賃貸物件申し込み後にキャンセルはできる?キャンセル可能なタイミングや注意点を解説!

そこで本記事では、賃貸物件の申し込みをキャンセルできるタイミングや契約前後での違いなど、注意点を含めてご紹介します。これから賃貸物件探しをする方、あるいは申し込みする際の注意点を知りたい方は参考にしてください。
記事の目次
賃貸物件の申し込み後、キャンセルできる?期限はある?
賃貸物件を申し込んだあとに、申し込みをキャンセルすることはできるのでしょうか。また、キャンセルができる場合、キャンセルを申し出る期限などはあるのでしょうか。以下で解説していきます。
申し込み・審査後ならキャンセルは可能

賃貸物件に申し込みをしたあと、また、入居審査が完了したあともキャンセルは基本的に可能です。賃貸物件の申し込みとは「私はこの物件を借りたい」という意思表示であり、契約までいたっていません。意思表示をしたあとに入居審査へ進み、問題がなければ「契約」となります。申し込みをしたからといって必ず入居できるわけではなく、審査で落ちることもあるため注意が必要です。
また、入居審査が通り契約に進んだ場合でも、契約書類にサインする前の重要事項説明の読み合わせ時点で納得できないことがあればキャンセルは可能です。重要事項説明書には入居予定の物件の詳細や、賃貸借契約に関する重要事項が記載されています。
説明を受ける際にわからないことがあれば、説明をしている宅地建物取引士に質問して解決し、納得したうえで契約するようにしましょう。なお、重要事項の説明が完了し、契約書にサインしたあとは「契約完了」となるためキャンセルはできません。
契約締結後は解約扱いとなるため注意
契約までの流れは前述のとおり、重要事項説明の読み合わせをおこない、説明を受けて納得した旨のサインをしたうえで、契約書にもサインをして契約完了となります。契約書にサインをしたあとにキャンセルを申し出ると、解約扱いとなってしまうため注意が必要です。また、賃貸物件のオーナー(貸主)や不動産会社によっては、契約締結となるタイミングが「契約書のサイン」とは異なる可能性があります。
契約書にサインしていないからと安心して申し込みのキャンセルを申し出ると、解約金を請求されることも。そのため、申し込みをキャンセルする可能性がある場合には、キャンセルできるタイミングを事前に不動産会社に確認しておきましょう。
申し込みをキャンセルすると違約金は発生する?

やむを得ず賃貸物件の申し込みをキャンセルしなければならなくなった場合、負担する費用が発生するのか不安に思う方は少なくないでしょう。ここからは賃貸物件の申し込み後、違約金の発生の有無について解説します。
申し込み・審査後のキャンセルは違約金が発生しない
申し込みや入居審査が完了したあとにキャンセルしなければならなくなった場合、基本的に違約金は発生しません。申し込みや入居審査は契約成立前のためキャンセルが可能なうえ、違約金などの費用が発生しないのが一般的です。ただし、契約書にサインする前でも貸主・借主双方の合意のみで「契約成立」とみなされ、申し込みをキャンセルすることで違約金を請求する不動産会社もあります。
契約成立の判断はそれぞれ異なるため、トラブルを避けるためにもキャンセルの取り扱いや違約金発生の有無についても事前に確認することをおすすめします。
預かり金(申込金)は返金される
支払い済みの預かり金または申込金は、キャンセルをすると返金されるのが一般的です。預かり金・申込金とは、賃貸物件の申し込みの際に意思表示として支払う一時金のことを指します。相場は1万円から家賃1カ月分程度と、不動産会社によって異なります。
預かり金・申込金の返金トラブルは多いため、支払いを促す不動産会社は少ないものの、なかには「申し込みが重なった場合、優先されやすくなる」などといって促され、支払うこともあるかもしれません。しかし、契約の申し込みを撤回するにあたり、不動産会社が受領済みの預かり金・申込金を返還することを拒むのは、宅地建物取引業法にて禁止されています。
したがって、預り金・申込金を支払ったあとにキャンセルをしても返金されるため、申し込みの際の支払いも安心です。稀に、預かり証に返金されない旨の注意書きが記載されているケースもあるため、記載内容には注意しましょう。
契約締結後は違約金が発生する可能性がある
先述したように、賃貸借契約の締結後は通常の解約扱いとなります。契約内容によっては違約金が発生する可能性があるため、わからない点や心配な点は契約内容を確認、あるいは不動産会社の担当者に相談するとよいでしょう。
契約締結後の解約にあたっては、すでに支払っている初期費用のなかでも返金されるものと返金されないものがあります。返金されない可能性の高い項目は、仲介手数料と礼金の2つです。仲介手数料は物件の案内や契約手続きなどの仲介業務をおこなった不動産会社に対する手数料として支払われ、礼金は物件を貸し出してくれるオーナー(貸主)に対してお礼として支払われるお金です。
これらの項目は入居の有無に関わらず、契約成立にともなって発生する費用のため、返金される可能性は低くなっています。返金されるかどうかは物件によって異なるため、不動産会社に確認してみましょう。
申し込みをキャンセルする時の注意点

ここからは、賃貸物件の申し込みをキャンセルする際に注意すべき点について解説していきます。申し込み後のキャンセルは可能ですが、キャンセルすることによって、物件のオーナー(貸主)や不動産会社など自分以外によくない影響を与えてしまう可能性があります。キャンセルする際は、以下のような点に注意しましょう。
すぐに不動産会社に申し出る
賃貸物件の申し込みをキャンセルすることになった場合、すぐに不動産会社に連絡するようにしましょう。物件のオーナー(貸主)や物件を管理する不動産会社は、次の入居者が決まったらスムーズに入居を開始できるよう、クリーニングなどの入居に向けた準備を進めている可能性も。申し込みをした時点で、自分以外の人が動き出しているということを知っておく必要があります。不動産会社とオーナー(貸主)双方の迷惑にならないように、すぐに事情を説明しましょう。丁寧に説明すれば、手続きが進んでいても理解してくれるかもしれません。
賃貸は「クーリング・オフ」が適応されない
クーリング・オフとは、一度契約を締結した場合でも、一定の期間内であれば無条件で契約を解除できる制度です。クーリング・オフが適用となる訪問販売などの取引内容や、その取引によってクーリング・オフができる期間が定められています。
不動産取引におけるクーリング・オフ制度は、売買物件の一定要件を満たす申し込みや契約の際に適用されます。しかし、賃貸物件の申し込みや契約に関しては、クーリング・オフは適用されません。申し込みのキャンセルは可能ですが、契約締結後のキャンセルは原則契約解除となります。負担しなければならない費用が発生する可能性を考慮し、慎重におこなうようにしましょう。
契約締結の定義は不動産会社によって異なる
宅地建物取引業法第35条では、重要事項説明書を交付して説明し、書面に記名・押印しなければならないと定められています。そのため、契約書にサインや捺印したタイミングで「契約締結」となるのが一般的です。
一方で、法的には契約書などの取り交わしがなく、当事者同士の合意のみによって契約が成立する「諾成契約」が採用されています。したがって、不動産会社によっては契約の定義が異なり、「契約締結」とみなされるタイミングの認識が違う可能性があるため注意が必要です。心配な場合は、申し込みのキャンセル可能な期限や契約締結のタイミングについて、事前に不動産会社に確認しておきましょう。
容易な気持ちでキャンセルをしない

賃貸物件の申し込みのキャンセルにあたって、基本的にキャンセル料がかかることはありません。しかし、キャンセル料がかからないからといって、気軽にキャンセルするのは避けたほうがよいでしょう。申し込み後にキャンセルすることは、入居手続きに関わる不動産会社やオーナー(貸主)に少なからず迷惑がかかります。また、入居審査に関するブラックリストなどに追加される可能性は低いですが、同じオーナー(貸主)の物件に対して繰り返しキャンセルすると、不信感につながり審査に落ちてしまうなど、後々不都合が発生してしまうかもしれません。
このように、キャンセルする方自身にもデメリットが発生してしまう可能性があるため、申し込みの際に関わる方々の気持ちを考え、容易な気持ちでキャンセルをしないようにしましょう。
キャンセルの際にトラブルが起きた時の対処法
ここからは、トラブルが発生した際の対処法についてご紹介します。賃貸物件の申し込みをキャンセルしたものの、不動産会社やオーナー(貸主)から理解を得られず、違約金を請求されるなど万が一トラブルが発生してしまった場合に、解決してくれる相談先が必要です。主に、以下3つの相談先があげられます。
不当な要求があった際には窓口に相談する

意図せずトラブルが起きてしまった場合の対処法として、以下のような各窓口に相談すれば解決することができます。相談する際には、不当に請求された不動産会社の名前やトラブルの内容を整理しておきましょう。請求書がある場合には、事前に用意しておくと伝わりやすいです。
国民生活センター
国民生活センターは、国民の生活の安定や向上に寄与するために、総合的見地から情報提供や調査・研究をおこない、さまざまなトラブルについて解決に向けた手続きを実施している組織です。専門の相談員が、消費生活全般に関する苦情や問い合わせを受け付け、公正な立場で処理してくれます。全国各地にある相談窓口を利用するか、ホットラインと呼ばれる番号に電話をして相談しましょう。
参考:消費者ホットライン
全国宅地建物取引業協会連合会
全国宅地建物取引業協会連合会は不動産業界会員数がもっとも多く、全国の不動産会社の約8割が加盟する、宅地建物取引業法に規定された唯一の業界団体です。不動産に関する各種無料相談を受け付けており、専門の相談員が全宅保証会員(不動産会社)を相手方とする宅地建物取引についての苦情の解決を目的とする相談受付をおこなっています。全国に協会があるため、最寄りの協会へ来所するか、電話にて無料で対応してくれます。
全日本不動産協会
全日本不動産協会は、建設大臣より設立許可を受けた不動産業界でもっとも歴史のある公益社団法人です。経験豊富な相談員が安心安全な不動産取引を目指し、会員などからの電話による不動産の実務相談を受け付けています。また、毎年設立記念日には全国主要都市において消費者からの相談を受けるほか、地方本部事務所や街頭でも不定期に相談に応じています。ただし、電話相談では長時間の相談は受けられません。また、同一案件で相談できるのは原則一回のみのため、要点をまとめて伝えるようにしましょう。
まとめ
賃貸物件の申し込み後のキャンセルはできるのか、また、キャンセルするタイミングや注意点について解説しました。不動産取引のトラブルは、入居後だけでなく入居する前の申し込み時点から発生する可能性があります。不当な請求をされるなど万が一のことを考え、注意点を把握して手続きを進めるようにしましょう。トラブルに発展してしまった場合でも、消費者を守るための相談先があり、しっかり解決に導いてくれます。トラブル発生時の対処法も心得ておけば、賃貸物件の取引も安心です。