
リノベーションマンション事例「都会も自然も愉しむマンションリノベ」
雑誌「LiVES」に掲載されたリノベーションマンションから、今回は、東京都大田区の秋山さんご夫妻の事例をご紹介します。都内にある約59㎡のマンションをリノベーション。床高を変えた立体的なプランで、コンパクトながら愛猫とくつろぐ居場所を随所に生み出す。(text_ Kiyo Sato photograph_ Takuya Furusue)
結婚して1年を機に愛猫と快適に暮らせる家がほしいと考えるようになった秋山さんご夫妻。奥さまの趣味で野菜や観葉植物、水棲生物を育てていることもあり、日当りは新居の第一条件だった。建築家と建てる戸建てや興味のあった古民家改修など、さまざまな可能性を探る中、ブルースタジオが手掛けたリノベーション物件を内見したご夫妻。
「住み手のこだわりが詰まった個性的な空間に衝撃を受け、自分たちもチャレンジしてみたいと思いました」(ご主人)。
ブルースタジオに依頼して物件探しを開始し、出合ったのが大田区内に建つマンションの一室。専有面積約59㎡で、当初の希望より狭く不安はあったものの、西南側に開けた眺望と日当りの良さ、のんびりとした住環境が購入の決め手となった。
家づくりをスタートする際、ご夫妻は生活習慣や各部屋の希望、空間のイメージなどを事細かに記したリストを作成。
「中庭や縁側のある古民家やレトロな和風旅館など、お二人が思い浮かべるイメージを整理し、和を連想する素材を取り入れた田んぼに建つ民家のような空間を提案しました」
と設計を担当した石井健さん。室内は、部屋中央の躯体壁が撤去できなかったため、この壁を境にして玄関側を寝室や水まわりなどのプライベート空間とし、ベランダ側をワンルームの開放的なLDKに。

天井まで伸びるフランスゴムの木を中心にユニークなアーチ型のキッチンとダイニングテーブル、小上がりのリビング、 “水路”をイメージしたインナーテラスのような土間がぐるりと取り囲む。各スペースの床は洗い出し仕上げ、杉、カリン、畳、青のモザイクタイルと素材を変え、高低差をつけた。そうすることで単調になりがちなワンルーム空間を立体的かつ表情豊かに見せている。

「畳縁に腰掛けて植物を眺めたり、土間に置いたニーチェアで読書をしたり。ゴムの木の形状に合わせて製作した“ツリーデスク”でデスクワークをすることも。決して広くはないけれど、あちこちにくつろげる場所があって快適です」(ご主人)。


「愛猫のサキはキャットウォークのような設備がなくても、家中を自由に動き回って楽しそう」(奥さま)
愛猫と植物に囲まれた住まいは、穏やかな時間が流れるまさに都会のオアシスだ。




リビングの壁面収納の脇に造作したオープン棚は、奥さまが曾祖母さまから譲り受けた茶箪笥のサイズに合わせて製作した。


建物データ
〈物件名〉shan shui house〈専有面積〉58.55㎡〈バルコニー面積〉7.00㎡〈主要構造〉鉄筋コンクリート造〈設計〉ブルースタジオ〈施工〉M-CUBE〈設計期間〉3ヶ月 〈工事期間〉2ヶ月〈既存建物竣工〉1982年〈竣工〉2017年〈総工費〉1,220万円

※この記事はLiVES Vol.97に掲載されたものを転載しています。
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