このページの一番上へ

リノベーションマンション事例「ワンルームの暮らしの中心にある、素材にこだわった変形キッチン」

雑誌「LiVES」に掲載されたリノベーションマンションから、今回は、埼玉県越谷市のMさんご夫妻の事例をご紹介します。イメージしたのはチーク材をふんだんに使った船内にある木製キッチン。L字+配膳スペースを組み合わせて、スムーズな動線を確保した。(text_ Hiromi Matsubayashi photograph_ Kai Nakamura)

Mさんご夫妻の住まいは、川沿いに桜並木が続くのどかな景色を望むマンションの一室。自分好みの内装と間取りに変更しようと、リノベーション前提で購入し、Webで見つけたハンズデザイン一級建築士事務所に設計を依頼した。  希望したのは、チーク材を空間全体に使うこと。手持ちのヴィンテージ家具となじむインテリアにすべく、フローリングをはじめ、キッチンもチーク材を用いたオリジナルにしたいと望んだ。

「兄が所有していた船のキッチンがチーク材でできていて、その雰囲気に憧れていたんです」

と話すご主人。この、ご主人こだわりの木製キッチンが、M邸リノベのポイントのひとつとなった。

L字型本体と配膳スペース、上部の収納までチーク材を用いたキッチン。緑色のタイルは、平田タイルの「オールドフランセ」。レトロモダンな雰囲気にまとめた。

「私は当初、木製キッチンだとお手入れの負担が多くなるのではないかと心配でしたが、使ってみたら逆にお手入れが楽しくなって(笑)。使い込むうちに木目が浮き立ち、味わい深い趣きが出てきて、愛着もひとしおです。それに、想像していたよりメンテナンスが簡単でした。汚れたら水拭きするだけで済みますし、月に1度蜜蝋ワックスを塗ると艶が戻る。チークキッチンの魅力を堪能しています」(奥さま)

プランは、L字型のカウンター本体に、配膳スペースを組み合わせた変形コの字型を採用。ワンルームのLDKの真ん中に配して、暮らしの中心となるような環境に整えた。

左・ハンズデザインオリジナルの包丁スタンドを使用。/右・オープン収納もL字型を採用。

食器はヴィンテージ家具に。

「オープンキッチンゆえに、充実した収納スペースは必須でした。そこで、カウンター上下に見せる&隠す収納をつくりながら、リビングから見えない位置にパントリーを設置して、冷蔵庫やワインセラー、ストック食材などをしまって生活感が出にくいようにしました」

と設計者の星名岳志さん、星名貴子さん。 さらに、空間全体に多彩な素材づかいを望んだご夫妻。キッチンにはレトロ感あふれる緑色のタイルを組み合わせ、マイスタイルのオリジナルキッチンを実現。LDKの一角には大谷石の壁、天井にはタモ材のルーバーを設け、変化に富んだワンルーム空間に仕立てた。

チークで造作した配膳スペースは、毎朝ご主人が抹茶を立てる場所。上部の収納棚とつなぐサイドに、型ガラスと真鍮のフレームをアクセントとして用いた。

浴室を囲う壁は大谷石。LDKを印象的に見せている。洗面室も扉を付けずオープンに。ヴィンテージ家具はすべて北欧製で、横浜の「DECO-BOCO」で購入。

「お二人が所有するヴィンテージ家具と上手く合うよう、素材の配分は慎重に検討しました」(星名さん)

好きなものをしっかりと把握し、ライフスタイルが確立した大人ならではのM邸リノベ。暮らしを豊かに彩るヒントがちりばめられている。

玄関ホールとLDKはガラスの引き戸で間仕切り。正面の小窓は浴室に設けたFIX窓。
玄関は土間仕上げにして、色ムラのある平田タイルの「パンテオン」をランダム張り。

カウンターもミラーBOX収納も、すべて造作した洗面。壁の一部に、斑点模様が小さな細目の大谷石を採用。フラットな印象の洗面ボウルはTformをチョイスした。

明るいバスルームを希望して、ユニットバスは洗面室との間仕切りにガラスを採用。

WICにご主人のハットを美しく収納。

土壁とタイルでシックにまとめたトイレ。

バスルームには玄関ホールに光を届ける小さなFIX窓を設置。

建物データ

〈専有面積〉84㎡〈バルコニー面積〉17㎡〈主要構造〉鉄筋コンクリート造〈既存建物竣工〉 1995年〈リノベーション竣工〉2018年〈設計期間〉9ヶ月 〈工事期間〉2.5ヶ月〈設計〉ハンズデザイン一級建築士事務所〈施工〉小島建匠

※この記事はLiVES Vol.100に掲載されたものを転載しています。
※LiVESは、オンライン書店にてご購入いただけます。amazonで【LiVES】の購入を希望される方はコチラ

関連する記事を見る
不動産お役立ち記事・ツールTOPへ戻る