
リノベーションマンション事例「DIY専用ルームを完備。欲しいモノも空間も自分でつくる」
雑誌「LiVES」に掲載されたリノベーションマンションから、今回は、埼玉県さいたま市の川成さんご夫妻の事例をご紹介します。施工現場に自ら参加し、フローリングやタイルを張って、壁・天井にペンキを塗る。自分たちで手をかけて、家への向き合い方を学ぶ。 (text_ Yasuko Murata photograph_ Osamu Kurihara)
OSB合板の壁に囲まれた空間は、DIYのための専用ルーム。作業台には、カナヅチやノミなどを突っ込んだ道具箱。壁に造り付けた棚には、塗料やハケ、電動ドリルなどのDIYツールが並ぶ。

DIYに没頭する慶太さん。ホームセンターと家を行き来する日々。
「もともと木工が好きで、ベンチなど簡単な家具を自分でつくっていました。以前住んでいたアパートではバスルームで作業していたのですが、狭くて大変でした。木くずが出たり、ペンキで汚れたりするので、新居には思い切りDIYができる部屋をつくりたかったんです」
そう話す川成慶太さんは、奥さまの瑛梨奈さんと2人暮らしで、もうすぐお子さまが誕生する。新居として中古マンションをリノベーションすることに決め、さいたま市内にある築25年、90㎡弱の物件と出会った。隣に大型のホームセンターがあることも決め手となり、DIYを取り入れながら暮らすイメージが鮮明に浮かんだという。
川成さんご夫妻は、リノベーションもできる限り自分たちで手掛けることを希望し、設計をフィールドガレージの原直樹さんに依頼した。
「DIYを取り入れたい人には、弊社のアドバイザーがサポートする体制を整えています。川成さんご夫妻は、コンクリートの梁、ビス跡などのラフな部分は、味わいとして活かすという考え方。その割り切りはDIYの成功と、大幅なコスト削減につながりました」(原さん)
川成さんご夫妻は、工事期間の2ヶ月の間、できるだけ現場に参加し、フィールドガレージのスタッフの手ほどきを受けながら、DIYルームのフローリング張り、洗面やトイレのタイル張りなどに挑戦。引き渡し後は、1ヶ月ほどかけて家族にも手伝ってもらい、ほとんどの壁・天井をクロスの上から塗装するという、大掛かりな施工を自分たちで成し遂げた。


手前の壁はコンクリートブロック。全体的に素材感のあるテイストでまとめられている。

寝室の床はカーペットを剥がして躯体コンクリートを現しに。
入居後も個室の床を張ったり、キッチンの壁を塗り直したりとDIYを続けている川成さんご夫妻。
「最初は床を張ったり、タイルをカットすることが難しく感じましたが、やっていくうちに慣れました。一度経験しているから、個室の床を張るときも、1人でもスムーズに進めることができたと思います。自分たちで手をかけたことで、家への向き合い方が分かりました。次は何をしようかとイメージが浮かび、暮らしながらも、つくることが楽しくてしょうがないんです」(慶太さん)


DIYルームに引っ掛けてあるジーンズは、慶太さんのDIY用の作業着。

ワークスペースのデスクに、DIYでスライドレール式の引き出しを追加。


建物データ
〈物件名〉川成邸〈居住者構成〉夫婦〈建物規模〉地上8階建て(6階部分)〈主要構造〉鉄筋コンクリート造〈建物竣工年〉1991年〈専有面積〉89.67㎡〈バルコニー面積〉13.24㎡〈設計・施工〉フィールドガレージ〈設計期間〉2ヶ月〈工事期間〉2ヶ月〈竣工〉2014年

※この記事はLiVES Vol.89に掲載されたものを転載しています。
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