産税を節約するにはどのような方法があるでしょうか
固定資産税を節約するにはどのような方法があるでしょうか

固定資産税は、家づくりの工夫や制度の活用次第で、賢く抑えられることをご存じでしょうか。面積の境界線を意識するだけでなく、国の認定制度やリフォーム減税、さらには納付方法などの多角的なアプローチを知っているかどうかが、数十年単位での大きな支出の差を生みます。住宅の質を落とさずに、ランニングコストを戦略的に削減するための具体的な節約方法をみていきましょう。

長期優良住宅の認定を受ける

新築住宅を建てる際、効果的でわかりやすい節税方法が、長期優良住宅の認定を受ける方法です。認定を受けた住宅は、建物部分の固定資産税が2分の1になる軽減措置の期間が、通常3年間のところ5年間に延長されます。また、マンションの場合は5年から7年に延長される仕組みです。2年間延長される恩恵は大きく、建物の評価額が高い新築当初の税負担を軽減してくれるでしょう。

長期優良住宅に認定されるには、耐震性、耐久性、省エネルギー性、維持管理の容易性など、国が定める厳しい基準をクリアする必要があります。そのため、基準を満たすために建築コストが増加する場合も。しかし、長期優良住宅は固定資産税の軽減以外にも、住宅ローン控除の控除額の引き上げや、地震保険料の割引など多くのメリットがあります。減税しやすい家を建てるうえで、長期優良住宅の選択は有効です。

中古住宅はリフォーム減税を活用する

新築時のような自動的な減税がない中古住宅ですが、特定の性能向上リフォームをおこなうと、固定資産税を大幅に減額できる制度が用意されています。代表的なものは耐震改修、省エネ改修、バリアフリー改修です。例えば、現在の耐震基準に適合させる改修をおこなえば、翌年度の建物分の固定資産税が2分の1に、窓の断熱化などの省エネ改修やバリアフリー化をおこなえば3分の1が減額されます。

上記の減税を受けるためには、原則、工事費が50万円以上、改修後の床面積が50平方メートル以上280平方メートル以下などの条件を満たさなければなりません。中古住宅を購入してリノベーションを検討しているなら、減税対象となる工事を組み込むと、リフォーム費用の一部を税金の削減分でまかなうような資金計画が立てられます。工事完了から原則3ヵ月以内に自治体への申告が必要となるため、あらかじめ施工会社と連携して必要書類を揃えるようにしましょう。

土地が広すぎる場合は分筆を検討する

土地の面積が200平方メートルを大幅に超えており、広すぎて持て余しているような場合には、土地を法的に分割する分筆を検討したいところです。固定資産税は、その土地が何に使われているかで評価が決まります。例えば、一つの大きな土地を分筆したとして、一方は自宅用の敷地に、もう一方はアパート用地や駐車場で独立させると、それぞれの評価方法が変わります。

特に有効なのは、二世帯住宅などで登記上の敷地を分けて、それぞれの土地が200平方メートル以下になるように調整し、各世帯で小規模住宅用地の特例を活用するケースです。分筆しない状態では、200平方メートル超えになり、高い税率がかかっていた部分も、節税制度を利用できるようになるでしょう。ただし、分筆には測量費用や登記費用が発生し、道路接道義務などの建築制限も関わってくるため、建築会社や土地家屋調査士などの専門家に相談しましょう。

固定資産税が急に高くなったと感じるタイミング

固定資産税が高くなってしまうのはどのような時でしょうか
固定資産税が高くなってしまうのはどのような時でしょうか

固定資産税の負担額は、毎年一定ではありません。面積や構造に配慮して設計しても、ある年を境に税額が跳ね上がり、急に高くなったと感じる場合があります。多くの場合、優遇措置が切れたり、社会情勢にともなう評価の見直しがおこなわれたりすることが原因です。家計を揺るがしかねない税額急増の正体と、そのタイミングをみていきましょう。

新築住宅の固定資産税の軽減期間が終わる時

固定資産税が急に高くなったと感じるタイミングは、新築住宅に適用されていた税額の軽減措置が終了する時です。前述の通り、一般的な一戸建てなら3年間、認定長期優良住宅なら5年間にわたって、120平方メートルまでの建物部分の税金が半分に抑えられてきました。しかし、この期間が過ぎた翌年からは、本来の税額に戻ります。

増税されたわけではありませんが、維持費が昨年と比較して増加するため、気を付けましょう。何年後に軽減措置が終了するかを意識すれば、税額が高くなっても理由がわかるため、動揺は少ないでしょう。

3年に1度の評価替えによる変動?

固定資産税の基準となる資産価値は、公平を期すために、3年に一度、評価替えと呼ばれる見直しがおこなわれます。建物は、時間が経てば価値が下がることが一般的です。通常は評価替えのたびに税額も少しずつ下がります。

しかし、都市部や再開発が進むエリアでは地価が上昇傾向にあり、建物の減価償却による減税分を、土地の評価額の上昇分が上回ってしまうケースがあります。この場合、建物は古くなっていても、支払う税金は以前より高くなる状況が発生するでしょう。ただし、大幅な地価上昇があった際に税負担が急増しないよう調整する負担調整措置が適用されます。固定資産税が評価替えで高くなった場合は、所有している土地の地価が上昇していると考えられるでしょう。

増築や用途変更をおこなった場合

家の形状を変えたり、使い道を変えたりした際にも、固定資産税は大きく変動します。わかりやすい例が増築です。床面積が増えれば建物の評価額は上がり、増築部分の構造によっては家全体の評価が見直される場合もあります。増築によって延床面積が120平方メートルや280平方メートルなど減税の上限を超えると、それまで受けていた優遇措置が消失するかもしれません。

また、用途変更も原因になります。例えば、これまで住宅のために使っていた建物の一部を店舗や事務所に改装した場合、その部分は住宅用地の特例の対象外となる可能性も。土地の税金が本来の額に戻るため、家の一部を商売に使うようになった途端に、土地の固定資産税が上昇する場合があります。さらに、庭に屋根と三方の壁がある大きなガレージや物置を設置した場合も家屋とみなされ、課税対象面積が加算されるでしょう。増築・用途変更をする際は税金への影響を考慮する必要があります。

納税額に納得がいかない場合の申し立ての手順

固定資産税の納税額に対し不服の申し立てはどのようにおこなうのでしょうか
固定資産税の納税額に対し不服の申し立てはどのようにおこなうのでしょうか

固定資産税の通知書が届いた際、計算が間違っているのではないか、近隣の似たような家より明らかに高いと感じるケースは少なくありません。固定資産税の評価は自治体の担当者が膨大な数の物件を処理しており、稀に誤りが発生する場合もあります。納税額に疑問を抱いた場合は、本当に間違っているかどうかを確認したうえで、法的に認められた不服申し立ての手続きを取りましょう。正当な権利を行使するための具体的な流れを解説します。

審査の申し出と手続きの流れ

固定資産税の評価額に納得がいかない場合、まずおこなうべきことは市区町村の窓口での確認です。しかし、それでも解決しない時は、固定資産評価審査委員会に対して審査の申し出をおこなえます。申し出には厳格な期限があり、原則、納税通知書の交付を受けた日の翌日から起算して3カ月以内に書類を提出しなければなりません。

手続きの流れは、まず審査申出書を作成し、評価額が不当と考える具体的な理由を記載します。委員会は書面を受理すると、形式的な不備がないかを確認する形式審理をおこない、その後、実際に評価方法が適正かどうかを調べる実質審理に移ります。審査の結果、申し出が認められれば評価額が修正される認容、認められなければ棄却の裁決が下されるでしょう。事前に根拠をそろえ、専門家のアドバイスを受けるなど慎重に準備を進める必要があります。

過払い金が発覚した場合の還付

審査や実地調査の結果、自治体側のミスで税金を多く払いすぎていた場合は、過払い金の払い戻しを受けられます。

払い過ぎた税金の還付は、地方税法の規定により、過去5年分まで遡って請求しましょう。しかし、自治体によっては独自の要綱を設けており、5年を超えて10年、20年前まで遡って返還に応じるケースもあります。還付を受ける際は、過払い金に加えて、還付までの期間に応じた還付加算金が上乗せされるため、長期間の誤りであった場合は大きな金額になるかもしれません。

固定資産税は何坪から高くなるかに関するよくある質問

固定資産税は何坪から高くなるかに関するよくある質問をまとめました。

二世帯住宅なら400平方メートル(121坪)まで安くなりますか?

構造次第では安くなる可能性があります。玄関・キッチン・トイレが各世帯にあり、壁やドアで完全に仕切られた区分所有や完全分離型と認められれば、建物2戸分として扱われます。その場合、土地の軽減措置もそれぞれに適用されるため、広い土地でも税金を大幅に抑えられるでしょう。

更地で放置していると固定資産税が増えますか?

税額が大きく増加する可能性があるため、更地の放置は注意しましょう。家を解体して更地にすれば、それまで適用されていた住宅用地特例が適用されなくなります。その結果、土地の課税標準額が本来の評価額に戻るため、固定資産税の負担額が大きくなります。売却や活用の目処が立っていないのであれば、安易に解体せず、家を残しておくほうが税金面では有利になる場合が多いです。

庭にカーポートや物置を設置すると税金は上がりますか?

条件を満たすと家屋とみなされ課税対象になります。不動産用語で外気分断性、土地への定着性、用途性の3条件を満たす建物は、固定資産税の対象です。柱だけのカーポートは非課税が一般的ですが、物置でもコンクリート基礎があるものや、三方を壁で囲ったガレージは延床面積に加算され、全体の税額を押し上げる可能性があるでしょう。

ベランダやバルコニーの広さは36.3坪の計算に含まれますか?

原則、通常のサイズであれば含まれません。延床面積にカウントされるのは、屋根があり壁で囲まれた室内空間です。通常のベランダやバルコニーは、外壁から突き出している長さが2m以内であれば床面積には算入されません。ただし、柱で支えられた大規模なウッドデッキや、サンルームのようにガラスで囲った空間は、床面積として計算されるため注意が必要です。

まとめ

固定資産税は、その家に住み続ける限り支払う必要がある維持費です。住宅用地の特例と新築住宅の固定資産税軽減措置を意識すると、固定資産税の負担額を抑えやすくなります。

数平方メートルの面積の差で固定資産税の負担が大きく変わることもあります。面積にこだわりすぎる必要はありませんが、節税の仕組みを知ったうえで、納得のいく広さと税負担のバランスを考えた家づくりをおこないましょう。

井上 紗英

執筆者

井上 紗英

宅地建物取引士、2級フィナンシャル・プランニング技能士

大学卒業後、地方銀行へ入行し、個人・法人向けの融資事務を担当。正確さが求められる業務で経験を積む一方、よりお客様の人生に寄り添い、幅広い金融商品を学びながらコミュニケーション力も高めたいと考え転職。カスタマーサクセスとして、煩雑なお手続きのご案内やお客様対応を通じて、不安に寄り添いながら資産形成を支える。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
関連する記事を見る
不動産お役立ち記事・ツールTOPへ戻る