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犬の無駄吠えどうしつける?吠える理由や防止方法をご紹介

犬の無駄吠えは近隣トラブルに発展する前に対処しましょう
マンションなどの集合住宅で犬を飼う際、飼い主にとって無駄吠えは大きな悩みになるかもしれません。無駄吠えはしつけで治るともいわれていますが、一向に改善しない無駄吠えを理由とする騒音トラブルも数多くあります。そこで、近隣住民同士が快適に暮らすために、この記事では犬の無駄吠えの仕組みや対処法を解説します。

犬はなぜ無駄吠えをするの?

犬が吠えることは、決して悪いことではありません。人間が言葉でコミュニケーションをとるのと同様、さまざまな意味があるからです。甘える時や嬉しい時、仲間に危険を知らせる時など、吠えることでいろいろな思いを伝えているのです。ですから、犬が何の意味もなく吠えるということはありません。

無駄吠えと呼ばれる犬の鳴き声にも、実はしっかりと意味があります。その意味を理解し、原因を解消することが、無駄吠えのしつけの第一歩です。具体的に、犬が吠える場面とその時の犬の心理をご説明しましょう。

警戒して吠える

犬は本来、群れで暮らす習性を持つ動物です。もし自分自身が音や気配、においで危険を察知した時は、群れの全員に情報を発信し危険が近づいていることを知らせます。特にオス犬や年長の犬はこの傾向が強く、責任感が強いからこそ、些細な物音にも過敏に反応しがちです。この時の鳴き声には一刻も早く危険を知らせなければいけないという感情がともない、声が大きく甲高くなり、すぐには鳴きやみません。

要求して吠える

「食べ物を分けて欲しい」「遊んで欲しい」「遠くに行って欲しい」「近づかないで欲しい」など、犬は自分の要求を伝える時に声を出し、相手に意思表示をすることがあります。このような行為は子犬に多く見られ、成長と共に軽減されるものです。
しかし、ペットとして人間と暮らす犬の場合、成長後も要求吠えが続くことがあります。その理由は、吠えることで要求を伝えると家族がその意図を理解し、要求に応えてくれるという経験を日々繰り返しているからです。

興奮して吠える

嬉しい時や楽しい時の興奮も、怖い時やパニックを感じた時の興奮も、どちらもテンションがあがって鳴き声が大きくなりがちです。犬には豊かな感情があり、こうした興奮を抑えることはできません。
しかし、しつけである程度は抑制することができます。特にパニックや恐怖から起こる興奮は、甲高い声で鳴き叫ぶので周囲に不快感を与えてしまうでしょう。

不安で吠える

一緒に暮らしはじめたばかりの数日~数週間は、夜鳴きをすることがあります。これは新しい環境に不安や恐怖、緊張を覚え、夜になって家族が寝静まると途端にそのような感情が強まり、朝まで鳴き続ける行為です。
また、留守番が苦手だと一人きりで過ごす室内で吠え続けてしまうこともあります。不安から起こる無駄吠えは家族が一緒にいない時に起こるため、すぐ対処できないからこそ近隣トラブルの原因になりがちです。

恐怖で吠える

散歩やドッグラン、屋外で他犬とすれ違ったり姿を見たりしただけで、途端に激しく吠えたてる犬がいます。この鳴き方は、恐怖が原因で起こるものです。犬は自分の縄張りである自宅から一歩出ると恐怖に包まれてしまい、全ての他犬を危険な存在と認識しています。ただ、マンションの廊下やエレベーターでこのような鳴き方をされると、周囲に響き渡って騒音トラブルにつながるかもしれません。

よく吠える犬種は?

犬にとって吠えることは、周囲とコミュニケーションをとるための大切な手段です。つまり、まったく吠えない犬は存在しません。吠える程度やタイミング、生まれもっての性格や声質など個体差はあるので、住まいの環境や家族のしつけスキルなどを考え、共に暮らしやすい犬種を選びましょう。

ルーツが猟犬の犬種

ミニチュア・ダックスフンド/ビーグル/ウェルシュ・コーギー/ミニチュア・シュナウザー/ジャック・ラッセル・テリアなど

なかでも犬種名に「テリア」がつく犬は、知能が高くしつけの習得度が高い反面、頑固で負けん気が強い気質で無駄吠えが多い傾向にあります。

鳴き声が響く犬種

チワワ/ポメラニアン/パピヨン/トイプードルなど

小型犬は自衛本能が強く、些細な生活音や他犬の鳴き声に便乗して過剰に鳴きやすい傾向にあります。

犬は環境に順応し、家族の指示を十分に理解する能力を持ち合わせています。生まれもっての気質はあるものの、しっかりとしたしつけをすることで問題行動や無駄吠えを抑制することは可能です。しつけの必要がない犬、鳴かない犬はいないということを意識しつつ、犬との暮らしに向き合っていきましょう。

犬が無駄吠えをするタイミングと防止策

犬の行動には、基本的に一定の法則があります。この法則は犬それぞれで異なりますが、愛犬の法則を見つけ出す・回避する・対策を講じるという手段で、無駄吠えの抑制につなげることが可能です。
その法則の1つが、犬の無駄吠えをするタイミング。
「いつもこのタイミングで必ず鳴く・吠える」という法則を、まずは見つけ出してみてください。ここでは、犬が鳴く・吠えることの多いタイミングを基に、具体的な対処法を挙げていきます。

玄関のチャイムが鳴った時

犬にとって玄関チャイムが鳴るということは、その後に家族以外の人間が姿を現す、室内に入るというサインです。縄張りの防衛意識が強い犬だからこそ、このような状況を危険と理解し、家族に危険を知らせようと全力で吠えたてます。

玄関チャイムが鳴った際、同時に家族が慌ただしく動き出すことも、犬の無駄吠えを加速させます。玄関チャイムが鳴ると途端に始まる無駄吠えに効果的な対策は、犬に吠えること以外の指示を出すことです。犬に「ハウス」と指示を出し、サークルやクレートに入り、待機するよう指示を出しましょう。この指示で、犬はすでに家族が危険を察知していること、安全な場所で待機していてもいいのだと理解して吠えるのをやめてくれます。

窓の外を人や車が通った時

廊下の足音や話し声に過剰に反応して吠えてしまう犬も多いと思います。特に、夜間や早朝など静かな時間帯は屋外からの騒音が聞こえやすくなるため、愛犬が吠えてしまい近隣に迷惑をかけてしまうことも。この行動は、愛犬の条件反射的な行動で突然始まるうえに、屋外の騒音自体を遮断させることもできません。

効果的な解決法として、深夜早朝など近隣へ迷惑になりがちな時間帯の騒音をしっかりと防止しましょう。夜間就寝時は愛犬をサークルやクレートに入れ、リビングなど屋外廊下や窓から離れた場所にサークルを置きます。もちろん、些細な物音に反応して吠えることはありますが、屋外まで響きわたることは抑えられるでしょう。

犬は吠えることと体を動かすことが組み合わさると、どんどん興奮度があがってしまい声も大きくなります。この状況は、私たちが音楽コンサートに行った時とよく似ています。静かに座って聞くか、立ちあがり声を出し音楽を聞くかの違いです。犬の行動範囲を制限するためには、サークルやクレートを活用することで興奮を抑えることができるので無駄吠えをできるかぎり抑止しましょう。

お散歩中に人や犬に逢った時

他犬や人を危険と認識し、自分や家族から遠ざけるためにあえて激しく吠えることがあります。吠えることで相手を威嚇し、遠ざけるのは犬なりの防衛行為です。しかし、例えばマンションの廊下やエレベーターでこれが起きると、迷惑行為になってしまうことも。
このような状況は、犬の恐怖心から起こります。即効性のあるしつけ法はありませんが、ドッグランなど犬のいる場所へ積極的に犬を連れ出し、他犬と交流をさせて、犬そのものへの恐怖心を払拭させましょう。他犬の存在を認識して危険でないことを愛犬自らが理解することで、無駄吠えが解消される傾向にあります。

ケージに入れた時

ケージに入れた途端に激しく鳴き続けるのは、犬の要求吠えの一つです。ケージから出て自由に過ごしたいという不満を伝える、もしくはケージに入るということを留守番の合図と受け止めていて、留守番したくないという意思表示でもあります。

ケージに入れるということは家族にとって必要性があるわけですから、犬が鳴いたからといってケージから即座に出したり、犬がうるさいと叱ったりしてはいけません。このような要求吠えには、あえて無視するという対策が効果的です。鳴いている最中は愛犬を無視し、静かになってからケージを開けるという手順です。

飼い主と遊んでいる時

家族と遊ぶことは、犬にとって何より楽しい時間です。うれしさのあまりテンションがあがり、鳴いてしまうのも当然でしょう。これは犬の性格も関係しているうえに、叱ることで犬との関係性が悪化してしまう場合もあります。
こうした際は、犬にガムを与えるとよいでしょう。吠えだした途端にガムを与えると、ガムを噛むために口を閉じるので自然と鳴きやみます。この方法なら犬を叱ることなく、無駄吠えを抑えることができます。

留守番している時

家族が家にいない状況は、犬にとって不安極まりない状況です。家全体に目を配り、些細な音も聞き逃すことのないよう意識を張り詰めています。一見すると昼寝をしているように見える場合でも、眠りは浅く、犬は張り詰めた気持ちで過ごしているもの。このような状況で、玄関チャイムが鳴ったり物音や話し声が屋外から聞こえたりすると、途端にパニックを起こして鳴くことで家族に助けを求めます。

留守番中は家中全体で自由に過ごさせるのではなく、サークルに入れたり、一部屋に犬を入れたりして行動範囲を制限することが効果的です。行動範囲が狭くなることで犬が意識を配らなければならない範囲を狭め、不安を軽減できます。

無駄吠えしたときにやってはいけないこと

犬はなぜ自分が怒られているのか理解することができません

犬が無駄吠えをする時は、精神的に追い詰められている場合が大半です。不安や緊張でパニックを起こしている状況下でさらに家族から叱られると、ますますパニックが加速して無駄吠えが悪化します。犬が無駄吠えをした時、下記のような対処は逆効果です。

大きな声で怒らない

吠えている時の犬は、不安や緊張から一瞬でも早く解放されたいという思いで家族にSOSを発しています。このような状況で家族に叱られて恐怖心を与えられると、家族には守ってもらえない、頼れないと認識していつまでも鳴きつづけます。

おやつを与えない

吠えている最中におやつを与えると、吠えたことでご褒美をもらえたと勘違いしてしまうことがあります。これでは次に同じ場面に遭遇した時も、ご褒美のおやつをもらうために進ん吠えるようになってしまうでしょう。
おやつは、無駄吠えを止めさせるために家族が「ハウス」という指示を出し、指示通りに犬がサークルやクレートに入り、静かに待機できた時に与えます。与えるタイミングを間違えないよう注意してください。

叩く、体を押さえつけたりしない

無駄吠えは家族にも多大なストレスになり、つい感情的になって犬を叩いてしまうことがあるかもしれません。しかし、叩かれたことで犬は衝撃や痛みこそ感じるものの、無駄吠えしないという思考には至らず、何も問題解決ができません。むしろ、叩かれたことで犬は家族へ不信感や恐怖を募らせ、パニックを起こすため無駄吠えは悪化する一方です。

無駄吠えが治らない場合は?

どうしても無駄吠えが治らないときは、鳴き声が外にできるだけ漏れないようにするとよいでしょう。これによって、周囲へ迷惑が及びにくくなります。

防音対策をする

家の防音対策としては、壁なら吸音性の高い断熱材を施したり、同様の効果を期待できる塗膜材を塗ったりすることが挙げられます。あるいは、窓を二重窓に換えることでも、音漏れはかなり減るでしょう。ただし、これらは基本的には業者による工事が必要です。そのため、ある程度の費用が掛かる点と、賃貸物件では難しい可能性がある(大家さんや管理会社が応じてくれない)点に注意してください。塗装剤であればDIYでおこなえるかもしれませんが、プロの作業と比べればどうしても見た目が劣ります。

なお、防音対策として壁に貼るだけの防音材アイテムや、防音性の高いカーテンなどあります。これなら、ご自身でも簡単に防音対策がおこなえるでしょう。さきに取り上げたような断熱材や塗料、二重窓よりは防音性が下がりますが、そこまで酷い無駄吠えではない、あるいは簡単な方法から様子を見たいという方は、こうしたものを試してみるのも一つの方法です。

また、音は壁だけでなく、天井や床を経由しても聞こえるものです。天井であれば、壁と同じような断熱材や塗料などの対策が有効でしょう。床については、クッションフロアやマットを敷くだけでも防音性を高められます。床の対策については無駄吠えだけでなく足音、あるいは犬が滑って怪我しないための対策としても有効です。

もし無駄吠えが夜だけなら、夜間はケージに入れるようにして、ケージに防音対策を施す方法も考えられます。ケージの壁に防音性の高い素材を施すほか、防音カバーをかぶせるだけでも効果が期待できるかもしれません。どのような場面で、どの程度の無駄吠えをしてしまうのか、飼っている犬の特性に応じた防音対策を考えてみてください。

ドッグトレーナーなどの専門家に相談する

無駄吠えのしつけがうまくいかない場合は、ドッグトレーナーや、獣医師などに相談するのもひとつの方法です。ペットサロンや動物病院では「しつけ教室」などのイベントをも開催されていることもあるので、一度参加してみるといいかもしれません。

まとめ

ペット可マンションで犬を飼うにしても、飼い主によってペットに対する考え方やしつけの程度が異なります。住民同士が良好な関係を続けるためにも、犬を飼いはじめたら近隣への挨拶を済ませ、無駄吠えなど近隣への迷惑となりうる問題はしっかりしつけすることを心掛けましょう。
また、犬の無駄吠えは思いのほか室外に響くため防音シートや、遮音カーペットなどの防音グッズを使った防音対策をするなどの対応も必要です。
また、引越しをする検討する際にも、内見時に外部からどれくらい音が聞こえるのかもあわせて確認するとよいかもしれません。犬の飼育環境を整えるのは飼い主の務めです。家族と犬が快適に過ごせる住まいづくりを心がけましょう。

大谷 幸代

執筆者

大谷 幸代

ペットライフアドバイザー

生体販売・トリマー・トレーナー・新規事業開発・成田空港内ペットホテル開業にともなうプロジェクトリーダー等、25年以上のペット業界での実務経験を積み、現在はペット専門学校講師、海外製ペット用品輸入販売、ペット関連プロモーション事業にも従事。トリマー兼トレーナーとして動物保護活動にも取り組む。

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