
【55㎡】マンションリノベーション事例「多機能な家具や快適動線で豊かな暮らしを実現」【DINKS】
雑誌「relife+」に掲載された中古マンションリノベーション事例から、今回は東京都立川市藤田さんの事例をご紹介。専有面積55㎡とコンパクトでありながら、バラエティ豊かな空間が広がる藤田邸。多用途に使える造作家具、快適な動線、趣味や仕事に集中できるスペースを実現した、建築家の藤田幹人さんのアイデアが詰まった自邸です。 (text_ hiromi sakamoto photograph_ susumu matsui)
- 工事費:1150万円(税・設計料込み)
- 東京都立川市 藤田さんの家
- 夫34歳 妻31歳
- 築年数:33年(1989年築)
- 専有面積:55.03㎡

専有面積55㎡のアイデア空間
専有面積55㎡とコンパクトでありながら、バラエティ豊かな空間が広がる藤田邸。多用途に使える造作家具、快適な動線、趣味や仕事に集中できるスペースを実現した、建築家の藤田幹人さんのアイデアが詰まった自邸です。
「住み替えにあたって、気になる物件を見つけてはラフ図面を起こして精査していったところ、このマンションなら理想の暮らしができそうだと思いました」と、藤田さんはマンション選びの決め手について話します。

LDKの窓際は、床をモルタルで仕上げてインナーバルコニーに。水や土がこぼれても気にならないので、植物の世話が気軽にできる。ガーデニング用のアイテムなどは、ベンチの引き出しに収納
コンパクトな空間に適した、昇降式テーブルとベンチ収納
夫妻が望んだのは、ストレスフリーの家。仕事や家事が効率よくできる住まいにして時間的な余裕を生み出し、趣味を楽しむ時間も大切にしたかったといいます。そのため、広いリビングや各自のパーソナルスペースの確保、家事の効率化に重点を置いたプランになりました。なかでもスペースの有効活用に大きく貢献しているのが、オリジナルの昇降式テーブルと収納を兼ねたベンチ。「コンパクトな空間を活用できるよう、いろいろな機能を持たせました」と藤田さんが話すように、組み合わせ次第でひとつのスペースが何通りにも使えます。小上がり仕様にすれば、寝転んだりストレッチしたりでき、友人が泊まるときの寝室代わりにも。ダイニング仕様にすれば、食事や団らんに。また、窓に向かってベンチに座れば縁側のように使えます。
Point1.何通りにも使えるテーブル&ベンチ



キッチンと背面カウンターの距離は、夫婦で使えるように850㎜と広めに設定。背面カウンターは家電なども置けるよう奥行きを深く取り、作業がしやすいように間接照明を取り付けた
Point2.LDKのドア付近に奥行きの浅い収納を

リビングドアの近くに、奥行きの浅い収納を設け、扉代わりにロールスクリーンを。飲料のストックや薬などLDKで使う様々なものがしまえて便利。最下段はロボット掃除機の定位置に
Point3.キッチンの奥は家電置き場に活用

袖壁を目隠し代わりにして、よく使う炊飯器や圧力鍋などが置けるオープンな家電コーナーを設けた。スペースを無駄なく生かしながら、ほどよく生活感も隠せて一石二鳥

Point4.通路とギャラリーを兼ねた多目的な空間

ディスプレイ棚は、リビング側をおもにライブラリーとして使い、クロゼット側を奥さまがハンドメイドしたアクセサリーの飾り棚に活用。奥に見えるのは寝室のドア

Point5.空間の兼用や配置で、洗濯動線がコンパクトに


家事動線の効率化を実現
間仕切りを兼ねたリビングのディスプレイ棚も大活躍。ウォークスルークロゼットのように使える衣類収納や、洗濯動線の効率化も実現しました。これらのマルチに使える家具や動線の工夫によって、LDKはゆったり使える広さに。プランの工夫により空間にゆとりが生まれたことで、パーソナルスペースとなる藤田さんのワークスペースや奥さま専用のデスクも確保。実際の面積以上の広さが感じられる家になり、住み心地は快適そのもの。
「料理や洗濯などの家事がしやすくなりました。パーソナルスペースができたので、お互いが好きな時間に好きなことができて快適」(奥さま)
と、満足そうです。

ほどよいこもり感のあるご主人のワークスペース

ワークスペースに隣接する玄関土間。「空間を横長にすると体感的に広く感じられるので、土間は玄関ドアに対して横に広げました」と藤田さん

土間は靴収納と自転車置き場に。玄関土間の壁や天井はブラックのクロスを採用。「収納のように、様々なものが集まるスペースは、壁に濃い色を取り入れることで、見た目がすっきりして圧迫感が軽減されます」(藤田さん)
洗面を通路に配し省スペース&快適に

手洗いを済ませてからLDKに入れるように、洗面を通路に。省スペースになるだけでなく、ゲストが気軽に手を洗え、外出前の身支度チェックもしやすい。湿気がこもりにくいというメリットも

建物データ
<建築規模>地上8階建ての2階<設計期間>2021年6月~8月<工事期間>2021年9月~12月<設計>xRaftnauts(クラフトノーツ)<施工>Bab

※この記事はrelife+(リライフプラス) Vol.45に掲載されたものを転載しています。
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