ワンルームマンション投資で詐欺に遭わないための方法と見極め方

高利回りをうたって契約を急かしたり、実体のないシミュレーションを提示する悪徳業者に騙されて、大切な資産を失う被害者もあとを絶ちません。この記事では、ワンルームマンション投資の詐欺に遭わないための方法と、万が一巻き込まれてしまった場合の対処法を、具体的にわかりやすく解説します。これから投資を始めたい方、すでに被害に遭ってしまった方も、ぜひ参考にしてください。
記事の目次
ワンルームマンション投資で物件購入時に増えている詐欺の手口

ワンルームマンション投資は、安定した家賃収入や節税効果を期待できる資産形成手段として人気があります。しかし、その魅力を利用して不正な利益を得ようとする悪徳業者も存在します。本章では、物件の購入時に注意すべき詐欺手法を詳しく解説します。
手付金詐欺
物件の購入契約締結後、手付金を支払ったにも関わらず、悪徳業者が一方的に契約を破棄し、手付金を持ち逃げする手法です。このような会社は、契約後に倒産したり、連絡が取れなくなったりすることが多く、支払った手付金が戻ってこないケースが多発しています。また、実在しない物件や取得できない物件の購入を持ちかけるケースもあるため注意が必要です。
価格操作による不当販売
悪質会社が市場価格よりも高額で物件を販売する手法です。例えば、1,500万円で仕入れた物件を、何の付加価値も加えずに1,900万円で転売するケースがあります。このような取引では、悪徳業者が売主と買主の間に入り、登記を介さずに転売する「三為(さんため)契約」が利用されてしまうかもしれません。結果として、買主は本来の市場価格よりも高額で物件を購入することになり、資産価値が見合わない投資となってしまいます。
架空の入居者による高利回り偽装
空室の物件にも関わらず、架空の入居者と高額な賃貸契約を結んだように装い、高利回りの投資物件として販売する手法です。購入後、偽の入居者が解約して空室が発生し、家賃収入を得られなくなるケースがあります。また、部屋を確認しても入居の痕跡がなく、電気・ガス・水道の契約もされていないことがあります。
サブリース契約詐欺
「家賃を永久保証」や「35年家賃保証」などのうたい文句で物件を購入させる手法です。しかし、実際には2年ごとの賃料見直しがあり、相場よりも低い賃料での契約を迫られることがあります。拒否するとサブリース契約を打ち切られることも。当初の保証賃料が相場より高い場合は、物件価格が上乗せされている可能性もあります。その結果、相場よりも高額な価格で物件を購入し、過剰な融資を受けてしまうリスクがあります。
恋愛感情を利用したデート商法
婚活パーティーやマッチングアプリなどで出会い、親密になった相手に投資用マンションの購入を勧める手法です。恋愛感情を利用して、相手が断りにくい状況を作り出し、物件を購入させます。購入後、連絡が取れなくなるケースもあり、注意が必要です。人の心を利用した非常に悪質なケースのため、騙されないように注意しなければなりません。
実現しない買取保証
「購入後、問題が発生した場合、物件を買い取ります」と口約束をするものの、実際には買い取りに応じない手法です。買い取りに応じた場合でも、相場よりもかなり安い金額を提示されることが多く、損失を被る可能性があります。また、「担当者が退職したのでわかりません」などの理由で、対応を拒否されることもあります。
収支シミュレーション詐欺
物件購入前に提示される収支シミュレーションで、実際のリスクを過小評価し、メリットばかりを強調する手法です。例えば、リフォーム費用や設備交換費用、固定資産税などの経費が計上されておらず、家賃の下落や管理費の上昇も想定されていない場合があります。その結果、実際にはローン完済までに多額の自己資金が必要となり、想定していた収益を得られないリスクがあります。
価格が下がらないとうたう詐欺
「都心や駅近の物件は価格が下がらない」などの説明を受けることがありますが、実際には老朽化により価格が下がることがあります。物件の立地や築年数だけでなく、建物の状態や管理状況も物件価格に影響を与えるため、慎重な判断が必要です。
節税効果をうたう詐欺
初年度に諸経費を多く計上することで、節税効果を得られると説明されることがありますが、2年目以降は納税が必要になるケースが多いです。この事実を知らされずに物件を購入すると、あとになって予想外の税負担に直面することになります。
不労所得としての年金対策をうたう詐欺
「不労所得として将来の年金対策になります」と勧誘されることがありますが、キャッシュフローがプラスにならなければ、年金の足しにはなりません。むしろ、多額のローンを背負ってしまい、老後の負担が増す可能性があります。
生命保険の代替をうたう詐欺
団体信用生命保険(団信)により、死亡時にローンが一括返済されることを理由に、生命保険の代わりとして物件購入を勧められることがあります。しかし、本来であれば家賃収入からローンを返済できるため、安定した経営をしていれば、団信は必要ないとも考えられます。また、収支が悪化すると、生命保険として考えた場合に割高になる可能性があります。
融資詐欺
近年では、融資詐欺も増えています。具体的にどのような詐欺の手法なのか、以下でまとめていきます。
二重契約による価格のごまかし(値引き契約)
不動産購入時に多く見られる手法が、いわゆる「二重売買契約」と呼ばれる方法です。この手法では、実際の売買価格と異なる金額の契約書を作成し、融資を受けやすくするための虚偽報告がおこなわれます。例えば、本来の販売価格が1,900万円であるにも関わらず、2,000万円の金額で金融機関に提出する契約書を別途用意し、虚偽の内容で融資を申し込む仕組みです。
このような取引は、「値引き契約」と呼ばれることもありますが、実質的には金融機関を欺く行為であるため、法律違反です。特に、提出する契約書を利用して減価償却の申告をおこなうと、脱税に該当する可能性が高く、重い罰則が科される危険も。
「頭金を支払いたくない」「自己資金ゼロで始めたい」などの投資初心者の心理を利用して、悪質会社が提案してくることが多い手法です。しかし、その代償は大きく、のちに多額の損失や罰金を抱えるリスクもあります。
住宅ローンを不正に活用した「なんちゃって不動産投資」
本来、住宅ローンは自己居住用の住宅購入を目的とした制度であり、金利も低く設定されています。しかし、その制度を悪用し、投資用物件にも関わらず「住む予定がある」として住宅ローンを申請する例があとを絶ちません。この手法は俗に「なんちゃって不動産投資」と呼ばれています。
例えば、購入時に形式的に住民票だけを移し、実際にはまったく住まず、購入直後から賃貸に出すやり方です。表向きには居住用と偽ってローンを組むことになりますが、これは契約違反であり、不正行為とみなされる可能性があります。
住宅ローンの契約書には「実際に居住すること」が条件として明記されているため、虚偽の申告をした場合、契約解除や一括返済のリスクも。金融機関によっては、調査の結果、悪質と判断されると法的措置を取ることもあります。
審査書類の不正加工(改ざん)
近年、より悪質化している手法が、金融機関に提出する審査書類を改ざんする方法です。これは、悪質会社が借り手の年収や貯蓄額などの信用情報を改ざんし、より大きな融資枠を通すために使われます。
具体的には、源泉徴収票の数字を書き換えたり、預金通帳の残高を修正したコピーを作成したりなどの行為が挙げられます。一見すると、金融機関が見抜けないほど巧妙に加工された書類が提出されるため、審査が通ってしまうケースも。
もしこのような不正行為が明るみに出た場合、金融機関から一括でのローン返済を求められることもあり、最悪のケースでは自己破産に追い込まれる可能性もあります。融資に通ることだけを目的とした不正には、関わらないことが大切です。
「三者結託」による不正融資
さらに深刻な問題が、金融機関の担当者までもが加わる三者一体型の不正です。悪徳業者と購入者が意図的に虚偽の情報を提供し、それを知りながら金融機関の担当者が承認することで、不正に融資が通されてしまうもの。
具体的には、年収や預金残高の改ざんに加えて、取引に必要なすべての書類が偽造され、あたかも正当な審査を通過したように見せかけます。金融機関側のコンプライアンスチェックが機能していない場合、こうした不正が見逃されることがあります。
しかし、不正が露見した場合は、関係者全員が責任を問われることになります。書類を偽造した悪徳業者はもちろん、不正に同意した投資家、そして確認を怠った金融機関も、その責任を免れることはできません。
ワンルームマンション投資の売却時に増えている詐欺の手口

ワンルームマンションを手放すタイミングを狙った詐欺も、近年増加傾向にあります。特に、悪質会社の説明不足や不正な価格操作が絡むケースが多く、売主が気づかないうちに不利な契約を結ばされることもあります。本章では、代表的な詐欺の手法をご紹介します。
他社の買主を排除して利益を独占する「囲い込み」
囲い込みは、売却を依頼された悪質会社が、自社の利益を最大化するために、他社の買主からの問い合わせや申し込みを拒否する行為です。例えば「すでに申し込みが入っている」と虚偽の説明をし、実際は募集を継続しているにも関わらず、他社を排除します。
これは、自社で買主も見つけ、売主・買主の両方から仲介手数料を得る「両手仲介」を目的としたもの。この手法は売主にとっては、売却のチャンスを失い、長期的な価格の下落や不利な条件での売却を余儀なくされる可能性があります。
根拠のない査定額で契約を急かす「査定価格詐欺」
査定価格詐欺とは、悪徳業者が売主に対して実際の相場とかけ離れた安価な査定額を提示し、早く契約するよう促す手法です。通常、不動産会社は過去の取引事例などの根拠を示して、査定額を説明する義務があります。
しかし、悪徳業者はそのような説明をおこなわず、口頭やメールだけで低めの査定額を伝えてくることがあります。そのまま契約が成立してしまえば、売主は本来得られたはずの利益を大きく失うことに。正式な査定書や事例提示がない場合は、特に注意が必要です。
高額で売れるように見せかける「複数物件まとめて詐欺」
複数の物件をセットで売却するよう持ちかけ、高く売れると見せかける詐欺も存在します。例えば、A・B・Cの3つの物件をまとめて6,000万円で売却する契約を提示されたとします。
しかし、実際にはAとBの2物件だけが3,500万円で売られ、Cに関しては「買主がキャンセルした」として売却されずに残ってしまうことに。実は最初からCの取引は存在しておらず、A・Bを安く買い叩くためのカモフラージュだった手口です。こうした取引では、売主が気づかぬうちに大きな損失を被ることになります。
媒介契約のつもりが実は売買契約だった「契約書の誤認詐欺」
不動産の売却を依頼する際に締結するものが「媒介契約」です。媒介契約は販売活動を不動産会社に委託する契約ですが、悪質会社はこの媒介契約書に偽装して、実際には売買契約書に署名させるケースがあります。
売主はまだ買主が決まっていない段階だと思っていたにも関わらず、いつのまにか条件の悪い価格での売却契約が成立していることに気づくのです。しかも、契約書に記載されている金額が著しく安く、買主が実体のないペーパーカンパニーだったケースも。
このようなトラブルを防ぐためには、契約書の内容を十分に確認し、わからない部分はその場で専門家に相談する姿勢が大切です。
ワンルームマンション投資詐欺の新たな傾向

ワンルームマンション投資は、投資のなかでも人気が高い点が特徴です。しかし残念ながら、その人気に便乗した詐欺行為も増えています。特に近年は手口が巧妙化し、以前よりも見抜くことが難しくなっているため、最新の傾向を把握することが被害を防ぐ鍵に。ここからは、新たな投資詐欺の傾向をご紹介します。
SNSを活用した新しい勧誘の形
近年、SNSを通した投資勧誘が目立つようになってきました。このようなプラットフォームでは、キラキラしたライフスタイルを演出する投稿が多く見られます。例えば、「投資で自由な暮らしを手に入れた」「毎月100万円以上の家賃収入がある」などの刺激的なメッセージとともに、高級車や海外旅行の写真を掲載する手法です。
このような投稿を見ると、投資に強い関心を持つこともあるでしょう。しかし、投稿の実態としては内容が誇張されていたり、肝心のリスクに関する説明がほとんどされていなかったりなどが多く見受けられます。SNSは情報の取捨選択が自己責任でおこなわれるため、悪質会社や詐欺師にとって都合のよい舞台となります。
また、SNS上で個人的に送られてくるダイレクトメッセージには、特に注意が必要です。最初は「情報交換しませんか?」とフレンドリーに接してきても、最終的には高額なセミナーや物件購入へと誘導されるケースも。SNSでの投資勧誘に対しては、「見た目の派手さに惑わされない」「情報の裏取りをおこなう」「不審なDMには反応しない」などの姿勢が大切です。
オンライン説明会を悪用した巧妙な勧誘
コロナ禍以降、投資に関するセミナーや説明会もオンラインでおこなわれることが増えましたが、この流れを悪用する詐欺的手法も登場しています。対面でのやり取りがないため、相手の表情や雰囲気がつかみにくく、営業側は強引な誘導をしやすくなります。
オンライン説明会では、資料を画面共有されることが多いですが、話を聞きながら内容を確認することは意外と難しいもの。説明はスピーディーに進み、質問のタイミングが取りづらく、「疑問があってもそのまま流れてしまう」などの状況に陥りやすくなります。
また、録画済みの動画を視聴させる形式の場合は、双方向のやり取りができないため、気になる点を深掘りすることが難しいでしょう。説明会の終了後に「すぐ契約しないと物件がなくなる」などのプレッシャーをかけられるケースもあるため冷静な判断を妨げられることも多々あります。
オンライン説明会を受ける際には、以下の点に注意しましょう。

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・開催企業の信用情報を事前に確認する・可能であれば説明を録音・録画して見返せるようにする・納得いかない点は質問する・「その場で決断」を求められても即答しない
焦って契約を結ばせようとする手口には、何らかの不自然さがあることを疑いましょう。
ワンルームマンション投資詐欺の手口と見抜くポイント

ワンルームマンション投資は、条件が整えば安定した収益をもたらす魅力的な資産運用方法の一つです。しかしその一方で、投資初心者や知識の浅い人をターゲットにした詐欺まがいの案件や、悪質会社による誤誘導が問題視されています。ここからは、ワンルームマンション投資に潜む詐欺の手口の具体的なポイントを詳しく解説します。
契約を急がせる
「今だけ特別」「今日決めれば仲介手数料無料」「他の投資家も狙っている」など、これらの言葉で判断を急がせ、契約を急かす営業スタッフには細心の注意が必要です。不動産投資は慎重な検討が必要な資産運用であり、十分な時間をかけた物件選定と情報収集が欠かせません。もし、担当者に投資の決断を急かされた場合、以下の点をチェックしましょう。
- 物件の詳細資料が十分に提示されているか
- メリットばかりでなく、リスク説明もあるか
- 契約の検討時間を確保してくれるか
- 家族や第三者に相談する時間を設けてくれるか
本来、信頼できる不動産会社であれば、「じっくりご検討ください」などのスタンスで接してくるはずです。焦らせる態度は、会社側に「不利な事実を隠したい」などの意図があるととらえてよいでしょう。
典型的な詐欺セールストークをおこなう
詐欺的な営業トークには、ある程度の共通パターンがあります。以下に代表的なフレーズを紹介します。
- 「この物件は絶対に損しません」
- 「家賃保証があるのでリスクはゼロです」
- 「購入すれば税金対策になります」
- 「今すぐ買わないと他の人に取られます」
これらのセールストークには、投資家を安心させ、思考停止状態で契約に進ませる狙いがあります。不動産投資には、次のような何らかのリスクがともないます。
- 空室リスク(想定より入居者が付かない)
- 家賃下落リスク(相場が変動する可能性がある)
- 修繕リスク(経年劣化による突発的な支出が発生する)
「リスクがゼロ」と断言する営業担当者は、現実を見ずに契約を取ろうとしているだけか、あるいはリスクの意味を理解していない可能性が高いです。長期的な関係性を重視する不動産会社であれば、デメリットや不確定要素も率直に伝えてくれるでしょう。
相場を大きく逸脱した「高すぎる利回り」を提示する
ワンルームマンション投資詐欺の典型的な特徴としてまず挙げられるものが、不自然なほど高い利回りを強調する勧誘です。通常、都市部のワンルームマンションでは、表面利回りが4〜6%程度であることが一般的。特に都心の優良立地となれば、物件価格が高くなり、利回りはさらに低くなる傾向があります。
しかし、一部の悪質会社は「利回り10%以上」「年間家賃収入◯百万円保証」など、相場とかけ離れた数字を提示してくることがあります。このような言葉は、高収益をうたいい文句にした虚偽の情報である場合が多く、冷静な判断を鈍らせる意図が伺えます。利回りが高すぎる場合には、以下のようなリスクが潜んでいることが多いです。

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・賃料が実際の相場よりも高く設定されている(サブリースで一時的に見せかけるケースもある)・管理費や修繕積立金などのコストが無視されている・将来的な空室リスクや家賃下落のシミュレーションが省かれている
「高利回り = 優良物件」と短絡的に判断せず、提示された利回りの根拠や前提条件を確認することが重要です。
情報が不透明な物件を提案する
詐欺に近い投資案件の多くに共通することが、物件情報の不透明さです。特に、次のような対応をしてくる会社には注意が必要です。
- 物件の所在地が不明瞭である
- 間取り図や写真などの情報が極端に少ない
- 現地見学を拒否する、またはあと回しにされる
- 賃貸状況の履歴や管理状況に関する説明がない
例えば「セキュリティ上の理由」や「入居中のため内見不可」などの理由を並べ、実際に物件を見せることを渋るケースもあります。しかし、不動産投資では現地の確認は必須です。
立地の周辺環境、建物の状態、日当たりや騒音、近隣施設の充実度など、現地でしかわからない情報は数多く存在します。また、家賃の設定が現実的かどうかを見極めるためにも、周辺の賃貸相場を自分で調べてみるとよいでしょう。
ワンルームマンション投資で注意すべき不動産会社の共通点
悪質な不動産会社には、いくつかの共通する特徴があります。ここで解説するポイントを把握することで、被害を未然に防ぎやすくなります。
宅地建物取引業の免許を所持していない
不動産売買には、宅地建物取引業の免許が必要です。免許を持たずに、不動産の売買や転売に関与すること自体が法律違反になります。取引直前で会社名が変更されたり、別法人を登場させる場合には、免許の有無や登録状況を確認しましょう。免許を持たない会社は、万が一のトラブル時に責任逃れをするリスクが高いため、相手の信頼性を事前に調べることが大切です。
取引先や物件情報が不明瞭である
具体的な物件情報や過去の取引実績を開示しない会社には、注意が必要です。取扱物件の資料が出てこなかったり、どのような顧客に販売してきたかが曖昧である場合、そもそも物件の在庫がない、もしくは売却先を確保していない可能性があります。実体のない話で投資を誘導するケースもあるため、契約前には裏付けとなる資料やデータの提示を求めましょう。
代表者が短期間で入れ替わっている
代表者が頻繁に変わっている場合は、内部にトラブルがある、もしくは組織的に不正がある可能性があります。表向きは別会社でも、同一人物が背後で複数の法人を渡り歩いているケースも少なくありません。過去の法人登記や履歴を確認し、短期間で代表交代を繰り返している場合には、慎重に対応しましょう。
ワンルームマンション投資で詐欺に遭わないための方法

ワンルームマンション投資で詐欺に遭わないためにも、理解しておくべきポイントがあります。ここからはどのようなポイントに注意すればいいか、詳しくご紹介します。
信頼できる不動産会社を選ぶ
詐欺被害に遭わないためには、どの不動産会社と付き合うかが、とても重要です。初めての投資であれば、不動産会社を選ぶ際に、以下の点を意識しましょう。
- 宅建業免許番号が公式に登録されているかを国土交通省のホームページで確認する
- 複数のレビューサイトを参照し、口コミや評判を調べる
- 資本金や従業員数など、企業規模を調べる
- 担当者の対応が一貫して丁寧かどうかを確認する
また、「セミナーで知り合った」「SNSで勧誘してきた」などは、表面上は親切でも、裏では実績がなく、個人単位で詐欺行為をおこなっているケースもあります。信頼に足る実績と透明性のある不動産会社を選ぶことが重要です。
投資家自身も知識を持つ
詐欺に遭わないためには、不動産会社任せにせず、投資家自身が一定の知識を持っていることも重要です。
- 「利回りとは何か?」
- 「表面利回りと実質利回りの違い」
- 「サブリース契約の注意点」
- 「融資条件によって総返済額がどう変化するか」
このような投資に関する基本的な知識があれば、虚偽の説明や不自然な提案に対しても違和感を覚えられるでしょう。投資初心者であっても、書籍や公的な資料、不動産ポータルサイトなどを活用して、情報を集めておくことが大切です。
セカンドオピニオンを活用する
購入や売却の判断に迷った時は、信頼できる第三者の意見を求めることもおすすめです。複数の不動産会社に物件の査定や収支シミュレーションを依頼することで、より客観的な判断が可能になります。自分ひとりでは見落としがちなリスクや注意点を、他の専門家が指摘してくれるかもしれません。複数の角度から検証する姿勢を持つことで、安全な投資につながります。
疑問点は納得するまで確認する
大きな金額が動く不動産投資では、気になる点をうやむやにしたまま契約を結ぶと危険です。質問に遠慮は不要で、わからない点があれば、相手がどれだけ熱心でもしっかりと確認を取るべきです。営業の勢いに流されてしまうと、あとから「聞いていなかった」「そんなはずではなかった」と後悔するケースが少なくありません。冷静に、投資商品としての収益性を見極める視点が必要です。
市場価格や家賃相場をチェックする
提示された販売価格や想定家賃が現実的かどうかを判断するためにも、あらかじめ相場を調べておくことが大切です。不動産ポータルサイトを活用すれば、同エリア・同条件の物件の売買価格や賃料の相場感が把握できます。実際の数字と会社の説明に乖離がないかを確認すれば、不自然な提案を見抜くことができるようになるでしょう。「不動産情報サイト アットホーム」では、駅名や市区郡名から相場を調べられます。
不動産投資で詐欺に遭ってしまった時の対処法

どれだけ注意を払っていても、相手は詐欺に慣れたプロです。気が付いた時には、すでに騙されていたケースも少なくありません。万が一、悪質会社に引っかかってしまった場合にどう行動すればよいか、事前に知っておくことが大切です。
監督機関や専門団体に相談する
不動産関連の詐欺被害に遭遇した場合は、個人で悩む前に専門の相談窓口へ連絡を取りましょう。例えば、不動産会社が保有している宅建業免許を発行している免許行政庁、または消費者トラブルを取り扱っている消費生活センターなどが相談先として挙げられます。
また、その会社が宅建業保証協会に加盟していれば、宅地建物取引業保証協会にも相談可能です。被害内容に応じて最適な窓口へ相談し、法的手続きや補償制度を活用できるかどうかを確認してみましょう。
法律の専門家にアドバイスを求める
悪質な不動産取引に関しては、法的に契約を無効にできるケースも存在します。たとえ売買契約を締結したあとであっても、場合によっては契約解除が認められる可能性があります。
そのため、自分ひとりで判断せず、まずは弁護士に相談することが大切です。トラブルの内容や契約の詳細をもとに、適切な対応策を提案してくれるでしょう。場合によっては、裁判に至る前に和解や交渉で解決できるケースもあるため、早めの行動がカギとなります。
損切りを視野に入れて早期売却を検討する
詐欺でつかまされた物件は、そのまま保有し続けることで損失がさらに膨らむ恐れもあります。特に新築ワンルームマンションは、購入直後から価値が急落しやすい物件のため要注意です。このようなケースでは、損失が大きくなる前に早期売却を検討することも一つ。ローン残債と売却価格に差が出る場合でも、今後発生するリスクや金利負担などを考慮すれば、早めに手放したほうが損失を抑えられるケースもあります。長期的に見て、早い段階で損切りすることがトータルでメリットになることも少なくありません。
まとめ
ワンルームマンション投資は、本来であれば安定した資産運用の手段となりえるものですが、悪質会社や詐欺師によって大きな損失を抱えるケースも少なくありません。詐欺に遭わないためには、正しい知識と慎重な判断力が必要です。そして、万が一被害に遭った場合でも、専門機関や法律家に早期に相談し、適切な対処をおこなうことが重要です。信頼できるパートナー選びと情報収集を怠らず、安全な不動産投資を目指しましょう。

執筆者
民辻 伸也
宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ