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蜂から身を守ろう!蜂を家に寄せ付けないための対策や蜂の種類について解説

もともと蜂の生育地だった場所を人間が切り拓いて住宅街にしたことが、蜂が家の軒下などに巣をつくるようになった原因だと考えられています。「ブーン」という羽音とともに近づいてくる蜂を見ると、アナフィラキシーショックで命に危険がおよぶといった知識から、無意識に怖さを感じてしまうのではないでしょうか。しかし蜂は、こちらが刺激しなければ刺すことはほぼありません。蜂のことをよく知って、対策しましょう。

蜂がやってくる原因は?

蜂は春頃から活動をはじめ、軒下や樹木など雨風をしのげて、直射日光の当たらない場所に巣を作ります。 植物が生い茂っている場所には、エサとなる昆虫がたくさんいるため蜂も集まってきます。大きくて古い庭木の中には根本や幹の中に空洞ができていることがあり、巣作りの場所として選ばれることが少なくありません。家の周辺であれば、軒下・庭木・植え込み・戸袋の中などは巣が作られやすい場所です。

なぜ蜂に刺されると危険なの?

蜂の中には人を刺す種類もいます。とくに怖いのが、スズメバチとアシナガバチです。刺されると、刺された所を中心に症状が出る「局所症状」と、身体中に症状がでる「全身症状」があります。局所症状には、かゆみや皮膚が充血するなどの皮膚炎があり、全身に症状が出ると嘔吐や寒気などの症状が起きることもあります。

蜂毒が引き起こす症状として、恐れられているのがアナフィラキシーショック。日本では毎年20名ほどの人が、蜂の毒によるアナフィラキシーショックで死亡しています。蜂の毒によるアナフィラキシーの症状で多くの人に見られるのは、皮膚・粘膜症状。唇や舌などの粘膜が腫れ、その後数分のうちに呼吸器や循環器まで毒が回り、呼吸器に症状が出ると息苦しくなります。循環器に症状が出ると脈が早くなり、血圧が低下、動悸や眩暈がして立っていられなくなります。重度のアナフィラキシーショックの場合、平均して15分ほどで心臓が止まるといわれています。もし、蜂に刺されてアナフィラキシー症状が起こったら、躊躇なく救急車を呼びましょう。2021年12月の消防庁の発表によると、救急車が現場に到着するまでの平均時間は8.9分。一瞬の迷いが不幸に繋がらないように、心に留めておきましょう。

また、初めて蜂に刺されたときは症状がなくても、二度目に刺されたときにアナフィラキシーを起こすこともあります。一度アナフィラキシーを起こした人は、同じ物質が体に入ると、前回より重い症状となることが多いので注意が必要です。これまでにアナフィラキシーを起こしたことがある人は、専門医に相談してみましょう。症状の進行を一時的に緩和し、ショックを防ぐための自己注射薬を処方してもらえる場合があります。

ただし、こちらから何かアクションを起こさない限り、蜂が自ら積極的に人に襲いかかることはありません。蜂を見かけたからといってむやみに怖がらず、落ち着いて行動しましょう。

まずは蜂の種類を知ろう

日本に生息する蜂の種類は4,000種類以上といわれており、人を刺す蜂と刺さない蜂がいます。ハチミツを作るミツバチ、農作物につく毛虫を捕食するスズメバチなど、人を刺す習性ある蜂でも他の一面にフォーカスを当てれば益虫と呼ばれます。まずは人を刺す危険性のある蜂の種類を知り、どんな場合に攻撃してくるのかを学習しましょう。

人を刺す危険な蜂

日本に生息する「刺す蜂」の代表的な種類は、大きく分けて「アシナガバチ類」「スズメバチ類」「ミツバチ類」の3つ。ミツバチ科のマルハナバチ類も、人を刺す蜂の仲間です。それぞれの種類について、特徴は以下のとおりです。

スズメバチ

スズメバチの活動時期は5月から11月。毒針を持つ働き蜂の体長は1.7〜4cmほどです。攻撃性は非常に高く、巣に近づいただけで攻撃してくることがあり非常に危険。ミツバチと同じく、産卵を専門とする1匹の女王蜂と、多くのメスの働き蜂が住みます。巣にいる働き蜂の数は種類によって1,000匹近くになり、巣にいる幼虫を守るために強い毒を持ちます。巣を守るメスのスズメバチは、とても危険で攻撃的な蜂です。

スズメバチの代表的な種類には、「オオスズメバチ」「クロスズメバチ」「キイロスズメバチ」などがいます。スズメバチの特性として、⿊色の物に激しく反応して攻撃を加えます。服だけではなく、長靴やカメラなどの黒色に反応するので注意してください。スズメバチを駆除しようとする場合は、黒い色を身につけるのは避けましょう。

アシナガバチ

アシナガバチの活動時期は4月から10月。毒針を持つ働き蜂の体長は1〜2.5 cmほどです。アシナガバチ類の代表的な種類には、「セグロアシナガバチ」「キアシナガバチ」「キボシアシナガバチ」などが挙げられます。「セグロアシナガバチ」「キアシナガバチ」は体が大きく、庭の植木や軒先などによく営巣する種類。巣のサイズは大きくても20cm程度で、スズメバチやミツバチに比べて小さいのが特徴です。
とくに好む場所は、地上から 1.5m程度の低い木の枝や常緑樹の葉の裏面など。雨を避けられる屋根の軒先や、壁面などに巣を作ることもあります。巣で集団生活しますが性格はおとなしく、巣を襲うなど危害を加えない限り、積極的に人を刺すことはほぼありません。

ミツバチ

ミツバチの活動時期は4月から11月。毒針を持つ働き蜂の体長は1〜2 cmほどです。ミツバチ類の代表的な種類には「ニホンミツバチ」「セイヨウミツバチ」などがいて、ニホンミツバチは日本の在来種。飼育法を書いた江戸時代の文献が残っています。ミツバチは全般的におとなしい性格で、基本的に自ら人に攻撃をしかけてくることはありません。ただし社会性が強く、巣を守るためには命がけで働きます。そのため、巣に危害を加えられそうだと感じると、一斉に攻撃してくる場合があります。巣を見つけたら、不用意に近づかないように注意しましょう。

人を刺さない蜂の方が多い

日本に約4,000種類もいる蜂ですが、実は毒針を持たず、刺さない蜂の方が圧倒的に多いのです。花から蜜と花粉を集めて幼虫の餌とする「ハナバチ」、泥や土で巣を作る「ドロバチ」などは、人を刺すことがありません。

蜂を家に寄せ付けない工夫

どの種類の蜂も働き蜂(メス)が鋭い毒針をもっていて、⼈を刺します。蜂に刺されやすい⼀番危険な時期は、蜂の種類によって違いますが、活発に活動する春から秋頃。草が繁茂して草刈りの必要な時期は蜂の巣が大きくなり、蜂の数も増えて刺される危険性が高まります。
蜂が人を刺す原因の一番は、巣を守ろうとするためです。蜂を家に寄せ付けないためには、蜂に巣作りをさせないことが第一。対策を講じる場合は、蜂が活発に活動する春〜夏の時季、明るい日中の時間帯を外したほうが安全です。

蜂対策グッズ

蜂は家の軒下や庭木、ベランダやテラス、窓枠や雨戸などに巣を作ります。巣を作られないために、できる対策を講じましょう。

くん煙剤

くん煙剤には、有効成分を揮散させて蜂を寄せ付けなくするものと、蜂の巣などにいる集団の蜂を煙幕で弱らせて追い払うタイプのものがあります。

殺虫剤

殺虫成分を直接スプレーすることで、巣ごと蜂を殺します。近距離で使用するほど効果が高いのですが、危険ですので蜂が行動しない夜間に行いましょう。夜とはいえ、近距離での作業は危険です。長いポールや棒状のものにスプレー本体を固定し、紐で引っ張ればスプレーできる仕掛けを作って、離れた場所から噴射することをオススメします。

木酢(もくさく)液

木酢液にはツンと鼻をつく焦げたような強い燻臭があり、このニオイが虫たちに山火事を連想させます。これは蜂が現れてからではなく、やって来ないようにするための防御として活用しましょう。活発に活動し出す前の4月〜5月頃、巣を作られやすい場所に2倍に希釈した木酢液をスプレーしておきます。木酢液には抗菌や防カビ効果のほか、微生物を活性化させる作用などもあり、土壌の消毒や植物の成長促進にも使われる安全性の高い忌避剤です。

ハッカ油

ハッカ油は、ミントを乾燥させて抽出した植物性のオイルです。殺虫成分はなく、駆除目的には使えません。しかし、天然成分で肌にもやさしいので、夏に山など緑の多い場所へのお出かけする際の虫除け対策に用いるとよいでしょう。そのほかに、吊り下げておびきよせるスズメバチトラップなどもあります。

その他の対策

蜂を寄せ付けない殺虫・防虫グッズをご紹介しましたが、それ以外にも簡単にできる対策方法がいくつかあります。

ベランダや窓まわり、木々などに網をかける

巣を作られそうな場所を先に防御して、蜂が入らないようにしておく方法です。ベランダや窓のサッシ、茂った樹木などに蜂が入り込めない網をかけておくことで、巣作りさせません。巣作りが本格化する前の、4月から5月くらいにおこなうのが有効的です。

甘い匂いの出るものを置かない

飲みかけのジュースに蜂が寄ってきているのを、知らずに飲もうとして刺されたという例もあります。このように、蜂は甘い匂いに寄ってくる特性があります。柔軟剤の甘い香りに引き寄せられて来るということもあるようですので、蜂が苦手な方は用心しましょう。

蜂が家に入ってきたら?

蜂がもし家の中まで入ってきたら、できるだけ刺激しないようにして外に逃しましょう。以下に、上手く蜂を逃がすためのコツをご紹介します。

むやみに刺激しない

蜂は、自分から好んで部屋の中に入ってきたわけではありません。蜂だって、自分の何万倍の大きさの人間が向かってきたら怖いもの。そして、怖いから攻撃します。そのため、大声をあげたりタオルを振り回したりするのは逆効果。慌てず落ち着いて窓を開け、蜂のいる部屋から出たら扉を閉めてしばらく様子を見ましょう。蜂が出ていったのを確認したら、しっかり窓を閉めてください。

部屋の電気を消し、窓を開ける

蜂が侵入してきたのが夜間だった場合は、窓を開けて部屋の電気を消します。明るい方に向かっていく蜂の習性を利用しましょう。窓を開けて部屋の電気を消したら、しばらく別室で待機してください。

攻撃されそうになったら逃げるしかない

なんらかの理由で蜂が攻撃を仕掛けてきたら、その場からできるだけ遠くへ逃げましょう。逃げ場がなければ布団をかぶったり、押し入れに閉じこもったりするなどして蜂の視界から姿を消し、蜂の興奮がおさまるのを待ってください。

蜂に刺されてしまったら?

気をつけていたとしても、いつ、どんなタイミングでトラブルに襲われるかわかりません。もしも運悪く蜂に刺されてしまったら、しかるべき方法で速やかに処置しましょう。

刺された箇所を水で洗い流す

蜂に刺されたらその場を離れ、できるだけ瞬時に刺された箇所を水で洗い流します。毒を絞り出すようにしましょう。刺されたのがミツバチで針が残っている場合は、毛抜きなどを使って針を抜いてください。また、患部を冷やすと毒液のめぐりを遅らせることができます。

全身症状があればすぐに病院へ

刺された後に気分が悪くなったり、汗が大量に出てきたりした場合は、病院の内科またはアレルギー科を受診しましょう。もしもアナフィラキシーを疑われるような全身症状が起こったら、迷わず救急車を呼んでください。アナフィラキーショックを起こすと平均15分、早い人であれば数分で命を落とすこともあるといわれています。緊急時ですので、救急車を呼ぶことに躊躇は禁物です。すぐに救急車を呼んで、「蜂に刺されてアナフィラキシーの全身症状が出ている」と伝えてください。

蜂の駆除はプロに相談を

ここまで、自分でできる蜂対策をご紹介しました。しかし、蜂の駆除には危険がついてきます。すでに蜂の巣が家の軒下や庭などにできてしまっている場合は、蜂駆除のプロに頼んで安全に処理してもらいましょう。

まとめ

スズメバチやアシナガバチ、ミツバチといった、人を刺す恐れのある蜂から身を守る方法をご紹介しました。積極的に攻撃を仕掛けてはこない蜂ですが、巣を守る本能は強いので、軒先や庭に巣を作られてしまうと厄介です。まずは、家の周りに蜂を寄せ付けないような工夫をしておきましょう。万が一の対処方法も、ぜひ本記事を参考に知識を深めておきましょう。

執筆者

小西尋子

京都ライター事務所

京都市内を拠点にフリーランスの編集ライターとして活動。大学卒業後、出版・広告業界に20年以上携わる。間取りを見ながら引っ越しを妄想するのが趣味。レトロ物件好きで、取り壊しのために2度の立ち退き経験あり。宅建士の資格取得に向けて勉強中。

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