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リノベーションマンション事例「コーヒーの香りに包まれながらくつろぐカフェライクな空間」

雑誌「LiVES」に掲載されたリノベーションマンションから、今回は、東京都杉並区のIさんご夫妻の事例をご紹介します。フラットなマンションの一室をロフトとつながるダイナミックな空間に。個室や水まわりを省スペース化して、みんなと過ごすLDKを充実させる。(text_ Kiyo Sato photograph_ Takuya Furusue)

軽い気持ちでリノベーション済みマンションを内見したことをきっかけに、本格的に中古物件のリノベーションを考え始めたIさんご夫妻。リノベーション会社のEcoDecoに相談して物件探しを進める中、担当の小林孝寿さんから「ぜひ見てほしい」と勧められたのが、築38年のマンションだ。

「物件情報を見た限りでは希望より狭い上、窓も少なく正直魅力を感じませんでした。でも実際に見に行くと、中庭を数棟の建物が囲む雰囲気が外国みたいで。最上階の室内からは、遠くに都心の街並みや富士山も望めて抜け感があり、天井高のあるゆったりとした造りも好印象でした」(ご主人)

設計を依頼したご主人の大学時代の後輩で、建築家の河村草麻生さんも内見に同行。

「天井を抜いてロフトができれば、実面積より広さを感じられると思いました。その場でラフスケッチを描いて、きっといい家が完成するに違いないと皆で盛り上がりましたね」 (河村さん)

一つの大きなスペースにソファやダイニング、デスクカウンターなど多様な居場所が。区切りを極力なくした空間では、どこにいても互いの気配を感じられる。
天井を解体して高さ1.4mのロフトを新設。壁際のベンチは換気扇のダクトを隠す役割も。
レッドシダー張りの寝室やロフトにもリビングからそのままアクセス可能。ウォルナットの造作ダイニングテーブルは、友人たちと囲める6人掛けサイズ。

以前の住まいでもリビングで大半を過ごすことが多かったというご夫妻が希望したのは、何でもできて思い思いに過ごせるリビング中心のプラン。そして友人たちが気兼ねなくふらっと立ち寄れる家だ。  自分たちが心地良く過ごすための条件を明確にした上で、窓のない4畳の元キッチンは、「寝るだけなのでこだわらない」と寝室に。一方、2面の開口がある南側は、壁と天井を撤去して高さ最大4mのオープンなLDKを配置。リビングの一角には洗面台、キッチンと地続きにデスクカウンターを設けるなど、さまざまな機能を盛り込んだ。さらに当初の予定通り、リビングからアクセスできるロフトを設け、マンションの一室とは思えないほど、開放的でダイナミックな空間をつくり出した。

[左]・パントリーに冷蔵庫など家電を収めてすっきりと。/[右]・キッチンの棚には、ご主人が集めたこだわりのコーヒー器具が並ぶ。

ソファのほか、ヴィンテージが中心の家具は以前から使っていたものが大半。CDや本を収めた壁付け棚や植物用のハンギングレールは引っ越し後に設置。

ロフトへの階段、テレビボード、洗面台を一体化して省スペースを実現。

内装は元々所有するヴィンテージ家具になじむ無垢材、鉄、躯体コンクリートなど、質感のある素材が中心。最も視界に入るキッチンのオープン棚には、雑貨とともにご主人こだわりのコーヒー器具が並び、カフェのような雰囲気が漂う。  コーヒーの芳しい香りに包まれながら音楽を聴いたり、デスクワークをしたり。籠もり感のあるロフトでは筋トレに励むことも。二羽の文鳥たちも家中を飛び回り、ご夫妻との新しい暮らしを楽しんでいるようだ。

窓際は文鳥のはんぺんと、はりらの場所。

寝室は収納を含めて約4畳。1㎜でも広くするため、廊下側の壁の仕上げを排除。

製作した下足棚は棚の奥行きを変えて収納量をアップ。

建築家のアイデアでインドの銅製鍋を加工して手洗器に。

建物データ

〈専有面積〉57.07㎡〈バルコニー面積〉7.18㎡〈主要構造〉鉄筋コンクリート造〈既存建物竣工〉1979年〈リノベーション竣工〉2017年〈設計期間〉3ヶ月 〈工事期間〉3ヶ月〈コーディネート〉EcoDeco〈設計〉layer00〈施工〉山崎ハウス工業〈木工家具・建具製作〉及川泰至〈鍛造テーブル脚製作〉新田麻紀/鍛冶Dorf

※この記事はLiVES Vol.101に掲載されたものを転載しています。
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