引越し時に出た不用品の処分方法は?流れや注意点、タイミングを解説

まだ使える家具や家電においては「捨てるのはもったいないし、次の住人のために置いていってもいいのでは?」と考えてしまいますよね。
ところが実は退去前には不用品もきちんと処分して、最低限の掃除をしたほうがよいケースがほとんどです。賃貸物件の場合は、部屋を入居した時の状態と同じ状態に戻す「原状回復義務」があります。
「まだまだ使えるから次の住人に活用してもらおう」と思って許可なく置いていった不用品は「残置物」と呼ばれます。契約違反になる可能性があり、いろいろな問題を起こすケースもあるため注意しなければなりません。
本記事では引越し時に出た不用品の処分方法やタイミング、注意点を解説します。
記事の目次
引越し時の不用品を処分する方法は?
不用品一つとっても、いろいろな処分方法があります。不用品の種類別に、どのような処分方法があるのか一覧表で確認してみましょう。
不用品の種類 | 処分方法 |
---|---|
家具 | リサイクルショップに買取依頼をする フリマアプリやネットークションに出す 粗大ごみに出す 友人・知人に譲る |
エアコン・冷蔵庫・洗濯機・テレビ | 購入した家電販売店等に回収を依頼する リサイクルショップに買取を依頼する フリマアプリやネットオークションに出品する 指定引取所に持ち込む 自治体に回収を依頼する 友人・知人に譲る |
服など繊維製品 | リサイクルショップに買取を依頼する フリマアプリやネットオークションに出品する 粗大ごみに出す 燃えるごみに出す 販売店の衣類回収ボックスを利用する 友人・知人に譲る 寄付する |
CD・DVD | リサイクルショップに買取を依頼する フリマアプリやネットオークションに出品する 自治体のルールに基づき燃えないごみ・燃えるごみに出す 友人・知人に譲る |
本 | 古本屋に買取を依頼する フリマアプリやネットオークションに出品する 友人・知人に譲る 資源ごみに出す |
それぞれの処分方法を具体的に確認していきましょう。
解体して一般ごみ(燃えるごみ・燃えないごみ)として処分する
本棚や食器棚など大型家具を解体し、紐でまとめて一般ごみとして出す方法です。処分する料金がかからず一番お得に処分できます。お住いの地域によって粗大ごみとして取扱われる最大辺が決められているため事前に確認してから解体しましょう。
切断や解体して小さくしても元々使用していた大きさのサイズの粗大ごみ料金が充当される地域もあります。お住いの地域のごみの出し方をWebサイトやごみの出し方カレンダーで確認するか、粗大ごみ受付センターに電話で問い合わせをして事前に確認しておくと安心です。
粗大ごみとして自治体に持ち込む・回収してもらう
自治体ごとに、粗大ごみの大きさや重さ、粗大ごみとして出せるものの品目、1回で出せる点数などが細かく決められています。申し込みをする前に、不用品の種類や大きさ、個数を確認しておきましょう。
回収してもらう場合は、電話またはインターネットで申し込みをおこないます。玄関前に出すのか、粗大ごみ収集場所に出すのかなど、粗大ごみを出す場所の情報も必要です。
受付を終了すると、粗大ごみシールの必要枚数がわかるため、回収日前日までに取扱店で購入しておきます。粗大ごみシールに必要事項を記入したうえで、回収日当日の決められた時間までにシールを貼って、指定した場所へ出すようにします。
自治体が指定する清掃施設にご自分で直接持ち込む場合は、回収の時と同様に、電話またはインターネットで事前に申し込みが必要なケースがほとんどです。事前申し込みせずに搬入しても受け付けてもらえないので、注意しましょう。
各自治体により異なりますが、回収してもらう場合よりも料金が安くなるケースもあります(東京都世田谷区の場合は、手数料が収集の場合の半額程度)。
自治体の粗大ごみ処分費用はおおよそいくら?
東京都世田谷区を例に、引越しの際によく買い替えられるものの一部を例にあげ、その費用を見ていきましょう。
品目 | 費用 |
---|---|
衣装ケース 最大辺及びその次に長い辺の合計=140cm |
400円 |
鏡台・ドレッサー 最大辺及びその次に長い辺の合計=140cm |
400円 |
座椅子(回転式10キログラム以下) | 400円 |
寝具(枕・毛布・掛け布団等5点で1束) | 400円 |
カーペット(6帖以下) | 900円 |
ソファ(横幅70cm超150cm以下) | 1,300円 |
テーブル・こたつ(最大80cm超160cm以下) | 900円 |
照明機器(電気スタンド) | 400円 |
自転車(16インチ超) | 900円 |
出典:世田谷区「粗大ごみンターネット受付」
※2024年1月時点の料金
品目や料金がわからない場合は、電話で問い合わせをすれば費用を教えてくれます。
また、ペンキ類や食用油以外の廃油、プロパンガスのボンベ、自動車のタイヤやホイールなどは粗大ごみとして出せません。別途回収会社に依頼をしなければならないケースもあるため注意が必要です。
商品を購入した店に引き取りを依頼する
新しい家具や家電に買い替える予定がある場合は、商品を購入するお店に引き取りを依頼できることもあります。
ホームセンターや家電販売店で、新しく購入した同一の商品と同じ点数だけ不用品を無料で引き取ってもらえるサービスを実施しているところがあるため、利用してみるのもよいでしょう。
オンラインショップで購入しても店舗に持ち込む必要があったり、店舗によって不用品の取扱い品目が違う場合もあったり、条件はさまざまです。利用する場合は各店舗に事前に問い合わせるようにしましょう。
リサイクルショップに持ち込む
リサイクルショップに持ち込んで買い取ってもらえば、処分費用を浮かせられます。持ち込んだものによっては現金化できる可能性もあります。
できるだけ状態のよいものを持ち込みましょう。リサイクルショップによっては本や洋服、収納ケースや家具、家電まで幅広いジャンルを取り扱っています。宅配対応や依頼すれば家まで買取に来てくれる店もあるため、上手に活用しましょう。
ただし、フリマアプリやネットオークションに出品するよりも手間はかかりませんが、高く買い取ってもらうことは難しい傾向にあります。また、持ち込んだものをすべて買い取りしてもらえるとは限らないため、買い取ってもらえなかったものの処分方法も検討する必要があります。
フリマアプリやネットオークションに出品する
フリマアプリやネットオークションへの出品は、リサイクルショップとは違い、自分で売値を決めて、買い手と直接やり取りできる点が魅力です。
ただし、商品を出品する手間や、買い手がついた時の出荷作業まで全部自分でおこなう必要があります。
引越しまでの時間が限られているので、不用品が出たらその都度出品するマメさが求められますが、売上によっては不用品処分代金を充分にまかなえる可能性もあります。
知人や友人に譲る
知人や友人に譲る方法も、処分の費用を浮かせられる方法のひとつです。
小さな子どもがいるご家庭であれば、使わなくなった子ども服やおもちゃなど、知人や友人のご家庭でまだまだ使えるものを譲ればよろこばれるでしょう。
人に譲る際は、相手が断れず不要なものを無理に押し付けないように配慮しましょう。
引越し会社に依頼する
引越し会社のなかには、引越し作業を依頼してくれた顧客にのみ、不用品を回収してくれるところもあります。別途費用は発生しますが、引越し会社を選ぶ時のひとつの目安にしてもよいでしょう。
引越しと不用品回収を一度で終わらせられるため効率的です。回収してくれる不用品の品目は各社異なります。事前にホームページを確認したり、電話で問い合わせたりしましょう。
引越し会社によっては不用品の買い取りサービスも!
数はそう多くはありませんが、なかには不用品の回収以外にも買取サービスもおこなっている引越し会社もあります。
引越し会社と大手リサイクル会社が提携していたり、引越し会社のグループ会社で買取サービスをおこなっていたりするところもあります。
回収してくれる不用品の品目と同様に、買取対象の品目が限られている場合もあります。買い取りをしてもらえれば、その金額を引越し費用や不用品処分代金にあてることが可能です。
不用品回収会社に依頼する
大量の不用品を一気に短時間で処分したい場合は、不用品回収会社に依頼するのがよいでしょう。自宅まで来て不用品の運び出しをおこなうため、重くて大きな不用品があっても安心です。
処分料金は各自治体に粗大ごみとして出すよりも割高感は否めません。しかし、トラック積み放題のパッケージプランを活用すれば、一品一品処分するよりもお得に処分できる可能性もあります。
電化製品は種類によって処分方法が異なる?

電化製品は決められた品目以外は、基本的に粗大ごみとして出せますが、各リサイクル法に沿って処分をおこなえば、資源としての有効活用にも貢献できます。それでは各リサイクル法を詳しくみていきましょう。
家電リサイクル法とは?
正式名称を「特定家庭用機器再商品化法」といいます。
家電販売店をはじめとする小売会社には引取りを、製造したメーカーにはリサイクルを義務付け、消費者には家電4品目を廃棄する際に収集運搬料金とリサイクル料金の負担を義務付けた法律です。
リサイクル料金はメーカーごと、収集運搬料金は事業者ごとに異なるため、事前に確認しておきましょう。
該当する製品・処分方法は?
家電リサイクル法に該当する家電4品目は、下記になります。
- エアコン
- テレビ(ブラウン管、液晶・プラズマ)
- 冷蔵庫/冷凍庫
- 洗濯機/衣類乾燥機
メーカーによって処分に必要となるリサイクル料金が異なります。処分する前に必ずメーカー名、型番を確認しておくと安心です。
家電4品目を新しく買い替える場合は、購入する家電販売店で引取ってくれます。お店ごとで引取り方法が異なるので、購入時に確認しましょう。
また、処分だけしたい場合は、購入した家電販売店に引取りを依頼しましょう。購入していなくても引取りをしてくれる家電販売店もあるため問い合わせてみましょう。
各自治体が指定する収集運搬会社に依頼もできます。指定会社がわからない場合は、各自治体へ電話で問い合わせるか、Webサイトやごみの出し方カレンダーに記載されている情報を確認しましょう。
郵便局で家電リサイクル券を購入し、指定引取場所にご自分で直接持ち込む方法もあります。その場合は、収集運搬料金もかからないためお得です。
小型家電リサイクル法とは?
小型家電リサイクル法は、都市鉱山にごみとして大量廃棄される小型家電に含まれるレアメタル・貴金属などの有用な金属を再資源化することを目的として、2013 年4月に施行されました。
正式名称を「使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律」といいます。支払う費用は市町村によって異なり、品目によっては手数料がかかる場合があります。
該当する製品・処分方法は?
携帯電話やデジタルカメラ、ゲーム機をはじめ、家電リサイクル法4品目以外のほぼすべての小型家電(パソコンも含む)が対象です。
各自治体が回収ボックスなどを設置して回収している場合もありますが、自治体ごとに回収法が異なります。
PCリサイクル法とは?
正式名称を資源有効利用促進法といいます。3R政策(リデュース・リユース・リサイクル)を推進することを目的として、個人や事業用の使用済みパソコンの回収やリサイクルをメーカーに義務付けた法律です。
2003年4月の法改正でパソコンとディスプレイが追加されたので、俗に「PCリサイクル法」と呼ばれるようになりました。
該当する製品・処分方法は?
該当する製品は、下記になります。
- デスクトップコンピュータ本体
- ノートブックパソコン
- ブラウン管式ディスプレイ
- 液晶ディスプレイ(有機EL式ディスプレイは含まない)
購入時に標準で添付していた品(マウス、キーボード、スピーカー、ケーブルなど)も一緒に回収してくれます。プリンターやスキャナなどの周辺機器は、小型家電リサイクル法対象品目となるため回収対象とはなりません。
ハードディスクは物理的な破壊による情報漏洩を防ぐ措置をとったうえで最終的にリサイクルされますが、パソコンに保存されているデータはあらかじめ消去しておくのが安心です。
処分する場合は、機種のメーカーに直接申し込みをおこないます。無料で回収される製品にはPCリサイクルマークが貼られています。
2003年10月以前に購入したパソコンや自作パソコンなどPCリサイクルマークが貼られていないものは有料です。2013年4月からは小型家電リサイクル法に基づいて小型家電の回収・リサイクルも開始されているため、回収BOXに入るものであれば無料で処分することも可能です。
メーカー以外にも家電販売店や各自治体ではパソコンの回収もおこなっているところもあるため、問い合わせてみるのもよいでしょう。
自分に合った不用品の処分方法とタイミングは?
転勤で急に引越しが決まったり、引越しに時間的ゆとりがあったりと、状況は人それぞれです。自分に合った処分方法とタイミングで、上手に不用品を処分しましょう。
引越し日まで時間がない・手配が面倒
引越し日まで時間がなかったり、不用品を処分する手配が面倒だったりする場合は、引越し会社や不用品回収会社の利用を視野に入れてみましょう。
引越し会社や不用品回収会社のサービスを利用すれば、重い不用品を自分で運ぶ必要はありません。不用品回収や引越し作業を短期間で終わらせます。
時間がかかってもお得に処分したい
引越しがまだ先で時間に余裕がある場合や、時間がかかってもお得に処分したい場合は、リサイクルショップやフリマアプリなどを活用して、少しでも高く買取りしてもらう方法で処分をするのがおすすめです。
また買取不可だったものを引越会社や不用品回収会社で不用品を処分するより、自治体で処分をするほうが費用は安くあがります。
引越し時の不用品を処分する際の流れや注意点

引越しのタイミングで不要なものを思い切って断捨離する人も少なくないと思います。
ここまでいろいろな不用品の処分方法をみてきましたが、ここからは引越し時の不用品を処分する際の流れや注意点を確認していきましょう。
不用品の処分方法を比較し検討する
まずは事前に不用品をリストアップし、それぞれどういった方法で処分をおこなう必要があるのかを確認をしましょう。
各自治体に粗大ごみとして出すにしても、家電リサイクル法に従って処分するにしてもルールがあります。そのうえで、引越しまでに不用品を処分するのにどのくらいの時間や手間、費用をかけられるのかを検討していきましょう。
検討した結果、引越し会社や不用品回収会社に依頼する場合は、数社から相見積もりをとり比較検討をするようにしましょう。
大きなモノから処分をはじめる
不用品を処分する際は、大きなものから優先して処分を始めていきましょう。引越しが決まった時点で、できるだけ早めに処分方法を決めておくのが得策です。
なぜなら大型の不用品は処分に時間がかかって引越し当日に間に合わないリスクを避けるためです。また、大きなものから処分できると引越し時の荷造りスペースに有効活用できます。
引き取りや回収の依頼は早めにする
引越しシーズンになると各自治体の粗大ごみ回収や引越し会社、不用品回収会社も混み合います。
申し込みをしても回収が1カ月以上先になる場合もあり、すぐには不用品を回収することが困難なケースもあります。引越しが決まったら、早めに依頼をするように計画的に行動しましょう。
フリマアプリやオークションに出品する際は期限を設ける
フリマアプリやオークションに出品しても売れるまでに時間がかかることもあります。
売れ残る場合も想定して、いつまで出品するのか期日を決めておきましょう。その時に売れ残ったものをどう処分するのかもあわせて検討しておいたほうがよいでしょう。
家電類は家電リサイクル法で定められた方法でおこなう
不用品回収会社に依頼する場合は、一般廃棄物収集運搬業の許可または市町村から委託された会社なのかも事前に確認しましょう。
無許可の不用品回収会社から高額な処分費用を請求される可能性があります。また、社会問題にもなっていますが、回収された不用品を不法投棄し、不適切な処理をされるリスクもあります。
こういった問題を回避するためにも事前確認が大切です。
まとめ
不用品の処分方法をご紹介しました。引越しはまだ先、と思っていても、さまざまな手続きで時間をとられてしまうことも多く、あっという間にその日はやってきます。
「立つ鳥跡を濁さず」とことわざにあるように、立ち去るときの後始末は大切です。お住いの市区町村のルールに従いつつも自分に合った不用品の処分方法をみつけて、引越しまでに上手に処分をおこなっていきましょう。
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