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ワンルームマンション投資でサブリース契約を結ぶメリット・デメリットは?成功させるためのコツも解説

ワンルームマンション投資でサブリース契約を結ぶメリットやデメリットを解説します
「ワンルームマンション投資」は、マンションの一室を購入しておこなう不動産投資のこと。アパートやマンションを一棟購入する投資と比較して、少額で始められる不動産投資です。比較的はじめやすい投資方法ではありますが、管理業務の手間がかかることから、「サブリース」を利用したいと考えている方もいるのではないでしょうか。サブリース会社に管理業務を委託できる点は魅力ですが、手数料を考えると、収益が上がるのか不透明な部分もあります。

そこで本記事では、ワンルームマンション投資におけるサブリースのメリット・デメリットを解説。また、収益を上げるために押さえておきたいポイントも解説するため、理解しておきしょう。

サブリースとは

サブリースに関する基本的な知識を理解しておきましょう
サブリースに関する基本的な知識を理解しておきましょう

まず、サブリースとは何なのか、基本的な知識を押さえておきましょう。

サブリース契約の仕組み

サブリース契約とは、オーナーが所有する賃貸物件を、サブリース会社が一括で借り上げ、一般の入居者に転貸借(又貸し)する契約のことです。契約形態によっては、空室の有無に関わらず一定の家賃収入を期待できます。

サブリース契約の種類

サブリース契約には「賃料固定型」と「実績賃料連動(パススルー)型」の2種類があります。それぞれ詳しく解説します。

賃料固定型

賃料固定型とは、その名のとおり、毎月一定の賃料が支払われるものです。周辺の賃料相場や賃貸物件の入居状況に関わらず、契約期間中は賃料が変更されません。そのため、空室リスクや家賃滞納の心配がなく、安定した家賃収入を期待できるでしょう。

実績賃料連動(パススルー)型

実績賃料連動(パススルー)型は、賃料が変動し、それにともない家賃収入も変動するものです。例えば、周辺の賃料相場が上昇すれば、それに合わせて賃料を上げ、家賃収入も上がります。しかし、サブリース会社が適切な賃料を設定しない場合、空室ができ、家賃収入が低下するおそれも。また、家賃収入が変動することから、収益予測が難しくなります。

ワンルームマンション投資におけるサブリースのメリット

ワンルームマンション投資におけるサブリースのメリットを4つ解説します
ワンルームマンション投資におけるサブリースのメリットを4つ解説します

ワンルームマンション投資でサブリースを活用するメリットは何でしょうか。

管理業務を委託できる

冒頭でも説明したように、管理業務をサブリース会社に委託できるのがサブリースを利用するメリットのひとつです。ワンルームマンション投資でも、入居者の募集や家賃の回収など、さまざまな管理業務をしなければなりません。たとえ一室であっても、本業をしながらおこなうとなると、時間的な制約があるでしょう。しかし、サブリース会社に委託すれば、専門的な知識や経験のあるプロに任せることができます。

トラブル対応を任せられる

管理業務だけでなく、トラブル対応をサブリース会社に任せられる点もメリットです。もし家賃滞納があっても、サブリース会社が対応してくれます。また、賃料固定型であれば、家賃滞納があっても家賃収入が得られます。しかし、これらの対応はサブリース会社だけでなく、賃貸管理会社に管理委託する場合でも可能である点を理解しておきましょう。

安定した家賃収入が得られる

サブリースを契約するメリットとして、安定した家賃収入が得られることが挙げられます。ワンルームマンションは、ファミリータイプと比べて、入居・退去が多くなる傾向にあります。具体的に、公益財団法人日本賃貸住宅管理協会・日管協総合研究所の「第27回賃貸住宅市場景況感調査『日管協短観』」によると、全国の平均居住期間は、ファミリーで5年2カ月であるのに対して、単身者は3年3カ月となっています。
入退出が多ければ、空室となるリスクも高くなりますが、サブリースの賃料固定型では一定の賃料が保証されているため、安定した家賃収入が期待できるでしょう。

確定申告の手間を省ける

サブリースを契約すると、家賃収入がある場合に必要な確定申告の手続きが簡素化するため、手間が省けるというメリットがあります。自ら物件管理をおこなうと、家賃以外にも礼金・共益費など収入源が多岐にわたる場合も。対してサブリース契約では、オーナーはサブリース会社からの家賃収入のみであるため、収入源が一つになります。確定申告をするにあたって、収支計算がしやすくなるため、確定申告時の負担を軽減できるでしょう。

ワンルームマンション投資におけるサブリースのデメリット

ワンルームマンション投資におけるサブリースのデメリットを5つ解説します
ワンルームマンション投資におけるサブリースのデメリットを5つ解説します

ワンルームマンション投資においてサブリースを利用することはメリットが多いように感じますが、デメリットもあります。それぞれ見ていきましょう。

賃料が減額される可能性がある

サブリース契約では、周辺環境の変化や競合物件の出現によって、賃料が減額される可能性があります。また、サブリース会社の経営状況が悪化した場合も同様です。賃料が減額されれば、家賃収入が減るため、キャッシュフローが悪化するかもしれません。所有物件がワンルームマンション一室のみの場合、リスクを分散できず、経営が破綻するおそれもあります。

売却が難しい

サブリース契約を結んでいるワンルームマンションは、売却が難しくなるというデメリットがあります。なぜなら、サブリース契約も新しいオーナーに引き継がれるからです。サブリース契約を結んでいる場合、通常の賃貸契約よりも、サブリース会社に支払う手数料の分の賃料が低くなります。例えば、マンション内でサブリース契約がなく12万円の家賃収入が得られる部屋と、サブリース契約があり2万円の手数料を引いた10万円の家賃収入が得られる部屋があった場合。どちらに買い手が付きやすいでしょうか?管理業務は賃貸管理会社に委託できるため、12万円のほうに買い手が付きやすいことが想像できるでしょう。

また、サブリース契約を結んでいると、解約しなければ売却できません。契約内容によっても異なりますが、解約する際には高額な違約金がかかることも。また、のちほど詳しく解説しますが、オーナーからの解約は、正当な事由がなければ認められません。オーナーの意思で自由に売却するのが難しいことも、理解しておきましょう。

収益性が低い

サブリース契約では、サブリース会社に手数料を支払わなければなりません。そのため、結果的にオーナーの手元に残る家賃収入が減ってしまいます。一般的に、手数料の相場は賃料の10〜20%程度。例えば、賃料が10万円だった場合、オーナーが得られる収入は8〜9万円となります。

また、通常の賃貸経営の場合、入居者が支払う礼金や更新料は、オーナーの収入となります。しかし、サブリースの場合、これらはサブリース会社の収入となり、オーナーには支払われません。ただし、例外もあるため、契約時には礼金や更新料の扱いがどうなっているかを確認しましょう。

入居者を選べない

ワンルームマンション投資において、入居者を選べないこともサブリース契約のデメリットです。サブリース会社が管理業務をおこなうため、オーナーは入居者を選べません。例えば、家賃を滞納したり、ルールを守らなかったりとトラブルを引き起こす人が入居する可能性も。サブリース契約を結ぶ際は、サブリース会社の入居者の選定基準や考え方を確認しておきましょう。

オーナーから解約することが難しい

サブリース契約は、オーナーから解約することが難しいというデメリットがあります。先述したように、契約期間が決められており、契約内容になっては高額な違約金がかかることも。サブリース契約では借地借家法が適用されます。借地借家法では借主が保護されるため、借主であるサブリース会社の立場が強くなるのです。サブリース契約を結ぶ際は、オーナーからの解約が難しいことも理解したうえで、慎重に判断しましょう。

サブリース会社が倒産する可能性がある

サブリース会社が倒産した場合、家賃収入が途絶え、大きな損害を被る可能性があるのもデメリットでしょう。ワンルームマンション投資の場合、オーナーはサブリース会社からの家賃収入に依存しています。もしサブリース会社が倒産すると、収入源が失われた状態で、不動産投資ローンの返済を続けなければなりません。サブリース契約を検討する際には、どの会社も倒産のリスクを抱えていることを念頭に置き、経営状況や実績をよく確認してよりリスクの低そうなサブリース会社を選びましょう。

ワンルームマンション投資を成功させるためのコツ

ワンルームマンション投資で収益を上げるためのポイントを解説します
ワンルームマンション投資で収益を上げるためのポイントを解説します

ワンルームマンション投資でサブリースを利用することは、さまざまなデメリットがあります。しかしその反面、管理の手間がかからない、安定した家賃収入が期待できるといったメリットも。そこで本章では、ワンルームマンション投資で収益を上げるためのコツを解説します。

サブリースが必要か検討する

ワンルームマンション投資をするにあたって、サブリース契約が必要なのか、よく検討しましょう。先述したように、サブリース会社に手数料を支払わなければならないため、その分家賃収入は減ってしまいます。また、周辺の賃料相場やサブリース会社の経営状況によって、賃料が減額される可能性も。不動産投資ローンを組んでワンルームマンションの一室を購入している場合、家賃収入が減ると、ローンの返済が苦しくなるおそれがあります。サブリース契約のメリットのひとつである管理業務は、管理会社に委託することも可能です。
サブリース契約を結ぶことが適切なのか、メリット・デメリットを考慮したうえで検討しましょう。

信頼できるサブリース会社を選ぶ

サブリース契約を締結し、ワンルームマンション投資をおこなう際には、信頼できるサブリース会社を選びましょう。経営状況や賃貸管理の実績を調べることをおすすめします。サブリース契約では、法整備がされていなかったことから、「契約の途中で賃料が大幅に減額された」「契約内容の条件の十分な説明がないまま契約を求められた」などのトラブルが多発していました。

しかし、2020年12月15日から「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」の「第3章 特定賃貸借契約の適正化のための措置等」(通称:サブリース新法)が施行され、サブリース契約の勧誘時や契約締結時に一定の規制が導入されています。また、賃貸住宅管理会社の登録制度も創設され、管理戸数が200戸以上の賃貸管理会社は登録が義務付けられています。登録しているかは、国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業検索情報システム」で検索が可能なため、調べておくといいでしょう。

契約条件を確認する

ワンルームマンション投資でサブリース契約を締結する前には、必ず契約条件を確認しましょう。サブリース契約は、一般的な賃貸契約と比較して内容が複雑です。また、専門用語も多いため、正しく理解しなければ、のちのちトラブルにつながる可能性もあります。契約書では、特に次の事項を確認しておきましょう。

  • 契約期間に関する事項
  • 手数料に関する事項
  • 解約に関する事項
  • 修繕に関する事項
  • 違約金に関する事項

不明点がある場合は、そのままにするのではなく、必ず質問しましょう。デメリットでも解説したように、サブリース契約は正当な事由がなければ、オーナーから解約できません。契約内容に納得したうえで、契約を締結することが大切です。

物件の収益性・立地を確認する

投資するワンルームマンションの収益性と立地を確認しましょう。立地は入居率や賃料に大きく影響します。商業施設が近い、交通の便がいいなど、立地がよければ、入居率の向上や安定した家賃収入が期待できます。特にワンルームマンション投資の場合、手数料がかかるため、収益性が低くなる傾向にあります。そのため、収益性が低い物件を選んでしまうと、期待していた家賃収入が得られない可能性も。

また、自身で周辺の賃料相場を調べておきましょう。サブリース会社に委託する場合、もし割高な金額が提示されていれば、サブリース会社が自社の利益を優先していることが考えられます。サブリース会社からの情報を鵜呑みにするのではなく、自身で調べることも大切です。

ワンルームマンション投資のサブリースに関するよくある質問

ワンルームマンション投資におけるサブリース契約でのよくある質問をまとめました。

サブリースの何がやばい?

サブリースについて調べると、「やばい」といわれているのを見聞きしたことがあるのではないでしょうか。その理由は、借地借家法によって、サブリース会社が借主として保護されているからです。そのため、契約内容によってはオーナーが不利になる可能性があります。また、家賃収入は一定額を保証されるわけでなく、物件の老朽化や周辺の賃料相場の変動によって家賃保証額が下がる可能性もあります。さらに、不動産市場の変動やサブリース会社の経営状況の悪化によって倒産するリスクも。サブリース契約はさまざまなデメリットがあることから、事前によく検討するようにしましょう。

サブリース物件が売れない理由は?

サブリース契約が締結されている物件は売却が難しいとされています。それは、新しいオーナーにもサブリース契約が引き継がれるからです。そのため、買い手が限定されたり、売却価格も下がる傾向に。ワンルームマンション投資でサブリース契約を検討する際は、売却時のことまで考慮したうえで判断しましょう。

サブリース契約を解除したら敷金はどうなる?

国土交通省の「サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン」によると、サブリース契約が終了し、サブリース会社の権利をオーナーが引き継ぐ際、サブリース会社の敷金返還債務を承継することについてオーナーが認識できるようにすることとしています。つまり、オーナーは敷金の返還債務を引き継ぐということ。入居者が退去する際に、敷金を原状回復費用にあて、余った場合は入居者に返還します。

まとめ

本記事では、ワンルームマンション投資でサブリース契約を結ぶことのメリットやデメリットを解説しました。サブリース契約を締結すると、サブリース会社から一定の家賃収入を得られたり、管理業務を委託できたりといったメリットがあります。一方、サブリース会社に手数料を支払わなければならず、その分、収益が下がります。また、賃料が減額される可能性もあり、減額される金額によっては、破綻してしまうかもしれません。サブリースの利用が適切なのか、慎重に判断しましょう。

長谷川 賢努

執筆者

長谷川 賢努

AFP(日本FP協会認定)、
宅地建物取引士

大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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