グリーンカーテンとは?効果や作り方、メリット・デメリットを徹底解説

この記事ではグリーンカーテンのメリット・デメリット、グリーンカーテンの作り方を解説します。夏の暑さを少しでも和らげて、電気代を節約できるグリーンカーテンをぜひお試しください。
記事の目次
グリーンカーテン(緑のカーテン)とは?
グリーンカーテンとは、つる性の植物で建物の壁や窓を覆うことです。植物が生い茂りカーテンのように太陽からの直射日光を防ぐため、グリーンカーテンと呼ばれています。グリーンカーテンの設置によって、建物の気温の上昇を和らげられるため、室温が上がりにくくなりエアコンの電気代を節約したい方から人気です。次章から、グリーンカーテンを設置するメリットやデメリットを詳しくご紹介します。
グリーンカーテンの効果・メリット

グリーンカーテンを設置するメリットを6つご紹介します。
直射日光を防ぐ
窓から入り込んでくる太陽光を、グリーンカーテンによって防ぐことができます。支柱やネットを伝って植物が生い茂ると、直射日光を防ぐ自然のカーテンとして活躍します。
輻射熱を抑える
輻射熱とは、温度の高い物質から温度の低い物質へ電磁波によって伝わる熱のことです。窓から涼しい風が入ってきていても、建物全体が太陽の熱によって温められてしまうと室温が下がらない現象を引き起こします。グリーンカーテンによって窓や壁を植物で覆い、太陽による輻射熱を抑えることが可能です。
気化熱で周辺温度を下げる
建物の日陰よりも、木陰のほうが涼しいと感じたことはないでしょうか。植物は蒸散によって葉から水蒸気を出し、周りの温度を下げることができます。そのため、すだれを付けるよりも、グリーンカーテンのほうが涼しく感じやすいといわれています。
プライバシーを守る
グリーンカーテンの設置によって、部屋の中を外から見えにくくする効果があります。外部からの目線を遮りつつも、外観に圧迫感を与えることがないため、プライバシー保護のためにグリーンカーテンを設置する方も増えています。
家庭菜園が楽しめる
グリーンカーテンとして育てる植物のなかには、花を咲かせたり実を付けたりするものもあります。植物と触れ合う時間によって癒し効果もあり、実った野菜や果物は食べて楽しめます。
見た目が涼やかで心地よい
コンクリートが多い都市部では、グリーンカーテンによって緑が増えると涼やかに見えます。植物が育っていく様子を観察する楽しみも感じることができるでしょう。
グリーンカーテンのデメリット
一方で、グリーンカーテンの設置には次のようなデメリットもあります。
虫が発生する
グリーンカーテンとして植物を育てると、虫が寄ってきます。窓のすぐ近くにグリーンカーテンを設置していると、部屋の中にも入り込んでしまうかもしれません。虫が苦手な方は、あらかじめ防虫対策をおこないましょう。
初期費用がかかる
グリーンカーテンを設置するためには、プランター・苗や種・土・肥料・支柱やネットなどを揃える必要があります。電気代を安くするためにグリーンカーテンを設置する場合、初期費用が高いと本末転倒になってしまうので注意しましょう。
部屋が暗くなる
グリーンカーテンの植物によって日差しが遮られますが、一方で部屋の中が暗くなりすぎてしまうこともあります。エアコンよりは照明の電気代のほうが安いですが、日中でも薄暗いと感じてしまう方がいるかもしれません。葉の密度を減らしたり、光が差し込むような穴を開けたりするなどの工夫が必要です。
外壁の劣化につながる
グリーンカーテンの植物が外壁や配管などの設備まで伝って育ってしまうと、ひび割れや傷みの原因となります。植物を伝わせるネットや支柱を壁から離して設置し、植物が育つ範囲をこまめに管理しましょう。
育つまでの手間、枯れてからの掃除が大変
グリーンカーテン用の植物は、育て始めてから効果を発揮するくらいまで大きく成長させるのに時間がかかります。日差しの強い夏にグリーンカーテンを必要とする場合は、4~5月に植物を育てましょう。また、秋から冬にかけては、葉が落ち枯れたあとの片付けの手間がかかります。
グリーンカーテンを育てはじめる時期
グリーンカーテンにする植物によりますが、日差しが強くなる夏に活躍させるためには2~3カ月前に育て始めましょう。おすすめはゴールデンウイークあたりです。一方、グリーンカーテンに適している植物は日差しには強いですが、寒さには弱いため気温が低いと育ちにくいので注意してください。その年の気温の変化を参考に、育て始めの時期を見極めましょう。
グリーンカーテンに向いている植物・野菜
グリーンカーテンとして育てるのに向いている植物や野菜をご紹介します。
マンデビラ

マンデビラは、春から秋にかけて長期間開花する植物です。花が大輪でつるがよく伸びるローズ・ジャイアントと、鉢植えで楽しめるサンデリの2種類がよく流通しています。日光がよくあたる場所で成長しやすいため、グリーンカーテンに適しています。
アサリナ

アサリナは、葉柄と花柄がネットや支柱に巻き付いて2~5mも伸びる植物です。生育が早いですが、最初の巻き付けるところをきれいに広げてあげることで、きれいなグリーンカーテンに仕上がります。花が小さく、複数の色を一緒に植えるとカラフルできれいな仕上がりになります。
朝顔

朝顔は小学校でもよく育てられる植物で、家庭菜園の初心者でも育てやすい植物です。つるが伸びやすいですが、伸びない矮性の品種も一部あります。グリーンカーテンとして育てるのであれば、つるが伸びる品種を選びましょう。
ゴーヤ

ゴーヤは沖縄県でよく育てられている野菜で、ニガウリやツルレイシとも呼ばれています。病気になりにくい強い植物なので、初心者でも育てやすいでしょう。ゴーヤは夏至を過ぎて日が短くなってくると、花が付いて8月ごろに収穫できます。ゴーヤが黄色くなる前に収穫しましょう。
キュウリ

キュウリは巻きひげがある植物なので、グリーンカーテンに適しています。キュウリの実は95%が水分でできているため、収穫したては特においしいのも魅力です。1株あたり1日に2Lも水分が必要なため、毎日の水やりは欠かさないようにしてください。
トマト

トマトは家庭菜園のなかでも特に人気の野菜ながら、グリーンカーテンにも向いています。初心者の方は病気に強いミニトマトがおすすめです。トマトの生育適温は25~30度のため、気温が高くなるゴールデンウイーク明けあたりに苗を植え始めましょう。支柱を立てて定期的にわき芽を摘んで誘引すると、多くの実を付けます。
パッションフルーツ

パッションフルーツは、つぶつぶの種と甘酸っぱい果肉が特徴の南国フルーツです。日光がよく当たる場所で育ちやすく、つるを横に伸ばすようにすると実が付きやすくなります。実が付いてからは水をたっぷりとあげましょう。
グリーンカーテンの作り方
実際にグリーンカーテンを作る方法をご紹介します。
グリーンカーテンに必要なもの
グリーンカーテンを作るために必要なものは、次の4つです。
プランター・鉢底石

グリーンカーテンを作りたい場所の広さに合わせて、プランターの大きさや数量を決め用意しましょう。浅いプランターだとつるが伸びてきた時に根で支えられないため、30cm程度の深さがおすすめです。鉢底石とは、軽石や黒曜石でできた石のこと。排水性や通気性をよくする効果があるため、準備しておくとグリーンカーテンが育成しやすくなります。
土・肥料(培養土)

グリーンカーテンを育てるためには、有機物を豊富に含んだ水はけのよい培養土が適しています。元々肥料が入っている土だと、肥料を混ぜる手間が省けるのでおすすめです。肥料が入っていない土を使う場合は、肥料を混ぜてから種や苗を植えてください。
好きな苗・種

グリーンカーテンに適している植物の苗や種を準備します。苗は種よりも育てやすいため、初心者の方におすすめです。店頭で苗を購入する時は、根本がグラグラしないしっかりとした苗を選びましょう。葉が黄色かったり、虫が付いていたりする苗は避け、茎が太いものを選ぶとよく育ちます。
ネット・支柱

作りたいグリーンカーテンの大きさに合わせて、ネットや支柱を用意します。設置する場所の大きさをメジャーで測定し、必要な長さを計算しましょう。
グリーンカーテンの基本的な作り方
グリーンカーテンの基本的な作り方を手順ごとにご紹介します。
- STEP 1設置場所を決める
- STEP 2ネットを組み立てる
- STEP 3プランターに培養土を入れる
- STEP 4苗・タネを植える
STEP1.設置場所を決める
まずは、グリーンカーテンをどこに設置するのか決めます。設置する場所に合わせて、必要なプランターやネットなどのサイズを計算しましょう。
STEP2.ネットを組み立てる
グリーンカーテンを広げたい場所にネットを組み立てます。上からネットをぶら下げるフックがあれば、ネットの上部をフックにかけてネットの下部をプランターに固定します。ネットをぶら下げる場所がない場合は、支柱を立ててネットを張りめぐらせます。
STEP3.プランターに培養土を入れる
プランターには、まず鉢底石を3cm程度になるように入れます。その上から、プランターの縁の高さより2~3cm低いところまで培養土を入れましょう。縁ぎりぎりまで土を入れてしまうと、水をあげた時に土が流出してしまいます。
STEP4.苗・種を植える
苗を植える時は苗の高さと同じくらいの穴を掘り、元々入っていたビニールポッドから優しく取り出します。苗に付いている土を落とす必要はありませんが、ガチガチに固まってしまっている場合は、根を傷つけないように優しくほぐしてから植えることをおすすめします。
種を植える時は一晩ぬるま湯に浸したキッチンペーパーに包んでふやかします。プランターの土に2cm程度の穴を掘り、種を2~3粒まきます。種をまく穴の間隔は30cm程度空けましょう。芽が出て葉が2~3枚出てきたら、一番元気な芽だけを残して間引きます。苗と種のどちらの場合も、植えた直後はたっぷりと水をあげてください。
グリーンカーテン育成・管理のポイント
グリーンカーテンを育てていくなかで、管理するポイントを3つご紹介します。
葉に日光を当てる
植物の成長には太陽の光が欠かせません。成長してきて葉が密集しすぎてしまうと、日光に当たらない葉ができてしまいます。すると、生育が遅くなったり病気になってしまったりするため、必要に応じて葉やつるを間引きましょう。
水・肥料をしっかり与える
植物に水をあげるタイミングは、土の表面が乾いていないかで判断します。暑い時期なので1日に1回は確認しましょう。ただし、水を与え過ぎてしまっても根腐れの原因になります。
植物の種類によって異なりますが、肥料は花や実が付いたら追加で与えます(追肥)。花を咲かせたり実を大きくしたりするために必要です。
病害虫は早めに対処する
グリーンカーテンを育てていくうえで、防虫対策は欠かせません。虫は葉や実を食べてしまい、植物が育たなくなる原因になります。葉の裏側を確認し、見つけ次第すぐに除去しましょう。防虫スプレーをまいたり、虫が嫌うミントなどを一緒に植えたりすると効果的です。
グリーンカーテン設置の際の注意点
グリーンカーテンをマンションに設置する場合、いくつか注意しておくべきことがあります。
マンションの規約によっては設置できないこともある
マンションの規約で、ベランダでの植物の栽培が禁止されていることがあります。例えば高層階だと、植木鉢などが落下する危険性があるなどの理由からです。一度マンションの規約を調べてから、グリーンカーテンの設置計画を立てましょう。
避難の妨げにならないように注意する
マンションのベランダは、万が一の時の避難経路としても使用されます。グリーンカーテンを避難通路や避難はしごの邪魔になる場所には設置しないよう、気を付けてください。
土や落ち葉で排水溝をふさがないようにする
グリーンカーテンを設置していると、プランターからこぼれた土や落ち葉でベランダが汚れることがあります。排水溝の中にたまってしまうと水はけが悪くなり、最悪の場合大雨の時にベランダから部屋の中まで浸水してしまうこともあります。ほうきやちりとりできれいに掃除しましょう。
強風・台風対策をしっかりする
グリーンカーテンは高さがあるので、強風がふく日や台風が近づいてきている時は飛ばされないような対策が必要です。特に支柱はベランダから落ちると危険なので、固定しておくことをおすすめします。
近隣住民への配慮をする
グリーンカーテンをマンションなどの集合住宅で設置する時は、近隣の方への配慮をおこないましょう。グリーンカーテンを育てているなかで、周りのベランダに侵入してしまったり枯れ葉が周りに散らかってしまったり、虫が大量に発生してしまったりといったトラブルが考えられます。グリーンカーテンの管理を徹底してください。
グリーンカーテンについておさらい
ここまでご紹介してきたグリーンカーテンに関する内容を、以下にまとめました。
グリーンカーテンのメリット・効果は?
グリーンカーテンのメリットは、直射日光を遮り部屋の温度を上がりにくくすることです。また、植物でできたグリーンカーテンは見た目も涼しく、外からの目線をカットする効果もあります。花が咲いたり実がなったりする植物だと、より育てる楽しみがあるでしょう。
グリーンカーテンの作り方は?
グリーンカーテンは、つる性の植物をゴールデンウイーク前後から育て始めます。支柱やネットを使ってグリーンカーテンの形になるよう成長させましょう。植物によって水のあげかたや肥料の追加タイミングが異なるため、調べておくことをおすすめします。
グリーンカーテンに向いている植物は?
グリーンカーテンに向いている植物は、夏の暑さや日差しに強く、葉やつるを伸ばす植物です。グリーンカーテンにはゴーヤ・朝顔などがよく使われています。
まとめ
グリーンカーテンを設置するメリット・デメリットや作り方をご紹介しました。グリーンカーテンには部屋の温度を上げにくくする効果があり、暑くなる夏が来る前に設置するととても便利です。見た目も涼しくなるうえ、家庭菜園をしながらエアコンの節電につながります。そのため、気になる方はぜひグリーンカーテンを設置してみてはいかがでしょうか。
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