仏滅に引越しをしても大丈夫?メリットや気になる際の対策について解説

記事の目次
そもそも「六曜」とは?

六曜とは、かつて戦国時代の日本に中国から伝わった日柄を占う概念で、日ごとの運勢や行動の善し悪しを表す基準として使われてきたものです。日本で本格的に広まったのは、幕末から明治頃といわれており、古くは農漁村を中心とした一般市民に根づいてきた歴史があり、現在でもその名残が受け継がれています。ちなみに仏教や神道などの宗教とは特に関係がなく、基本的に慶弔ごとなどの日取りも、六曜を気にしすぎる必要はないともいわれています。
一方で、六曜の意味から考えると、日にちや時間帯によってはあまり縁起がよくないとされる日もあることから冠婚葬祭などの人生の大きな転機となる日は、六曜をもとに決める考え方もあります。なお仏滅をはじめとした、六曜それぞれの意味合いや運勢は、次のようになっています。
六曜の種類 | 意味や避ける時間帯 | 適した行事と 避けるべき行事 |
---|---|---|
先勝 (せんしょう・さきがち) |
「先んずれば勝つ」を意味します。 午前中が吉、午後が凶となります。 ※六曜においての午前中は14時まで |
適した行事(14時まで) 納車や引越し 入籍や結婚式 勝負ごと(訴訟など) 避けるべき行事 お通夜 |
先負 (せんぶ・さきまけ) |
「先んずれば負ける」を意味します。 午前中が凶、午後が吉となります。 |
適した行事(14時以降) 納車や引越し 入籍や結婚式 避けるべき行事 契約や賭けごと |
友引 (ともびき) |
「共に引き分け」を意味します。 朝晩は吉、午の刻(午前11時~13時まで)が凶となります。 |
適した行事 納車や引越し 結納・顔合わせ 入籍や結婚式 避けるべき行事 葬儀・告別式 |
大安 (たいあん) |
「大いに安し」を意味します。 六曜のなかではもっとも縁起がよく1日を通して吉となります。 |
適した行事 納車や引越し 入籍や結婚式 旅行 新規開業 住宅の契約・着工 避けるべき行事 特になし |
赤口 (しゃっこう・しゃっく) |
陰陽道において凶日で、「赤舌神(しゃくぜつじん)」という神に仕える鬼が人々を悩ます日。 午の刻(午前11時~13時まで)が吉、それ以外は凶となります。 |
避けるべき行事 納車や引越し 不動産の売買 入籍や結婚式 新規開業 その他祝いごと |
仏滅 (ぶつめつ) |
「仏も滅する大凶日」を意味します。 六曜でもっとも縁起が悪く1日通して凶となります。 |
避けるべき行事 納車や引越し 不動産の売買 入籍や結婚式 新規開業 その他祝いごと |
仏滅に引越ししても大丈夫?

前述の一覧表にもあるように、仏滅は「仏も滅する大凶日」すなわち「物事すべてが終わる」との意味合いがあり、六曜のなかでも特に縁起が悪いとされています。
そのため幸先のよいスタートにするためのゲン担ぎとして、何か新しいことをはじめるには避けられるケースも。六曜の考え方が強かった時代には、引越しを含めて、大きな転機になるようなことは仏滅にはしない場合も多く見られました。ちなみに冠婚葬祭でいえば、六曜は宗教が関係するものではないので、葬儀や法事のような仏事は避ける必要がないとされています。
とはいえそもそも六曜には、運勢を動かす科学的根拠はなく、あくまで古くからの風習として受け継がれてきたものです。最近では「特に日柄は気にしない」と考える人も多く、実際に仏滅に引越しすることも珍しいことではなくなってきています。
また仏滅は、六曜では大凶日となるため、「万事控えたほうがよい」ともいわれています。そうなると仏滅は、物件の契約や引越しなどにも不向きのように思えるかもしれません。ですが荷物の搬出・搬入や物件の引き渡しなどを含めて、基本的に引越しに関わる全般のことは、仏滅の日におこなっても問題はありません。
ただし入居時の挨拶については、なかには仏滅の引越しをよく思わない人もいるため、少し気を付けておくほうが無難でしょう。もし仏滅に被ってしまいそうなら、荷物を運ぶ物音などで迷惑をかけないためにも、余裕があれば引越し当日より前にあらかじめ挨拶しておくのもいい方法です。
結婚にともなう引越しの場合は避けるケースも
やはり縁起のよさを気にするのであれば、先ほどからも出てきているように、仏滅には大きな決断をともなうようなことは避けたいと感じる人も少なくありません。例えば引越しと同時に入籍や結婚をするような場合には、できるだけ仏滅には被らないようにするケースもあります。通常の引越しよりも、入籍や結婚は人生のステージが大きく変わりやすいタイミングでもあり、少しでも縁起がいいようにしたいと考えるのも当然のことです。結婚をともなう引越しの際には、念のためパートナーや家族と相談して、仏滅の日に被ってもよさそうなのか検討してみましょう。これからの人生をともに歩んでいく存在になるからこそ、どちらかの意見を押し通すのではなく、お互いの考えを尊重し合って日取りを決めていくことも大切です。
仏滅に引越しするメリットは?

ここまでにも出てきているように、縁起のよさを考えて仏滅の引越しを避けるケースもありますが、基本的にはさほど気にしなくても問題はありません。むしろ仏滅での引越しならではのメリットもいくつかあります。では仏滅の引越しでは、具体的にどのような利点があるのか見ていきましょう。
引越しの予約が取りやすい場合もある
前述にもあるように、最近では仏滅をはじめとした日柄を気にするケースは減ってきていることから、引越し費用についてのサービスはあまり見られません。そのため仏滅の引越しで料金が抑えられることは考えにくいですが、なかには日柄を考えて転居のスケジュールを決める人もいるため、予約が取りやすくなる可能性も。特にこだわりがなければ、仏滅も候補に入れながら、引越し日を決めていくと予約が取りやすくなる場合もあります。
ちなみに引越しのコストを下げるには、土日祝日よりも平日を選んだり、3月~4月などの繁忙期を避けたりなど、作業が集中しにくい曜日や時期を選ぶほうが効果的でしょう。予算面を考慮したい時には、引越し業界の繁閑に注目してみるのがおすすめです。
「物滅」の文字から悪縁を断ち切り心機一転できる
仏滅には、「すべての物事が滅する」との意味合いがあり、元々は「物滅」に由来しているとの一説もあります。「すべての物事が滅する」ということは、つまり悪縁などの悪い運気の流れも含めて断ち切れるともいえるので、むしろ仏滅こそ新たなスタートに適しているとの考え方も。引越しのように、新しい環境に身を置いて新生活をはじめるにあたって、仏滅は絶好のタイミングととらえることもできます。引越しによって、心機一転して気持ちを切り換えたい時には、あえて仏滅を選んでみるのもいいかもしれません。
仏滅の引越しが気になる時の対策は?

仏滅の引越しとはいえ、必ずしも何か悪いことが起きるわけではなく、見方によってはむしろ新生活のスタートには向いているとの考え方もあります。ただ先ほども出てきたように、結婚などで引越しをする際には、できれば日柄のいい日を選びたいと感じるのも珍しくありません。ですが「日程の調整ができなくてどうしても引越しが仏滅になってしまう」など、なかなか調整が難しいケースも出てくるでしょう。そこで、なるべく引越し日の縁起をよくするための対処法をご紹介していきます。
「大安」「友引」「先勝」に引越しをする
六曜のなかでも、何をしても縁起がいいとされるのは大安ですが、その他にも友引や先勝も新しい物事を始めるには適しているといわれています。友引は、引き分けの意味を持つ六曜で、転じて平穏な吉日として大安に次いで縁起のいい日です。また先勝は先手必勝の早めの行動が吉とされており、例えば引越しなども午前中から作業をはじめると、運勢がよくなるとされています。できるだけ日取りにこだわりたい時には、大安をはじめ友引や先勝の日も候補に入れて、引越し日を設定するのがおすすめです。
引越前の縁起のいい日に荷物を運んでおく
仮に引越し会社による作業日が仏滅になったとしても、その前から少しずつ新居に荷物を運んでおくことで、なるべく縁起が悪くならないようにする方法もあります。例えば比較的近距離の転居で、マイカーや手持ちで運べる荷物だけ事前に新居に入れておけば、その日に引越し作業をはじめたことになります。そのため仏滅の引越し日の前に来る大安などに、少しでも新居に荷物を運んでおけば、縁起をよくすることが可能。ちょっとした対策ではありますが、近い距離の引越しで簡単な日用品など無理なく運べそうであれば、吉日に作業をはじめておくのもよいでしょう。
引越しする前に新居で時間を過ごす
たとえ荷物が揃っていなくても、新居で過ごすことで、その日に引越しをしたことになります。仮に荷物を運ぶ作業日自体が仏滅に被っても、あらかじめ新居で食事をしたりお茶をして一息ついたりしておけば、実質的な新生活の始まりには被りません。先ほどの事前に荷物を運ぶのと同様に、仏滅の引越し作業日の前にある、吉日に新居で過ごす時間をつくるのもいい方法です。大安・友引・先勝といった、縁起のいい日を選んで新居に行ってみるのもおすすめできます。
「万年青(おもと)」を置いておく

「万年青(おもと)」とは、古くから縁起がいいとされている常緑多年草の観葉植物です。かつて幕府を開く際に、徳川家康が持ち込んで江戸時代が栄えたともいわれている植物で、開運のゲン担ぎによく使われています。新生活のはじまりとなる引越しでも、この万年青を持参しておくことで、幸先のよさにあやかりやすくなります。どうしても荷物運搬の作業日が仏滅に当たりそうなら、あらかじめ新居に万年青を置いておくのもいい方法です。仏滅を避けるのに、引越し作業日の事前にちょっとした荷物を運びたい時には、万年青を持っていくのもおすすめできます。
玄関に盛り塩を置く

盛り塩には、厄払いや魔除けなどの効果があるとされており、どうしても仏滅の引越しになってしまう場合にもおすすめ。新居に盛り塩をしたうえで引越し作業をすれば、仏滅でも悪い気を払うことができます。ちなみに盛り塩は玄関に加えて、東西南北と鬼門(北北東・南南西)の6カ所に置いておくと、より厄災から家を守りやすくなるともいわれています。ここまでに出てきた事前対策が難しい場合には、引越し当日に盛り塩をして家内安全を守ることも可能です。
近所の神社で参拝をする
仏滅の引越しを避けられない時には、新居の近くにある神社にお参りする方法もあります。各地域には、その土地を守る氏神様を祀る神社があり、引越しの前後に参拝してご挨拶をしておくことで、今後の家内安全や幸運を祈願するのも一つの手です。それでも気になるようであれば、神主様によるご祈禱やお祓いをしてもらい、お札を貼っておくとより安心でしょう。こちら盛り塩と同じく、遠方の転居やあまり余裕がない時の仏滅の引越しで困った時に活用しやすい対処法です。
仏滅の引越しに関するまとめ
では最後に、仏滅と引越しに関して、よくある質問をピックアップして整理していきます。
仏滅とは?
仏滅とは、かつて中国から伝わった、六曜と呼ばれる暦注(吉凶や運気の流れ)を指します。六曜では、1日ごとに先勝・先負・友引・大安・赤口・仏滅との6つの振り分けがされており、それぞれの日の運勢が示されています。そのうち仏滅は、六曜のなかでもっとも縁起がよくない大凶日といわれています。この仏滅には結婚をはじめとしたお祝いごとや、引越しなどの人生の転機となる日取りとしては避けるのが、日本の古くからの風習として知られてきました。
仏滅に引越しは避けるべき?
前述にもあるように、仏滅は大凶日となるため、「何をするのも避けたほうがいい(仏事を除く)」といった考え方が従来まで根付いていました。しかし六曜は、あくまで古来の慣習で、仏教の教えなどの宗教も関係していない概念です。もし古くからの「縁起が悪い」との言い伝えが気にならないのであれば、仏滅に引越しをしても何ら問題はないでしょう。もちろん物件の契約やご近所さんへの挨拶をする日なども、仏滅に該当していても構いません。ただしなかには、仏滅の日柄を気にする人も。周りからの心象に配慮するのであれば、仏滅の日が引越し作業日になってしまいそうな心配があれば、ご近所さんへの挨拶回りは事前にしておくと無難でしょう。
仏滅に引越しするのが気になる場合は?
仏滅の日柄が気になる際には、できれば大安・友引・先勝の吉日を選んで引越しをしましょう。もしどうしても仏滅を避けられそうになければ、引越し作業当日の前に、少しだけ自分で荷物を運ぶか新居であらかじめ過ごす時間をつくるのがおすすめ。なお新居に荷物を持ち出す時には、万年青(おもと)と呼ばれる観葉植物を持参すると縁起がいいとされています。また事前に新居に向かうのが難しい場合には、玄関などに盛り塩をして厄払いをするか、転居先の地域の氏神様を祀る神社にお参りしておくと安心です。
仏滅は、なんとなくの文字のイメージとしても物々しく、実際に日本に古くから伝わる六曜のなかでは縁起がよくないとされています。しかし六曜はあくまで風習的なもので、最近では特に気にしない人も増えてきています。仏滅のような凶日は、引越しをはじめとした大きな行事は避けたほうがいいとの考え方もありますが、どうしても考慮しなければならないものではありません。「仏滅だから引越しは絶対にNG」というわけではなく、縁起や運勢などが気にならなければ、六曜に関係なく都合のいいスケジュールを組むことが重要です。とはいえ仏滅の日取りが心配なら、今回ご紹介したような対処法で、悪い運気から住まいを守りましょう。
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