このページの一番上へ

沖縄のアパート経営はおすすめ?メリット・デメリットを紹介

沖縄でのアパート経営にはメリットだけでなくデメリットも存在します
アパート経営のエリアを考えるにあたって、沖縄はどうなのか気になる方もいるでしょう。沖縄は日本全国で1位の出生率であり、人口が増加傾向にあります。よって、ほかのエリアと比較すると将来的な賃貸需要が高くなることが予測されるため、長期的なアパート経営に適していると考えるかもしれません。

しかし、沖縄はほかの地域よりも、台風などの自然災害の被害に遭いやすいという懸念もあります。沖縄のアパート経営には複数のリスクが存在するため、メリットのみで投資を判断することは危険です。

この記事では、沖縄のアパート経営がおすすめであるかを判断するために、沖縄でのアパート経営の特徴とメリット・デメリット、経営するにあたって理解しておきたいポイントを紹介します。記事を読むことで、沖縄のアパート経営の魅力とリスクの両方を理解し、公平な投資判断ができるようになるでしょう。

沖縄でのアパート経営の特徴

沖縄のアパート経営の利回り・建築費用・人気のエリアなど特徴を解説します
沖縄のアパート経営の利回り・建築費用・人気のエリアなど特徴を解説します

沖縄は、温暖な気候と豊かな自然環境を持ち、観光業を主要産業として発展しています。しかし、自然豊かなイメージとは異なり、本島の都市部を中心に、エリアによっては高層ビル・大型商業施設が建設されており、高層マンションも存在します。

沖縄は全国でもアパート経営の候補地として検討できる都道府県の一つです。気になる利回り・建築費用・人気エリアなどの特徴を以下にまとめました。

建築費用

沖縄は周囲が海に囲まれた離島であることから、アパート建築に必要な資材は海路で輸送します。東京などの本州の建設費用と比較すると、輸送費によって建設費用が増加することも。また、沖縄は台風などの自然災害に見舞われることも多いため、コストは高くても丈夫な鉄筋コンクリート造のアパートが求められます。以上のことから、初期投資額である建築費用は高額になります。

利回り

沖縄のアパート経営の利回りは、ほかの地域と比較して特別に高くありません。沖縄は土地が狭く、国民性として先祖代々の土地を受け継ぐ傾向にあるため、土地価格が上昇しています。加えて、建築費用の高さから初期投資額がかさみやすく、利回りは低くなる傾向にあります。

さらに沖縄特有の自然災害によって修繕費が発生することも。コストの高さに釣り合うように家賃を引き上げると、競合物件の相場から空室率が増える可能性があります。よって、沖縄でのアパート経営の利回りは低くなりやすいです。

沖縄の一般的な物件の建築費用と利回りは、けっしていい条件とはいえません。しかし、沖縄には魅力的な複数の人気エリアが存在するため、立地によってはアパート経営において大きなリターンをもたらす可能性があります。人気のエリアについて具体的に解説します。

人気のエリア

アパート経営における沖縄県の人気のエリアは以下のとおりです。

  • 那覇市
  • 浦添市
  • 沖縄市
  • 糸満市
  • 名護市

それぞれ簡単に特徴を見ていきましょう。

那覇市

那覇市は、沖縄県の県庁所在地であり、那覇空港・モノレールなどの公共交通機関が充実していることから、企業や観光客の動きが活発です。商業施設も多く存在するため、沖縄で都市型の生活を求める層の需要が厚い地域といえるでしょう。そのため、空室リスクが低く、安定収益が期待される、沖縄でもトップクラスの人気エリアです。

浦添市

浦添市は、那覇市に近い立地であり、住環境が整っているエリアとして人気を集めています。商業施設だけでなく、学校・医療機関などの生活基盤が整備されているため、長期的に定住しやすい場所です。ファミリー層を中心に支持されているベッドタウンであり、モノレール延伸によってアクセスもよくなっています。

沖縄市

沖縄市は、沖縄本島の中央部に位置し、那覇市の次に人口の多い都市です。商業施設・交通機関が充実していることから、シングルからファミリーまで幅広い入居者層が存在するため、アパート経営の候補になりやすい地域といえます。

沖縄のなかでも若年層が多い地域であるため、若者向けの賃貸物件が人気を集めやすい傾向にあります。

糸満市

糸満市は、伝統ある港街であり、那覇市との距離も大きく離れていません。ひめゆりの塔など修学旅行先に選ばれることも多い人気のスポットがあり、観光需要もあります。公共交通機関の開通によりアクセスが良くなれば、賃貸需要の増加と地価の上昇を期待できます。

現状では、那覇市などのほかの人気エリアと比較すると賃貸需要は高くありませんが、将来性を考えてアパート経営をするなら候補になるでしょう。

名護市

名護市は、本島北部に位置しており、山間部とビーチが共存するため、自然豊かな環境から観光客からの人気の高いエリアです。近年では都市開発が進み、主要道路と公共施設が整備され、住環境が向上しています。

観光資源が豊富で地域経済の発展を期待できるため、糸満市と同様に、将来的な投資価値を見込む場合の候補となるでしょう。

沖縄には、アパート経営の投資先となる複数の人気エリアが存在します。上記の地域を中心に沖縄でアパート経営をするメリットを確認していきましょう。

沖縄でのアパート経営のメリット

沖縄でアパート経営をするメリットを紹介します
沖縄でアパート経営をするメリットを紹介します

沖縄でアパート経営を始めるメリットは主に3つあります。

  • 人口・移住者の増加によって需要拡大を期待できる
  • 空室率が低く安定した収益を期待できる
  • 持ち家率が低く賃貸需要が高い

それぞれ詳しく見ていきましょう。

人口・移住者の増加によって需要拡大を期待できる

沖縄は近年、国内外からの移住者や若年層が増加している地域であり、日本全国で1位の出生率を誇り、2021年までの人口上昇率は増加しています。

日本国内では人口減少が進むなかで、人口増減率の高い県です。そのため、人口・移住者の増加によるアパート経営の需要拡大が期待できます。政府・自治体による移住支援制度も実施されているため、長期的に現在の状況が続くと考えられるでしょう。

ただし、最新の総務省統計局の「人口推計(2023年(令和5年)10月1日現在)」では人口増加率が-0.02%と減少に転じています。一方で、この数値は日本全国においては東京に次いで高い水準です。

空室率が低く安定した収益を期待できる

沖縄は賃貸需要の高さから、ほかのエリアと比較して空室率が低い傾向にあります。那覇市や浦添市などを中心に入居希望者が多く存在するため、空室率が低く、安定した収益を期待できます。

アパート経営で空室リスクが高まることは大きなリスクであるため、できる限りリスクの少ないエリアで不動産投資をおこなうことが望ましいでしょう。空室率の低さを重視してアパート経営をするなら、沖縄県は理想的なエリアと考えられます。

持ち家率が低く賃貸需要が高い

沖縄県は、総務省が発表する「令和5年住宅・土地統計調査」によると、全国平均と主要エリアと比較して、持ち家率が以下のとおりとなっています。

都道府県 持ち家率
北海道 57.0%
東京都 44.7%
大阪府 54.5%
福岡県 52.7%
沖縄県 42.6%
全国平均 60.9%

全国平均が60.9%、全国平均と比較して持ち家率の低い東京が44.7%であるのに対して、沖縄県は東京を下回る42.6%の持ち家率です。日本全国でもっとも持ち家率が低い県となっています。

一般的に持ち家率が低いほど、借家率が高いと考えられるため、賃貸需要が高い地域であると推測できます。沖縄のアパートは総合的に需要が高いことから、安定した経営を期待できることがメリットといえます。投資を判断するうえで、メリットだけでなくデメリットも確認しておきましょう。

沖縄でのアパート経営のデメリット

沖縄でアパートを経営するデメリットを紹介します
沖縄でアパートを経営するデメリットを紹介します

一方で、沖縄でのアパート経営で考えられるデメリットを以下にまとめました。

  • 台風などの自然災害の影響を受けやすい
  • 建築費用が高く利回りが低い傾向にある
  • 金融機関の融資を受けにくい場合がある

それぞれ詳しく解説します。

台風などの自然災害の影響を受けやすい

沖縄は台風の通過地点になりやすく、暴風・豪雨の影響を受けやすい自然災害のリスクが高い地域です。台風による被害は、建物の外装、屋根、窓ガラスに大きなダメージを与える可能性があります。

設計時点で通常の建築基準よりも厳しい工事をおこなうだけでなく、災害で修繕が必要になれば修繕費が発生します。自然災害の対策とケアによりコストがかさみやすくなります。

また、沖縄で自然災害が続くことがあれば、経営している物件に被害が発生していなくても、不安感から入居希望者が減少するリスクもあります。自然災害のリスクへの対応はコストを増加させやすく、アパート経営の収益構造に悪影響をおよぼすかもしれません。

建築費用が高く利回りが低い傾向にある

沖縄のアパートは建築費用が高く、利回りが低い傾向にあります。なぜなら、高額な初期投資に対して、賃料収入が相対的に低くなるため、実質的な利回りが減少するからです。

しかし、メリットで説明したとおり収益が安定しやすいことから、長期的に経営するのであれば、長期的にはリターンを見込めるかもしれません。利回りの低さから投資額の回収に時間がかかりやすいため、沖縄でアパート経営をするなら長期を前提に慎重な計画を立てましょう。

金融機関の融資を受けにくい場合がある

金融機関で不動産投資ローンを組む場合、利回りが低い沖縄の物件では希望した条件で融資を受けられないかもしれません。なぜなら不動産投資ローンの審査では、多くの金融機関が物件の収益性を重視するからです。

特に不動産投資の経験がなく、投資家として信用力がない場合は、利回りから利益の回収が困難であると判断され、審査に通過できないことも。金融機関が必ずしも沖縄のアパート経営に精通しているとは限らないため、納得のいく説明をすることが求められるでしょう。

また、本州に住む場合は管理が難しいと判断されるため、現地の沖縄に住むほうが審査に通過しやすいかもしれません。審査に通過できない場合は、多くの金融機関に相談して融資を受けられる金融機関を探す努力をしましょう。

沖縄でアパートを経営するうえで知っておきたいポイント

沖縄でアパート経営をするうえで知っておきたいポイントを紹介します
沖縄でアパート経営をするうえで知っておきたいポイントを紹介します

沖縄でアパート経営をするうえで、知っておきたいポイントをまとめました。

  • 高温多湿の環境でシロアリ被害が発生する
  • 土地価格が上昇を続けている
  • 本島と離島などエリアによって格差がある
  • 交通インフラに制限がある
  • アパート経営以外の不動産投資の選択肢

それぞれ詳しく見ていきましょう。

高温多湿の環境でシロアリ被害が発生する

沖縄は、年間を通して高温多湿な気候であることから、木材を多用する建物では内装、外装部材にシロアリが侵入し、建物の耐久性を低下させる被害に遭いやすくなります。そのため、木造のアパートではなく、鉄筋コンクリートのアパートが多くなっています。

鉄筋コンクリートを使用する場合は、木造よりもコストがかさみやすくなります。しかし、沖縄ではシロアリだけでなく台風の被害もあるため、建材を堅牢にして同時に対策することが一般的。シロアリの侵入を許しやすい木造アパートの場合は、建材にシロアリ防除処理を施すなどの対策が必須になるため、必ず理解しておきましょう。

土地価格が上昇を続けている

沖縄の地価の上昇率は、国土交通省が公開する「令和6年地価公示の概要」によると以下のとおりです。

年度 地価上昇率
2015年 0.6%
2016年 1.7%
2017年 3.0%
2018年 5.5%
2019年 8.5%
2020年 9.5%
2021年 1.0%
2022年 2.0%
2023年 3.6%
2024年 5.5%

沖縄の地価変動率は、日本全国の地域と比較しても高い水準にあり、近年では10%近い上昇率を記録した年もありました。沖縄は国民性から土地が売りに出されにくいことから、今後も土地価格が上昇する可能性もありますが、将来的な上昇は保証されていません。

そのため、長期的に経営したのちに土地価格が下落したタイミングで売却すると、物件の売却で損をする可能性があります。土地価格の高騰が今後も続くことを前提に投資計画を立てると、損失が発生するかもしれません。

本島と離島などエリアによって格差がある

沖縄県内では、那覇市、浦添市などの人気のエリアがある本島と、石垣市、宮古島市などの離島では、経済規模、人口、インフラ環境に大きな格差があります。本島エリアは生活基盤が整っており、賃貸需要や商業機能が充実しているため、安定した収益を期待できます。

一方で、離島は人口が少なく需要が限定的であるため、アパート経営を安定させることが難しいかもしれません。アパート経営にメリットがある沖縄の地域は、基本的に本島の人気エリアが中心であることを理解しておきましょう。

交通インフラに制限がある

沖縄は一部地域を除いて、公共交通機関が整備されておらず、移動は車に依存しています。物件の立地によっては交通アクセスの確保が重要であり、数少ない公共交通機関に近い物件は需要が高まりやすいです。

一方で、車を交通手段とする地域では、アパートに駐車場を設置することも重要といえるでしょう。地域によっては駐車場がなければ、入居希望者の数にも影響が出ます。沖縄でのアパート経営は、東京などの交通網が発達した地域とは異なり、交通インフラを重視して検討する必要があります。

アパート経営以外の不動産投資の選択肢

沖縄ではアパート経営以外にも、複数の不動産投資の選択肢が考えられます。以下に選択肢の例をまとめました。

不動産投資の
選択肢
内容
民泊施設 短期滞在者向けに宿泊サービスを提供する
リゾートマンション リゾート地でセカンドハウスなどに利用されるマンションを貸し出す
商業施設 店舗やオフィスなど多様な用途で物件を運用する

沖縄で不動産投資をするなら、観光需要の高さを意識した収益性が期待できる施設の運用も考えられます。アパート経営にこだわるのではなく、沖縄のエリアにこだわる場合は、アパート経営以外の選択肢も検討してみましょう。

まとめ

沖縄のアパート経営は、将来的な安定した賃貸需要を期待できる一方で、複数のリスクがともないます。自然災害に晒されやすく、建築費用も高くなりやすいため、短期的な利回りは必ずしも期待できないかもしれません。

出生率が高く、将来の需要拡大が見込まれているものの、最新の統計では微減の傾向も見られるため、安定した収益を得るためにはエリアの選定が重要です。

メリットとデメリットを十分に比較して、適切な対策を講じたうえでアパート経営を検討するようにしましょう。

長谷川 賢努

執筆者

長谷川 賢努

AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士

大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
関連する記事を見る
不動産お役立ち記事・ツールTOPへ戻る