マンションリノベーション事例「つくる、食べるをシームレスに楽しめるカウンターキッチン」
雑誌「relife+」に掲載された中古マンションリノベーション事例から、今回は神奈川県川崎市Mさんの事例をご紹介。ふたり並んで使えるカウンターキッチンは、オープン棚や壁のタイル、キッチンと書斎の間に設けた本棚を兼ねた扉など、ふたりのこだわりが凝縮されています。壁いっぱいに棚を付けたオープンな書斎や映画鑑賞を楽しむことができる室内テラス兼リビングなど、夫婦で趣味を満喫できる居心地のいい住まいになりました。(text: hiromi sakamoto photo: ayako mizutani)
- 神奈川県川崎市 Mさんの家
- 夫35歳(会社員) 妻35歳(会社員)(取材時)
- 工事費:1400万円(税・設計料込み)
- 築年数:24年(1999年築)(取材時)
- 専有面積:78.72㎡
- プロデュース・設計:EcoDeco
光と風に包まれる、癒やしの住まい
Mさん夫妻は、以前住んでいた社員寮を退去するタイミングで、中古マンションを買ってリノベすることを決意。依頼先は、過去の事例が好みに合い、物件探しとリノベにワンストップで対応してもらえるEcoDecoに決めました。何件か内見し、採光・通風がよく、個室の撤去や水回りの移動が可能な、現在の家を購入したそう。3LDKだった間取りは、2LDK+書斎や室内テラスのある間取りに再構築。どの空間も日差しや風がたっぷり入って快適です。
ふたり並んで使えるカウンターキッチンには、夫妻のこだわりが詰まっている。対面カウンターはモルタルでラフに仕上げた。躯体現しの天井やパーケット張りの床にマッチしている
ダイニングテーブルと椅子は、ご主人が長年愛用しているものを新居でも使いたいと希望。家具と床が馴染むように、床の塗料は家具の色に合わせて調合した
ときにはカウンターでコーヒーを楽しんだり、食事をすることも
ステンレスの天板とガスコンロは大のお気に入り
こだわりの設備は、鋳物の五徳が頼もしい高火力のガスコンロ。「五徳がコンロ全体を覆っているので、鍋がどこにでも置けて便利です」(ご主人)
キッチンと書斎の間に秘密の扉が
カウンターキッチンや作業台には、使い勝手に合わせてカスタマイズできるオープン棚を多用
サニタリーとひと続きの開放的な間取り
「好き」と「遊び心」を詰め込んだリノベーション
玄関を入ると目の前にオープンな書斎、右手には寝室、左手には開放的なDKが広がります。料理好きのMさん夫妻は、リノベーションに際し設備を厳選したカウンターキッチンと、作業台付きの背面収納を造作することに。どちらも天板には掃除しやすいステンレスを採用しました。
また特徴的なのが、キッチンと書斎の間に設置された、本棚を兼ねた扉。キッチンから見ると普通のドアなのに、書斎から見ると本棚、というユニークなつくりになっています。ほかにも、鍋や食器を見せてしまえるオープン棚や壁のタイルなど、ふたりのこだわりを凝縮しました。
「愛着のわくキッチンになって、調理が楽しい。ときには作業台の前に座って、飲み物を片手に調理することも」
と、奥さまは居心地のよさを語ります。一方、カレーづくりが趣味というご主人は、
「キッチンが使いやすいのでつくる回数が増えました。ダイニングと一体感があるので、会話しながら調理できるのもいい」
とコミュニケーションのしやすさを気に入っているようです。
書斎の一角にご主人が使う登山の道具や自転車を収納するスペースを設けた。ミネラルウォーターのストックなどもここに
オープンな書斎は大容量の収納を可能に
読書好きの夫妻にとって、本の置き場所は大きな課題のひとつでしたが、壁いっぱいに棚を付けたオープンな書斎を設けることで解決。一隅には、ご主人の趣味である登山道具の収納場所も設けました。また、「湯上りに涼むなど、光や風の心地よさを味わいたい」と、室内テラス兼リビングを浴室に隣接。壁の一面をプロジェクター代わりにして、夫妻共通の趣味である映画鑑賞を楽しむことも。
「趣味を満喫できるので、家にいる時間が増えました」(夫妻)。
写真右側のフリースペースは、かつて浴室&洗面があった場所。将来は子ども室として使うことも視野に入れている
トイレの前に設けた手洗いは、玄関から近いので帰宅してすぐに手洗いができて便利
和室だった場所を、浴室と室内テラスに一新。室内テラスには、ソファ代わりにハンモックを。「ハンモックに揺られながら景色や読書を楽しめます」(奥さま)
室内テラスには洗面台と、天板をタイルで仕上げたカウンターを設置。カウンター下は猫たちのトイレの定位置に。浴室の明かり取りとなる室内窓にはブラインドを
壁のように見える大きな引き戸を開けると脱衣室が現れる
トイレは内装と設備を刷新
Favorite Kitchen Items
奥さまのお母さまから贈られたカップ&ソーサー。「海外で購入したアンティークのティーセットで、ゲストをもてなすときに使います」(奥さま)
普段からよく使うというせいろ。「もともと料理のつくりおきはあまりしないのですが、温め直すときはせいろを使います。実は、電子レンジが苦手で、家に置いていないんです」(奥さま)
秋から春先まで出番が多いのが、愛用の土鍋。「春キャベツと鶏団子を組み合わせた鍋料理は、私が好きなのでよくつくります」(ご主人)
建物データ
<建物規模>地上5階建ての3階 <設計期間> 2020年9月~2021年1月 <工事期間>2021年2月~4月 <プロデュース・設計>EcoDeco
※この記事はrelife+(リライフプラス) Vol.47に掲載されたものを転載しています。
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