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猫の多頭飼いは難しい?必要な条件や事前に確認しておくこと

猫好きな方なら、1匹ではなく2匹以上の多頭飼いを検討することがあるかもしれません。あるいは、「一緒に遊べる友達がいたらいいのでは」と考える方もいるでしょう。しかし、猫は1匹でも飼えば生活が大きく変わり、お世話や掃除など大変なことが増えます。それが多頭飼いとなれば、あらかじめ覚悟しておくこと、知っておくべきことは山ほどあります。
この記事で詳しく解説しますので、多頭飼いを検討されている方はぜひ参考にしてください。

猫を多頭飼いする前に確認しておきたいこと

まずは新しい猫を迎える前に、確認しておくべきことを解説します。

先住猫との相性

多頭飼いをするなら、猫にも相性があることを知っておきましょう。どんな猫同士でも、すぐ仲良くなれるわけではありません。せっかく猫が寂しくないようにと新しい猫を迎えても、かえってストレスになることがあるのです。そのため、事前に顔合わせなどをおこない、先住猫と新しく迎えようと考えている猫との相性を確認しましょう。せっかく多頭飼いするなら、お互いストレスなく仲良く暮らせる相手を探してあげてください。

部屋の数と広さ

猫にはそれぞれテリトリーがあります。そのため、できれば猫1匹ごとに1部屋の飼育スペースがあるといいでしょう。もし難しい場合は、それぞれの猫が自分のスペースを確保できる広さの部屋が必要です。万が一、十分なスペースが保てずお互いのテリトリーに入ってしまうようだと、猫は大きなストレスを感じてしまいます。喧嘩の原因になるだけでなく、場合により健康にも影響がおよぶ可能性があるでしょう。

災害時の避難

日本は地震や台風、豪雨、噴火といった自然災害の多い国です。こうした災害時、飼育しているペットについては、飼主と一緒に避難する(同行避難)よう推進している自治体が少なくありません。災害時には、きちんと猫を避難させられるよう考えておきましょう。

災害時には車での移動が困難となることがあります。そのため、猫はキャリーケースなどに入れて逃げることになるでしょう。仲良しの猫であれば一緒のキャリーケースに入れても構いませんが、嫌がる場合には個別のキャリーケースが必要です。いずれの場合も、1匹と比べて持ち運ぶのは大変になります。他にも避難時には荷物がありますので、多頭飼いしても災害時の避難が困難にならないか、十分に確認してください。

自治体の条例

多頭飼育崩壊の問題が深刻化しており、自治体による独自の条例を制定しているケースがあります。今住んでいるまたは住もうと検討している地域の法令で多頭飼いの規制はないか、あるとしたら何頭まで飼えるのか確認しておきましょう。

猫を多頭飼いするための条件

猫が好きだからといって、誰でも多頭飼いできるわけではありません。いざ飼ってみて「無理だった」となっても、飼い主は最後まで育てる責任があります。自分が多頭飼いできるのか、ここで条件を確認していきましょう。

経済的・時間的に余裕がある

猫を飼うには、手間とお金が掛かるもの。例えばエサやトイレ砂などの消耗品はもちろん、ワクチン接種などの費用も、当然ながら猫の数だけ増えます。また、エサの準備や部屋の掃除など、お世話に掛かる時間も同様に増えるでしょう。
せっかく多頭飼いしても、それが原因で生活が苦しくなったり、ストレスになったりしては意味がありません。経済的・時間的に余裕を持って飼えるのか、しっかりイメージして確認しておいてください。

家の広さや部屋数が確保できる

先ほど少し紹介しましたが猫を複数頭飼うなら、何かあった場合に隔離できるよう1匹につき1部屋が理想。難しければ、それぞれの猫が自分のスペースを確保できるだけの広さが必要です。ベッドやエサ、爪とぎなども、1匹ごとに用意してあげる必要も出てきます。現在住んでいる部屋に十分な広さや部屋数があり、猫のために確保できるかどうか、なければ引越しを考えなければいけません。
狭い部屋で無理に多頭飼いすると、猫に大きなストレスが掛かり病気などの原因になりますので注意してください。

いざという時に猫の世話を頼める人がいる

何らかの事情で家を空けなければならない場合、その間は誰かに猫のお世話を頼まなくてはなりません。できれば友人や知人、親族などに預かってもらえるといいでしょう。しかし、1匹なら預かってくれたとしても、多頭飼いではお世話の負担が大きく断られてしまうかもしれません。多頭飼いでも万が一のときに預かってもらえるかどうかは、事前の確認が必要です。

なお、ペットホテルやキャットシッターを利用する方法もありますが、頭数に応じて費用も高くなることも覚えておいてください。

契約の内容に違反していない

賃貸物件の契約、あるいは自己所有マンションなどの規約に多頭飼いが違反していないか必ず確認しましょう。たとえペットを飼える物件でも、なかには猫は1匹までなどの細則が規定されているケースがあります。

多頭飼いをはじめる前に準備すべきこと

実際に多頭飼いを決めたら、新しい猫を迎える前に準備を整えましょう。何をすればよいのか、具体的に解説します。

キャットタワーやケージなど環境を用意する

猫は水平方向だけでなく、上下にも自由に動き回ります。キャットタワーや段差の設けられたケージを用意し、猫に適した動線を確保してあげましょう。運動不足を解消し、ストレスなく過ごせるようになります。

キャットタワーは1匹用に比べ、大きめでそれぞれの猫が自分の場所を作れるようなものがあるといいでしょう。もちろん、複数台を用意してあげても構いません。あまり狭いと、どちらかの猫の居場所がなくなってしまう可能性があります。
また、いきなり先住猫と新しく迎えた猫を同じケージに入れると、喧嘩したりストレスが溜まったりするかもしれません。最初はケージを別々に、少しずつ近づけたり一緒に過ごす時間を増やしたりしながら、慣れてきたら一緒にしてあげてください。ケージについても、猫の数に応じて十分な広さのあるものを選ぶことが大切です。

専用のトイレを用意する

トイレは、猫に対して一つずつ用意してあげましょう。同じトイレを共用にすると、喧嘩になったり、我慢して病気になったりする恐れがあります。

専用の食器を用意する

エサはそれぞれ別の食器であげるようにしましょう

トイレと同じように、食器も別々に用意しましょう。猫は自分のものを認識しており、共用にするとエサを食べてくれなくなる可能性があります。できれば場所も離してあげると、それぞれの猫が自分のテリトリーを作りやすくなるでしょう。これは、エサだけでなく水も同様です。

猫の体調を確認する

先住猫も新しく迎える猫も事前に健康診断をおこない、体調に問題がないことを確認してから多頭飼いを始めるようにしましょう。また、多頭飼いを始めた当初はストレスを溜めやすく、場合により体調を崩してしまうかもしれません。慣れるまでは、こまめに猫の体調を確認してあげてください。

また、それ以降も何らかの病気になった場合、感染症などは他の猫にもうつってしまう可能性があります。1匹だけでも体調管理が重要であることに変わりはありませんが、多頭飼いでは、よりしっかりした日々の体調チェックが大切です。

去勢・避妊手術をする

性別の異なる猫を多頭飼いするなら、望まない妊娠を避けるためにも去勢・避妊手術をおこないましょう。これは新しく迎える猫だけでなく、先住猫も同様におこなってあげてください。

先住猫との初顔合わせの流れ

焦らずに少しずつ、時間をかけてお互いを慣れさせるようにしていきましょう

新たな猫を迎え入れる際、まずは顔合わせから少しずつお互いを慣れさせてください。決して焦らず、様子を見ながら進めることが大切です。先住猫との初顔合わせについて、どのような流れでおこなうのか見ていきましょう。

部屋を分ける

はじめの1週間ほどは別々の部屋で過ごさせましょう。猫同士を対面させず、新しい猫に家の雰囲気へ慣れてもらいます。数日すると、お互いに違う猫の匂いに気付くようになるでしょう。

匂いを覚えてもらう

相手が寝ている毛布やタオルなどをケージの近くに置き、反応を見てみましょう。匂いに反応して嗅ぐなど興味を示したら、頭をなでて褒めてあげてください。

匂いを覚えたら、少しずつ先住猫との距離を縮めていきます。最初は別々の部屋にケージを置いて過ごさせ、最後にはドア1枚を隔てた状態でお互い気配を感じられるようにしましょう。そこまで距離を近づけたら、焦らずそのまま数日間は慣れさせてください。距離が近づくにつれ、匂いから相手の存在を感じ取っていきます。

ケージ越しで対面

新しい猫を迎えて10日ほど経過したら、そろそろケージ越しで対面させてもいい時期です。先住猫は自由な状態、新しい猫はケージに入った状態で対面させてみましょう。最初はお互いを警戒し、威嚇するかもしれません。それでも、そのまま落ち着くまで様子を見ます。もし興奮し過ぎてしまうようなら、焦らず再び別の部屋で過ごさせながら、ケージ越しの対面を繰り返してみてください。

ケージなしで対面

お互いに落ち着いて威嚇しなくなったら、ケージの扉を開けて直接対面させます。どちらかが興奮し出したら、またケージの扉を閉めて距離を置きましょう。これを何度も繰り返しているうちに、お互いに少しずつ慣れて問題なく一緒に暮らせるようになります。

先住猫との相性が悪い場合

猫同士の相性が悪く、何度も繰り返し対面にチャレンジしても打ち解けてくれないというケースもあります。そういうときも決して焦らず、次に挙げるような方法を試してみてください。

別のスペースで生活させる

どれだけ時間を掛けても対面時に威嚇してしまうなら、別の部屋で生活させましょう。無理に同じスペースで生活させるとストレスで問題行動を起こしたり、病気の原因になったりする恐れがあります。それでもお互いの存在は感じ取れるので、長期的に見ていけば、いずれ一緒に生活できるようになるかもしれません。

場所や部屋を交代で使わせる

多くの猫は、自分の匂いを嗅ぐと安心します。そこに相手の猫の匂いが混ざっていると、少しずつ親近感を抱いてくれるかもしれません。そのため、日毎や昼夜などで部屋を入れ替えて生活させてみましょう。相手の匂いを感じながら生活することで、やがてお互いに打ち解けてくれる可能性があります。

多頭飼いしている方の声

実際に猫を複数頭一緒に飼っている・飼っていたことがある方に、困ったことや多頭飼いしてよかったことをアンケートしてみました!

新しい猫を迎え入れた際に困ったこと

  • きちんとした手順を踏まず、後猫を家のなかで歩き回れるようにしてしまったため、慣れる期間がなかった。(20代/女性)
  • 最初はお互い警戒して近付かなかった。(30代/男性)
  • 先住猫がストレスになったのか壁で爪を研ぐようになった。(30代/女性)
  • ご飯を分けないといけなかったけど、先の猫は両方食べてしまう。(50代/男性)
  • 先住猫が困惑&狼狽して、新猫にそれがまったく通じてなくて先住猫のことが心配だった。(50代/女性)
  • 猫風邪がうつってしまい先輩猫の方が酷くなってしまった、先輩猫の方がストレスからか神経質になった。(50代/女性)
  • 喧嘩しないように慣れさせること、野良ちゃんを保護したので、病気やノミ・ダニの感染防止対策、壁や柱の爪とぎ防止。(60代/女性)

やはり先住猫のケアについてのコメントが多くありました。続いて、新しい猫を迎え入れてよかったと思うことを見ていきましょう。

新しい猫を迎え入れてよかったと思うこと

  • 先住猫たちが皆で世話してくれて、猫同士の付き合いを教えてくれていたよう。(20代/女性)
  • 2匹で遊んだり寄り添って寝ている姿を見ると、多頭飼いでよかったと感じる。(20代/女性)
  • 猫同士で遊んでくれるようになり、相手をする時間から解放されたこと。(40代/男性)
  • 子猫が構わず飛びかかっていくので肥満気味だった先住猫の運動を促してダイエットになったこと。(40代/女性)
  • 留守番をして貰うときも安心できる。(50代/女性)
  • 年の差はありますが、お互い仲良く毛繕いしたり、一緒に寝ている姿を見たとき。(50代/女性)
  • 上の子が下の子の面倒をよく見ていたので、すっかりなついて仲良しになったこと。留守にするときも一緒なら寂しくないだろうと安心できます。(60代/女性)
  • 楽しそうに猫たちで遊んでくれること。(70代/女性)

お留守番時の安心感や、猫同士のつながっているといった声が多く上がりました。

猫の多頭飼いに向いている間取り

猫を多頭飼いする場合、何かあった場合に隔離できるよう1匹につき1部屋を用意できるのが理想といえるでしょう。そして飼う側にとっても、仕事や趣味などで自分一人になれる部屋もあると、より暮らしやすくなります。
部屋の数に合わせた頭数は「猫が自由に出入りできる部屋数-1頭」を目安に考えてみてください。例えば3部屋あるなら2匹、2部屋なら1匹となります。

猫が1匹であれば、ワンルームの部屋でも運動できるスペースや高さの変化を付けた活動範囲が確保できれば飼えるといわれます。猫同士は半径2mほどの距離感があれば快適に過ごせるといわれているので、ワンルームで猫を多頭飼いするなら、猫同士の距離感を確保するためにも8畳を超える広さが必要となるでしょう。ただ、ゼロではありませんが、ワンルームで広い物件は多くありません。そのため、猫を多頭飼いするのであれば、やはり複数の部屋がある物件が検討しやすいでしょう。

また、脱走を防ぐために、できるだけ猫の過ごす部屋から玄関は通じていない方がいいでしょう。キッチンも倒したり落としたりすると危ないものや猫にとって口にしてはいけない飲食物などもあるので、猫が入りにくい独立型の方がいいでしょう。しかしいずれも、玄関と居室の間にフェンスを設置したり、キッチンに侵入防止扉を設置したりすることで対策することができます。

まとめ

この記事では、猫の多頭飼いについて詳しく解説してきました。1匹に比べると、やはり飼育するためにはお金も手間も増えるものです。家には十分な広さと適した間取りが求められますので、多頭飼いできる環境か事前に確認しましょう。猫は2m以上離れられるくらいの距離間が確保できるか、また何かあった場合に別の部屋に隔離できるかなどが挙げられます。狭い空間では猫がストレスを溜め、問題行動を起こしたり、病気の原因になったりする可能性があります。

そのほか、先住猫との相性も大切なポイントです。最初は顔合わせから始めて少しずつ慣れさせますが、どうしても威嚇して仲良くなれないということもあるでしょう。そういう際は焦らず、ここで取り上げたような方法を試しながら時間を掛けて見守ってあげてください。
そして規約上、複数飼育ができるのかどうか確認も必要です。本記事で取り上げた内容を参考に、事前の確認から手順を踏んで、無理なく多頭飼いできるか検討しましょう。

不動産情報サイト アットホームでは物件を探す際に、「ペット相談」だけでなく、「大型犬相談」「小型犬相談」「猫相談」と飼っている・飼おうとしているペットに近いこだわり条件から探すことができます。飼育頭数について物件詳細に記載がない場合は、問い合わせ時に不動産会社に確認するとスムーズですよ。猫の多頭飼いに最適なお部屋を見つけてくださいね。

<アンケート概要>
調査方法:インターネットリサーチ
対象: 18歳~80歳の男女
調査期間:2022年6月

執筆者

ヤマシタ ユキマル

美大卒業後、デザイン事務所に勤務。クリエイターとしてデザインコンセプトやクライアントへ業務改善策などについて提案する文章作成業務をきっかけにライター業へ転身。ライター歴15年。

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