引越し会社に心付け(チップ)は渡すべき?渡す場合の相場やマナーを徹底解説

記事の目次
基本的に引越し会社への心付けは渡さなくていい

大前提として心付けとは、何かお世話になる相手に対し、感謝や励ましなどの意味を込めて渡す金銭や物品を指します。現金をはじめ、簡単なお菓子や飲み物の差し入れなどを渡すのがよくある例です。
昔は慣習として心付けを渡すこともありましたが、現在は各スタッフの作業料やサービス料は全体の引越し代金に含まれるので、基本的に心付けを渡す必要はありません。心付けを渡さなかったからとサービスの質が落ちることもないですし、失礼にあたることもないでしょう。
では実際に、世間一般として引越し会社への心付けはどうしているのか、アンケート結果も見てみましょう。

一般の方へのアンケートの結果、差し入れも含めて心付け(チップ)を渡している人の比率は、全体の約7割を占めました。基本的には、あくまで気持ちとして渡すものですが、実際には多くの人が引越し会社への心付けに配慮していることがわかります。ただし場合によっては、以下のように心付けを渡せないケースもあるので注意しましょう。
引越し会社によっては心付けの受け取りを禁止している場合がある
引越し会社によっては、自社のルールとして心付けの受け取りを禁止している場合もあり、「スタッフへの謝礼は不要です」など顧客向けの規約に記載している例もあります。こうした際に無理に心付けを渡すと、会社側から問題視されるなど、スタッフさんに負担をかけてしまうケースも。
先述のとおり、そもそも引越し会社のサービス料は引越し代金に入っており、心付けがないからといって対応が悪くなったりマナー違反になったりもしません。「心付けはご遠慮ください」など、渡す必要がない旨が明記されている時には避けるようにしましょう。
心付けの受け取りを禁止している理由
- スタッフ間でうまく分配されずトラブルになる可能性がある
- 心付けが習慣化になると、渡されない時の品質が下がる恐れがある
- ケータリングやお弁当などの差し入れで作業時間が遅れてしまうケースも
上記は一例ではありますが、トラブル防止や品質維持など、さまざまな理由から心付けを避けている引越し会社もあります。基本的には、各引越し会社の規約に沿って、心付けを渡すか判断していきましょう。
心付けを渡したい時の金額と渡し方

先述のとおり、引越し会社への心付けは特に必要ないのが基本です。とはいえ、どうしてもお礼がしたい場合には、次のようなポイントを参考にして渡すのがおすすめ。なお引越し作業は、通常は複数名で進めていくことが多く、個々で不平等にならないように渡すようにしましょう。
心付けを渡すことで何かメリットはある?
実際に作業を担当するスタッフさんたちに心付けを渡すことで、会話するキッカケとなりコミュニケーションが取りやすくなる一面もあります。作業前に心付けを渡しながら、ちょっとした世間話をして場の空気が和らげば、荷物の運び先の指示などもスムーズに進められるでしょう。また、心付けによって感謝の気持ちを伝えることで、スタッフさん側もモチベーションが上がったりと高い意識を持ちやすくなります。お互いに気持ちよく接しやすくなるのはメリットといえるでしょう。
現金・商品券を渡す場合
心付けでよくあるのが、ちょっとした金銭を渡すパターンです。現金やクオカードをはじめ、なかにはオンラインショップなどで使えるギフトカードや、アンケートでは「商品券を渡した」との回答もありました。では具体的な金額は、どの程度が相場なのか、以下から見ていきましょう。
心付けの相場は1,000円程度
順位 | 金額 | 票数 |
---|---|---|
1 | 1,000円 | 36 |
2 | 5,000円 | 10 |
3 | 3,000円 | 7 |
回答サンプル数:71
引越し会社への心付けで渡す金額の相場は、スタッフ1人につき1,000円程度が一般的とされており、実際のアンケート結果でも同じような結果となりました。ちなみにアンケートでは、上記にもあるように3,000円や5,000円との回答も。例えば荷物量が多かったり、長距離移動だったりする場合には、少し多めに渡すこともあるのかもしれません。とはいえあまりに高い金額を渡しても、かえって気を遣わせてしまう可能性があるので、1,000円前後で検討しておくのが無難でしょう。
心付けの渡し方

金銭的なものを渡す際には、次のような点を押さえておくと印象がよく、トラブルにならずに渡すことができます。
-
ポチ袋などに入れる
一般的なマナーとして、現金などを渡す際には、ポチ袋といった包装をしましょう。現金をそのまま渡してしまうのも、どことなく露骨で気を遣わせてしまう可能性があるので、なるべくポチ袋などの簡単な封筒を用意しておきましょう。また適切に分配されないなどのトラブルを防ぐためにも、スタッフの人数分、個別に分けて包むようにします。 -
スタッフの人数分用意をする
全員に偏りなく行き渡るように、同じ金額を人数分用意しておくのが基本です。例えば「全員で合計して5,000円札」などのように、ひとまとめにしてしまうと分けられないため、前述のように1人ずつ別々で渡せる形にしておきます。 -
スタッフが揃っている時に責任者に渡す
全員が揃っていない場面で渡してしまうと、受け取りの行き違いなどが発生する可能性も高くなります。また場合によっては、規約になくても社内的には心付けが禁止されているケースもあるため、リーダーなどの責任者がいる時に渡すのがベスト。この際、責任者から心付けを断られたら、無理に渡さないようにしましょう。
各スタッフの個人的な判断で心付けを受け取ることで、会社に戻ってから何かトラブルになる恐れもあるので、はじめに責任者に渡すのが無難です。 -
一声かけながら丁寧に手渡しする
心付けは、相手に対する労いの意味もあるので、簡単に挨拶しながら手渡しするようにしましょう。お互いに打ち解けて、コミュニケーションが取りやすくなるキッカケにもなるため、何か一声添えて渡すのがおすすめです。
差し入れを渡す場合

なかには金銭ではなく、差し入れであれば特に問題なく渡せるケースもあります。ちなみに引越し会社への差し入れでは、次の例でも挙げているように、簡単に持ち帰りができるものが無難。その場で消費できない場合もあるので、お弁当や料理などは避けて、軽い飲み物やお菓子を渡すのがベターです。ちなみに飲み物ならペットボトル、お菓子なら個別に配れる小分けタイプだと、移動時にも持ち運びがしやすく便利。また、タオルや靴下などのコンパクトな消耗品も、気軽に持ち帰りやすく、いくらあっても困りにくいのでおすすめです。
- 飲み物
- お菓子(小分けタイプ)
- タオルや靴下
飲み物やお菓子も現金などと同じく、1人1人に偏りなく渡せるようにしておきましょう。例えばペットボトルでも、2リットルタイプだと紙コップなどで分ける必要があり、車内で飲みづらいうえかえって手間になってしまいます。また小分けになっていないお菓子も、その場で食べきれずに保存が難しい場合も出てくるので避けるようにします。
ちなみに飲み物は、個人で好みが分かれにくいお茶や水、夏場ならスポーツドリンクもおすすめ。なおアンケート結果では、差し入れとしてもっとも多かったのは、お茶やコーヒーでした。その他にも、簡単に食べやすいお菓子や菓子パンなどの回答も。
さらに「汗をかきやすい暑い時期には塩分タブレット」など、季節に合わせた差し入れをしているケースも見られました。なかには、「お菓子は人数分より多めに」、「アソートタイプの菓子折りにしてまとめて手渡し」などのパターンも。さまざまな渡し方が考えられるので、状況を見ながら何がいいのか選んでみるのもよいでしょう。
心付け・差し入れとして渡すのを避けた方がいいモノ
ここまで、心付けにおすすめの金銭類や差し入れなどをご紹介してきましたが、一方で避けた方がよいものもあります。前述でも少し触れているように、例えば持ち帰りや消費のしづらい飲み物や食べ物は、かえって相手を困らせてしまう可能性も。では具体的に、どのような例があるのか見てみましょう。
- ポチ袋に入っていない現金
- キャップのない飲み物
- 大容量の飲み物・お菓子
- 傷みやすい・溶けやすい食べ物
- 好みが分かれるもの
- アルコール類
先ほども少し出てきたように、むき出しのまま現金を渡すことは、一般的なマナーとして失礼に当たります。また、キャップのない飲み物や大容量の飲食物は、余ってしまっても困りやすいため避けたほうがよいでしょう。さらに傷みやすかったり溶けやすかったりする食べ物も、衛生面を考えるならNGです。その他、好みが分かれやすいものは、もらっても迷惑になる可能性が高いので注意しましょう。
なおアルコール類は、持ち帰ってもらう分にはさほど問題ないように思えるかもしれませんが、やはり運転する場面にはふさわしくないため、差し入れには適さないでしょう。
心付け・差し入れを渡すタイミングは?

もし引越しの際に心付けを渡すのであれば、どのタイミングで出すとよいのかアイテム別にご紹介していきます。
現金を渡すタイミング
現金などの金銭類は、作業開始の前に渡すのがベストです。最初に心付けを渡すことで、スタッフさんとのコミュニケーションがスムーズになりやすく、作業を始める際の励ましにもなります。心付けによって、はじめに感謝や労いの気持ちを示すことで、お互いに気持ちよくやり取りしやすくなるでしょう。
もしくは最初に渡すタイミングがなければ、新居への搬入も終わって、完全な作業終了時もおすすめです。最後ならお礼の意味も伝わりやすいでしょう。いずれにしても金銭類は荷物の運搬中に落としてしまう可能性もあるため、作業前後のタイミングで渡すようにします。
差し入れを渡すタイミング
特に飲み物や食べ物の差し入れは、トラックに荷物を積み終えたあと、もしくは新居への搬入後の作業終了時に渡すのがおすすめです。一息つけそうなタイミングで渡すことで、ちょっとした休憩がてらに飲んだり食べたりしやすく、少しリフレッシュしたい時にもよろこばれるでしょう。作業が落ち着くタイミングを見計らって、お礼などの簡単な挨拶も添えながら渡すのがベストです。
引越し会社のスタッフに対して気を付けること

引越し時の心付けは、あくまで気持ちとして渡すもので、基本的には必要ないものです。もちろん心付けを渡すのは、感謝の意を表すにはいい方法ですが、引越し時にはそれ以上に気を付けておきたいことも。では引越し当日において、特に意識しておきたいポイントも見ていきましょう。
スタッフに対しての対応は丁寧におこなう
なるべく気持ちのよい対応をされたほうが、引越し会社のスタッフさんとしても、快く作業を進めやすくなるでしょう。無理にコミュニケーションを意識しすぎる必要はありませんが、簡単な挨拶やお礼など、きちんと伝えることが大切。最低限のマナーとして、丁寧な受け答えを心がけておくことで、お互いにスムーズにやり取りしやすくなります。
引越しの荷造りはすべて終わらせておく
当然のことですが、必要な荷造りは当日までに終わらせておき、あとは基本的に搬出するだけの状態にしておきましょう。きちんと準備ができていないと、予定していた作業時間をオーバーしてしまい、スケジュールが大幅にずれてしまうなどのトラブルにもなりかねません。場合によっては追加料金が発生するケースもあるため、引越し会社のスタッフさんの負担を避ける意味でも、必ず荷造りは作業開始前までに間に合わせるようにしましょう。
家具の配置などの指示ははっきりと伝える
指示があいまいだと、実際に作業をするスタッフ側としても、どう動いたらいいのかわからず戸惑ってしまいます。特に大きな家具などは運ぶのも大変なので、配置場所に迷ったり置く位置が何度も変わったりするのは、大きな負担になってしまうでしょう。新居での各レイアウトは事前にきちんと決めておき、しっかりと明確に指示できると、スタッフさんを困らせることもなくスムーズに作業を進められます。
当日に急な変更をしない
例えば、元々の見積もりにはない作業を追加するなど、事前の予定と異なる依頼をするのはなるべく避けるようにしましょう。あらかじめ指示されていた内容と作業が変わってしまうと、本来想定していた現場の動きも変更しなければならず、当日の進行に影響することも。また場合によっては、人員や車両が足りないなどのトラブルにつながる可能性もあるため、当日になって急な変更をしないようにしっかりと準備しておきましょう。
引越し日に問題なく支払いができるように準備しておく
引越しの代金は、作業当日のその場で支払うのが一般的です。引越し会社によっては、現金払いのみなどのケースもあるので、事前にきちんと支払い方法も含めて確認して準備しておきましょう。なお現金払いの場合は、なるべくお釣りが出ないように用意しておくと、やり取りもスムーズです。
ここまでに見てきたポイントは、作業の進み方や時間に関わるものがほとんどです。予定どおりに引越しを完了させるための重要な注意点でもあるので、きちんと上記のような心がまえをしておき、当日に備えるようにしましょう。
まとめ
引越し会社への心付けは、必ず渡さなければならないものではなく、あくまで好意としてお礼や労いの意味で出すものです。どうしても心付けを渡したい時には、引越し会社のスタッフさんにとって、負担にならないことを最優先に考えることが大切。心付けとして選ぶものや渡し方には、本記事も参考にしながら、十分に配慮しましょう。とはいえ大事なのは、心付けを渡すよりも感謝の気持ちをしっかりと伝えることです。まずは、作業時にはきちんと挨拶をしたり丁寧に対応したりなど、基本のマナーを押さえておくようにしましょう。
■アンケート概要
引越しの時、引越し会社のスタッフに渡したお心づけ(チップ)や差し入れについて教えてください
調査方法:インターネットリサーチ
回答サンプル数:402人
対象:10代~80代男女(全国)
調査時期:2024年9月
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