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マンションリノベーション事例「「見えない=使わなくなる」を自由な発想のオープン収納で解消」

マンションリノベーション事例「「見えない=使わなくなる」を自由な発想のオープン収納で解消」

雑誌「relife+」に掲載された中古マンションリノベーション事例から、今回は東京都世田谷区Iさんの事例をご紹介。夫妻のライフスタイルに合わせてリノベーションされた空間はまるでアパレルショップのよう。お二人の理想が詰まった部屋はひらめきの源になっているそうです。(text_ asako shiga photograph_ kazashito nakamura)

  • 東京都世田谷区 Iさんの家
  • 工事費:1481万円(税・設計料別)
  • 夫48歳 妻46歳(取材時)
  • 築年数:24年(1999年築)(取材時)
  • 専有面積:80.13㎡

住まいも収納スペースも自分たち仕様に

玄関ドアを開けると、ハンガーパイプにかけられた洋服がずらり。アパレルショップのような空間が迎えてくれるIさん宅は、このクローゼットしかり、壁面収納しかり、「収納スペースはオープン」が基本です。
 
収納をオープンにしたのは、見えない場所に押し込むと使わなくなるという、これまでの経験を踏まえてのこと。リノベ後は、存在を忘れて食材の賞味期限が切れることがなくなり、ものの“新陳代謝”も順調に。

「スペースにゆとりがあると、できることや置けるものが増えるんですよね。夫婦で登山を始めたので、最近、壁面収納に登山靴やガイド本が加わりました」(ご主人)

ショップのようなオープン収納で持ち物を把握しやすく

オープンクローゼットと壁面収納があるこの場所は玄関ホール。左手からはパントリーを経由してキッチンに直行できる
オープンクローゼットと壁面収納があるこの場所は玄関ホール。左手からはパントリーを経由してキッチンに直行できる
左/帰宅後の着替えがスムーズで、荷物を一時置きできるのも便利 右/間接照明を仕込んで什器のようなイメージで造作。壁で仕切られたWICを設ける案もあったが、「建築家の鹿内健さんに、わが家は夫婦ふたり暮らしで、人を呼ぶことも少ないので、“普通”にする必要はないのかもと話したら、お店のようなオープン収納にするプランをご提案いただいたんです」とご主人
左/帰宅後の着替えがスムーズで、荷物を一時置きできるのも便利 右/間接照明を仕込んで什器のようなイメージで造作。壁で仕切られたWICを設ける案もあったが、「建築家の鹿内健さんに、わが家は夫婦ふたり暮らしで、人を呼ぶことも少ないので、“普通”にする必要はないのかもと話したら、お店のようなオープン収納にするプランをご提案いただいたんです」とご主人
下部の小さな扉は、隣接する寝室の床高を上げたことで生まれた床下収納の出し入れ口。かさばる季節外の布団や家電を収めている

下部の小さな扉は、隣接する寝室の床高を上げたことで生まれた床下収納の出し入れ口。かさばる季節外の布団や家電を収めている

収納スペースでもある玄関ホールが、手前のLDKと奥の趣味室をつなぐ。カテゴリーの異なる品々が並ぶこの場所を行き来することが、Iさん夫妻のひらめきの源になっている

収納スペースでもある玄関ホールが、手前のLDKと奥の趣味室をつなぐ。カテゴリーの異なる品々が並ぶこの場所を行き来することが、Iさん夫妻のひらめきの源になっている

物件購入のきっかけは在宅時間の増加

賃貸住まいのままでもいいと思っていたIさん夫妻が住宅購入を検討するようになったのは、コロナ禍で在宅時間が増えたことがきっかけでした。当時の住まいは47㎡の1LDK。寝室内に急ごしらえで設けたご主人のワークスペースは、奥さまが早めに休むと使えず、機器類も十分に置けないなど、スペースが足りないことを痛感。落ち着いた雰囲気が気に入っていたこれまでと同じエリアで、80㎡ある角部屋物件を購入し、「部屋に自分たちを合わせるのではなく、自分たちに合わせた部屋をつくりたい」とリノベーションを選択しました。知人の助言もあり、リノベを設計施工分離方式で進めたいと考えた夫妻。建築家の紹介サイトで気になった2人とコンタクトを取り、Sデザインファームの鹿内健さんの「リノベを楽しみましょう」という言葉に心を動かされて依頼を即決しました。会社経営者で音楽が趣味のご主人と、絵画教室講師の奥さま。

「音楽や絵画回りのちょっとした作業ができて、リラックスもできる、スタジオやアトリエの一歩手前のような住まいにしたいと思いました」(ご主人)。

夫婦ふたりで立てる広さを確保したキッチン。「話しながら、音楽を聴きながら、テレビを見ながら料理できるのが理想でした」とご主人。好みの食器を増やせるように背面収納も充実させた
夫婦ふたりで立てる広さを確保したキッチン。「話しながら、音楽を聴きながら、テレビを見ながら料理できるのが理想でした」とご主人。好みの食器を増やせるように背面収納も充実させた
日中それぞれ活動していた夫妻が、夜になると集う場所がキッチン。「リラックスできて楽しめる場所になりました」と奥さま
日中それぞれ活動していた夫妻が、夜になると集う場所がキッチン。「リラックスできて楽しめる場所になりました」と奥さま
LDKの一角を奥さまのアトリエスペースに。仕事と家事を並行しやすいように個室にはせず、ルーバー天井で緩くゾーニングしている
LDKの一角を奥さまのアトリエスペースに。仕事と家事を並行しやすいように個室にはせず、ルーバー天井で緩くゾーニングしている
左/音楽スタジオのようなガラス張りの趣味室。明るさとお互いの気配が感じられ、こもりたいときのためにロールスクリーンも設置。「1か所くらい遊んでみてもいいかなと、壁と天井をペールブルーに塗装。とても気に入っています」とご主人。念願だったワイドモニターも採用できた 右/バルコニーに面した大きな窓のある洗面室は、「明るい場所で洗濯をしたい」という奥さまの言葉から生まれた。ホテルの設計も手掛ける鹿内さんのアイデアで、支柱の内部に電気配線を通して照明&曇り止めつきの鏡を設置。広々としたカウンターではアイロンがけもできる。湿気がこもらないよう、カウンター下は扉をつけずオープンに
左/音楽スタジオのようなガラス張りの趣味室。明るさとお互いの気配が感じられ、こもりたいときのためにロールスクリーンも設置。「1か所くらい遊んでみてもいいかなと、壁と天井をペールブルーに塗装。とても気に入っています」とご主人。念願だったワイドモニターも採用できた 右/バルコニーに面した大きな窓のある洗面室は、「明るい場所で洗濯をしたい」という奥さまの言葉から生まれた。ホテルの設計も手掛ける鹿内さんのアイデアで、支柱の内部に電気配線を通して照明&曇り止めつきの鏡を設置。広々としたカウンターではアイロンがけもできる。湿気がこもらないよう、カウンター下は扉をつけずオープンに
洗面脇のパイプスペースをうまく空間に馴染ませつつ、ニッチ収納も設けた。余白を残した配置がディスプレイのよう

洗面脇のパイプスペースをうまく空間に馴染ませつつ、ニッチ収納も設けた。余白を残した配置がディスプレイのよう

左/以前は玄関脇にあったトイレは、大幅に移動して寝室と浴室の間に。以前浴室だった場所なので、小窓があり明るい。吊り戸棚は新設した 右/洗面室から寝室へと続く廊下。寝室はステップ3段分だけ床高を上げ、玄関側から使う床下収納を設けた
左/以前は玄関脇にあったトイレは、大幅に移動して寝室と浴室の間に。以前浴室だった場所なので、小窓があり明るい。吊り戸棚は新設した 右/洗面室から寝室へと続く廊下。寝室はステップ3段分だけ床高を上げ、玄関側から使う床下収納を設けた
LDKとの間に躯体壁があり、趣味室とも距離を設けたので、夫婦で就寝時間がずれても気兼ねなく休める寝室に。ベッドフット側の壁には、プロジェクター用のスクリーンを設置
LDKとの間に躯体壁があり、趣味室とも距離を設けたので、夫婦で就寝時間がずれても気兼ねなく休める寝室に。ベッドフット側の壁には、プロジェクター用のスクリーンを設置

建物データ

<建物規模>地上3階建ての2階<設計期間>2021年1月~4月<工事期間>:2021年5月~9月<設計>Sデザインファーム<施工>小川共立建設

センター部分に撤去できない構造壁があったため、LDKと寝室はあえて距離を感じる動線に。その“道すがら”に収納スペースや趣味室などを配置して、行き来することでクリエイティブな施主夫妻のひらめきが生まれるという仕掛けに
センター部分に撤去できない構造壁があったため、LDKと寝室はあえて距離を感じる動線に。その“道すがら”に収納スペースや趣味室などを配置して、行き来することでクリエイティブな施主夫妻のひらめきが生まれるという仕掛けに

※この記事はrelife+(リライフプラス) Vol.48に掲載されたものを転載しています。
※relife+は、オンライン書店にてご購入いただけます。amazonで【relife+】の購入を希望される方はコチラ

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