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【例文あり】会社への引越し報告はいつまでにする?しないとどうなる?

引越しをした時、勤め先への報告はいつまでにすべきでしょうか?タイミングや報告方法を解説します
引越しをしたら、住民票や免許証など、住所変更をしなければならないものがいくつもあります。こうした手続きのなかで、忘れずに対応しておきたいことの一つが、会社への引越し報告。会社側では、従業員のさまざまな管理をおこなっているため、住所をはじめとした個人情報は正しく把握しておく必要があります。きちんと引越しの報告をしておかないと、場合によってはトラブルや不正につながってしまう可能性も。
そこで今回は、引越しをした際に、会社へ報告すべき理由や届出方法などについて解説していきます。

会社に引越ししたことを報告しなければならない理由は?

なぜ引越しをしたら会社に報告しなければいけないのでしょうか?理由を解説します
なぜ引越しをしたら会社に報告しなければいけないのでしょうか?理由を解説します

従業員を雇用している場合、会社側ではそれぞれの住所と関連する各種手続きが発生することから、引越しの報告は就業規則などで義務付けているのが一般的です。例えば「住所変更をおこなう際には、ただちに届け出ること」など、明確な規定となっているケースが多々見られます。また会社にもよりますが、住所変更用の書類が用意されていることも多く、その受付窓口となる申請ルート(総務部や人事部など)が決まっていることも。
まずは就業規則などを確認して、会社の指示に従うようにしましょう。引越しの報告をしないままでいると、ルール違反になってしまう可能性もあるので注意が必要です。

会社の手続きに影響するため

会社側の管理業務として、従業員の住所情報がともなう、次のような手続きに対応しています。特に税金関係は、会社側で給与から天引きして支払いを代行しているため、正確な住所登録がされていないと正しく納税ができないことも。こうした重要な手続きのためにも、必ず引越しの報告をするようにしましょう。

引越しに際して会社がおこなう手続き一覧

労働者名簿の
管理
「労働者名簿」とは、労働基準法で規定された各従業員の個人情報を記録する書類で、各自に住所変更があれば会社側で更新する必要があります。
住民税の
手続き
各従業員が住む自治体に納める住民税は、給与天引きにて会社側が納税を代行しています。「給与支払報告書」を提出し、前年所得に応じた住民税を、毎年1月1日時点で住民票のある自治体に納税。例えば12月に引越しをした場合、その翌年からは新住所地へ住民税を納めます。
所得税の
手続き
所得税の年末調整で提出する「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に記載する住所を変更します。
社会保険の
手続き
管轄の年金事務所へ「健康保険・厚生年金保険 被保険者住所変更届」を提出し、健康保険と厚生年金保険における住所登録を更新します。(協会けんぽ加入事業所でマイナンバー・基礎年金番号が紐付いている従業員なら不要)
その他保険の
手続き
会社側で加入している損害保険や傷害保険などがある場合には、各従業員の引越しでの居住地変更にともない、住所登録も更新します。
通勤手当の
支給
新住所地から会社までの通勤経路に合わせて、支給する通勤手当の金額を再設定します。

特に各種税金・社会保険料・通勤手当は、自分の収入額にも関わるものです。例えば通勤手当なら、「引越しで会社から遠くなった」などの場合、引越しの報告をしていないと本来支給されるはずの金額を正しく受け取れなくなってしまいます。会社側に適切な対処をしてもらうためにも、引越しの報告は早めにしておきましょう。

緊急時の連絡・確認に必要なため

災害などの緊急時には、会社に登録されている住所をもとに安否確認をするケースもあります。どうしても従業員との連絡が付かない時には、実際の住所まで足を運んで対応する場合も。こうした緊急連絡先としても、従業員の住所を管理している会社が多くあります。
「一人暮らしの自宅で倒れてしまった」などの非常時にも、会社に正確な住所を伝えていることで、同僚に助けてもらえることもあるでしょう。自分の身を守る意味でも、引越しの報告をして、正しい住所を伝えておきましょう。

引越ししたことを会社に報告しないとどうなる?

引越しをして住所が変わったにも関わらず、報告せずにいる場合、まず前述にも出てきた就業規則に違反してしまう可能性があります。罰則の対象となるケースも考えられるので注意が必要。特に引越しで自宅と会社が近くなって、以前よりも交通費が安くなる時、きちんと住所変更をしないと余分に通勤手当を受け取ることになります。必要以上の通勤手当を受け取ってしまうと、不正受給や横領として懲戒処分にされたり、損害賠償請求をされたりするリスクも。
また会社に住所変更の届出をしないと、税金の未納になったり、健康保険などが正常に適用されなかったりすることもあります。ただ「忘れていた」だけでは済まないことも多いため、さまざまな手続きと並行して、会社への報告もタスクとして頭に入れておきましょう。

会社へ引越しの報告をすべきタイミングはいつ?

引越しの報告は、できるだけ早めにするのが好ましいですが、実際に転居する前後のどのタイミングなのか迷ってしまうかもしれません。引越しの報告をする時期で悩む時には、次のように対処していきましょう。

まずは就業規則を確認しよう

就業規則を確認することで、報告のタイミングが把握できるでしょう
就業規則を確認することで、報告のタイミングが把握できるでしょう

会社の就業規則では、例えば「住所変更は転居後〇日以内までにおこなう」など、報告時期もあわせてルール化されている場合もあります。まずは就業規則を確認してみて、もし申請のタイミングが明記されていれば、その規定に沿って報告するようにしましょう。

引越し日が決まった時点で報告しておくのがおすすめ

できれば転居する前でも、引越し日が決まった時点で報告したほうが、何かとスムーズに進みやすいのでおすすめです。例えば引越しのために、何日か有給休暇を取ったり、通勤時間が大幅に変わって出退勤に影響があったりする場合など。特に業務の調整が必要になりそうな時には、引越しをする前にあらかじめ上司や同僚に相談しておいたほうが、周りも協力しやすくなります。
また事前に引越しの報告をしておけば、会社への提出書類なども早めに用意してもらいやすく、手続きを前もって進められるケースも。早い分にはさほど問題はないため、なるべく引越し日が確定したタイミングで報告するのがベストです。

引越し済の場合はできるだけ早く報告を

通勤定期代の振込や税金関連の手続きなどの影響から、社内ですぐにでも住所変更の処理をしないと、適切な対応が難しくなってしまう場合もあります。転居するタイミングでは、さほど大きな問題にはならないこともありますが、もし報告が引越し後になるようであれば、できるだけ早めに報告するようにしましょう。遅くとも、引越し後2~3日以内には報告しておくのが目安です。

引越ししたことを誰に報告すればいい?理由も必要?

基本的には、従業員の住所(個人情報)を管理する、専門の部署や担当者に報告します。総務部や人事部などが窓口になるのが一般的ですが、少人数の会社であれば、配属先の上長・責任者や社長に直接伝えるケースもあります。もし報告方法がわからなければ、上司や先輩・同僚に聞いてみるとよいでしょう。

ちなみに引越しの理由は、何か特別な事情がなければ、あえて報告する必要はありません。例えば「友人とルームシェアをはじめる」「恋人と同棲する」など、プライベートな事情は伝えなくても問題ないでしょう。ただし結婚や離婚といった、家族構成の変化もともなう引越しでは、扶養控除などの税金の手続きに影響する場合があります。また家族手当などがある会社では、給与にも関係してくるため、結婚や離婚といった旨は担当部署や担当者に伝えるようにしましょう。

上司・同僚にも報告すべき?

きちんと担当窓口に報告ができていれば、必ずしも上司や同僚に報告する義務はありません。もちろん「これから一人暮らしになる」「マイホームを建てた」など、私的な事情も伝えなくてOKです。とはいえ「前よりもかなり通勤時間が長くなりそう」など、何かしら業務に影響しそうな時には、上司や同僚にも報告しておくと安心です。
また所属部署の上司が、部下の緊急連絡先を管理しているケースもあります。何か気になることがあれば、必要に応じて、所属部署の上司には報告しておくとよいでしょう。

引越ししたことを周りに知られたくない場合は?

引越ししたことを知られたくない事情があっても、会社自体には報告する必要があるので、完全に隠しておくことはできません。ただし引越しの報告をする際に、窓口となった部署の担当者まで、周囲に知られると困る事情を相談しておくことはできます。
会社側には従業員の個人情報を守る守秘義務があり、何か特別な理由がない限り、簡単に社内で漏らすことはありません。あらかじめ事情を伝えておけば、むやみに従業員の個人情報を流される心配はないため、正直に相談しておいたほうが安心でしょう。

【例文あり】会社への引越し報告の方法

実際に会社への報告方法を見てみましょう
実際に会社への報告方法を見てみましょう

ではここからは、実際に会社へ引越し報告をするための大まかな手順を見ていきましょう。

口頭で上司に伝える

基本的には、まず上司に「今度引越しをすることになりました」など、口頭で簡単に報告しておくのが無難です。もちろん詳しい住所まで教える必要はなく、引越しの時期や最寄り駅など、大体の概要を伝えるだけでも問題ありません。また引越しの報告とあわせて、会社としての手続き方法も確認しておくと安心です。どの部署や担当者に対して手続きをするのか、必要な書類はどれかなど、あらかじめ聞いておくとスムーズでしょう。
なお、どうしても上司に伝えるのが難しい場合は、会社の管理部署などに直接報告しても問題ありません。

メール・電話で担当部署に伝える

会社によっては申請システムなどを使って、ツール上で簡単に報告ができる場合もありますが、そうでない時にはまずメールや電話で担当部署に連絡しましょう。その際には、提出書類・申請方法(システムの操作など)・届出の期限など、細かな手続きの仕方を確認しておくと安心です。また通勤定期代の変更や払い戻しに向けた対応も、あらかじめ聞いておくとスムーズでしょう。
なおメールやチャットにて、窓口となる部署の担当者に報告する場合には、以下の例文を参考にしてみてください。

【例文】
総務部 〇〇様
お疲れ様です。〇〇部の〇〇です。

この度引越しをすることとなり、以下のように住所が変更になります。
必要な手続きや提出すべき書類等はありますでしょうか?

転居日:〇〇年〇〇月〇〇日
旧住所:○○県○○市○○~
新住所:〇〇県〇〇市〇〇〜
最寄り駅:〇〇線〇〇駅
通勤経路:○○

なお、最寄り駅が変わるため、定期券の変更等、どのように対応すればよいかご教示いただけますと幸いです。

お忙しい中恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。

住所変更を報告する際の必要書類

住所変更にともなう必要書類は、会社によって異なるため、担当部署に確認しましょう。よくある申請書類の例としては、住所変更届・通勤経路変更届・緊急連絡先変更届など。また正確な住所情報かのチェックとして、住民票・運転免許証・新しい定期券のコピーなどが求められる場合もあります。
なお先ほども出てきたように、最近では申請システムなどのツール上で住所変更ができるケースも多く、特に提出書類はないことも。詳しい手続き方法については、必ず担当部署に問い合わせしておきましょう。

会社への引越しの報告に関するよくある質問 

事前に上司に引越しの相談をする必要はある? 

事前に相談をする義務はありませんが、引越しで休みを取る・残業ができないなど、業務に影響する時には伝えておいたほうが無難です。あらかじめ引越しの報告をしておくことで、業務の調整もしやすくなります。

住民票を移していなくても、会社に報告する必要はある? 

例えば特別な事情で、一時的に引越しをする際など、住民票は移さないケースも想定されます。とはいえ会社から支給される通勤手当は、実際の居住地から勤務先までのルートに沿って支払う規則になっているのが一般的。住民票の登録は変わらなくても、引越しの報告をする必要があります。判断に迷う時には、必ず会社の担当部署などに相談してみましょう。

会社にバレずに引越しはできる? 

住民票を移せば、住民税の支払いなどの関係から、必ずいつかは会社に知られてしまいます。また引越しの報告をせずに、交通費などを余分に受給していると、不正が発覚した時には懲罰や賠償請求の対象になる可能性も。何か特殊な事情があれば、周りの人には報告しない方法もありますが、会社自体には必ず届出をしなければなりません。

まとめ

社会保険料や税金の支払いにも関わるため、住所が変わったら速やかに会社に報告しましょう
社会保険料や税金の支払いにも関わるため、住所が変わったら速やかに会社に報告しましょう

従業員の住所は、会社にとって非常に重要な情報となるため、引越しをした時に必ず報告をする必要があります。引越しの報告をしないままでは、会社側で税金や通勤手当などの手続きができなくなってしまうので、忘れずに対応するようにしましょう。場合によっては社内のルール違反として、罰則対象になるケースもあるので注意が必要です。
また引越しの報告時期としては、転居日が決まった早めのタイミングがベスト。引越し後でも問題ないですが、2~3日後には報告できるようにしましょう。もしわからないことがあれば、周りの上司や同僚、担当部署などに確認しておくと安心です。ぜひ本記事を参考に、会社への報告も含めて、スムーズに引越しの手続きができるように準備しましょう。

執筆者

たけなつ

2019年よりフリーで活動しているWebライター。
広告会社でのコピーライターを経て、現在は幅広いジャンルのコラム記事などを執筆。
愛知・東京・北海道と各地を渡り歩き、19歳からの10年で7回引越しを繰り返す好奇心旺盛人。

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