中学生でも一人暮らしできる?賃貸契約の手順と方法、お部屋選びのポイントを紹介

では、実際に中学生が一人暮らしをするには、どのような手続きが必要なのでしょうか?この記事では、中学生の一人暮らしに向けた契約方法や、お部屋探しの注意点などをご紹介します。
記事の目次
中学生でも一人暮らしはできる?
未成年の中学生でも親の同意と承認があれば、一人暮らしをする(家を借りる)ことは可能です。民法第5条によって未成年者の法律行為には法定代理人(保護者や親権者など)の同意を要するという規定はありますが、一人暮らしの年齢制限は特に設けられていません。つまり、一人暮らしという行為自体は未成年でもできますが、賃貸物件などの契約が単独では不可という考え方です。
また、児童虐待の防止等に関する法律では、保護者による放置や著しい監護の怠りは虐待に該当すると見られています。当然ながら、単純に親の都合だけで中学生に一人暮らしをさせるのは禁止ですし、あくまできちんとした保護下にあることが大前提です。
公立の中学校だと一人暮らしができない
もし自宅から離れた私立中学校に通うことになれば、中学生でも一人暮らしをするケースが考えられます。私立中学校の場合は居住地に関係なく、全国からの入学が認められているためです。
一方、公立中学校の場合、住民登録のある各自治体の教育委員会が指定した学校に通うのが原則。例えば学区外の公立中学校に通うことは、いわゆる越境通学と呼ばれるもので、基本的に禁止されています。仮に、何かやむを得ない事情がある際は各自治体や教育委員会に特別な申請をおこない、越境通学を認められることもあるでしょう。しかし、通常は居住している学区の中学校に通うのが基本です。
こうした面からも、そもそも親元から離れた土地で、公立中学校に通わせるのは難しいといえます。また、学区内で保護者と別々に暮らさなければならないケースも考えにくいので、公立中学校に通いながら一人暮らしをするのは、あまりないものと思っておいたほうが無難でしょう。
中学生がお部屋を借りるために必要なこと
中学生が賃貸物件を契約する流れについて、基本的に住みたい部屋を決めるまでは大学生や社会人などと同じです。大まかに、次のようなステップで進んでいきます。
- 住みたい場所にある不動産会社に行き、入居したいお部屋の候補を選ぶ
- 不動産会社の担当の人と一緒に内見して、部屋の中や周辺の環境をチェック
- 気に入ったお部屋があれば賃貸の申し込み(入居の意思表示)をする
- 家賃を滞納しないかなど、入居審査を受ける
- 入居審査が通ったら、重要事項説明などを受けて契約
無事に契約が完了したら部屋の鍵などを受け取り、引越しの準備に入ります。
親と子どもが一緒に契約をする

未成年で一人暮らし用のお部屋を契約する場合、先ほどの流れにある「賃貸の申し込み」「入居審査」「契約」には保護者の同意・承認が必要です。ちなみに契約方法としては、以下の2パターンが考えられます。
- 保護者に入居の保証人になってもらい、同意書を提出して契約
- 保護者の名義で契約し、別の保証人を立てる
保護者からの同意書があれば中学生でも契約できますが、不動産会社側から親御さんに直接確認するケースも多いようです。そのため、保護者も同伴して一緒に契約した方がスムーズでしょう。
さらに入居審査では、きちんと家賃を支払えるかどうかをチェックされます。義務教育期間の中学生は、一般的に収入がありません。その際には、基本的に保護者の収入が判断基準になります。また、入居審査や契約時には不動産会社によって異なりますが、例えば次のような書類の提出が必要です。
- 契約者の身分証明書(学生証や運転免許証など)
- 契約者の収入証明(源泉徴収票など)
- 契約者の印鑑証明
- 保証人の証明書関連(収入証明・印鑑証明など)
契約方法など、お子さんと相談しながら提出書類も含めて準備を進めましょう。
中学生が住むお部屋探しのポイント
一人暮らしで自立するとはいえ、世間的に見れば中学生はまだ子どもです。大人よりも犯罪やトラブルなどに遭遇しやすい一面もあり、きちんと安全な毎日が過ごせるお部屋を選ぶことが非常に大切。具体的には、次のようなポイントに気を付けながら物件を選んでいくことをおすすめします。

セキュリティがしっかりとした部屋を選ぶ
中学生の一人暮らしで注意したいのが、住む場所の防犯対策です。空き巣や不審者の被害に遭わないためにも、できるだけ以下のような条件や設備がそろったお部屋に住むとよいでしょう。
- なるべく高い階数(2階以上)
- オートロック
- エントランスやエレベーターなどの防犯カメラ
- モニター付きインターホン
- 鍵付き郵便ポスト など
防犯対策として、不法侵入や住所の特定を避けられる物件を選ぶのはかなり有効です。さらに上記のような設備が整っていれば、強引なセールスや勧誘も防ぎやすくなり、さまざまなトラブル防止に役立ちます。
周辺環境や周辺施設を確認する
例えば歓楽街や飲み屋街などは、トラブルや事件が起きやすい傾向にあり、特に未成年の一人暮らしには適さない場所です。できるだけ危険な目に遭わないようにするためにも、治安の悪いエリアは避けましょう。各都道府県の警察のホームページなどで地域別の犯罪件数や発生率が確認できるので、事前に調べておくといいでしょう。
また、物件付近の安全性や利便性をチェックするには、内見時に学校までの通学路を実際にお子さんと歩いてみるのがおすすめ。できれば異なる時間帯(朝・夕)で1回ずつ見てみると、夜道の明るさなども確かめられるので安心できます。
頼れる親戚や知人の家に近い場所にする
もし通学先の地域に親戚や知り合いが住んでいる場合には、なるべくその近くの物件を選ぶとよいでしょう。特に遠方で一人暮らしさせるとなれば、何かあった時にすぐに助けに行きたくても、なかなかそうはいかないかもしれません。そうした場合、近くに親戚や知人がいれば、一時的に預かってもらうなどの手助けをお願いできます。もちろん、相手方の都合もあるため、事前に十分な話し合いが必要です。お子さんの安全を守れるように、何かあった際に頼れる環境を整えておくことも大切です。
学校まで通いやすい場所を選ぶ
部活などで帰宅が遅くなりそうな場合には、できるだけ暗い夜道を歩かなくてもいいように、学校の近くにある物件を選ぶほうが無難です。また、学校までの距離が遠いと、それだけお子さんの負担になってしまいます。もちろん、通学時間が長ければ何かと不便でしょう。学業と毎日の生活を両立していくために、できるだけ余計な負担は省いてあげられるようにしてください。
中学生の一人暮らしはリスクやトラブルに注意
どれだけ気を付けていても、大人も子どもも同様に、一人暮らしにはさまざまな危険があります。そこで、まずはどのようなリスクやトラブルが想定できるのか、あらかじめ理解しておきましょう。具体的な例を対策方法とともにご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
病気やケガ
もしお子さんが病気やケガをした時、例えば病院まで行くのが難しいなど、一人では対処しきれないケースも考えられます。こうした緊急事態に、できるだけ素早く駆け付けられるよう、家族でどのように動くべきか事前に話し合っておきましょう。例えば家族に連絡が取れない場合には、別の親族にもつなげられるように根回ししておくなど。いつでも、誰かしらに頼れる環境を作っておくことが重要です。
また、仮に知人や親戚など知り合いのお宅付近にお子さんが住む場合には、すぐ連携できるようにあらかじめお願いしておく方法もあります。
金銭関係
労働基準法により、一部業務(芸能系やその他軽易なものなど)を除き、中学生が働いて賃金を得ることはできません。基本的に、中学生のお子さんが一人暮らしをする際には、家賃や生活費をすべて保護者が支払う必要があります。そのため大前提として、お子さんの一人暮らしを賄える金銭的余裕があるのか、事前に確認しておきましょう。
また、見えない場所で住んでいる分、思いがけない出費があるなど、お子さんの支出を把握しきれないケースも考えられます。知らない間に生活費が圧迫されてしまう可能性もありますので、例えば次のようなリスクも想定しておきましょう。
- 有料とは知らずに何かのサービスを使っていて支払い額が増えた
- スマホゲームに課金していて必要な生活費を使ってしまった など
こうしたケースに陥ると、家賃や光熱費など、最低限の生活費が未払いになってしまう可能性もあります。そのため、金銭面はきちんと保護者が管理しておくことが大切です。また、お小遣いの使い方を話し合っておくなど、お子さんと日頃からしっかりコミュニケーションを取りながらフォローしましょう。
学業との両立
離れて暮らしている分、やはりお子さんの生活を見守るのは難しくなります。特に一人暮らしだと、勉強や部活だけでなく、ある程度の家事もしなければなりません。
きちんと学業と生活とを両立できるよう、例えば週末にお子さんの部屋に行くなど、親御さんが生活をサポートすることも大切です。また、一人でもしっかりと宿題や学習ができるように、テストの点数によってご褒美やペナルティを作るなど、何か約束事を決めておくのもいいかもしれません。その際には十分に相談して、お子さんが納得できるルールにしましょう。
食生活の偏り
毎日必ず健康的な食事をするのは、大人であっても難しいものです。とはいえ成長期の中学生にとって、体にいい食べ物をバランスよく食べることは非常に重要です。しかし、忙しい学生生活の中ではどうしても時間が上手く取れず、気付いたらカップラーメンやお菓子ばかり食べていた……なんていうことも。もし自炊するのが難しい場合には、お弁当やスーパーのお惣菜をはじめ、健康面に気を遣ったフードサービスなどを活用するのも1つの方法です。もしくは時間のある時に、お子さんと親御さんで一緒に常備菜を作り置きするのもいいかもしれません。お子さん自身でも健やかな食事を意識できるように、日頃からの食育が大切です。
人間関係
中学生の一人暮らしは珍しいので、もしかしたら学校のお友達のたまり場になってしまうことがあるかもしれません。毎日みんなで集まって夜遅くまでゲームしたり出歩いたりなど、不健全な生活につながってしまう可能性もあります。また、素行が悪くなっていくと、気が付いたら犯罪に巻き込まれるといった大きなトラブルに発展してしまう場合も考えられるでしょう。きちんと問題なく生活できているか見守るためにも、離れているからこそ、こまめにコミュニケーションを取ることが欠かせません。
不審者
大人よりも無防備な中学生の一人暮らしでは、不審者に目を付けられる確率も高くなりがちです。詐欺師や怪しい団体に付け込まれて、大きな被害に遭ってしまうケースもあるでしょう。事前に防ぐためには、誰かが訪れた際にまずモニター付きインターホンで確認するなど、きちんと防犯対策を共有しておいてください。その他にも、一番近くの交番の場所を把握しておいたり、ご近所に逃げ込めそうなお店や家がないか確かめておいたりと、しっかりとした危機管理をしておきましょう。
まとめ
中学生でも一人暮らしはできますが、あくまで保護者の管理のもとで生活するのが大前提です。賃貸の契約も、お子さん一人では結ぶことができません。また、より安全な暮らしのためには、周辺環境や防犯設備といった面も考慮したお部屋を探す必要があります。
一人暮らしが始まってからの生活についても、きちんと健全な毎日が過ごせるようにしましょう。そのためには、事前の話し合いなど十分な準備が欠かせません。今回ご紹介した中学生の一人暮らしにおけるポイントをぜひ参考にしてください。