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リノベーションマンション事例「壁面収納とWICに物を集約。家事動線を考えて機能的に」

雑誌「LiVES」に掲載されたリノベーションマンションから、今回は、神奈川県川崎市の須﨑さんご家族の事例をご紹介します。100㎡ほどのマンションの一室をリノベーション。回遊動線上に収納場所をまとめたメリハリのある空間づくりで、日々の家事もスムーズに。(text_ Kiyo Sato photograph_ Takuya Furusue)

川崎市内に建つ築28年のマンションをリノベーションした須﨑さん宅。撤去できなかったリビングの構造壁を介して、家中をぐるりと回遊できる機能的なプランだ。リビングや寝室、書斎といった居室それぞれの収納をなくして広々と使う代わりに、ダイニングキッチンとウォークインクローゼットに収納場所を集約している。

構造上撤去できなかったリビングの壁は天然石を乱張りしてアクセントに。この壁を介して左の洗面スペースや右の玄関など家中をぐるりと回遊できる。
8畳あるWICは家族で共有。家事用の造作デスクがあり、パソコンを使ったり、ご主人が英語の音読部屋としても活用。左側が奥さま、右側がご主人と息子さん用。

「景色が抜ける気持ち良い場所に、一日で一番長く過ごす部屋をレイアウトしました」

と設計を手掛けた細田邦彦さんが話すように、3面窓から広大な緑が見渡せる東側にダイニングキッチンが配されている。既存の出窓まわりには壁一面を活かして、天井いっぱいの収納を造作。窓外を眺めながら読書ができるベンチが一体となり、奥さまのお気に入りの場所でもある。

キッチンカウンター横には主に食器を収める扉付きの棚を造作。あらかじめ使うものを想定しながらデザインすることで、電子レンジなどの家電もすっきり。

壁面収納の中身はDIY工具や亀の水槽、図鑑などさまざまだが、主にリビングダイニングで使うものを集約している。見せたくない物はボックスを活用している。

オープン棚にしたダイニング側の中身は、食材や調理器具など日常使いする物が中心。ボックスを活用して雑多な物は隠し、本、亀の水槽、旅先で集めたスノードームなどを飾りながら収納している。一方、キッチン側は扉付きの食器棚に。ここに入り切らない器は、対面式のキッチンカウンター側面に造作した扉付きの棚に収め、書類やパソコンなどダイニングで使う物も収納している。

家族皆で使う書斎は、以前の住まいで使用していたダイニングテーブルをデスクに。書類や本を入れたキャビネットなど、家具は北欧アンティークが中心。

日用品をダイニングキッチンにまとめる一方で、家族全員が使用する衣類はウォークインのファミリークローゼットに。8畳ほどの西側の居室をまるごと使い、両壁に棚柱を利用してハンガーパイプと棚板を取り付け、下部はたたんでしまえる引き出しを用意した。洋服、帽子、アクセサリー、靴が整然と並び、持ち物も一目瞭然だ。さらに中央には奥さまの要望で、立ったまま洗濯物がたためる収納付きのデスクを造作。パソコン作業やご主人の英語の音読部屋にするなど多目的に利用している。
このウォークインクローゼットは、細田さんの提案で、扉のないオープンな水まわりを隣接させた。寝室にも近く、朝の身支度や帰宅後の着替えがとても快適になったという。

WICは棚柱と棚板を利用したオープンな収納スペース。洋服、靴、帽子などすべての持ち物が並び、衣替えの必要がなく身支度もスムーズ。
WICとオープンにつながる洗面室は、清潔感のある白のタイル張り。収納は最小限に、アメリカ製のランドリーカートやボックスなど既製品を上手く活用。

洗面まわりの収納はコンテナケースのみ。色と形をそろえて統一感を。

「使いたい物をスムーズに取り出せて便利。一カ所にまとめてしまえるので、部屋を行き来する必要もなくなり家事が随分楽になりました。スペースもたっぷりあるので、気持ちにも余裕が持てます」(奥さま)

使い勝手を考えながら、動線上に収納を集約した機能的な間取りで、すっきりとした空間を保てるストレスフリーな住まいをかなえた。

ベンチも兼ねた玄関の下足棚。普段使う靴を収納。

リビングの家具はソファのみ。アメリカ在住時にIKEAで購入したもの。
寝室は壁をシナ板張りにして落ち着いた雰囲気に。家具もベッドだけ。

収納TIPS お気に入りの物を、スムーズに取り出せる収納

A.食材はコンテナに入れて保存。土鍋や蒸籠はそのまま収納。
B.食器は沖縄で買い集めた大好きな「やちむん」が中心。
C.WICのデスクにはたっぷりの収納も。カゴを活用して整頓。
D.WICの棚の上。時計や眼鏡などの小物をショップ的に陳列。

扉だけが浮かびあがるように見える小上がりのサンルーム。雲竜柳の枝ぶりが映える。

建物データ

〈専有面積〉108.85㎡〈バルコニー面積〉20.84㎡〈主要構造〉鉄筋コンクリート造〈既存建物竣工〉1990年〈リノベーション竣工〉2018年〈設計期間〉1ヶ月〈工事期間〉2ヶ月〈設計〉細田邦彦/HOUSETRAD

※この記事はLiVES Vol.104に掲載されたものを転載しています。
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