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不動産投資の頭金はいくら必要?頭金の有無によるメリット・デメリットを解説

不動産投資で頭金はいくら必要になるのでしょうか
不動産投資を始めたいけど、「いくらあれば始められるのか」、「手持ちのお金があまりないけどできるのか」疑問に思う方も少なくないはず。

本記事では、不動産投資を始める場合、頭金はいくらあればよいのかを解説。また、頭金を入れた場合と入れない場合のそれぞれのメリットとデメリットについてもお伝えしますので、不動産投資をお考えの方はぜひ参考にしてください。

不動産投資で頭金はいくら必要?

不動産投資で頭金はいくら用意しなければならないでしょうか
不動産投資で頭金はいくら用意しなければならないでしょうか

不動産投資を始めるなら頭金はいくら必要でしょうか。本章では、頭金がいくら必要なのか、どのような時に必要なのかを解説します。

目安は物件価格の10~20%

実際のところ、不動産投資で頭金が物件価格の何%必要なのか、金額は明確に示されているわけではありません。ただし、実際に不動産投資をしている人が、頭金をどのくらい用意したかのデータは存在します。大手不動産会社の野村不動産が実施した、「第15回 不動産投資に関する意識調査」では、投資用物件購入のために自己資金を何割充当したかの問いに対し、50%以上の人は自己資金2割未満で物件を購入したと回答。

さらに詳しく見てみると、自己資金が1割未満の人は28.4%、1割から2割未満の人が25.4%でした。一方で、購入価格の5割以上の頭金を用意したと答えた人は17.9%で、3番目に多い回答になっています。
これらのことから、物件価格の10~20%くらいの頭金で物件を購入している人が過半数ということがわかりました。頭金を入れるのか、どのくらい入れるのかは、投資家の判断によるようです。

頭金を入れるかの判断基準

では、どのようなケースで頭金を用意するのが最適でしょうか。一つは、融資限度額が借入希望額に満たない時。例えば、融資限度額が3,000万円で4,000万円の投資用物件を検討している方がいたとしましょう。この場合、頭金1,000万円を用意できれば、融資額とあわせて4,000万円の投資用物件を検討できるようになります。必要な融資額に届かない場合に、頭金を入れると選択肢の幅が広がります。

不動産投資で頭金を入れるメリット

不動産投資で頭金を入れるとどのようなメリットがあるでしょうか
不動産投資で頭金を入れるとどのようなメリットがあるでしょうか

頭金の目安や、どのような場合で頭金を入れるのかわかりましたが、頭金を入れるとどのような利点があるでしょうか。本章では、頭金を入れるメリットを紹介します。

毎月の不動産投資ローンの返済額を減らし利益を増やせる

頭金の分だけ借入金額を減らせるため、毎月の返済額を抑えられます。毎月の返済額が減ればその分、不動産投資の利益を増やせる可能性が高いでしょう。例えば、家賃収入よりも毎月の返済額のほうが低ければ、利益を積立てることができます。もし空室が発生したり、修繕が必要になっても、毎月プラスの状態にあれば、自己資金を減らすことなく対処できるかもしれません。毎月の不動産投資ローンの返済額を小さくできると、運営上のトラブルに対応しても資金を減らさずにすみますし、不動産投資の利益をさらに増やすことも期待できます。

返済期間が短くできる

投資用物件を購入する際に頭金を入れると、返済期間を短縮できる点もメリットです。
返済期間が短いと、短期間で不動産投資ローンを完済できるため、早い段階で家賃収入が純粋な利益になります。そうなれば、キャッシュフローが良好になり、次の投資も検討できるなど、より資産を増やす施策も可能。返済期間が短いと、経済状況や市場環境の変動に影響されるリスクも軽減できます。返済期間の短縮は、不動産投資のリスク軽減と、投資全体の安定性向上に不可欠です。

不動産投資で頭金を入れるデメリット

不動産投資で頭金を入れるとどのようなデメリットがあるでしょうか
不動産投資で頭金を入れるとどのようなデメリットがあるでしょうか

頭金を入れると、不動産投資ローンの返済額が少なくできたり、返済期間を短縮するなどのメリットがあります。しかし、むやみに頭金を入れてしまうのは要注意です。そこで本章では、頭金を入れるデメリットを解説します。

手元の資金が不足する

頭金を多く入れると、その分だけ手元に残る資金が少なくなってしまう点はデメリットです。手元に残る資金が少なくなると、予期しない支出や緊急の修繕費に対応できなくなるリスクがあります。もし、急な修繕が発生しても、資金が不足して対応が遅れた場合、退去者が増えたり、新たな入居者を見つけるのが困難になることも。さらに、手元資金が不足すると、新たな投資チャンスを逃す可能性もあります。市場に魅力的な投資用物件が出た場合、迅速に資金を用意して購入できると理想的です。しかし、手元に資金が十分にない場合、このようなチャンスを逃し、長期的な資産形成の機会を失う可能性があります。

このように、頭金を入れることで手元の資金が不足すると、不動産投資の運営や新たな投資機会に対する柔軟性が失われ、経営に悪影響を与えるリスクが高まるためバランスを考えた資金計画が重要です。

レバレッジ効果が低くなる

レバレッジとは「てこ」を意味し、投資では「少ない自己資金で大きな投資をおこなって利益を最大化させる」という意味合いで使用されます。

例えば、投資用の物件価格が5,000万円の場合を想定しましょう。投資用物件の価値が10%上昇した場合、リターンは500万円になります。500万円の頭金を入れたケースでは、500万円の投資に対して、500万円のリターンが得られたことになり、リターン率は100%。しかし、2,500万円の頭金を入れたケースでは、500万円のリターンしか得られず、リターン率は20%にとどまります。

このように、頭金を多く入れると自己資金に対するリターンが小さくなり、レバレッジ効果が低くなります。不動産投資では、レバレッジ効果をうまく活用すると自己資金を効率的に増やせる可能性がありますが、頭金を多く入れるとこの効果が薄れてしまう点がデメリットです。

不動産投資を頭金なしで始めるメリット

頭金なしで不動産投資を始めるとどのような点がメリットでしょうか
頭金なしで不動産投資を始めるとどのような点がメリットでしょうか

ここまでは、不動産投資を始めるにあたって、頭金が必要になる話をしてきました。では、不動産投資をする際には頭金は必須なのでしょうか。実際のところ、頭金なしでも不動産投資は可能です。ただし、フルローンを組んでも金融機関が融資を許可するような属性の方や、物件の担保評価が高いことが条件になります。
ちなみにフルローンとは、投資用物件価格と同額のローン金額で受ける融資です。この場合、投資用物件を購入するために必要になる、仲介手数料やローンの事務手数料などは別途追加で必要になるため、気をつけましょう。

早く不動産投資を始められる

頭金なしの場合、自己資金を貯める時間を節約でき、いちはやく不動産投資を始められます。頭金を貯める時間が不要になるため、不動産市場が変動し、物件価格が上昇するリスクを避け、投資の機会損失を防げます。
また、早く不動産投資を開始すれば、運用期間が長くなり、複利効果を最大限に活用できます。長期間の運用は、リスクの分散にも貢献します。長期間の運用による複利効果やリスク分散の恩恵を受けるためには、できるだけ早く不動産投資を始めるのが理想です。

自己資金をあまり減らさず不動産投資を始められる

頭金なしのフルローンを利用する場合、初期費用などが準備できればよいので、投資用物件購入にかかる費用が少なくて済みます。いま手元にある資金の減少を最小限にとどめられる点がメリットです。不動産投資では、予期しない支出や緊急の修繕費用が必要な場合もあるため、資金を手元に残しておくと対処がしやすくなります。
さらに、手元に資金を残しておくと、不動産投資以外にも株式や債券、他の投資機会に分散投資して、全体的なリスク軽減も可能です。手元に十分な資金を保持しながら、多様な投資機会に対応できる柔軟性を持てるので、リスクを抑えつつ効率的に資産を増やすことができます。

不動産投資を頭金なしで始めるデメリット

頭金なしで不動産投資を始めるとどのような点がデメリットでしょうか
頭金なしで不動産投資を始めるとどのような点がデメリットでしょうか

頭金なしで不動産投資を始めると、出費が少なく済んで有利に思えますが、懸念点はどのようなところでしょうか。そこで本章では、不動産投資を頭金なしで始めるデメリットを解説します。

毎月の不動産投資ローンの返済額が増える

頭金を入れないでフルローンを組む場合、当然ですが頭金を入れて不動産投資ローンを組む時より、返済額が多くなります。借入金額が増加するうえ、金利も上乗せされるため、毎月の不動産投資ローンの返済額は増加しています。毎月の返済額が大きくなってしまったため、家賃収入だけでは足りず、キャッシュフローがマイナスになる可能性もある点はデメリットです。

出口戦略に行き詰まる可能性がある

フルローンで投資用物件を購入する場合、返済額が大きくなって、最終的に売却したいタイミングになっても、不動産投資ローンの残債を返しきれない可能性があります。その時に手持ちの資金があればよいですが、ない場合は手放したいと思っているのに売却できなくなってしまうかもしれません。不動産投資は、不動産を運用している間も大切ですが、最終的な出口戦略も考えて投資用物件を検討する点も重要です。フルローンにする場合、出口戦略で行き詰る可能性がある点はデメリットです。

金利上昇の影響を大きく受ける

フルローンで不動産投資を始めると、借入金額が高くなり、支払う金利も多くなるため、金利上昇がキャッシュフローに大きなダメージを与える可能性が高まります。借入可能額上限まで借りても、金融機関の審査を通過できるからよいのではなく、金利の上昇やさまざまなリスクを考慮して収支のシミュレーションをしておきましょう。

不動産投資における頭金に関するよくある質問

不動産投資における頭金に関するよくある質問をまとめました。

不動産投資で頭金はいくら必要か?

不動産投資を始める際の頭金は、明確な基準はないものの、多くの投資家は物件価格の10~20%を目安にしています。野村不動産の調査によると、約50%以上の投資家が自己資金2割未満で物件を購入しており、特に1割未満が28.4%、1割から2割未満が25.4%の回答でした。

頭金を入れるかは、各投資家の判断に委ねられています。融資限度額が借入希望額に満たない場合や、手元資金に余裕がある場合には頭金を入れると、融資額を補い、選択肢を広げる点で有効です。

不動産投資で頭金を入れるメリットは?

頭金を入れるメリットは、毎月の不動産投資ローンの返済額を減らし、利益を増やせる点と、返済期間を短縮できる点です。頭金を入れると借入金額が減少し、毎月の返済額が抑えられるため、家賃収入との差額を利益として積み立てることができます。そうすると、空室対策や修繕が必要な場合にも、自己資金を減らさずに対応可能です。また、頭金を入れて返済期間を短縮すると、早期に不動産投資ローンを完済し、家賃収入を純粋な利益に変えることができます。キャッシュフローが良好になると、次の投資も検討しやすくなり有益です。

不動産投資で頭金を入れるデメリットは?

無理に頭金を入れると手元資金が不足し、急な修繕や新たな投資機会への対応が難しくなる点がデメリットです。また、頭金を多く入れると、レバレッジ効果が低下し、投資のリターンが小さくなる可能性があります。経営に影響を与えないよう、バランスの取れた資金計画が必要です。

不動産投資を頭金なしで始めるメリットは?

頭金なしで不動産投資を始めると、自己資金を貯める時間を節約し、早期に投資を開始できます。そうすると、不動産市場の変動や物件価格の上昇リスクを回避し、複利効果を最大限に活用できます。また、手元の資金を減らさずに投資を開始できるため、予期せぬ支出や他の投資機会に柔軟に対応できます。手元資金を保持しながら効率的に資産を増やすことが可能です。

不動産投資で頭金なしで始めるデメリットは?

頭金なしで不動産投資をはじめると、出費が少なく済むため一見有利に思えますが、いくつかの点で不利です。まず、フルローンを組むことで毎月の不動産投資ローンの返済額が増え、家賃収入だけではカバーできず、キャッシュフローがマイナスになるかもしれません。次に、投資用物件を売却したいタイミングで不動産投資ローンの残債が返済しきれず、手持ち資金がない場合には売却が難しくなり、出口戦略が行き詰まるリスクがあります。さらに、借入金額が多いため金利上昇の影響を大きく受け、キャッシュフローにダメージを受ける可能性も高いです。これらのリスクを考慮し、十分な収支シミュレーションをおこなう必要があります。

まとめ

本記事では、不動産投資を始める場合、頭金はいくらあればよいのかを調べ、頭金を入れるメリットとデメリットを解説しました。また、自己資金があまりない状態で不動産投資を始める場合、どのようなメリットやデメリットがあるのかも紹介しました。不動産投資で頭金がどのくらい必要か、検討する際に役立ててください。

長谷川賢努

執筆者

長谷川賢努

AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士

大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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