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アクセントクロスとは?人気色と成功事例、失敗せずおしゃれに取り入れる方法

シンプルでまとまりのあるお部屋は、清潔感があり居心地がよいものですが、ちょっと物足りないと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこでおすすめしたいのが、「アクセントクロス」です。
アクセントクロスの選び方は、難しいイメージがあるかもしれません。しかし、失敗しやすいポイントや選び方のコツを事前に知っておけば安心です。この記事では、アクセントクロスで失敗しやすいポイントや、おしゃれな部屋をつくる方法を事例とともにご紹介します。

記事の目次

アクセントクロスとは?

「クロス」は壁紙のことを指し、「アクセントクロス」は壁紙の一部に色や柄を取り入れ、インテリアのアクセントとしての効果を狙うものです。

アクセントクロスのメリットと魅力

部分的でも壁紙の色が変わると、お部屋の印象は大きく変わります。アクセントクロスは、お部屋に個性やインパクトを出したい場合に有効な手段です。では、具体的にアクセントクロスにはどのようなメリットがあるのか、詳しく見ていきましょう。

部屋が手軽におしゃれになる

壁の一部を装飾する方法には、珪藻土やタイルなどさまざまな選択肢があります。しかし、費用も高く工事に時間を要することも少なくありません。一方、アクセントクロスは壁紙のため、一般的な壁紙と大差のない費用と時間でおしゃれな空間を実現できます。

空間を広く演出できる

アクセントクロスを使うと、シンプルなお部屋がメリハリのある空間に変わります。アクセントクロスの色や柄、貼る場所を工夫し、視覚効果によってお部屋を広く見せることも可能です。

部屋のテーマを統一できる

家具や家電でインテリアにテーマ性を持たせるのは難しいこともあります。「インダストリアル」「北欧風」など、インテリアにテーマ性を出したい場合にも、アクセントクロスは威力を発揮します。

アクセントクロスで失敗しやすいポイント

アクセントクロスは比較的取り入れやすいものですが、気軽に貼り替えできるものではありません。後悔しないためにも慎重に選ぶことが重要です。
アクセントクロスで失敗しないためにも以下のことに注意しましょう。

部屋全体の統一感を考えずに決めてしまった

アクセントクロスを色やデザインの好みだけで決めてしまうと、統一感のない空間になってしまうことがあります。床や建具・家具など、部屋全体を構成する要素とアクセントクロスがマッチするかをシミュレーションして選びましょう。

個性的な色や柄を選んだ結果、飽きてしまった

気に入って選んだはずの壁紙も、時間の経過とともに飽きることも少なくありません。模様替えをしたいと思っても、アクセントクロスの色や柄が個性的な場合、家具や小物だけではイメージチェンジが難しいケースもあります。
ただし、個性的な壁紙のアクセント効果は抜群です。取り入れる場所や、面積を施工会社に相談しながら決めるとよいでしょう。

想像していた仕上がりと違った

参考にした壁紙のサンプルが小さい場合、アクセントクロスを貼った際にイメージと違うと感じてしまうことがあります。また、日当たりの加減によって、アクセントクロスの色調や雰囲気が変わることもめずらしくありません。
その他にも、アクセントクロスの事例として目にすることの多い海外インテリアの写真は、部屋が広いためイメージとのギャップにがっかりしてしまうこともあるようです。

失敗しないアクセントクロスの選び方

人気色「ブルーグレー」のアクセントクロスを使ったお部屋。使用する面積を少なくすることで明るい印象に

アクセントクロスは色や素材から選ぶ、インテリアスタイルから決めるなど、さまざまな選び方があります。以下のことを念頭に置いてアクセントクロスを選ぶようにしましょう。

色が与える印象から選ぶ

アクセントクロスの色によってお部屋の印象は左右されるため、色が与えるイメージについて確認しておきましょう。

暖色・寒色・中性色


色合い 与えるイメージ
暖色 赤、オレンジ、黄色、茶色など 暖かみ、明るい
寒色 水色、青、ネイビーなど 涼しげ、落ち着いた
中性色 緑、紫など 安定、穏やか
無彩色 白、黒、グレー モダン、スタイリッシュ

色は色彩のある「有彩色」と色彩を持たない「無彩色」に分かれます。有彩色は暖色・寒色・中性色の3種類に分類され、それぞれにお部屋に与える印象が変わってきます。
無彩色は、いわゆるモノトーンカラーのこと。おしゃれで洗練された印象になりますが、無彩色を中心に構成されたお部屋は冷たい印象を受けることもあります。

明度と彩度


  与えるイメージ
明度が高い 白、パステルカラー、ペールカラーなど 明るい、軽やか、広い
明度が低い 黒、ダークカラーなど 高級感、重厚感

明度は色の明るさを示し、明度が高い色は白、ライトブルー、ペールピンクなど淡い色です。明度の高い色は、お部屋を広く明るく見せる効果があります。
反対に、明度が低い色は黒やダークブラウン、ネイビーといった濃色です。壁紙に使うには難しい色ですが、高級感や重厚感を演出できる場合もあります。


  与えるイメージ
彩度が高い 赤、黄色、青、緑などの原色 個性的、インパクト、元気
彩度が低い カーキ、モスグリーンなど 落ち着いた、上品

彩度は色の鮮やかさを示し、彩度が高いのはビビットカラー。インパクトのある空間をつくることができます。彩度が低いのは、アースカラーといわれる自然を意識した色や、グレーが混ざったようなトーンの低い色です。落ち着きのある空間をつくるのに適しています。

進出色と後退色


  効果
進出色 赤、オレンジ、黄色、黄緑など 大きくせり出して見える
後退色 緑、水色、青、紫など 奥まって小さく見える

「進出色」は暖色系の色で、飛び出すように迫ってくる印象を与えます。インパクトを出すためには効果的ですが、広さを演出するには向かない色といえるでしょう。
寒色系の「後退色」は奥まって小さく見えるため、壁を遠くに見せる効果があります。入り口から奥に当たる壁面に後退色のアクセントクロスを取り入れると、奥行きのある空間を演出できるでしょう。
また、同じ「青」でも明度の低いほうが後退して見えます。例えば、ライトブルーとネイビーでは、明度の低いネイビーの方が奥まって小さく見えるという効果があります。

家具や床のテイストに合わせる

アクセントクロスはお部屋の中で面積の広い、床・天井・ドアなどの色を考慮して選ぶと失敗がありません。内装の色を考慮せずにアクセントクロスを選ぶと、ちぐはぐな印象のお部屋になってしまうこともあります。また、ソファや大きな収納家具はインテリアで占める面積の割合も大きくなるため、アクセントクロスと色味を合わせることで統一感を出せるでしょう。

人気色から選ぶ

近年のアクセントクロスのトレンドは、明度や彩度の低い色。とくに、ブルーとグレーを掛け合わせた「ブルーグレー」という色が人気です。インテリアになじみやすいことが人気の理由ですが、ブルーグレーは床のオークカラーと反対色にあたります。

カラーコーディネートでは反対色を「補色」と呼び、お互いの色を引き立てる効果があります。ブルーグレーも濃淡によって印象が変わるので、内装とコーディネートすることが大切です。前項のように、床のテイストに合わせる方法もありますが、床の反対色を使うテクニックもあると知っておきましょう。

どんな雰囲気の部屋にしたいか考える

アクセントクロスはインテリアに与える影響が大きいため、インテリアの軸となるテーマやインテリアスタイルをしっかり決めておくことが大切です。「北欧風」「和モダン」「ミッドセンチュリー」など、テーマが明確になっていれば、コーディネートにおける迷いも少なくなります。

柄物のクロスは主役として考える

柄物のアクセントクロスを使うことで、シンプルなお部屋の印象を大きく変えることができます。簡単におしゃれな空間をつくれる一方で、アクセントクロスのデザインを中心としたトータルコーディネートが必要になります。

機能性や素材も確認する

アクセントクロスはデザインで選ぶ場合が多いですが、壁紙の素材や機能性を知っておくと、より選びやすくなります。

アクセントクロスの素材


素材 特長
ビニールクロス デザインが豊富で低コスト。最も多く使われている素材。
織物クロス 表情が豊かで高級感がある。布であるため耐久性が高い。
紙クロス 紙ならではのやさしい質感や手ざわりが魅力。調湿効果がある。

壁紙の素材にはさまざまな種類がありますが、アクセントクロスで使うことの多い素材は、ビニールクロス・織物クロス・紙クロスです。

ビニールクロス
一般的に使われている塩化ビニール樹脂でできている壁紙。安価で手に入り、柄は色も豊富です。防水・防汚・防炎機能にも優れ、手入れがかんたんなのが特徴です。
織物クロス
織物、編物、不織布などを紙で裏打ちした壁紙。静電気を発生させにくく、ホコリやタバコの汚れがつきにくいのが特徴です。
紙クロス
和紙や加工紙で作られた壁紙。海外の輸入壁紙に使われています。音を吸収し、空気を通してくれるのが特徴です。

アクセントクロスの機能性


機能 特長
防汚性 汚れにくい。汚れがついても拭き取りやすい。
調湿効果 湿度を調整し、結露やカビを防ぐ。
耐久性 表面が特殊加工され、傷がつきにくい。
消臭効果 表面に消臭剤を加工し、においを吸着。化学反応でにおいを分解する。
ペット対応 傷がつきにくく、消臭効果もある。

住まいの困りごとに合わせて選べる、機能性を持った壁紙もあります。アクセントクロス以外の壁にも同じ機能性のある壁紙を選ぶことで、お部屋の快適性が向上します。

サンプルはなるべく大きいものを確認する

壁紙のサンプルは小さいものがほとんどですが、失敗を防ぐにはできるだけ大きなサンプルを取り寄せましょう。アクセントクロスを貼りたい場所に飾り、照明や日当たりの加減による色調の変化も確認しておくと安心です。

アクセントクロスの事例を見てみる

アクセントクロスを検討する場合は、ショールームやモデルルームを訪れ、アクセントクロスが貼られた空間を自分の目で確認することが大切です。壁に貼られた壁紙は、サンプルよりも薄い色に感じられることが多く、サンプルと見比べることでその違いを体感できます。
また、壁紙の型番でネット検索すると事例を確認できる場合もありますが、写真と実物では印象が異なることも多々あるでしょう。そのため、あくまで参考程度にとどめておいてください。

アクセントクロスのおしゃれな取り入れ方

アクセントクロスを、より効果的に取り入れる方法をご紹介します。

部屋全体の20~30%になるように場所を選ぶ

アクセントクロスは、壁の一面に貼るのが基本です。しかし、実際の間取りには窓があったり柱があったりと、空間が仕切られていることもめずらしくありません。壁一面にこだわらず、空間全体の20~30%を目安に貼る場所を選びましょう。

部屋に入った際に目がいく場所を選ぶ

アクセントクロスは、目に入りやすい場所に貼るのが基本です。ドアから入ったときに一番奥に当たる壁面、ソファに座ったときに視界に入る壁面などが挙げられます。
また、アクセントクロスはトイレや洗面所のような狭い空間にもおすすめです。暗くなりがちな場所を、アクセントクロスが明るく彩ってくれるでしょう。

部屋全体の配色は3色程度にまとめる

インテリアのカラーコーディネートは、色の配分を考えることが大切です。壁・床・天井などの面積が大きな場所の色は「ベースカラー」と呼ばれ、空間の70%を占めるといわれています。ベースカラーは疲れにくい、居心地のよい色で構成されるのが基本です。
次に、カーテンやソファなど面積が大きめの家具やファブリックが「メインカラー」と呼ばれ、アクセントクロスもメインカラーに含まれます。空間の配分は25%程です。
そして最後に、インテリアのスパイスとしての役割を果たす「アクセントカラー」。配分は5%程でクッションや雑貨など、模様替えしやすいアイテムが該当します。

部屋全体の配色は、必ずしも3色である必要はありません。しかし、ベースカラー・メインカラー・アクセントカラーの考え方を用いて3色程度を目安に構成すると、インテリアがまとまりやすくなります。

アクセントクロスの費用相場

アクセントクロスを施工するためにかかる費用は、クロスの材料費・施工費の合計金額です。物件の状況によりますが、施工費には既存クロスの撤去費用・廃材処理費・下地調整費・養生費などが含まれることもあります。

アクセントクロスの価格はグレードや機能性により変動しますが、目安としては1平方メートルあたりの価格が1,000~2,000円程度です。アクセントクロスの面積を10~15平方メートルを目安に計算すると、材料費は1~3万円になります。
施工費はケースによって変動しますが、2万円程度みておくとよいでしょう。合計費用としては、3万円弱から5万円が目安となります。

アクセントクロスの人気事例

ここからは、実際にアクセントクロスを使用したおしゃれなお部屋を紹介していきます。アクセントクロスを施工する際は、ぜひ参考にしてください!

アーチの壁が、家族の理想の距離感をつくる 小さな居場所をたくさん収めた65平方メートルの家

Sさんのご自宅。奥さまのワークスペースには、華やかなクロスを採用「アーチの壁が、家族の理想の距離感をつくる 小さな居場所をたくさん収めた65㎡の家

お気に入りのアクセントクロスを貼ることで、リビングとつながりを持ちながらも集中できるワークスペースを実現。アクセントクロスは、ゆるやかに空間を分けたいときにも活躍します。

リビング吹抜けのキャットウォークやキャットステップ。 いつでも愛猫の気配が感じられる、 大らかなキャットハウス

真っ白な空間は広く感じられますが、単調という印象を与えかねません。グリーンにペイントされたアクセントウォールとキャットステップが、リズミカルで楽しい空間をつくっています。

高層階からの景色を眺めつつ料理や会話を楽しめるL型+アイランドのキッチン

グレーの壁は落ち着いた雰囲気を演出。床材には、味わいのある草木染めのオーク無垢フローリングを採用している「高層階からの景色を眺めつつ料理や会話を楽しめるL型+アイランドのキッチン

グレーのアクセントクロスは落ち着いた空間をつくりますが、面積が大きいと暗い印象になることも。こちらの事例は、天井まである大きな窓が抜け感をつくり、シックでありながら明るい空間を実現しています。

56㎡を最大限広く、豊かにするDINKSのワンルームリノベ

リビングにアクセントクロスを取り入れることが不安であれば、トイレや洗面所といった水まわりで楽しんでみては?寒さを感じやすい水まわりを、暖色系の色使いでポップに演出。類似色のアクセントクロスを配色し、上手くメリハリをつけた事例です。

まとめ

いかがでしたか?アクセントクロスは選び方によって、お部屋に明るさを与えたり、落ち着きのある空間を演出したり、さまざまな効果をもたらします。不思議な色の視覚効果を活用し、魅力的なお部屋をつくりましょう。
「不動産情報サイト アットホーム」では、分譲物件はもちろん、DIY可能な賃貸物件を紹介しています。賃貸物件にお住まいの方もぜひ利用してみてください。

執筆者

高山みさと

大手住宅設備メーカー退社後、住宅ライターとして独立。住宅業界歴は20年、インテリアコーディネーター資格保有。家づくりやリフォームにおける難しい知識を分かりやすく伝えることをモットーとしている。プライベートでは戸建て住まい。リフォームやDIYで家づくりを楽しんでいる。

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