6月期
                                
テーマ:一人暮らし
                
                
      五時のチャイムの終わりと共に現れた女の子、のこと。
「え? あ、はい。ありがとう」彼女は不思議そうにそう答えながら、だけどなにかを決意するように、「ありがとう」ともう一度繰り返す。
「じゃあ、ちょっといってきます」
「いってらっしゃい」
 そう言って彼女は笑った。すっかりこの街の住人のような顔で。明日も僕たちはこの街で会えるだろう。そんなことを考えながら、僕は彼女に手を振った。
五時のチャイムの終わりと共に現れた女の子、のこと。

