不動産投資はフルローンでも始められる?メリット・デメリットと実行の注意点を解説!

本記事では、不動産投資のフルローンのメリットとデメリット、フルローンで始める際の条件や、注意点についてお伝えします。さらに、フルローンで不動産投資を検討してよい人の特徴も紹介するので、判断に迷っていらっしゃる方は参考にしてみてください。
記事の目次
不動産投資をフルローンで始めるための条件は?

結論、不動産投資はフルローンでも始められますが、誰でも利用できるわけではありません。金融機関はフルローンに対し、積極的に融資をおこなわないことは事実です。しかし、フルローンで不動産投資を始めることは不可能ではありません。ではどのようにすれば利用できるのか、本章では不動産投資でフルローンを組む条件などを紹介していきます。
不動産投資でフルローンを組む条件
不動産投資でフルローンを組む場合、審査ではどのような点をチェックされるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
物件の価値や収益力
不動産投資でフルローンを組む際、重要な条件の一つは投資用物件の価値や収益力です。審査で重視される点は以下となります。
- 融資額よりも高額な物件価値か
- 投資用物件の価値が将来的に上がる見込みがあるか
- 安定して入居者が見込めるか
- 家賃収入が安定するか
- 立地がいいか
- 築年数はどれくらいか
投資用物件の価値や収益性が特に重視されることはいうまでもありません。これは、投資用物件の価値が融資額を上回れば、金融機関の貸し倒れリスクを軽減できるためです。市場の動向や開発計画などを考慮し、将来的に投資用物件の価格が上昇する可能性があるかも評価されます。加えて、入居者が見込めるか、家賃収入が安定しうるかも判断基準になるでしょう。
また、交通の便がよいか、商業施設が近いかなど立地面においても考慮されます。投資用物件の築年数もチェックポイントです。築年数が古い物件は修繕費用がかかる場合があるため、将来的な維持管理費を考慮されるでしょう。これらの条件を総合的に審査して、フルローンを組む際のリスクが低減されていれば、フルローンを組める条件に値する可能性があります。
属性
不動産投資でフルローンを組む際、投資用物件の価値や収益力の他に、投資家の属性も重要な審査ポイントになります。チェックされるポイントは以下のとおりです。

- 年収や経常利益額
- 職業や勤続年数
- 不動産投資の実績
まず年収と経常利益は、返済能力を示す指標として重視されます。年収が高いほど、不動産投資ローンの返済における安定性が増し、融資を受けられる可能性が高まるためです。
また、経常利益額が安定していることも重視されるでしょう。安定した職業に就いている場合、特に長期間にわたって同じ職場に勤めている場合は、収入の安定性が高いと見なされ、審査が有利になります。
さらに、職業の社会的地位の高さも、信用力を示す要素です。高い社会的地位や信頼性がある職業に就いている場合、融資の承認が得やすくなるでしょう。過去に成功した不動産投資の経験がある点も重要で、不動産投資の知識と能力を示せるため、融資担当者に安心感を与えられます。
これらの要素を総合的に評価してもらえると、投資家の信用力と返済能力を示せるため、フルローンの承認につなげられるでしょう。
共同担保
不動産投資でフルローンを組む際、投資用物件の価値や収益力、投資家の属性は重要な審査ポイントですが、共同担保の利用も、フルローンで借り入れられるかに影響を与える場合があります。共同担保とは、複数の物件や資産を担保として提供し、融資のリスクを分散して金融機関に対する保証を強化する方法です。具体的には、主たる投資用物件に加え、他の不動産や資産を担保として設定する方法で、融資の安全性を高める効果が期待できるでしょう。
共同担保を利用する場合、金融機関によっては、より柔軟な条件で融資を検討してくれる場合があります。これは、複数の担保によって貸し倒れのリスクが軽減されるため、金融機関の安心感が増し、融資条件を緩和する可能性があるからです。
例えば、投資用物件の価値が融資額に見合わない場合でも、他の担保があることで評価が上がり、フルローンが承認されやすくなるでしょう。このように、共同担保を適切に活用すると、フルローンを組む際の審査が、有利に進む場合があります。
不動産投資をフルローンで始めるメリットは?

不動産投資をフルローンでも始められる点はわかりましたが、あえてフルローンを利用すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。本章では、不動産投資をフルローンで始めるメリットを解説します。
自己資金を保有しながら不動産投資が始められる
不動産投資をフルローンで始めるメリットは、自己資金を守れる点です。フルローンで借り入れると、手元資金をそのまま保持しながら投資用物件を購入できるため、他に投資できたり緊急時の資金を確保することができます。
例えば、株式や投資信託などにも投資することで、リスクも分散させることも可能です。また、急な出費が発生した場合にも、手元に十分な資金があれば柔軟な対応がとれます。
さらに、不動産投資自体が長期的な資産形成を目指すもので、最初の段階で自己資金を温存していると、次の投資機会に素早く対応が可能です。自己資金を温存しつつ、不動産投資ローンを利用して複数の投資用物件を購入すれば、ポートフォリオ全体のリスクを分散でき、収益の安定性を高められます。
フルローンを利用すると、利息負担が増えるリスクも存在しますが、その分自己資金が守れるためさらなる投資や緊急時の対応に備えられるでしょう。結果として、フルローンを活用すると、経済的な柔軟性を高めつつ、長期的な資産形成に向けた戦略的な投資が可能になります。
レバレッジの効果を最大限に活用できる
レバレッジ効果を最大限に利用できる点も不動産投資をフルローンで始めるメリットです。レバレッジ効果とは、借入金を活用して自己資金以上の投資をおこなう手法で、投資収益を拡大させる効果が期待できます。フルローンを利用すると、自己資金を少なく抑えつつ、より高額な投資用物件に投資でき、資産形成のスピードが加速するでしょう。
例えば、自己資金のみで1,000万円の投資用物件を購入する場合、その物件の価値が10%上昇すれば、100万円の利益が得られます。しかし、自己資金のみを投じるならそれ以上の投資用物件は買えません。しかし、フルローンを利用して1億円の投資用物件を購入した場合、同じく10%の価値上昇なら、1,000万円の利益を得られます。これは、自己資金に対して非常に高いリターンをもたらし、レバレッジ効果の恩恵を受けられる典型的な例です。
レバレッジ効果をフルに活用すると、短期間で大きな資産を築く可能性が高まり、不動産市場の恩恵を最大限に享受できます。ただし、借入金を活用するリスクには考慮が必要です。
不動産投資をフルローンで始めるデメリットは?

フルローンで不動産投資を始めると、自己資金を温存したり、レバレッジ効果を最大限に発揮できる利点がありましたが、反対にデメリットはあるのでしょうか。本章では、フルローンで不動産投資を始めるデメリットを説明します。
不動産投資ローンの返済負担が大きくなる
フルローンを利用して不動産投資を始めるデメリットの一つは、不動産投資ローンの返済負担が大きくなり、最終的には返済しきれないリスクが高まる点です。フルローンとは、物件購入価格の全額を借り入れでまかなうことを指し、自己資金はほとんど不要なため、一見すると魅力的に感じるかもしれません。しかし、この方法にはいくつかの深刻なリスクがともなうことを考慮すべきです。
まず、フルローンを利用すると、借入金額が大きくなるため、毎月の返済額も高額になります。これにより、家賃収入で不動産投資ローンの返済をまかなえなくなるかもしれません。特に、投資用物件の空室が続いたり、家賃相場が下落した場合には、家賃収入が予想よりも大幅に減少し、返済が困難になる可能性があります。
また、フルローンの利用で、キャッシュフローが回らず予期していなかった修繕費用や運営費用が発生した際の対応も難しくなるかもしれません。投資用物件は定期的なメンテナンスや修繕が必要となりますが、その費用をカバーできる資金が不足すると、投資用物件の価値が低下し、さらに空室リスクが高まる悪循環に陥ることがあります。このような状況に陥ると、不動産投資ローンの返済が滞り、最悪の場合、債務不履行となって投資用物件を手放す羽目になる可能性も。
以上のように、フルローンで不動産投資を始めると、毎月の返済負担が大きくなり、不動産投資ローンを返済しきれないリスクが高まる重大なデメリットをともないます。利用には慎重な資金計画とリスク管理が不可欠です。
金利上昇がリスクになる
金利上昇も、フルローンを利用して不動産投資を始める際の大きなリスクです。特に、変動金利で融資を受ける場合、金利が上昇すると毎月の返済額が増加します。仮に金利が1%上昇した場合でも、借入金額が大きければその影響は無視できません。例えば、1億円の不動産投資ローンを組んでいる場合、1%の金利上昇によって年間で100万円以上、返済額が増えてしまいます。この負担増加は、当初の収支計画を大きく狂わせる要因になるでしょう。
また、金利上昇は不動産市場全体にも影響を及ぼす可能性があります。金利が上昇すると、住宅ローンの借り入れが困難になり、住宅購入を控える人が増えるため、住宅の需要が低下するかもしれません。その結果、不動産価格の下落や賃貸需要の低迷が生じ、投資用物件の収益性が悪化する可能性があります。
特に、家賃収入を不動産投資ローンの返済に充てている投資家にとっては、家賃収入が減少すると返済に支障をきたす可能性が高いでしょう。さらに、金利が上昇する局面では、市場全体が不安定化する可能性があります。このような市場環境では投資用物件の売却が難しくなり、資金繰りが厳しくなった投資家がやむを得ず資産を手放すケースが増えると、物件価格がいっそう下落してしまうかもしれません。フルローンで不動産投資を始める際は、金利上昇が大きなリスクとなりえる点を理解しておくようにしましょう。

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審査が厳しくて通過できない可能性が高まる
フルローンを利用して不動産投資を始める際、ローン審査がより厳しくなる点に注意が必要です。金融機関にとって、フルローンの提供は貸し倒れのリスクが高いため、審査基準が厳格化されるのは避けられません。
審査ではまず、投資家の信用力が厳しく評価されます。信用力とは、過去の借り入れ履歴や現在の収入状況、職業の安定性などを総合的に判断したものです。特に、過去にローンの滞納歴があったり、収入が不安定であったりする場合、フルローンの審査を通過するのは容易ではありません。
また、自己資金をほとんど持たない状態でのフルローン申請は、投資家のリスク許容力が低いと判断される可能性が高く、審査に通りにくくなる要因になります。
さらに、投資用物件そのものの評価も厳しく、市場価値が安定していない物件や、将来的に値下がりのリスクがある物件に対しては、融資額が制限される可能性も。最悪の場合、融資が拒否されるかもしれません。このように、フルローンでは金融機関の負うリスクが大きいため、投資用物件の選定にも高い基準が設けられます。
仮にフルローンで審査に通っても、金利やその他の融資条件が不利になる可能性が高いです。フルローンの場合は、金利が高く設定される傾向があるため、毎月の返済負担が増加し、投資の収益性が低下するかもしれません。フルローンを利用して不動産投資を始めると、審査がより厳しくなり、融資条件が不利になるデメリットがある点を覚えておく必要があります。
不動産投資でフルローンを利用する前の注意点は?

不動産投資でフルローンを利用する場合のメリット・デメリットを解説しましたが、実施を検討する際に注意すべき点はあるのでしょうか。本章では、フルローンを利用する前に知っておきたい注意点を解説します。
キャッシュフローの増加に耐えられるかを確認する
不動産投資でフルローンを利用する前の注意点は、キャッシュフローの増加に耐えられる資産力があるかです。フルローンを利用すると、当然ながら借入金額が増加し、毎月の不動産投資ローンの返済額が高額になります。
例えば、物件の購入価格が1億円で全額を借り入れでまかなった場合、金利や返済期間にもよりますが、毎月の返済額は数十万円から100万円以上に達するでしょう。これに加えて、固定資産税や修繕費、管理費などの運営費用も発生します。すると、キャッシュフローが急激に増加し、予想以上に負担が大きくなる可能性があります。
キャッシュフローの増加に耐えられるかは、不動産投資を成功させるために重要な要素です。キャッシュフローが増加すると、家賃収入やその他の収益が不動産投資ローンの返済や運営費用をまかなえない状況が生じるリスクが高まります。このような状況に耐えられない場合、最悪のケースでは返済が滞り、投資用物件を手放さなければならないかもしれません。
収入が不安定だったり、自己資金が少ない人がフルローンを利用すると、キャッシュフローの増加に対応しきれず、投資が失敗に終わるリスクが高まります。そのため、フルローンを検討する際には、キャッシュフローの増加に耐えられるかを慎重に評価し、自身の経済状況やリスク許容度をしっかりと見極めることが重要です。
厳しい審査に通過できるかを判断する
融資審査がより厳しくなる点も、注意点の一つです。まず、フルローンを希望する場合、投資家の信用力が厳しく評価されます。具体的には、年収、職業の安定性、過去の借入履歴などが詳細に審査されます。
高収入な点や安定した職業に就いている点が、審査を通過するための重要な要素です。金融機関は、投資家が返済能力を持っているかを厳格に判断するため、収入が不安定な職業や過去に返済遅延があった場合などは、フルローンの承認が難しくなる可能性があります。
また、投資用物件自体の価値も重要な審査ポイントとなります。金融機関は、投資対象の物件が確実に収益を生むか、またその資産価値が担保として十分かを、より慎重に評価しなくてはなりません。投資用物件が新築であり、立地がよいなどの条件が揃っている場合、審査に通りやすくなる可能性があります。しかし、反対に設備が古い物件や不人気エリアにある物件では、審査が厳しくなる可能性があります。投資用物件の収益性が不確実と判断されると、フルローンのリスクが高いと見なされ、融資が断られる可能性もあるでしょう。
さらに、フルローンでは自己資金がゼロのため、金融機関にとってはリスクが高いと判断されることが多いです。自己資金を投入する場合に比べ、投資家の自己責任が薄まり、物件運用に対するリスク意識が低くなる可能性があるため、これを懸念する金融機関は増えます。
このため、融資を承認する前に、投資家がどの程度の自己資金を準備できるか、その他の資産をどのように運用しているかも審査の対象になるでしょう。このような条件は、フルローンの審査を通過するために避けられない要素であり、投資家はこれらの条件を満たせるかを事前に確認しておく必要があります。
売却が困難になる可能性があることを理解しておく
物件の売却が困難になる可能性がある点も、フルローンで不動産投資を始める際の注意点です。まず、不動産投資ローンを利用する場合、投資用物件の売却時にローン残高を完全に返済しておかなければなりません。
あるいは、売却価格がローン残高を上回る状態が必須です。市場価格が下落した場合や、投資用物件の価値が期待どおりに上がらなかった場合、売却価格がローン残高を下回るリスクが高まります。これにより、投資用物件を売却しても不動産投資ローンを完済できず、残債を自費で返済しなければならないかもしれません。
また、フルローンを利用している場合、キャッシュフローが厳しいと、売却のタイミングに柔軟性が持てない点も考慮する必要があります。例えば、投資用物件の価値が下がったタイミングで売却を急がなければならない状況になると、市場価格が低迷しているため、期待する価格で売却できなくなるでしょう。これにより、損失を被るだけでなく、次の投資のための資金繰りにも悪影響が出る可能性があります。
さらに、売却が難航した場合、長期に渡って投資用物件を保有する事態になり、その間の不動産投資ローンの返済や維持管理費用がかさむかもしれません。特に、空室が続いたり、家賃が思うように上がらない場合、キャッシュフローが悪化して投資用物件の保有コストが投資家の負担を圧迫する要因となります。そうなると、投資のリターンが大幅に低下し、最終的には損失が出る可能性も高くなります。
加えて、フルローンで購入した投資用物件を売却する際、買い手がその物件に対して十分な価値を見いだせるかが鍵になります。投資用物件の評価が市場価格よりも低く見積もられると、買い手が現れにくくなるだけでなく、売却条件が買い手にとって不利なものになるかもしれません。すると、売却がさらに難しくなり、投資用物件の売却プロセスが長期化する可能性があります。フルローンを利用して不動産投資を始めると、売却が困難になるリスクがある点に注意が必要です。
不動産投資でフルローンを検討できる人の特徴は?

不動産投資でフルローンを利用するメリットやデメリット、注意点を解説しました。では、フルローンを利用してよいかはどこで判断すればよいのでしょうか。本章では、不動産投資でフルローンを検討できる人の特徴を挙げます。
支払い余力がある人
不動産投資でフルローンを検討できる人は、支払い余力が十分にある点が特徴です。フルローンでは毎月の不動産投資ローンの返済額が大きくなるため、これに耐えうる十分な収入が必要になります。例えば、収入が安定しており、毎月の収入が不動産投資ローンの返済額を大きく上回る人であれば、キャッシュフローが圧迫されることはないでしょう。
また、安定して高い収入を得ている人であれば、たとえ一時的に投資用物件が空室になったり、家賃収入が減少したりした場合でも、自己資金から不動産投資ローンの返済を続けられます。さらに、支払い余力が十分にある人は、不動産市場の変動や金利の上昇にも柔軟に対応できるでしょう。
他にも、金利が上昇して不動産投資ローンの返済額が増加した場合でも、支払い余力があれば、投資計画に大きな影響を与えずに対応できます。
支払い余力が十分にある点は、投資用物件の管理や維持費用、税金などの支出にも対応できる意味でも重要です。これらの費用が予想以上にかかる場合でも、余裕を持って対応できるため、投資用物件の価値を維持し、将来売却する際にも有利な状況を保てるでしょう。
フルローンを利用して不動産投資を検討できるのは、十分な支払い余力を持つ人です。安定した高収入や豊富な資金力が、フルローンでの投資成功の鍵となります。
すでに他の投資用物件を所有している人
すでに他の投資用物件を所有している点も、フルローンを検討できる人の特徴です。すでに他の投資用物件を所有している投資家は、不動産市場や投資用物件の管理に関する経験や知識を持っている可能性が高くなります。これにより、新たな投資用物件の購入や運用に対するリスク管理がしやすいでしょう。経験豊富な投資家は、過去の物件運用から得た知識を活かして、市場の変動に柔軟に対応し、適切な判断を下すことができます。これにより、フルローンを利用した場合でもリスクを最小限に抑えながら投資を進められるでしょう。
また、すでに所有している投資用物件がある場合、それを担保に新たな投資用物件のフルローンを組みやすくなる可能性もあります。金融機関は、投資家が複数の投資用物件を所有している点を信頼の証ととらえるためです。特に、所有している投資用物件が高い価値を持っている場合、その物件を担保に取ると、借入金額が増加したり、融資条件が緩和されるかもしれません。このように、すでに投資用物件を所有していると、フルローンを利用する際のハードルが下がる効果が期待できます。
さらに、複数の投資用物件を所有している投資家は、物件同士でリスクを分散できる点も大きなメリットです。一つの投資用物件でトラブルが発生しても、他の投資用物件からの収益でカバーできます。このリスク分散の効果により、フルローンを利用して新たな投資用物件を購入する場合でも、全体的な投資ポートフォリオが安定しやすくなるでしょう。これまで述べてきた理由から、すでに投資用物件を所有している投資家は、フルローンを検討する際に有利です。
新築物件を購入する人
購入する投資用物件が新築の場合、フルローンを検討しやすくなります。まず、新築物件は物件そのものの価値が高く評価されるため、金融機関がフルローンを承認しやすくなります。新築物件は、構造や設備が最新のものであり、修繕費用が当面必要ないため、投資家にとっても失敗するリスクが低くなるでしょう。
また、新築物件は築年数がゼロからスタートするため、減価償却費を最大限に活用できる点も投資家にとっての魅力です。これにより、金融機関も新築物件に対して融資リスクを低く見積もることができ、フルローンを組みやすくなります。
さらに、新築物件は賃借者にとっても魅力的なため、空室リスクが低く、安定した家賃収入を期待できる点も有利でしょう。新築物件は最新の設備やデザインが取り入れられているため、賃貸市場でも高い競争力を持ちます。これにより、投資用物件が早期に満室になる傾向があり、家賃収入が安定するため、不動産投資ローンの返済も無理なくおこなえる可能性が高いです。
さらに、新築物件はそのブランド力や希少性から将来的に高い売却価格を期待できるかもしれません。フルローンを利用して購入した新築物件が、時間とともに資産価値を増し売却時に利益を生む可能性があるため、投資家にとって有利な投資になる可能性があります。新築物件を購入する投資家は、投資用物件の価値や安定した家賃収入、運用コストの低さなど、新築物件ならではの利点を活かしながら、フルローンを利用した不動産投資を成功させる可能性が高まります。
不動産投資をフルローンで始める際によくある質問
不動産投資をフルローンで始める際によくある質問をまとめました。
不動産投資をフルローンで始める際の条件は?
不動産投資でフルローンを組むには、投資用物件の価値や収益力が重要です。投資用物件の価値が借入金額を上回り、将来的な価格上昇が見込める点や、安定した入居者と家賃収入が期待される物件でなければなりません。また、投資家の年収、経常利益、職業の安定性や過去の投資実績も審査対象になります。共同担保を利用すると、リスクが分散され、融資条件が緩和される可能性が高いです。ただし、金融機関で考慮される場合に限ります。
不動産投資をフルローンで始める際のメリットは?
不動産投資をフルローンで始めるメリットは、自己資金を保有しながら投資を開始できる点です。これにより、他の投資機会や緊急時の資金を確保できます。また、フルローンを活用するとレバレッジ効果を最大化でき、高額物件に投資しやすくなり、資産形成のスピードを加速できるでしょう。自己資金を温存しつつ、複数物件に分散投資すると、リスクを低減し、不動産投資の収益性を高められます。
不動産投資をフルローンで始める際のデメリットは?
不動産投資をフルローンで始めるデメリットは、不動産投資ローンの返済負担の増大や金利上昇リスクがあります。借入金額が大きく、毎月の返済額が高額になるため、家賃収入が不足すると、不動産投資ローンの返済が困難になるかもしれません。また、金利が上昇すると返済額も増加し、投資収益が圧迫されます。さらに、金融機関の審査が厳しく、自己資金が少ない場合や信用力に不安があると、融資の承認が難しい点がデメリットです。
不動産投資でフルローンを利用する際の注意点は?
まず、キャッシュフローが増加する際の運営費用に耐えられる資産力が必須です。次に、厳しい融資審査に通過できるか、信用力や投資用物件の価値を確認することが不可欠です。不動産投資ローンの借り入れができても、最終的に投資用物件の売却時にローン残高を返済できず、売却が難航する可能性もあるため、慎重に判断をしましょう。
フルローンで不動産投資を検討できる人は?
フルローンで不動産投資を検討できる人の特徴は、まず支払い余力が十分にある点が挙げられます。安定した高収入があり、急な支出にも対応できる人が適正です。次に、すでに投資用物件を所有しており、運用経験や担保価値を持つ人も有利でしょう。さらに、新築物件を購入すると、金融機関の融資が通りやすく、安定した収入が期待できるため、フルローンの条件を満たしやすくなります。
まとめ
本記事では、不動産投資はフルローンで始められるか、実行する際の条件、メリットとデメリットや注意点をお伝えしました。また、フルローンで不動産投資を検討できる人の特徴を紹介しました。不動産投資をフルローンで始める選択肢はありますが、適しているかは個人の資産状況や投資用物件の状態によります。慎重に判断して無理のない状態で始めるようにしましょう。

執筆者
民辻 伸也
宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ