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五月人形はいつまで飾る?出す時期や場所、飾りっぱなしはだめなのかを解説

男の子の健やかな成長を祈る、端午(たんご)の節句を象徴する存在ともいえる五月人形。きちんと当日までに五月人形を飾って晴れやかに5月5日を迎えたいものですが、あまりに早すぎても季節感がなく、意外と出す時期には迷いますよね。「必ず〇日前までに出す」といったルールはありませんが、五月人形を出すのに、縁起がよいとされているタイミングもあります。そこで今回は、五月人形を出しておく時期の目安や設置場所など、飾り方の基本についてご紹介していきます。

五月人形を出す日・しまう日に決まりはない

五月人形を出す日・しまう日に明確な決まりはありません
五月人形を出す日・しまう日に明確な決まりはありません

先ほども出てきたように、五月人形を出しておく時期に決まりはなく、飾り付けができる時間が取れそうなタイミングで問題はありません。では実際に、五月人形を飾る前に、知っておきたい簡単な基礎知識から見ていきましょう。

そもそも端午の節句とは?五月人形を飾る意味

「端午の節句」とは、古代中国の季節行事を由来とする、年間を通した節目の1つです。ちなみに「端午」とは、「旧暦5月の最初の午(うま)の日(旧暦における日付の数え方)」を指しています。かつてはこの季節の変わり目に厄払いをする習慣があり、また武家の時代には身を守る象徴が鎧や兜であったことから、現在の五月人形の風習につながっているとされています。鎧や兜を装備した五月人形を飾ることで、子どもの身代わりとして災いから守るのが本来の目的です。
飾りをする時期や日付が大きく関係しているわけではないので、五月人形を出したり片付けたりするタイミングも、厳密には決まっていません。五月人形の飾りをする時期は、あまり気にしすぎなくても問題ないでしょう。

旧暦で祝う地域もある

前述にもあるように、もともと端午の節句は、旧暦の5月を指しています。旧暦の5月は、現在の6月に該当するので、地域によっては6月に、端午の節句のお祝いをする地域もあります。とはいえ現在では、子どもの日として祝日にもなっているので、5月5日に端午の節句を祝うのが一般的です。

大安など縁起のいい日に出さないといけない?

大安や友引などは、縁起がいい日として知られていますが、五月人形を出す日付として意識する必要はありません。むしろ縁起が悪いとされる日に、五月人形を飾ったり行事をしたりするほうが、厄払いの意味では効果が高まるとの考え方もあります。縁起のいい日だけにとらわれず、時間に余裕があって、丁寧に作業ができそうなタイミングを選ぶほうが重要です。

「一夜飾り」はよくない?

行事の前日に出して、1日だけ飾って当日に片付けることを「一夜飾り」と呼びます。この一夜飾りは、お葬式の流れを連想させることから、あまり縁起がよくないとされるケースも。また「前日に慌てて飾るのは五月人形への誠意がない」との考え方から、一夜飾りは避けたほうがいいといわれることもあります。とはいえ「一夜飾りにしたくない」というだけで、「飾るのはやめておこう」とためらったり、「前日にならないうちに出さなきゃ!」と焦ったりするのは本末転倒です。
せっかくのお祝い事なので、一夜飾りなどの慣習は気にしすぎなくてよいとしている専門家もいます。ただすぐにしまってしまうのはもったいないので、眺めて楽しめる時間もあるように、多少余裕を持って飾る程度の心がまえで問題ないでしょう。

五月人形を飾りはじめる時期の目安

五月人形を飾るのに目安となる日をご紹介します
五月人形を飾るのに目安となる日をご紹介します

五月人形を飾る時期のしきたりなどは特にありませんが、いつから出すべきか迷ってしまう場合もあるかもしれません。なかなかいいタイミングが思い浮かばない時には、五月人形を飾っておく期間の目安として、以下を参考にしてみるのがおすすめです。

春分の日がすぎた3月下旬

春分の日は毎年3月20日・21日で変わりますが、その当日を合わせた前後1週間は、春のお彼岸に当たります。大体3月17日~3月23日付近は、ご先祖様を供養する期間のため、それが終わってからお祝い事となる端午の節句の準備をするほうがいいとの見方もあります。また春分の日は、これから春を迎える節目なので、縁起がいいとの考え方も。なるべく五月人形を長く飾って楽しみたい時には、3月24日~25日以降から出しはじめるのがおすすめです。

「三月またぎ・三月掛け(みつきがけ)」を避ける場合は4月初旬

「三月またぎ・三月掛け」とは、一般的に四十九日法要において、故人の逝去から3カ月後におこなわれるケースを指します。「不幸が身につく(三月・みつき)」との語呂になることから、縁起が悪いとされる考え方です。なかには端午の節句のようなお祝い事でも、三月またぎは避けたほうがいいとする地域やご家庭も。五月人形を出してから、3カ月後に端午の節句が来てしまわないように、4月初旬から飾りはじめる場合もあります。
こうした三月またぎが気になる時には、4月に入ってから出すのもいいかもしれません。また4月はちょうど新学期を迎える時期のため、お子さんの進級を祝う意味として飾りはじめる方法もあります。

遅くても4月中旬まで

当日直前になってバタバタと慌てることのないように、多くの人形店では、5月5日を迎える2週間ほど前までには飾ることを推奨しています。しっかりと準備をして、気持ち的にも余裕を持って端午の節句をお祝いできるように、早めから計画を立てておくとよいでしょう。

五月人形を片付ける時期の目安

五月人形を片付ける時期にも目安にできる日があります
五月人形を片付ける時期にも目安にできる日があります

端午の節句をお祝いしたら、基本的には五月人形のお役目も終わりなので、片付けをして大切に保管するのが一般的です。もちろん片付けの時期にも慣習などはないため、特別何か気にする必要はありません。とはいえ五月人形本体の品質上、気を付けておきたい部分も。そこで保管で注意したい点も含めて、五月人形を片付ける時期の目安を見ていきましょう。

端午の節句(こどもの日)が終わったらすぐ片づけてOK

前述でも少し触れたように、片付ける日取りにも決まりはないので、手をつけられそうなタイミングで問題ありません。もしすぐにでも片付けられそうなら、端午の節句当日でもOK。飾りはじめる時期と同じく、縁起のいい・悪いなどにとらわれすぎず、余裕がありそうな時を見計らって片付けるのがおすすめです。

梅雨入り前・湿気の少ない晴れた日がおすすめ

基本的にいつ片付けても問題はありませんが、五月人形は湿気に弱い一面もあり、梅雨まで出していると本体が水分を吸ってしまうことも。湿気が溜まったまま片付けてしまうと、五月人形が傷んでしまう可能性もあるため、なるべく梅雨がはじまる前に片付けるのが無難でしょう。できればからっと晴れた天気のいい日に片付けたほうが、湿気もこもりにくいのでおすすめです。雛人形のように「片付け忘れると結婚が遅れる」などの迷信もなく、端午の節句が終わって期間が空いても気にすることはありませんが、保管の意味では梅雨前が目安です。

五月人形を一年中飾りっぱなしにしてはだめ?

五月人形は一年中飾っておける場合もあります
五月人形は一年中飾っておける場合もあります

あまり生活スペースの妨げにならない床の間などに飾る場合、そのまま出しっぱなしになることもあるでしょう。もちろん飾り方は自由なので、「年中出しっぱなしは絶対にNG」などの決まりもありませんが、以下のような見方もあるのでご紹介します。

五月人形は一年間の厄を取るための役割がある

端午の節句は、「こどもの日」の楽しいお祭りとなる一方で、五月人形を飾ることで毎年の厄を落とす意味もあります。年1回の大切な行事を司る五月人形が年中飾られていては、ご利益が半減してしまうとの考え方もあり、「出しっぱなしは縁起がよくない」といわれることも。五月人形の役割を尊重して、行事が終わったら、きちんと片付けをしたほうがいいとの見方もあります。

五月の季節行事の楽しみが薄れる

五月人形は楽しい季節イベントを彩る存在でもあり、ずっと飾りっぱなしになってしまうと、なんとなく毎年のお祭り感が薄れてしまう一面も。せっかくの盛り上がる雰囲気を大事にしたいのであれば、手間はかかるかもしれませんが、年ごとに出し入れして楽しむほうがいいかもしれません。

人形が傷んでしまう恐れがある

先ほども出てきたように、五月人形は品質的に繊細なところもあり、出しっぱなしにしておくと傷みやすくなる可能性があります。金属部分のサビ・カビ・顔のひび割れ・屏風の反りなど、見栄えが悪くなってしまうケースもあるので要注意。また何かの拍子に倒してしまうなども想定されるため、できるだけ長く使用する意味では、毎年きちんと片付けたほうが無難との見方もあります。

一年中飾りたい人向けの人形もある

五月人形の種類のなかには、一年中飾っておけるタイプも多く販売されています。例えば、ガラスケースのまま飾る据え置き型や陶器型、インテリアにしやすい小さな樹脂型など。「せっかく買うなら、ずっと飾りながら眺めて楽しみたい」などの場合であれば、なるべく傷みにくい種類を選ぶのもおすすめです。

五月人形はどこに飾ればいい?

五月人形を飾るのは、多くの人の目に留まる場所がおすすめです
五月人形を飾るのは、多くの人の目に留まる場所がおすすめです

基本的に五月人形は、みんなの目に付きやすいスペースであれば、どこに飾っても問題ありません。ちなみに五月人形を飾るのにおすすめの場所は、以下のとおりです。

家族が集まる場所

五月人形を飾るスペースとして定番なのは、リビングやリビング横の和室です。和室があれば床の間に飾れますが、もし洋室しかなければ、テレビ台や収納棚の上などがおすすめ。飾り台があるような大きめのタイプなら、床に直接置いてもよいでしょう。また玄関に設置する方法もあります。一方で、浴室に近い場所は湿気を吸ってしまいやすいので、飾り場所としては避けたほうが無難です。

直射日光が当たらない風通しがいい場所

直射日光が当たってしまうと、日焼けや変色につながってしまう可能性があるため、窓の真正面などは避けたほうがよいでしょう。また湿気にも弱いので、なるべく風通しのいい場所が無難。ただしエアコンの風が直接当たってしまうのも、乾燥のしすぎで五月人形が傷んでしまうケースもあります。窓の影になって、なおかつエアコンの風向きから除けられる位置に飾るのがベストでしょう。

飾る方角は気にしなくてOK

五月人形を飾る向きも、さほど気にする必要はありませんが、縁起のよさを重視したいなら南向きや東向きがおすすめ。これは神棚と同じ方角で、太陽を取り入れやすいことから縁起がいいとされています。ただし先ほども出てきたように、直射日光が当たるのは避けたほうがいいので、日が差す位置にも注意して飾るようにしましょう。

五月人形の保管のポイント

五月人形を長く楽しむために、保管のポイントをご紹介します
五月人形を長く楽しむために、保管のポイントをご紹介します

五月人形は、一般的には非常に繊細な素材からつくられているため、保管には十分な注意が必要です。ここからは、できるだけ長く大切に飾れるように、気を付けておきたいポイントを解説していきます。

湿気の少ない晴れた日に片づける

片付けるタイミングは自由ですが、前述にもあるように、湿気が入ってしまうと五月人形が傷んでしまいます。なるべく水分を取り込んでしまわないように、晴れた日に片付けをするのがベストです。

人形が傷みにくい場所に収納する

五月人形を保管するのに、向いている場所の条件は次のとおりです。

  • 風通しがよく湿気がこもらない場所
  • 寒暖差が少なく、結露が生じにくい場所
  • 直射日光が当たらない場所

ここまでにも出てきているように、湿気や直射日光は変色・カビなどの原因になりやすく、保管の際にも注意したい部分です。日陰になって、なおかつ湿度が高くなりにくい場所を選ぶようにしましょう。押し入れやクローゼットなら、上部のほうが湿気も避けやすくて安心です。

大切に手入れをする

収納から出して飾っていると、どうしてもホコリやゴミが付いてしまうので、片付ける時にはキレイに取り除くようにしましょう。なお金属部分などに手の油分が付くと、サビができてしまうケースがあるため、必ず手袋をしてやわらかい布・毛ばたき・小ボウキなどで汚れを取るようにしましょう。さらに年に1~2回は取り出して、カビがないかなどの状態を確認したり、箱から出して風を通したりするのもおすすめです。

防虫剤・乾燥剤に気を付ける

衣類用の防虫剤や乾燥剤を使ってしまうと、含まれる成分によっては、五月人形の変色やひび割れなどを引き起こすケースがあります。五月人形の保管時には、必ず人形専用のタイプを使用して、決められた用法用量を守った使い方をしましょう。

五月人形に関するよくある質問

五月人形に関してよくある質問をまとめました
五月人形に関してよくある質問をまとめました

五月人形は何歳まで飾る?

五月人形を飾る年齢は、家庭によってさまざまです。例えば高校生や大学生になったら、成人式までなど、ライフイベントに合わせて飾る年齢に区切りをつけてもいいかもしれません。ちなみに古来では、11歳~16歳の元服(かつての成人の儀)までは、五月人形を飾る風習もありました。これに習って、家を出て自立したり結婚したりするタイミングで、五月人形の飾りを卒業するのもいいかもしれません。

次男や三男の五月人形も用意するべき?

五月人形には、お子さんの厄をもらってもらう意味があるため、1人に1体ずつ用意するのが理想です。例えば長男は兜、次男は武者、三男は大将というように、種類を変えた五月人形を選ぶのもおすすめ。「出すスペースに困りそう」などの場合でも、2体目以降は少しコンパクトにするなど、1人に1体は飾れるように工夫できるのがベストです。

五月人形の処分方法は?

五月人形には厄の身代わりのような役目があり、譲ってお下がりをしたり、代々受け継いだりはしないのが一般的です。端午の節句のお飾りから卒業した五月人形は、できれば供養に出すのがベスト。ゴミとして処分するのも可能ですが、今までの感謝も込めて、なるべくお寺や神社の人形供養にお任せするようにしましょう。年中受付しているお寺や神社も多いので、ご自宅の近くで探してみるのがおすすめです。

まとめ

端午の節句は、お子さんを厄から守るための大切な儀式で、今までの成長もお祝いするイベントでもあります。そこで厄で払ってくれるのが五月人形ですが、飾ったり片付けたりする時期に決まりはなく、季節に合わせて出すことができれば特に問題はありません。また大事な家族行事の雰囲気を演出してくれる存在でもあるため、取り扱いには十分な注意が必要。出し入れする時はもちろん、保管にもしっかりと配慮することが重要です。ぜひ本記事を参考に、五月人形とともに、楽しい端午の節句を過ごしましょう。

執筆者

たけなつ

2019年よりフリーで活動しているWebライター。
広告会社でのコピーライターを経て、現在は幅広いジャンルのコラム記事などを執筆。
愛知・東京・北海道と各地を渡り歩き、19歳からの10年で7回引越しを繰り返す好奇心旺盛人。

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