
一戸建てリノベーション事例「リノベで広がったテラスを拠点に6人兄弟の遊び方が拡大中」
雑誌「LiVES」に掲載された一戸建てリノベーション事例から、今回は長野県安曇野(あづみの)市の大森さんご家族の事例をご紹介。広い敷地の余白を活かしてテラスや土間庭を増設。つくって、語らい、食べて、遊び尽くす、8人家族の楽しい一日を追った。
(text_ Taeko Ishii photograph_ Junichi Miyazaki)
DIYと外遊びの計画好きな8人家族の楽しい暮らし
敷地の8割以上が庭という大森さんの住まい。夫妻と6人の子どもたちの遊び方はうらやましいほど多彩だ。自転車にスケートボード、サッカー、ブランコ、鉄棒、卓球…。本日の昼食はピザを生地からこね、庭の窯で薪から火を起こす。外で食べる焼きたてピザは絶品で、子どもたちもぐんぐん食べる。
「つくる工程も楽しくて。家族が多いから小さなことでも盛り上がります」(奥さま)
ご主人はDIYと外遊びの計画を立てることが大好きで、
「安曇野で暮らし始めて趣味が爆発しました」
と笑う。友人家族が集まったときは、2階から流れる自作の流しそうめん装置、ドラム缶の五右衛門風呂が大好評だったという。


2階の吹き抜けから見下ろすダイニング。床暖房を設置するため既存フローリングを撤去して合板に張り替え、ラフに仕上げた。

室内と遊歩道は視線が合いにくいが、夜は気になるためオーガンジーのカーテンを取り付けた。光を通すが外からは見えにくい。
広い庭を活かしテラスをリノベーション
この家は築30年。当初は建て替えを視野に、広さに惹かれて購入した。しかし、設計事務所OSTRの太田翔さんと武井良祐さんに相談の末、リノベーションに計画を変えた。
外遊び好きな一家に、太田さんらは広い庭を活かした提案をする。それが、2階から桟橋のように突き出したテラスだ。すぐ隣にある桜並木の遊歩道にせり出す気持ちのいい場となり、子どもたちはハシゴに上ったり、ぶら下がったり、アスレチック感覚で遊ぶ。テラスの下も心地良い居場所になった。
「イメージしたのは広い軒下。テラスと建物に囲まれた場所は土間にして、バーベキューや物干しなど自由に使える場所にしました。室内の延長のようでもあり、庭のなかでも雰囲気が切り替わります」(武井さん)


テラスと遊歩道はほぼ同じ高さ。船と桟橋のよう。
当初はテラスの使い方が思い浮かばなかったというご主人。ところが工事が進むうち「ブランコを吊るそう」「ピザ窯をつくるならここだ」と次々アイデアが浮かび、コロナ禍で休校中だった子どもたちとDIYに没頭。レンガのピザ窯はネット動画を参考にわずか4日で完成させた。
「セメントをこねたり、ベンチを塗ったり、庭で遊んだり、子どもたちは休校中もストレスゼロだったみたいです。次男は『将来大工になりたい』と言い出しました」(ご主人)



ドラム缶を加工した炭火バーベキューグリルを内蔵したテーブルをDIY。
楽しみ方は自由自在 大空の下のスカイテラス
家の裏には念願の家庭菜園。水やりは子どもたちの当番で、収穫は家族の一大イベント。夏は食べきれないほどのトマトにキュウリ、オクラやナスが食卓を彩る。
スキーに川遊びと、長野ならではの遊びも満喫する。増築した広い玄関土間には色とりどりの遊び道具がぎっしり。後でDIYできるよう合板で仕上げた壁を、ペンションの道具置き場をイメージして棚やフックを取り付けカスタムした。


既存建物の外側に増築した玄関土間には遊び道具がぎっしり。合板の壁がDIYで豊富な収納に変身した。左の窓の奥がダイニングで室内から庭の様子が窺える。
「ここまでつくり込んでくれるとは。設計者冥利に尽きます」(武井さん)
間仕切りを最小限にした室内は風が吹き抜け、子どもたちがあちこちで寝転んだり、勉強したり。家の中も外も、自由な空気が流れている。


建物データ
〈敷地面積〉737.71㎡〈建築面積〉126.87㎡〈床面積〉1階 114.27㎡、2階 59.62㎡、合計 173.89㎡〈用途地域〉第1種中高層住居専用地域〈主要構造〉木造〈既存建物竣工〉1991年〈リノベーション竣工〉2020年〈設計期間〉6ヶ月〈工事期間〉5ヶ月〈構造設計〉1050architect〈施工〉野田建設

※この記事はLiVES Vol.117に掲載されたものを転載しています。
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