レコード会社に就職した途端、馴染みのない関西の営業所へ異動となってしまった主人公。担当する神戸のCD店では、社長までもが「CDは斜陽産業」とこぼす。本社へ戻ることばかり望んでいた主人公だが、仕事に奔走するうち神戸での日々にやりがいと愛着をおぼえ始めた。そんな矢先、ある事件が。
咲子の住む街は、かつては窮屈で大嫌いな街だった。親からも、近所の優しさからも逃れたくて、一度は街を離れた。離れてわかる、違った意味のさみしさを思い知らされ、また街に帰ってくる。やはり居場所はここにあった。花に囲まれたのどかな街のちょっぴり苦くて、あたたかな物語。
岐阜に転勤した五十代の栄吾は奇妙な癖を持っている。引っ越し荷物を放置して高所に上り町を確認するのだ。度が過ぎて恋人や妻と別れた過去がある。習慣通り金華山に上る途中、学生証を紛失した十代のカップルと出会う。彼らとの交流を通じて栄吾は次第に回復し最後に住む町を「ここでいい」と思う。
主人公のたかしは、大学にも行かず毎日ゲームばかりしている。ある日、たかしは怒った母に家から追い出されてしまう。呑気な父に一人旅を勧められ、駅の広告にあった鎌倉へと足を運ぶことに。そこでたかしは一人の少女と出会い・・・。
なにかをやめたいという気持ちが、なにかをはじめたいという気持ちと同じくらいあった。いや、まったく同じことだった。やめることははじめることであり、はじめることはやめることだった。逃げたかった。僕は逃げるために、彼が描いた〈架空の町〉へと向かう。