共同住宅とは?集合住宅と何が違う?定義や建物の種類について解説

そこで今回は、共同住宅の定義をはじめ、物件としてのメリットやデメリットなども含めた大まかな概要について解説していきます。
記事の目次
共同住宅と集合住宅の違いは?

共同住宅と同じように、集合住宅との言葉を見かけることも多くあるかもしれませんが、基本的にはいずれも似たような意味合いと考えて問題ありません。厳密にいえば、集合住宅は複数の住戸が分離せずに集まった建物全般を指しますが、なかでもエントランスや廊下、階段を共有する物件を共同住宅といいます。簡単にまとめると、一つの建物にいくつかの世帯が入居する物件の総称となるのが集合住宅で、そのうち特定の種類だけを示すのが共同住宅という点に違いがあります。ちなみに集合住宅における詳しい分類は、以下のとおりです。
集合住宅 | 共同住宅 | アパート |
---|---|---|
マンション | ||
コーポ・ハイツ | ||
長屋 | テラスハウス | |
タウンハウス |
※不動産業界で一般的に用いられている区分
共同住宅の定義
前述にもあるように、共同住宅とは、エントランスをはじめとした共用部分のある物件を指します。ちなみに前述の集合住宅は不動産業などで一般的に使われる業界用語ですが、共同住宅は、建築基準法における法律上の区分として使われる言葉です。なお法的には、共同住宅は一棟の建物に複数の住戸が入った物件で、不特定多数の人が出入りする特殊建築物と定義されています。ちなみに特殊建築物とは、安全性や防火性などのさまざまな規定が設けられた、多くの人に利用される学校や病院などの公共施設も含めた建物全般を指します。
共用部分とは
共同住宅では、必ず入居者同士で共通して利用する共用部分があります。共用部分とは、共同住宅の建物において、基本的に入居者全員で利用する共有スペースを指します。前述にもあるようなエントランスをはじめ、通路・エレベーター・階段などは共用部分に当たります。ちなみに少しややこしいかもしれませんが、ベランダ・玄関のドア・窓なども、各世帯の個別ではなく入居者同士で共有して使う共用部分とされています。
専有部分とは
専有部分とは、共用部分とは反対に、世帯ごとで独占的に利用できるスペースを指します。基本的には、外部に接しない居室やその内部にある設備などは、すべて専有部分に該当します。原則としては各世帯の自由に使える部分となり、掃除などの管理も、個人の判断に任されます。とはいえ賃貸物件の場合は、たとえ専有部分でも管理会社やオーナーの許可なく、リフォームや修繕などはできないルールになっているのが一般的なので注意しましょう。
長屋と共同住宅の違いは?

前述にもあるように、共同住宅と同じく集合住宅に含まれる建物として、長屋と呼ばれる種類もあります。長屋とは、複数の住戸が連なるようにして一つの建物になった物件で、共同住宅と同じく一棟にいくつかの世帯が入居します。共同住宅との大きな違いは、長屋には住戸ごとに建物外への出入り口が設けられており、基本的に共用部分はほとんどない点です。各住戸で壁はつながっているものの、世帯ごとの独立性が比較的高い、連棟式の建物になっている特徴があります。
長屋の種類は?
一般的に、集合住宅のなかでも長屋に分類される建物として、次のような物件が挙げられます。
タウンハウス

先ほどご紹介したような、連棟式の建物となる長屋のうち、各世帯で敷地を共有しているのがタウンハウスです。長屋では基本的に共用部分はほぼありませんが、タウンハウスの場合、その物件が建つ土地全体を入居者全員で共通して所有するのが一般的です。つまり各世帯で専有できるのは、実際に入居している住戸のみとなります。具体的なイメージとしては、例えば屋外スペースとなる駐車場や庭など、世帯ごとの仕切りがなく一箇所に集められているケースも見られます。
テラスハウス

テラスハウスも、外観的にはタウンハウスにほぼ似たような形式ですが、住戸ごとに敷地も独立している点に大きな違いがあります。テラスハウスでは、各世帯で住戸となる建物もそこに割り当てられた土地も、双方ともに単独所有できるのが一般的です。例えば、駐車場や庭なども含めて専有できるため、屋外スペースの自由度も高くなりやすい特徴があります。集合住宅の一種ではありますが、もっとも一戸建てに近いイメージで住みやすいのがテラスハウスです。
共同住宅の種類は?

共同住宅として代表的なのはアパートやマンションですが、その他にもいくつかの種類があります。では簡単に、それぞれの概要を整理してみましょう。
アパート
アパートは、一般的に2階建て程度の低層で、なおかつ木造や軽量鉄骨造などの共同住宅を指します。明確な定義はされていないので、アパートやマンションも、建物の構造的にはほぼ似たようなイメージです。そのためアパートに当てはまるような物件でも、建物の名称には「○○マンション」と付けられているケースも見られます。ちなみにアパートに該当する場合、建物自体は比較的小規模なことが多く、低コストの資材が使用されやすい傾向も。そのためマンションに比べて、家賃は安めになっていることも多々あります。
マンション
マンションは、3階以上の中高層で、なおかつ鉄骨造・鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造などの共同住宅を指します。物件情報などでは、RC造やSRC造といった、英語表記で記載されることもあります。一般的にマンションは、アパートに比べて階数が多く、建物全体の規模も大きくなりやすい傾向が見られます。ただし先ほども出てきたようにアパートとの明確な区別はなく、各物件を取り扱う不動産会社ごとの基準をもとに、独自にマンションと呼び分けているケースもあります。
コーポ・ハイツ
共同住宅のなかには、「△△コーポ」や「□□ハイツ」と名付けられた物件もあります。基本的には、こうしたコーポやハイツも、アパートやマンションと変わりません。ちなみにコーポは共同住宅、ハイツは丘や高台を意味する英語に由来しています。コーポやハイツも明確な使い分けはなく、語感のよさや外観のイメージから、建物の名称として使われるケースが多く見られます。例えばアパートとマンションのどちらのような建物でも、「△△コーポ」や「□□ハイツ」との名称になっているケースもあります。
メゾネット
メゾネットは、内階段によって各住戸内を階層分けしたタイプの共同住宅です。共同住宅ながらも、2階建て以上の住まいとして生活できる特徴があります。メゾネットタイプのなかには、前述にもある、タウンハウスやテラスハウスと同じような外観の物件も見られます。もしくはマンションのような建物で、各住戸が2階建て以上の構造になっているメゾネットの共同住宅もあります。
共同住宅に住むメリット

では、ここまでに見てきたような共同住宅を選ぶことで、どのような住みよさがあるのか見ていきましょう。
防犯に優れている

警視庁が発表する「住まいる防犯110番」によると、いわゆる空き巣などの侵入窃盗の発生率がもっとも高いのは、「一戸建住宅」とのデータが出ています。比べて共同住宅では、上記のグラフでもあるように、侵入窃盗の発生率は大幅に低い傾向が見られています。やはり共同住宅では、例えばオートロックや防犯カメラなどのセキュリティシステムが比較的充実していることもあり、不法な侵入はされにくい効果に期待できます。
立地がよい傾向にある
特に住戸数の多い共同住宅では、その分入居者数を集める必要があり、立地条件のいい場所に建てられている物件も多々見られます。例えば、すぐ近くに駅や大型商業施設があるなど、利便性の高い環境にある住まいを選びやすいのも大きな特徴です。
管理がラク
一戸建住宅の場合、建物はもちろん駐車場や庭なども含めて、すべて自前でメンテナンスをする必要があります。一方で共同住宅なら、建物自体の維持などは、各物件の管理会社やオーナーに任せることが可能。通路やエントランスといった共有部分の掃除をはじめ、設備の保守や修繕など、まとめて管理会社やオーナーが代行してくれます。基本的に専有部分以外のメンテナンスであれば、各世帯で対応する手間もなく、管理の負担も省けるのが利点です。
共有の施設・設備が利用できる
共同住宅では多くの入居者が集まる分、宅配ボックス・ガレージ・シェアサイクルなど、便利な設備が充実している特徴もあります。物件にもよりますが、なかには入居者の共有スペースとして、ジム・プール・キッズルームなどが備えられているケースも。特に収益性の高い分譲マンションでは、グレードの高い設備が整っている傾向が見られます。
専用のゴミ置き場が設置されている
自治体によっては、一定数以上の住戸数がある共同住宅には、入居者専用のゴミ回収場の設置を義務付けている場合もあります。このように共同住宅では、敷地内に専用の廃棄ステーションが設けられているケースが多く、なかには24時間いつでもゴミ出しが可能なことも。敷地内でゴミ出しができれば、例えば通勤や買い物など、外出ついでに手軽に処分しやすいメリットがあります。
物件によって眺望・採光性がいい
共同住宅のなかでも、特に階数の高い部屋であれば、景色や日当たりもいい魅力があります。また高層階であれば、外部からの視線が入りにくいため、プライバシーの保護や防犯につながりやすい効果も。高い建物に住みやすいのも、共同住宅ならではの利点といえます。
共同住宅に住むデメリット

ここまでに出てきたように、共同住宅にはさまざまな魅力がありますが、もちろんあらかじめ気を付けておきたいポイントもあります。では以下からは、共同住宅に住む際の注意点も見ていきましょう。
管理費や修繕積立金が毎月かかる
共同住宅では、先ほども出てきたように管理会社やオーナーが建物全体の管理を担いますが、その分毎月の費用がかさむ一面もあります。建物の共用部分は、入居者の全員で共有しているので、当然ながらメンテナンスコストは個々で分け合って負担することになります。一戸建住宅なら、修繕などが必要なタイミングで資金を準備できれば問題ありませんが、共同住宅では自動的に毎月の費用がかかる点には注意が必要です。
リフォームやリノベーションに制限がある
共同住宅でも、専有部分であればリフォームやリノベーションはできますが、基本的には内装のみに限られているのが通常です。例えば壁や天井などの構造躯体を変えることは難しく、一戸建住宅に比べると、リフォームやリノベーションは制限されやすくなります。玄関や窓なども共用部分に含まれるので、なかなか自由に変更しづらい部分もあります。
近隣トラブルに合いやすい
住戸同士の距離感が近いからこそ、近隣トラブルが起きやすい一面もあります。共同住宅でよくあるのは騒音問題で、例えば上の階の生活音が下の階に響いたり、ペットの鳴き声が気になったりするケースも。もちろん各物件で十分な防音対策はされていますが、特に周りの音に敏感な人にとっては、騒音に感じる可能性も高いので注意しましょう。
駐輪場・駐車場代がかかる
共同住宅は、駐輪場や駐車場は共用部分となり、管理費などとあわせて別途費用がかかるケースが一般的です。一戸建住宅なら、基本的に自宅の敷地は、当然ながら個人の自由に利用できます。一方で共同住宅において駐輪場や駐車場が必要な場合には、住居費とは別にコストがかかる点も頭に入れておきましょう。
共同住宅に関するまとめ
ではここからは、共同住宅で知っておきたい基本的なポイントを整理していきます。
共同住宅とは?
共同住宅とは、一般的には複数の住戸を有する建物を指し、なかでも入居者で共有して使う共用部分を備えているのが特徴です。なお建築基準法における建物の種別名でもあり、法的には特殊建築物に該当します。
共同住宅にはどのような種類がある?
共同住宅に含まれる建物としては、おもにアパート・マンション・メゾネットなどの種類が挙げられます。なかには、コーポやハイツと呼ばれる建物もありますが、いずれも基本的にはアパートとマンションとほぼ同じ種類に当たります。
共同住宅のメリット・デメリットは?
共同住宅では、おもに次のようなメリットが挙げられます。
- 防犯性が高い
- 立地のいい住居を選びやすい
- 建物の維持管理の手間がない
- ゴミ置き場などの便利な設備が充実している
- 眺めや採光性に優れた高層階にも住める
一方で共同住宅では、管理費・駐輪場・駐車場などの費用が別途かかる点をはじめ、リフォームやリノベーションの制限がされやすい・近隣トラブルが起きやすいといった注意点もあります。
共同住宅は数多くの入居者で住まいを共有する建物を指し、たくさんの人が暮らす物件だからこそ、設備などの生活空間の充実度や、管理や防犯などに優れた魅力があります。一戸建住宅に比べると、多少は自由度が低くなりやすい一面もありますが、便利に暮らしやすいポイントも多数揃っているのが特徴です。新たな住まい選びにお悩みの際には、ぜひ本記事も参考に、共同住宅も視野に入れながら検討してみてくださいね。
物件を探す