医師こそ不動産投資をするべき?利点やリスクを知って安定した収益を得よう

記事の目次
医師が不動産投資を選ぶべき理由

医師は、不動産投資に向いているとよく言われていますが、具体的にはどのような理由があるのでしょうか。
安定した副収入を得られる
不動産投資で得られる収益のメインは、入居者からの家賃収入です。そのため、入居者がいれば安定的に収益を得られる点が特徴です。仮に病気やケガで医療業務が制限されても、家賃収入があれば安心して治療や療養に専念できるでしょう。
また、老後を考えると、一般的に公的年金だけでは足りず、生活を維持するために貯蓄を取り崩さなければならないといわれています。不動産投資による収益は公的年金を補う追加の収入源となり、老後の生活をより安定させる手段となります。
特に開業医として長期間勤務している場合、公的年金額が少なくなる傾向があるため、年金に加えた収益源の確保は重要です。不動産投資をおこなうことで、老後の経済的安定を手に入れられるでしょう。
医師は融資を受けやすい
不動産投資を始める際には、不動産の購入資金が必要ですが、高額な物件を現金で一括購入するのは難しい場合が多いでしょう。そのため、多くの投資家は不動産投資ローンを利用して物件を購入しています。不動産投資のレバレッジ効果を活用すれば、少ない自己資金でも高い収益を得られる可能性が高いです。
そのなかでも医師は専門性が高く高所得者であるため、金融機関からの信用が厚く、融資審査を通過しやすい職業の一つ。融資を受けやすいからこそ、少ない自己資金からでも不動産投資を始めやすい点が大きなメリットです。
また、低金利で融資を受けられる可能性もあります。資金調達の面でも医師の場合は有利になりやすく、他の職業と比べても不動産投資を始めやすい傾向にあります。

- 不動産投資でレバレッジをきかせるメリットは?効果や注意点も徹底解説
- 不動産投資のレバレッジとは何でしょうか。なんとなく耳にするけどよくわかっていない方や、意味はわかっても、それがどのように
続きを読む

所得税や住民税の節税ができる
不動産投資は、不動産を購入して他者に賃貸することで家賃収入を得る投資手法です。不動産の購入費用は減価償却によって複数年にわたり費用計上が可能。そのため、不動産所得を抑える効果があり、高所得である医師の方にとって有効な節税対策となります。
特に勤務医の場合、給与所得と不動産投資の損益を相殺することで、税金の還付を受けられる場合もあります。この仕組みを活用すれば、医師特有の高額な税負担を軽減できるでしょう。
インフレに強い資産になる
インフレーション(インフレ)とは、物価が継続して上昇し、貨幣の価値が下がる現象のことです。例えば、100円の飲み物が、翌年には140円になるようなケースのことをいいます。
インフレになると、現金の価値が目減りします。一方で不動産は、インフレ時に価値が上昇する傾向があるため、すべての資産を現金で持つよりも、高い資産価値を保持できるでしょう。
例えば、物価が3%上昇しても、金融機関の預金が自動的に3%増えるわけではありません。一方、不動産は価値や家賃収入が物価上昇に応じて上がる可能性があるため、インフレに対応する手段として適しています。不動産投資を通して不動産を保有することで、物価上昇に対するリスクヘッジが可能となるのです。
相続税対策になる
高収入を得ている医師の方は、資産規模が他の職業の方よりも大きいケースが多いです。しかし、現金や株式などの金融資産をそのまま保有していると、相続時に多額の相続税が発生してしまうリスクも。
相続税は被相続人の資産価値に基づいて算出されますが、資産の保有形態によって評価額が異なります。例えば、現金資産の場合はその金額自体が評価額。
一方、不動産資産は、一般的に市場価格の約50%が評価額とされます。この「評価額の低減効果」を活用することで、不動産投資を通した相続税の節税が可能となります。
生命保険の代わりになる
医師の方は多忙なために、体調を崩してしまうこともあるでしょう。万一の際、不動産投資は生命保険の役割を果たします。不動産購入で金融機関から融資を受ける際に、「団体信用生命保険(団信)」に加入すれば、死亡や高度障害、場合によってはがんなどの診断時に不動産投資ローンの残債が免除されます。
団信に加入すると返済時の金利が0.2〜0.3%程度上昇します。しかし、安定した家賃収入を見込める物件を購入すれば、家賃収入で賄えるでしょう。医師の方が、万が一の事態に直面しても、家族の生活基盤を守ることが可能です。
多忙な業務のなかでも取り組みやすい
医師の方は日々の診療や研究で多忙なことも多く、不動産管理に十分な時間を割くのは難しいかもしれません。しかし、物件の管理業務を賃貸管理会社や建物管理会社に依頼すれば、運営にかかる手間を大幅に減らせます。
賃貸管理会社は入居者募集やクレーム対応を担当。一方、建物管理会社は物件の清掃や維持管理をおこないます。管理会社を利用することで、本業に集中しつつ不動産投資をおこなうことが可能。ただし、管理会社への依頼には手数料がかかるため、利回りが下がる点には注意が必要です。
医師が節税目的の不動産投資で失敗する理由

節税目的で不動産投資を始める医師の方が多いですが、失敗してしまう方も少なくないのが現状です。ここからは、なぜ節税目的の不動産投資で失敗してしまうのか、その理由を見ていきましょう。
高属性から多額の借り入れをしてしまう
医師は高収入かつ社会的地位が高い傾向のため、金融機関から大口の融資を受けやすい属性を持っています。しかし、多額の借り入れは、空室リスクが発生した場合の負担が増大する要因となります。
給料が安定していても空室が多くて家賃収入を得られなければ、返済負担が大きくなってしまうかもしれません。多額の借り入れが可能でも、自身の給料とのバランスを考えて、慎重に借入額を決める必要があります。
返済比率が高くなりやすい
返済比率とは、年収に対する年間のローン返済額の割合のこと。先述したように、医師の方は多額の借り入れがしやすい傾向にあります。しかし借り入れた金額が多いと年収に対する返済比率も高くなりやすいでしょう。例えば、年間返済額が200万円、年収が1,000万円の場合、返済比率は20%に。基本的に返済比率の目安は40%以下とされているため、問題なく返済できるでしょう。
しかし、同条件で、年間返済額が400万円を超えた場合、返済比率は40%に達します。
40%を超えると返済負担が大きくなり、場合によっては返済が難しくなることも。返済比率が高すぎると、月々の返済負担が増え、収益を圧迫するリスクがあります。返済比率は40%以下に抑えることを目安に、専門家のアドバイスを受けながら設定しましょう。
投資に割ける時間が少ない
医師の方は多忙な業務に追われることも多く、不動産投資の調査や管理に十分な時間を割けないケースも。その結果、慎重な物件選びや入居者トラブルへの対応がおろそかになり、投資の失敗につながりやすくります。
不動産投資を成功させるためには、時間的な余裕と労力をかける必要があります。
とはいえ、管理業務に関しては、管理委託会社に依頼すれば時間と手間の大幅な削減が可能。委託費用が必要となりますが、安定した家賃収入を得られれば十分に賄えるでしょう。
医師が節税目的で不動産投資を成功させるためのポイント

節税目的で不動産投資を始める方も多いでしょう。しかし、医師の方が節税目的で不動産投資を始める際は、いくつかのポイントがあります。以下で詳しく見ていきましょう。
空室や修繕のリスクを把握する
空室リスクとは、入居者がいない期間に家賃収入が得られなくなる状況を指します。特に区分所有物件では、入居者が見つかるまで収益がゼロになる可能性があるでしょう。収益が得られない間も不動産投資ローンの返済は続くため、空室リスクがあることを頭に入れておかなければなりません。
さらに、火災や自然災害、老朽化による損傷なども発生する可能性があります。災害リスクに対しては、火災保険への加入や修繕費の積み立てなど、事前の対策が重要です。
信頼できる不動産会社を選ぶ
医師という高い社会的属性を持つ方々には、不動産投資を勧める営業パーソンが多く接触してきます。ただし、すべてが良心的な会社ではなく、悪質な会社も存在するのが現実。そのため、不動産会社の信頼性を見極める力が必要です。
信頼できる不動産会社を選ぶためにも、以下のポイントを参考にしてみてください。

-
● インターネットでの評判や口コミを確認する
● 営業担当者がデメリットやリスクについても丁寧に説明するかをチェックする
● 名前や会社情報をきちんと明示しているかを確認する
また、不動産投資経験者からの紹介をとおして信頼できる会社を探すのもよい方法です。特に初心者の方の場合は、不動産会社選びから慎重に進めることで失敗のリスクを抑えられるでしょう。
さらに、信頼できる不動産会社を探す際は、1つの会社ではなく、複数の会社を比較検討することが大切です。比較検討したうえで、自分自身が信頼できる不動産会社を選びましょう。
初期段階で時間をかける
不動産投資が成功するかは、購入時の「初期設定」でほぼ決まるといわれています。適切な物件選びや価格交渉、資金調達などはあとから修正が難しいため、初めの段階で十分な時間をかけ、慎重に決めなければなりません。
初めの計画の段階で十分な時間をかける必要がありますが、それさえ終わってしまえばあとは月に30分〜1時間程度の管理時間で運用が可能です。
投資目的を最優先にする
不動産投資をおこなう理由を明確にし、目的達成を最優先に考えることをおすすめします。 収益の確保や節税のために不動産投資をおこなう方が多いのではないでしょうか。都心のタワーマンションや新築物件に惹かれる方もいますが、それらは収益性や節税効果が低い場合があるため、投資目的を見失わないように注意しましょう。
不動産投資の知識を深める
不動産投資は、所有する物件に入居者がいれば毎月安定した収入を得られる魅力的な手段です。しかし、立地条件が悪く、空室が続く物件では、家賃収入が得られないどころか、金融機関からの不動産投資ローンの返済だけが発生する可能性も。また、中古物件の場合、想定外の修繕費用がかさむケースも珍しくありません。
不動産投資を成功させるためには、物件選びや融資交渉、税務知識など幅広いスキルが求められます。不動産投資に関する知識を学べる場は、主に以下が挙げられます。
- 書籍:最新の情報が反映されている書籍を選ぶと、基本的な知識が効率よく身に付きます。
- セミナー:各地で開催される不動産投資セミナーや無料のオンラインセミナーに参加することで、実務的な知識を得られます。
- 交流会:不動産投資家の集まりに参加し、経験者の話を直接聞くことも役立ちます。
- ブログ・SNS:信頼性の高い情報を発信している投資家のブログやSNSを参考にするのもよい手段です。
上記を活用して情報収集を続けることで、失敗を回避するための知識を習得できるでしょう。
確定申告を活用して節税する
不動産投資では、減価償却費や管理費などを経費として計上できます。減価償却費は、物件の購入費用を数年にわたって分割して計上する方法です。以下は所得税の税率の表です。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円 から 1,949,000円まで |
5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで |
10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで |
20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで |
23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで |
33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで |
40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
例えば、3,000万円で購入した物件が10年間で300万円ずつ減価償却費として計上される場合、仮に100万円の家賃収入があったとしても、以下のように損失として計上できます。
家賃収入100万円-減価償却費300万円=-200万円
この200万円の損失は、医師としての所得と損益通算することが可能です。例えば、年収1,200万円の医師の方が不動産投資をしていない場合と比較すると、以下のように節税額が大幅に変わることがわかります。
・所得1,200万円の場合の税負担金額(損益通算あり)
1,200万円-200万円(損失)=1,000万円
1,000万円×33%-控除額153万6,000円=税額176万4,000円
・所得1,200万円の場合の税負担金額(損益通算なし)
1,200万円×33%-控除額153万6,000円=税額242万4,000円
上記のように、損益通算を適切に活用することで、税負担を大きく軽減することが可能です。
まとめ
本記事では、医師の方が不動産投資に向いている理由をご紹介しました。不動産投資はさまざまな管理業務が必要ですが、管理会社に委託すれば、多忙でなかなか時間が取れない医師の方でも気軽に始められます。ただし、不動産投資を成功させるためには、綿密な投資計画を立てること、信頼できる不動産会社を探すことなど、重要なポイントが多くあります。
今回ご紹介した不動産投資を成功させるポイントをもとに、安定した運用を始めてみてください。

執筆者
長谷川 賢努
AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士
大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ