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【32㎡】マンションリノベーション事例「浴室はバスタブオンリーに。無駄をそぎ落としたミニマル空間」

雑誌「relife+」に掲載された中古マンションリノベーション事例から、今回は東京都渋谷区Hさんの事例をご紹介。約45㎡のリノベ済みマンションを購入して住んでいたHさんは、さらにコンパクトな約32㎡の住まいへの引っ越しを選択。その理由は、自分にはこの広さは必要ない、と感じたからだという。(text_ asami shimamura photograph_ koji yamada)

  • 工事費:720万円(税込み、設計料・施主支給品は別途)
  • 東京都渋谷区 Hさんの家
  • 本人43歳
  • 築年数:45年(1977年築)
  • 専有面積:32.40㎡

二面採光で日当たり良好なLDKは、白をベースカラーとしてより明るさを感じる空間に。差し色はHさんが大好きな赤に。キッチン収納棚の側面を真っ赤に塗装して、いちばんお気に入りの絵を飾った

コンパクトな暮らしを求めて引っ越し

約45㎡のリノベ済みマンションを購入して住んでいたHさんは、さらにコンパクトな約32㎡の住まいへの引っ越しを選択。その理由は、自分にはこの広さは必要ない、と感じたからだという。

「空いている収納や使っていないスペースもあったし、もともときゅっとした狭いスペースが好きなんですよね。自分好みにリノベーションしたい気持ちもあったので、専有面積の最低ラインを30㎡にして住み替えることにしたんです」(Hさん・以下同)

赤い背もたれが印象的なソファはIDÉEの「DIVANCO SOFA」。コンパクトな家に住み替えても、このソファだけは絶対に持っていきたかったという。キャンバスのような空間に赤がとびきり映える

以前住んでいた物件の売却と新たな物件の購入がほぼ同じタイミングで決まり、その後、リノベ会社を探し始めました。

「プラン提案をお願いした数社に、家具配置や間取りを3Dで表現できるアプリを使って、自分の理想のプランを提示したんです。その中でも、特にフィールドガレージさんは私の希望をしっかりくみ取ってくれましたし、プラン提案時の手描きのパースがかわいくて、もうその瞬間『ここに決めた!』ってなりました(笑)」

そして、リノベの設計、工事中の約5か月間は仮住まいへ。

「新居とほぼ同じ広さの家を借りて、32㎡の暮らしをシミュレーションをしていました。ものは少ないほうだと思っていたけれど、洋服や食器は意外とたくさんあることに気づき、仮住まいの間に思い切って処分。本も必要なもの以外はすべてKindleに移行したので、新居への入居時までにだいぶものが減らせました」

平米数以上の開放感

とはいえ、約32㎡の空間はやはりミニマル。廊下や通路などの余分なスペースはなるべく設けず、仕切り壁と建具を最大限省いた。パズルのピースを図面にはめ込むかのように、微調整しながらプランニングが進んでいきました。「苦労したのはキッチンと洗濯機置き場。どちらもスムーズには決まりませんでしたが、いろいろな案を提案してもらい、検討を重ねた末に理想的な形で納まり、平米数以上の開放感がある家になりました」とHさん。最後に「この空間が好きすぎて外出が減ったかも」と笑って話してくれました。

限られたスペースにぴったりフィットするキッチンを造作

散らかりがちなキッチンの手元をLDから隠すため、対面であることが絶対条件。通路を確保するためにⅡ型キッチンを検討したが、既製品ではちょうどいいサイズが見つからなかった。「toolboxのオーダーメイド天板を見つけたことで、キッチンの造作がかないました。配管の関係でコンロは通路に面していますが、使い勝手はいいですよ」とHさん

テレビを掛けた真っ赤な壁に、ピアノの幅が偶然ジャストフィット。もともと押し入れがあった窓側のスペースはワークスペースに。奥行きが深く視線が散乱しないので、仕事に集中できる

テレビは壁掛けにして足元をすっきりと

Hさんが絶対に実現したかったという壁掛けテレビ。奥行きが浅いのでコンパクトな空間に配しても圧迫感が少ない。「角度が調整できるので、ソファやキッチン、ベッドとどこにいても見られます」(Hさん)

壁で仕切らずワンルームのような空間に

コンパクトな空間を広々と見せるために、仕切り壁や建具はできる限り省いた。ベッドコーナーもワークスペースもオープンだが、ほどよいこもり感がある。どちらも上部に壁付けのオープン棚を設置。「必要な場所に必要な量の収納をつくってもらいました。ここに収まる分しかものを持たない、買わないようにしています」とHさん
悩ましかった洗濯機置き場は玄関横に確保
サニタリーがコンパクトなので洗濯機が置けず、最後まで置き場所に悩んだというHさん。「最終的には玄関横のスペースに設置しました」。普段はロールスクリーンで目隠しを。隣にWICがあるので、家事動線もスムーズ

靴収納は使用頻度によって上下に分けて収納量を確保

よく履く靴は下、そうでない靴は上、と収納場所を分けることで靴をすっきりと収めた。上部の靴は中身がすぐ分かるよう箱にラベリングするひと工夫も

浴槽とシャワー室を兼用して省スペースに!

洗面、シャワールーム、トイレをまとめることで、省スペースとゆとりの確保を同時にかなえた。いちばんのこだわりはシャワールームで、扉を開けると足元はバスタブ。「洗い場はいらないけど、足を伸ばしてお風呂に入りたい」というHさんがこだわり抜いて得たベストアンサー

建物データ

<建物規模>地上3階建ての3階<設計期間>2021年12月~2022年2月<工事期間>2022年2月~4月<設計・施工>フィールドガレージ

建具でスペースを細かく区切らず、視線の抜けをつくることで、約32㎡というコンパクトな空間に開放感をプラス。WICのほか、各スペースに必要量の収納を計画的に設け、片付けやすく散らからない住まいにする工夫も

※この記事はrelife+(リライフプラス) Vol.45に掲載されたものを転載しています。
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