このページの一番上へ

注文住宅の購入に現金はいくら必要?諸費用が払えない場合の対処法を解説

注文住宅の購入に必要な現金はいくらなのかを解説します
注文住宅を建てたいと思った時、「現金はいくら必要なのか?」とお金の不安がある方もいるのではないでしょうか。注文住宅は土地代や建築費用だけでなく、頭金や契約時の手付金、各種諸費用など、現金で準備すべき金額があります。そのため、最初に資金計画を立てておくことが大切です。

本記事では、注文住宅の購入に必要な現金の目安を解説します。また、諸費用が支払えない場合に検討すべき方法も紹介します。安心してマイホームを手に入れるためにも、確認しておきましょう。

注文住宅の購入に現金はいくら必要?

注文住宅の支払いに用意しておくべき現金はいくらなのかを確認しましょう
注文住宅の支払いに用意しておくべき現金はいくらなのかを確認しましょう

結論からいうと、注文住宅の土地代と建築費用の総額の10%が相場です。例えば、注文住宅の総額が5,000万円の場合は、500万円の現金を用意しておくとよいでしょう。近年では、フルローンで家を購入する方も増えているため、現金を持っていなくても問題ないと思うかもしれません。

しかし、一般的に住宅ローンに組み込める費用は土地代と建築費用のみです。諸費用は現金での準備が必要になるため注意しましょう。また、支払いができなければ注文住宅を建てられないため、計画が始まる前に用意しておかなくてはなりません。事前に必要な費用を把握して、資金計画を立てておきましょう。

諸費用と頭金の違い

家を購入する際に、「頭金」という言葉を耳にする機会があるでしょう。頭金と諸費用は役割が異なります。頭金は、住宅ローンで借り入れる金額を減らすために、購入者が最初に支払う自己資金のことです。

例えば、5,000万円の注文住宅をフルローンで購入した場合、5,000万円を借り入れる必要があります。しかし、500万円の頭金を支払うと、住宅ローンの借入金額が4,500万円に。借入金額が少なくなるため、結果として完済までの期間が短く、金利も安くなる点がメリットです。

一方で諸費用は、登記費用や不動産取得税、火災保険料など、土地や建物の購入手続きにともなう費用のことを指します。手続き上の支払いに必要なお金であるため、現金に余裕がない場合でも用意しておかなければなりません。ただし、諸費用の一部を住宅ローンに組み込める可能性もあるため、不安な場合は金融機関に相談するとよいでしょう。

注文住宅の購入で現金が必要になるタイミング

家づくりの流れに沿って現金を支払うタイミングを確認しましょう
家づくりの流れに沿って現金を支払うタイミングを確認しましょう

現金が必要になるタイミングは、大きく分けて4つあります。

  • 1. 注文住宅を申し込むタイミング
  • 2. 住宅ローンを組むタイミング
  • 3. 不動産を取得するタイミング
  • 4. 注文住宅が完成したタイミング

それぞれのタイミングで、不動産会社や金融機関、建築会社など各担当者に支払う必要があります。特に、注文住宅を申し込むタイミングで現金が用意できなければ、契約ができないため注意しましょう。では、現金が必要になる諸費用には、どのようなものがあるのかを紹介します。

注文住宅を申し込むタイミング

項目 内容 相場
申込証拠金 購入意思を示すもの
10万円以下
手付金 購入意思を示すもの 購入代金の約10%
仲介手数料 売買に対する成功報酬で不動産会社に支払う 400万円超の場合
物件価格×3%+6万円+消費税
印紙税 売買契約書に貼付する税金 契約金額によって異なる
不動産取得税 不動産を取得する際にかかる税金 固定資産税評価額×4%
※2027年3月31日までは3% 
登録免許税
(土地の所有権移転登記)
土地の所有権が移転する際の登記費用 固定資産税評価額 × 2.0%
※2026年3月31日まで1.5%
司法書士への
依頼費用
登記設定を依頼する司法書士への報酬料 5万円~10万円程度

注文住宅の申し込みをするタイミングで、土地の売主に申込証拠金と手付金を支払います。申込証拠金や手付金は、土地の購入意思を示すためのお金。契約が成立したら申込証拠金の一部が手付金に、手付金は購入代金にあてられます。

また、不動産会社を利用した場合は仲介手数料を支払います。仲介手数料は、売買をサポートしてくれた不動産会社に対する成功報酬です。土地の価格にもよりますが、100万円以上かかるケースもあるため、準備しておきましょう。

土地の購入後は、土地の取得にかかる印紙税や不動産取得税などの税金が発生します。司法書士などの専門家に依頼する場合は、依頼費用もかかるため注意が必要です。なお、印紙税は契約金額によって異なります。具体的には下表のとおりです。

契約金額 本則 軽減税率
(2027年3月31日まで)
500万円超え1,000万円以下 1万円 5,000円
1,000万円超え5,000万円以下 2万円 1万円
5,000万円超え1億円以下 6万円 3万円
1億円超え5億円以下 10万円 6万円
5億円超え10億円以下 20万円 16万円
10億円超え50億円以下 40万円 32万円
50億円超え 60万円 48万円

参考:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置

2027年3月31日までは、軽減税率が適用されます。注文住宅の購入を迷われている方は、早めに決断するとよいでしょう。

住宅ローンを組むタイミング

費用 内容 相場
融資事務手数料 住宅ローンの融資を受ける際にかかる手数料
・一定額の場合
5万円~10万円程度
・変動する場合
融資金額の1%~2%程度
ローン保証料 保証会社に保証人になってもらうために支払う 保証会社によって異なる
登録免許税
(抵当権設定)
抵当権を設定するための登記費用 負債額×0.4%
※2027年3月31日までは0.1% 
印紙税 工事請負契約や売買契約の書類に貼付する税金 契約金額によって異なる

住宅ローンを組むタイミングで、金融機関に融資手数料と印紙税を支払います。融資を受けるために必要なお金のため、現金で用意しておきましょう。また、住宅ローンを途中で返済できなくなった場合、金融機関が債権の回収にあたり家を売却するため、抵当権設定登記とローン保証料を支払います。

不動産を取得するタイミング

不動産を取得するタイミングで、建築会社に地盤調査費用と建築確認申請費用、設計監理料を支払います。この費用は、家を建てる際に必要な費用です。地盤調査費用は必須ではありませんが、安全な土地かを確認するためにも、ぜひ依頼しておきましょう。

また、ライフラインの引き込み工事費も必要です。ライフラインとは、水道や下水道、ガスなどのこと。引き込みをしなければ生活ができないため、必ず支払わなければなりません。合計で100万円から150万円程度が相場となっており、高額になるため注意しましょう。

住宅の取得に必要な不動産取得税、登録免許税などの各税金も支払います。ここでも司法書士などへの専門家への依頼費用がかかると覚えておきましょう。

注文住宅が完成したタイミング

注文住宅が完成したら、いよいよマイホーム生活がスタートです。ここからは、人によってそれぞれかかるお金が異なりますが、具体的には引越し費用、家具・家電の購入費用などが挙げられます。

もし賃貸に住んでいた場合は、修繕費用や家賃・光熱費の日割り計算金額なども追加されます。家づくり以外の費用を忘れてしまうと、生活を送るにあたって必要な予算が足りなくなる可能性もあるため、資金計画に必ず入れておきましょう。

また、保険会社に保険料を支払います。保険料とは、火災保険料や地震保険料のことで、万が一被害に遭った時に備えて加入しなくてはなりません。地震保険は基本的に任意ですが、近年の日本では大きな地震が多発しているため、加入していたほうが安心でしょう。

注文住宅の諸費用が払えない場合の対処法

諸費用が支払えない場合の対処法を解説します
諸費用が支払えない場合の対処法を解説します

注文住宅の諸費用は、地盤調査費用やライフラインの引き込み工事費用など、特有のものもあり、諸費用が高額になる傾向にあります。諸費用は一括で支払うケースが多いため、現金で支払えないこともあるでしょう。しかし、工夫次第で、注文住宅の諸費用の支払いは可能です。それでは、注文住宅の諸費用が支払えない場合の対処法を解説します。

住宅ローンに諸費用の一部を組み込む

住宅ローンは、土地代と建築費用の購入資金を借り入れることが一般的です。しかし、金融機関によっては、登記費用や手数料、火災保険料など諸費用の一部を、住宅ローンに組み込めるケースがあります。

諸費用の一部を住宅ローンに組み込むことで、手元の現金不足を補いながら住宅購入ができるため、諸費用が支払えない方にとっては大きなメリットです。

しかし、借入金額も増えるため、毎月の返済額や総利息の負担には注意しましょう。利用を検討する場合は、金融機関と相談して無理のない返済計画を立てることが大切です。

つなぎ融資を検討する

つなぎ融資とは、土地代や諸費用など住宅の引き渡し前に必要なお金を一時的に立て替えてくれるローンのことです。つなぎ融資を利用すれば、現金がない場合でも資金を賄えるため、計画をスムーズに進められるでしょう。

ただし、つなぎ融資には日割りの利息や手数料が発生し、住宅ローンと比較して金利が高めに設定されている傾向にあります。また、施工の進捗が遅れる場合は融資の延長のために、追加料金や追加の事務手数料がかかる可能性があるため、注意しましょう。

仲介手数料を抑える

不動産会社から仲介してもらい土地を購入した場合、仲介手数料が発生します。仲介手数料は不動産の売買金額ごとに決まっており、宅地建物取引業法により上限額が定められています。上限額の計算方法は、下表のとおりです。

売買価格 仲介手数料の上限額
200万円以下 物件価格(税抜)×5%
200万円超~400万円
以下
物件価格(税抜)×4%+2万円+消費税
400万円超 物件価格(税抜)×3%+6万円+消費税

3,000万円を超える場合の仲介手数料は、100万円以上となり、高額です。仲介手数料を抑えるためには、不動産会社を通さずに土地を直接購入する売主物件を探す方法が有効です。売主物件は、買主と売主が直接契約を成立させるため、仲介手数料がかかりません。そのため、100万円以上の諸費用を削減できる可能性があるでしょう。ただし、条件に合った土地を見つける際に時間がかかる場合もあるため、事前の情報収集が大切です。

家づくりの計画を延長する

諸費用が支払えない場合は、家づくりの計画を延長することもひとつの方法です。住宅ローンやつなぎ融資などで無理にお金を用意するのではなく、計画を一定期間延ばして諸費用に充てる資金を確保しましょう。

また、その間に土地や建築費用の相場を調べられるため、よりコストパフォーマンスの高い選択肢を検討する時間を持てることもメリットです。ただし、家づくりの計画を延長しているうちに、物価の変動や金利上昇などのリスクもあるため、適切なタイミングを見極めるようにしましょう。

自己資金ゼロで注文住宅の購入はできる?

自己資金なしで注文住宅の購入を考えている方は注意点を確認しましょう
自己資金なしで注文住宅の購入を考えている方は注意点を確認しましょう

最近では、住宅ローンの一部に諸費用を組み込めるプランや、頭金なしで住宅ローンを借り入れるフルローンを利用できる金融機関が増えました。そのため、自己資金がなくても注文住宅の購入も現実的となっています。

ただし、諸費用は最低限でも用意しなくてはならないため、まったく自己資金がない状態で、注文住宅の購入はできません。あくまで、「自己資金ゼロ」は頭金が不要と同じ意味合いだと覚えておきましょう。

また、自己資金なしで注文住宅を購入する際にはリスクもあります。では、自己資金なしで注文住宅を購入する場合の注意点を見ていきましょう。

返済負担が重くなる

自己資金なしで注文住宅を購入する場合、住宅ローンの借入金額が大きくなるため、返済負担が増えてしまいます。借入金額が増えると、月々の返済額や総利息の支払額も大きくなるため、購入後に負担となるおそれがあるでしょう。家計に余裕がなくなり、予期しない出費が発生した時に、対応できなくなる可能性も考えられます。また、返済期間も長期になるため、完済までの道のりが遠くなる点にも注意しましょう。

住宅ローンの審査が厳しくなる

諸費用を住宅ローンに組み込む場合、借入金額が大きくなります。そのため、金融機関が返済能力に対するリスクが高いと判断し、審査基準を厳しく設定する場合があります。また、自己資金がないと住宅購入後の予期せぬ支出への備えがないと見なされ、金融機関が不安を感じる要因になる可能性もあるでしょう。

希望する条件や借入金額の審査が通らないおそれもあるため、安定した収入や信用力を示し、審査を通過しやすくする努力が必要です。

まとめ

注文住宅の購入には、手付金や登録免許税など現金が必要となる場面が多くあります。そのため、現金を支払うタイミングを把握し、最初にしっかりとした資金計画を立てることが大切です。また、どうしても諸費用が支払えない場合の対処法として、住宅ローンやつなぎ融資を活用する方法もあります。本記事の内容を参考に、自分に合った資金計画を立て、夢のマイホームを実現させましょう。

長谷川 賢努

執筆者

長谷川 賢努

AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士

大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
関連する記事を見る
注文住宅を購入する時、多くの人が住宅ローンを検討するかと思いますが、頭金をいくら用意するべきか悩みますよね。今回は、注文住宅を購入する際の頭金について解説。平均相場や頭金の金額ごとに毎月の返済額をシミュレーションします。
不動産お役立ち記事・ツールTOPへ戻る